kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2022年10月11月 遠藤さんの「紅玉」なくして、Benoitのリンゴデザートはありえません!

 リンゴが美味しい時期がやってまいりました。甘ずっぱくて瑞々しい、しゃくっという食感が心地良い、我々には馴染み深いフルーツではないでしょうか。とはいえ、リンゴには多くの品種があり、それぞれに収穫時期や美味しさに違いがあります。多くの品種が世界に誇れるほどの美味しさを生食で発揮している…しかし、ことデザートとなると、やはり品種「紅玉」に勝るものはありません。

 国内に数多(あまた)あるリンゴ農園ですが、思いのほか「紅玉」を植栽しているところが少ないのです。さらに、植えていたとしても樹の本数が少ないとくる。程よい食感で甘みに満ちた新品種が続々と登場し、昔ながらの硬く酸っぱいりんごである「紅玉」は敬遠されてしまうのでしょう。

 自分が探しあぐねている中で、救いの手を差し伸べてくれたのが、Benoitに幾度となくお越しいただいているお客様でした。彼女には料理研究家という肩書があり、料理教室の開催や料理本へのレシピの掲載などと、幅広く活躍されている方です。そのような彼女に、自分が作ったわけでもないBenoit料理の自慢をするという、傍から見たら「釈迦の説法」そのものでしょう。しかし、彼女の寛容さが自分の愚行を笑いながら受け入れてくれています。と、勝手に自分は思っているのですが…

 5年ほど前の事だったでしょうか、「山形県に美味しいリンゴを栽培している人がいるのだけど、興味ない?」と。彼女ご自身がお手伝いに行っているリンゴ農園といのです。実地で見聞したからこそ、Benoitに自信をもって紹介してくれたのです。興味がないわけない、すぐに紹介いただき連絡をしたのです。電話の先は、遠藤果樹園の園主、遠藤直裕さんです。

 山形県の西には、新潟県との県境をなしている山々が聳(そび)えています。その一角にあるのが、急峻な朝日連峰です。あまりにも峻険であるがために、この山を挟んで新潟県朝日村山形県の朝日町では行き交うことが困難で、北か南を迂回しなくてはならないほど。

 その朝日連峰より湧き出でる清らかな水はせせらぎをなし、一方は新潟県へ他方は山形県へ。山形県側では、落合い落合いながら川幅を大きくし、山間(やまあい)を穿(うが)つの蛇行しながら海へ向かう、これが最上川です。その上流域に朝日町があり、大谷(おおや)という地でリンゴ畑を拓(ひら)いているのが、遠藤果樹園です。

 Benoitの申し出に、遠藤さんは快諾してくれました。そして、「紅玉の収穫が始まりますよ!」と一報が入ります。初めて遠藤さんの紅玉を試食したBenoitシェフパティシエール田中は、「見事なバランスで素晴らしい!」と絶賛したのです。遠藤さんが、いかにリンゴに真摯に向き合い、美味しくなるようにと想いを込めて育て上げているかを知る今では、田中の評価もそれは当然だろうと思うもの。毎年のように購入させていただいていることが、何よりの証です。晩夏ともなると…「遠藤さんのリンゴをよろしくね」と、これ毎年のこと。

 今年も遠藤さんの美味しいリンゴ「紅玉」が、Benoitに届きました!

 

 この遠藤農園さんの美味しそうなリンゴご覧ください!この可愛い小柄な紅玉を、1人2玉ほど使用して、デザートに仕上げます。果物は、果皮の内側に美味しさが集結します。そのため、一玉一玉丁寧に皮を剥(む)き、スライスしてゆきます。

 このデザートで欠かすことができないものが2つあります。一つは、美味しい紅玉。素材以上の美味しさは、いかに腕の立つ調理人であろうとも、錬金術師でもない限り不可能です。もう一つが、素焼きのこの器です。Benoitでは、Romertöph(ロメルトフ)という、ドイツ生まれの可愛い器を使用します。2~3時間、しっかりと水に浸けておき、水分を十分に含ませておいた器の中へ、遠藤さんの紅玉を一枚一枚と丁寧に盛りつけてゆきます。

 リンゴの盛り付けの最中(さなか)、数度にわたりサトウキビ由来のカソナードと呼ばれるブラウンシュガーと、香辛料をふりかけながら。香辛料?ここが昨年と大きく変わったところです。シナモンではありません。カルダモンとアニス、さらに白コショウ・ナツメグクローブ・ショウガの絶妙なるブレンドでフランスでは定番のキャトル・エピスを少々と。

