kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

季節のお話

2024年1月「寒中のご挨拶」と「Benoitからのご案内」です。

寒中お見舞い申し上げます。 波乱の幕開けとなりました。能登半島地震という天災に加え、羽田空港衝突事故という人災が起こりました。尊い命が失われたことに深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様が健康を損なわずに日々を過ごされることを、そして…

2024年1月 「霜とは何か?どうしたら降(ふ)るのか?なぜ降るというのか?」

寒中お見舞い申し上げます。 新暦では12月から翌年2月までが冬という季節。しかし、今までは、北海道や東北地方での大雪のニュースを目にするものの、都内は温かい陽射しによって冬という実感がわかなかったものです。その関東地方も、「寒の入り」を迎える…

2023年11月Benoit 「知っていても、見初むる心地のする≪テーブルマナー講習会≫のご案内です!」

徒然草で兼好法師は、「花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは」と綴っている。「花は満開のときだけを、月は雲がないときだけを見るものであろうか、いやそうではない。」と喝破しているのです。この背景には、往古より「月は雲なきをのみ見る」ことを…

2023年11月「月の魅力を少しばかり、≪月かげに見初むる心地≫について…」

夜とともに 山の端(は)いづる 月かげの こよひ見初(みそ)むる 心ちこそすれ 藤原清輔 往古より、「花」といえば春を意味します。数多(あまた)あるどの花のことなのか。かつては「梅(白梅)」でしたが、今では「桜」です。「桜」といえば、真っ先に思い描くの…

2023年11月「月の魅力を少しばかり、≪十三夜≫のお話です。」

昔より なぞ長月の 今宵しも 曇らぬものと 空もしりけん 源俊頼 昔から、どうして旧暦9月の今宵(十三夜)に限っては、曇ってはならないと空は知っているのであろうか。もちろん、空が我々に都合よく雲を散らしているわけではありません。「中秋の名月」が、あ…

2023年8月 「夏の禊(みそぎ)を落とされていない方へ…」

往古、6月晦日に「夏越(なごし)の祓(はらえ)」という儀式が行われていました。1年の半分を終える時期に、災厄を祓い、心身を清め、向こう半分を無病息災に過ごすことができるよう祈願するもの。今でも6月末に、茅(ちがや)の茎で編み込まれた大きな輪を、神社…

2023年6月 時候を表現する「乃東枯(なつかれくさかるる)」。乃東?枯れる?

夏至の初候(6月21日~6月25日頃)の七十二候は「乃東枯(なつかれくさかるる)」です。 古代中国の賢人が、四季の移ろいを暦に当てはめるように創ったのが「二十四節気(にじゅうしせっき)」という。1年を24に分けることで「立春」や「夏至」などの馴染みの言葉…

2022年4月 季節のお話「竹の秋」…秋!?

2023年5月6日に「立夏」を迎え、暦の上ではこの日をもって夏が始まります。そこで、今回は晩春の季語になっている「竹の秋」のお話です。「春」の季語なのに「秋」? 「竹」とは謎多き植物です。あまりにも身近な植物なため、あまり珍しさを感じないものなの…

2023年干支「癸卯(みずのとう)」のお話です。

2023年の干支(えと)は、「癸卯(みずのとう)」です。 漢字とは、一文字が実質的な意味を持つ表意文字です。古代中国の賢人は、毎年の世相を分析し、時代時代を表現する漢字一文字をあて、後世に伝えようとしました。この漢字の組み合わせは「干支」と名付けま…

2022年12月 季節のお話「冬は時雨から始まる…」

神無月 ふりみふらずみ 定めなき 時雨(しぐれ)ぞ冬の 初めなりけり 詠み人しらず 晴れ澄み渡った空にもかかわらず、はらはらっと肌に感じる軽やか雨を「時雨(しぐれ)」と言います。湿気のある風が山にぶつかり、雨粒を落とす。それが風に乗って晴れている地…