 水分を含んだ蓋をし、180℃のオーブンの中でゆっくりと焼き上げること約60分。ロメルトフ自体に水分を含んでいるため、当初は、この水分が蒸発することで、器の中はじわじわと温度が上がります。蒸発しきった時点から、温度がぐんぐんと高くなるという、勝手に温度調節をしてくれる優れものが、このロメルトフという器なのです。

 60分という長い時間、オーブンに入れっぱなしでじっくりと焼いてゆくのかと思いきや、パティシエはオーブンから離れるわけには行きません。そう、そのまま入れっぱなしでは焦げてしまうのです。そこで、15分おきに、オーブンに入っているリンゴを引き出し、カソナードを振りかけなければなりません。

 焼き上がったリンゴは、ロメルトフに入れたまま、冷ますように休ませます。この休憩時間は、味わいを落ち着かせると同時に、美味しさを引き出すことにつながるのです。そして、皆様からのご注文があった際に、温め直してお持ちいたします。

 このロメルトフという器無くして作ることができず、遠藤農園さんの美味なる紅玉だからこそ、今の美味しいデザートに仕上がっているのです。蓋を開けた時の姿に驚き、爽やかな甘酸っぱい香りに魅せられることに。この長い工程があればこその、美味しさがロメルトフの中に詰まっている、これがBenoitの「リンゴのオーブン焼き」です。

Pomme au four

山形県産りんごのオーブン焼き

※プリ・フィックスメニューのメインディッシュの選択肢として、ランチ・ディナーともに+800円でお選びいただけます。一日にご用意できる数に限りがございます。ご希望の際は、ご予約時にご希望数をお伝えいただけると幸いです。

 

 遠藤果樹園の遠藤さんが、夢の実現に向けて一歩踏み出しました!

 今の果樹園の経営を継続しつつ、若き担い手の育成を目的とし、「マルホンファーム株式会社」を立ち上げました。将来的に地域の農業を守り、共感いただき賛同してくださる皆様が集うことで版図を広げてゆく。一次産業である農業という分野を通して、5次産業に挑む。新たな雇用を生みだすことで、山形県朝日町大谷を盛りたててゆくのだと。

 「マルホン」は「○」に「本」が加わった屋号といいます。遠藤さんのご先祖様が代々つかっていたものといい、今の直裕さんで八代目。連綿と受け継がれてきた屋号を旗印に、ご先祖様のお力添えも賜り、その名に恥じぬよう最善を尽くす!この思いで、社名にしたといいます。

 自分なんぞは微力の微ほどではありますが、青山の地より応援させていただきます。

 

 日ましに秋めく今日この頃。目に見える季節の移ろいの加え、秋風は秋の薫りも運んできます。ここはひとつ、文明の利器を遠慮し、五感を利かせて秋を探してみるのも一興ではないでしょうか。そして、秋の味覚が恋しくなった際には、足の赴くままにBenoitへお越しください。深まり行く秋と歩調を合わせるように、旬の食材がメニューをもって皆様をお迎えいたします。

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 終息の見えないウイルス災禍です。皆様、油断は禁物です。十分な休息と睡眠、「三密」を極力避けるようにお過ごしください。「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、笑いながらお会いできることを楽しみにしております。

 皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より切にお祈り申し上げます。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com

2022年10月11月Benoit 幻の酢ミカン「直七」のご紹介です!

 この聞き慣れない「直七(なおしち)」とは、スダチやカボスといったような酢ミカンに分類されています。原産は広島県尾道市因島(いんのしま)の田熊で、学名は「田熊スダチ」といいます。これが高知県へと持ち込まれました。今では因島で栽培している人はなく、高知県でも四万十市のさらに西隣にある宿毛(すくも)市とその周辺で栽培されているのみです。

 かつて、土佐の魚商人が、「魚に絞ると美味しいよ!」と、この田熊スダチを水揚げされたばかりの魚と共に売っていたそうです。あまりの相性の良さに加え、その魚屋さんのキャラクターが地元の人々に好印象だったのでしょう。人々は、その柑橘を田熊スダチとは覚えず、彼の名前で呼ぶようになった…直七とは、その魚屋さんの名前です。

 樹齢200年以上の古木が現存してることから、馴染みの酢ミカンであったようですが、地元以外では名前はもちろん、その風味を知る人は少なく、幻の柑橘と呼ばれているようです。これほど美味しいのに、なぜ版図を広げなかったのだろう?思うに、栽培が難しく適地が少なかったのか…それとも、ミカンほどもある大きさに使い勝手が悪いと感じたのか…今後の自分の課題です。

 馴染みのスダチとは、外形も味・香も異なっています。ほのかな甘みに、心地よい酸味と柑橘の爽やかな青々しさ。姿もそうですが、スダチとミカンを合わせたような柑橘です。青果での流通は一昨年より初めてテスト的に一部のスーパーなどへ出荷しただけでした。昨年にBenoitシェフ野口が試食し絶賛!今期も購入させていただいております。そう、Benoitでは、幻の酢ミカンが幻ではなくなっています。

 この「直七」を、果皮を削り、さらに果汁を絞ったものを、アオリイカの料理に使用します。レモンではない、スダチではない、直七だからこその風味が、アオリイカと秋ナスの美味しさを引き立て、調和をもたらしている。それぞれが持ちうる旬の美味しさをご堪能ください!

Calamars au plat, aubergine confite

佐渡ヶ島アオリイカのソテー ナスのコンフィ 柑橘直七

 

 日ましに秋めく今日この頃。目に見える季節の移ろいの加え、秋風は秋の薫りも運んできます。ここはひとつ、文明の利器を遠慮し、五感を利かせて秋を探してみるのも一興ではないでしょうか。そして、秋の味覚が恋しくなった際には、足の赴くままにBenoitへお越しください。深まり行く秋と歩調を合わせるように、旬の食材がメニューをもって皆様をお迎えいたします。

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 終息の見えないウイルス災禍です。皆様、油断は禁物です。十分な休息と睡眠、「三密」を極力避けるようにお過ごしください。「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、笑いながらお会いできることを楽しみにしております。

 皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より切にお祈り申し上げます。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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2022年10月11月Benoit 秋ナスは嫁に食わすな !?

「秋茄子は嫁に食わすな」

 体が冷えて流産してはいけないと嫁の体を労(いたわ)った言葉です。夏野菜であるナスは、水分が多い上にカリウムが豊富です。カリウムには利尿作用があり、余分な水分を体外に排出する際に体温を奪っていきます。さらに、ナスのアクも体温を下げるのだといいます。夏であれば良いことも、肌寒くなると困りもの…しかし、秋ナスは格別に美味しい。

 食べ過ぎいけないことはどの食材でも同じこと。アク抜きしたナスを適量であれば、妊婦さんでも美味しくお召し上がりいただけます。まして、ナスから摂れる葉酸を思うと、「秋ナスこそ嫁に食わすべし!」というものです。なにぶん、体が冷えることは体感的に分かっていても、葉酸などの含有成分などわかりようもない時代にあっては致し方ないことなのかもしれません。

 さて、秋ナスは美味しいけれども、少々皮が厚くなるもの。そこで、Benoitは3種類の調理方法でご用意いたします。一つは、皮を剥いてオーブンでじっくり焼き上げたナスを心地よい酸味のマリネ液に浸したもの。もう一つは、焼くことで旨味したナスを細かく切るように仕上げたところに、爽やかな酸味を少々。さらに、そのナスにゲソを細かく切ることで、アオリイカ特有の旨味を加えたもの。

 それぞれが秋ナスの美味しさを十二分にお楽しみいただけるのですが、これがぷりっと焼き上げたアオリイカと一堂に会した時、バラバラだった美味しさの旋律が見事なまでのハーモニーを奏で始めるのです。どれ一つとして欠かすことのできない食材なのです。

 心地よい爽やかな酸味とはレモン?いえいえ、次でご紹介させていただく、高知県宿毛(すくも)で育まれた幻の酢ミカン「直七(なおしち)」のこと。

Calamars au plat, aubergine confite

佐渡ヶ島アオリイカのソテー ナスのコンフィ 柑橘直七

 

 日ましに秋めく今日この頃。目に見える季節の移ろいの加え、秋風は秋の薫りも運んできます。ここはひとつ、文明の利器を遠慮し、五感を利かせて秋を探してみるのも一興ではないでしょうか。そして、秋の味覚が恋しくなった際には、足の赴くままにBenoitへお越しください。深まり行く秋と歩調を合わせるように、旬の食材がメニューをもって皆様をお迎えいたします。

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 終息の見えないウイルス災禍です。皆様、油断は禁物です。十分な休息と睡眠、「三密」を極力避けるようにお過ごしください。「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、笑いながらお会いできることを楽しみにしております。

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ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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2022年10月11月Benoit 佐渡ヶ島から直送!「アオリイカ」

 新潟県佐渡ヶ島は、沿岸一周約280kmもあり、東京23区の1.4倍の広さを誇る本州最大の島です。新潟港からカーフェリーで2時間半、ジェットフォイルを使えば1時間ほどで島の両津港へと着岸します。そこから少しばかり北に向かうと、「佐渡魚市場」が姿を見せます。まだ東雲(しののめ)の頃から、次々と水揚げされる魚介の量の多さは、いかに佐渡近海が好漁場であるかを物語っています。

 Benoitは、マルヨシ鮮魚店の石原さんに競りを託します。活気を帯びる市場の中で、彼にお願いしたのは旨味食味が抜群で、イカの中でも最高級の食材と称されている「アオリイカ」です。生きたものしか捕食しないという硬(かた)くなまでのこだわりが、この美味しさを生むのでしょう。夏に生まれたアオリイカが、海水温が下がってくるころから沿岸部から深辺へと移りゆき、ぐんぐんと成長するといいます。確かに、今はまだ小さめだというのですが、いやいやこのサイズだからこその美味しさがあります。

 焼き切ってしまえばただの焼きイカ。そこで、Benoitではちゃっちゃと焼きを入れるのみ。半生のようであり、余熱で軽く焼きが入るようでもある。だからこそ、アオリイカが誇る香りの高さに魅せられ、パリッという若々しい弾けるような…そして、イカ特有のムッムッとくる食感、その溢れ出る旨味に酔いしれる…

 秋ナスを添える、その上にはアオリイカのゲソを細かくっカットしたものを載せる。このゲソのコクのある旨味と食感が、いい仕事をしている。そして、欠かすことのできない特選食材が幻の酢ミカン「直七」です。爽やかな香りに、澄んだかのような酸味が、アオリイカと秋ナスの旨さを際立たせる大役を担います。

Calamars au plat, aubergine confite

佐渡ヶ島アオリイカのソテー ナスのコンフィ 柑橘直七

 

 石原さんがこのようなメッセージを送ってくれました…「ただただ美味しく召し上がっていただきたいという一心です。良いものを早く処理して一流の料理人に渡す事が魚屋の仕事だと思っています。佐渡ヶ島の旬の逸品をお楽しみください!」と。

 

 日ましに秋めく今日この頃。目に見える季節の移ろいの加え、秋風は秋の薫りも運んできます。ここはひとつ、文明の利器を遠慮し、五感を利かせて秋を探してみるのも一興ではないでしょうか。そして、秋の味覚が恋しくなった際には、足の赴くままにBenoitへお越しください。深まり行く秋と歩調を合わせるように、旬の食材がメニューをもって皆様をお迎えいたします。

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 終息の見えないウイルス災禍です。皆様、油断は禁物です。十分な休息と睡眠、「三密」を極力避けるようにお過ごしください。「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、笑いながらお会いできることを楽しみにしております。

 皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より切にお祈り申し上げます。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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2022年10月11月Benoit ジビエを代表する食材「エゾシカ」がメニューに!

 Benoitのプリ・フィックスメニューには、通年を通して牛肉のランプステーキが鎮座しています。それに、対抗するかのように、日本のジビエ料理の代表格ともいえるエゾシカが、名乗りを上げました。のんびり歩いている牛とは違い、北海道を駆け回っているからエゾシカ。この行動パターンの違いは、赤身の肉質とはいえ、まったくの別物です。

 今回は、エゾシカのモモ肉をつかいます。硬そうなイメージをお持ちかもしれませんが、丁寧にトリミングされ、休ませながらしっとり焼き上げることで、モモだからこその肉の旨味を堪能できるのです。トリミングで外した筋の部分は、廃棄するではなく我々のまかないにすることもありません。全てがソースへと姿を変えるのです。食材を無駄なく使いきるため、なに躊躇(ためら)うことなく、トリミングができるのです。

 しっとりと焼き上げたエゾシカのモモ肉に、コショウを利かせたソースを合わせます。このお供をするのが秋の野菜と果物です。宿儺かぼちゃにビーツ、リンゴ「紅玉」に柿と洋ナシ、忘れてはいけない洋栗。これらの個性豊かな甘みとコクとともに、お楽しみください。あ!宿儺かぼちゃも入っています。

 さあ、この美味しいエゾシカの肉を糧(かて)に、そ知らぬ顔で駆け抜けてゆく秋に追いつきましょう!

Noisettes de chevreuil rôties, garniture d’automne, sauce poivrade

蝦夷鹿のロースト 秋野菜と果実 ソースポワヴラード

※プリ・フィックスメニューの主菜として、ランチ+1,500円/ディナー+1,200円でお選びいただけます。

 

 日ましに秋めく今日この頃。目に見える季節の移ろいの加え、秋風は秋の薫りも運んできます。ここはひとつ、文明の利器を遠慮し、五感を利かせて秋を探してみるのも一興ではないでしょうか。そして、秋の味覚が恋しくなった際には、足の赴くままにBenoitへお越しください。深まり行く秋と歩調を合わせるように、旬の食材がメニューをもって皆様をお迎えいたします。

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

終息の見えないウイルス災禍です。皆様、油断は禁物です。十分な休息と睡眠、「三密」を極力避けるようにお過ごしください。「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、笑いながらお会いできることを楽しみにしております。

 皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より切にお祈り申し上げます。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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2022年10月11月Benoit ボーノ(美味しい)という名を冠した「ボーノポーク」?!

 「ボーノポーク」は、イタリア語で美味しいという意味の「ボーノ」という言葉を冠し、なんとも軽々しい印象を受けますが、その実は、岐阜県の中濃ミート事業協同組合の威信にかけて育て上げた銘柄豚です。飼育地は、県内の瑞浪(みずなみ)市、山県市、揖斐(いび)市の3地域。3つの種の掛け合わせで誕生した三元豚で、そのひとつが霜降り割合を増加させる能力を持つ、岐阜県が開発育種した「ボーノブラウン」という種豚です。

 抗酸化能とオレイン酸を多く含む植物性原料を含み、飼料中のアミノ酸バランスを調整した専用に開発された飼料を与えています。この飼料を含め、徹底した管理のもとで飼育されることで、霜降り割合が一般的な豚肉の二倍にものぼり、肉自体の旨味を十二分に堪能できる上に、脂の甘味か加味されるのです。さらに、一般に流通している豚肉よりもドリップロスが少なく、肉の旨味が逃げにくいのが特徴といいます。

 飼育した全てが「ボーノポーク」というブランドを冠することはありません。県下の和牛ブランド「飛騨牛」が、霜降り具合を目視によって5等級なのか4等級なのか、はたまた3等級なのかと振り分けるように、この豚もまたロース部位を目視によって判別してゆきます。違う点は、区分けが「ボーノポーク」か「一般的な豚」の2択であるということ。

 皆様が、「ボーノポーク」という豚の名前を耳にしたことがないのも当然、徹底した管理のために多くを飼育できない上に、厳しい選別ゆえに流通量が極端に少ないのです。その、貴重な豚肉がBenoitに届いています!

 

 どれほどのブランド肉でも、豚肉は生では食せず、良く焼くと硬くなります。そこで、ロースの部位を厚めにカットするのですが、休ませながら断面がうっすらとピンク色になるように丁寧に焼き上げることで、しっとりとした食感とボーノポークの旨味を十二分に堪能できるように仕上げます。

 ディナーでは、前述した「宿儺かぼちゃ」を添えます。輪切りにした半実の上に、このカボチャのピューレを載せてオーブンへ。途中でパルメザンチーズを振りかけ、再度オーブンへ。甘く焼き上がる、ホクホクとなめらかな2種の食感のカボチャに、チーズが溶けてふつふつと絡みつくことでコクを与える。岐阜県という同郷の組み合わせに死角はありません。

Longe de cochon de Gifu rôtie, gratin de potiron

岐阜県ボーノポークロース肉のロースト 宿儺カボチャのグラタン

※ディナーのプリ・フィックスメニュー、主菜としてお選びいただけます。

 

 ランチは、ボーノポークの多様な美味しさをお楽しみいいただきたく、ロースの肉ステーキ、バラ肉のコンフィ、自家製ソーセージの3種は焼き、盛り合わせます。添えるのはフランスのル・ピュイ産のレンズマメの煮込み。ワインと同じように原産地呼称を受けている緑レンズマメだけに、その美味しさは格別です。カスレのように、レンズマメの中に豚肉を加えて煮込んでいるわけではありません。

Cochon de Gifu aux lentilles vertes du Puy

岐阜県ボーノポークソーセージ/コンフィ/ソテー レンズ豆の煮込み

※ランチのプリ・フィックスメニュー、主菜としてお選びいただけます。

 

 日ましに秋めく今日この頃。目に見える季節の移ろいの加え、秋風は秋の薫りも運んできます。ここはひとつ、文明の利器を遠慮し、五感を利かせて秋を探してみるのも一興ではないでしょうか。そして、秋の味覚が恋しくなった際には、足の赴くままにBenoitへお越しください。深まり行く秋と歩調を合わせるように、旬の食材がメニューをもって皆様をお迎えいたします。

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 終息の見えないウイルス災禍です。皆様、油断は禁物です。十分な休息と睡眠、「三密」を極力避けるようにお過ごしください。「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、笑いながらお会いできることを楽しみにしております。

皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より切にお祈り申し上げます。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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2022年10月11月Benoit 飛騨高山の伝統野菜「宿儺かぼちゃ」なり!

 馴染みのカボチャとは一線を画す姿に、「うり?」と思われる方も多いのではないでしょうか。これが、「両面宿儺(りょうめんすくな)」という神の名を冠する「宿儺かぼちゃ」。新品種ではなく、岐阜県の飛騨高山地方で連綿と受け継がれてきた伝統野菜です。彼の地では、品種改良はせずに原種を残そうと、徹底した種苗管理することで守られてきた日本のカボチャ。有志が集い、今でも丹精込めて栽培されています。

 大きなサイズになればなるほど、栽培が難しくなると言われるなかで、この見事なサイズにまで育て上げられるには、どれほど手間暇をかけねばならないことか。岐阜県高山市で「かぼちゃ名人」と称される若林定夫さんを筆頭に、熟練の栽培者の方々よりBenoitへ送っていただいている品質の高さには脱帽するばかりです。

 表皮は薄く、中は見事なほどの詰まった黄色がかったオレンジ色が姿を見せます。和かぼちゃの多くは、味わいが素朴であるのに対し、この宿儺かぼちゃは一線を画します。優しいカボチャ特有の甘みの中に、ねっとりとしながらも、きれいな旨味の余韻が後を引く。洋かぼちゃにはない和かぼちゃの美味しさに舌鼓を打つこと間違いありません。

 いかに美味しい「宿儺かぼちゃ」であっても、どこでどのように調理されたいかの希望があるに違いない。もしかしたら、郷里の飛騨高山から離れたくないかもしれません。そこで、「あなたはどこに赴(おもむ)きたいですか?」と問いかけてみた…すると、寡黙なカボチャは、言葉ではなく行動で意思表示をしてくれた…

 決してカボチャの表面に張り付けたのではありません。カボチャそのものが、実の内側から浮き出させた「Benoit」の文字。この「宿儺かぼちゃ」の思いを汲まなければなりません。そこで、今年も「宿儺かぼちゃ」をたっぷりと使った、なめらかな黄金色のスープをご用意いたします。

Velouté de potiron et fromage frais “

宿儺か ぼちゃ"のスープ リコッタチーズ

※ランチのプリ・フィックスメニュー、前菜としてお選びいただけます。

 

 なぜ、美味しいカボチャなのに、日本全国に出回らないのか。栽培が難しい上に、表皮が薄く日持ちがしないこと。そして、この大きさゆえなのでしょう。ご家庭で1本購入しようものならば、1週間はカボチャ料理が続くことになります。しかし、今なお栽培が続いている理由は、「美味しいから」の一言に尽きるでしょう。

 前述した若林さんが、「宿儺かぼちゃ」にBenoitのロゴを忠実に再現してくれました。あまりの嬉しさに、Benoitにお越しの方に自慢していたのですが…自分が落とすという愚行をしでかし、破損させてしまいました。なんという失態かと猛省しております。皆様にこの雄姿をご覧いただきたかった…誠に申し訳ありません。

 日ましに秋めく今日この頃。目に見える季節の移ろいの加え、秋風は秋の薫りも運んできます。ここはひとつ、文明の利器を遠慮し、五感を利かせて秋を探してみるのも一興ではないでしょうか。そして、秋の味覚が恋しくなった際には、足の赴くままにBenoitへお越しください。深まり行く秋と歩調を合わせるように、旬の食材がメニューをもって皆様をお迎えいたします。

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 終息の見えないウイルス災禍です。皆様、油断は禁物です。十分な休息と睡眠、「三密」を極力避けるようにお過ごしください。「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、笑いながらお会いできることを楽しみにしております。

 皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より切にお祈り申し上げます。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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