2022年10月11月Benoit 特選食材とお勧め料理・デザートのご紹介です。~ダイジェスト版~

花すすき まねく袂(たもと)は あまたあれど 秋はとまらぬ ものにぞありける 藤原元真(もとざね) いまでも其処此処に、秋らしい姿を見せてくれる「ススキ」。たわわに実る稲穂に似ていることからも、五穀豊穣を祝う意味でお月見や祭事では欠かすことのできな…

2022年10月11月Benoit 特選食材とお勧め料理・デザートのご紹介です。~ノーカット版~

花すすき まねく袂(たもと)は あまたあれど 秋はとまらぬ ものにぞありける 藤原元真(もとざね) いまでも其処此処に、秋らしい姿を見せてくれる「ススキ」。たわわに実る稲穂に似ていることからも、五穀豊穣を祝う意味でお月見や祭事では欠かすことのできな…

2022年11月 季節のお話「おぎ・はぎ・すすき…秋はとまらぬものにぞありける」

花すすき まねく袂(たもと)は あまたあれど 秋はとまらぬ ものにぞありける 藤原元真(もとざね) いまでも其処此処に、秋らしい姿を見せてくれる「ススキ」。たわわに実る稲穂に似ていることからも、五穀豊穣を祝う意味でお月見や祭事では欠かすことのできな…

2022年6月 季節のお話「白妙(しろたえ)の衣とは?」

春過ぎて 夏来たるらし 白妙(しろたえ)の 衣乾(ころもほ)したり 天の香具山 持統天皇 万葉集巻第一・二十八 「大化の改新」の立役者である天智天皇を父とし、「壬申の乱」によって即位した天武(てんむ)天皇を夫とする。天の思し召しなのでしょうか、夫の目指…

2022年3月 「春の気色は≪きのふの日かげ けふの春雨≫」であるという…

春は「三寒四温」といわれているように、3日間の寒い日の後は、4日間の暖かい日が続き、この周期を繰り返しながら、日を追うごとに春本番へと移りゆく。なるほど、春という季節は今も昔も変わらない、なんとも的を射た表現なのかと感じ入るものです。しかし…

2022年2月 季節のお話「雪間の草に春を見る」

花をのみ 待つらん人に 山里の 雪間の草の 春をみせばや 藤原家隆(いえたか) 藤原家隆のいう花とは、桜のことなのか梅のことなのか。彼は、まだ雪積もっている中で地面が顔をのぞかせる場所に目をやった。そこには、雪解けを待ち望んでいるかのように地から…

2022年1月「年の通い路いかならむ…」どのような年になるのでしょうか?

すぎぬるか 年の通ひ路 いかならむ 隙(ひま)ゆく駒は あとだにもなし 守覚法親王(しゅかくほっしんのう) 守覚法親王は、父を後白河天皇にもつ、平安時代後期から鎌倉時代にかけて活躍した皇族です。この歌意は、過ぎてしまったな~一年という時が通う路はど…

2021年12月 年の瀬に想うこと…

澄んだ冬晴れの中、年の瀬の喧噪から逃れようと、近所の公園へと向かう。このメールを書くようになりはや10年、何か思い悩んだ時などは、カメラ片手に公園へ赴きます。何か目的がある時もある。しかし、大半はふらりと思いのままに。何度通っても、何かしら…

2021年12月 Benoitからのご案内 ≪目次≫ 16日更新!

降り注ぐ太陽の陽射しが万物を育て上げ、四季折々の風はその土地土地に味わいをもたせる。その風のもたらした美味しさこそ「風味」であり、我々はここに「口福な食時」を見出すのです。そして、旬を迎える食材は、人が必要としている栄養に満ちています。そ…

2021年12月 表裏一体?「太陽と月の関係」に想うこと

古代中国の賢人は、「宇宙の万物は全て陰と陽の2つのエネルギーで構成されている」と喝破しました。これが陰陽説です。全てを2つに分類することで、森羅万象を説明することにいささか無理を感じますが、時を経ることで多くの要素が加味されてゆき、陰陽五行…

2021年12月 コゲラが我々に音で告げるもの…

コツコツ… 子供たちの楽し気な声が響く公園の中で、片隅の木立に立っていると、熟練の大工さんが細い木槌で樹を連打してるかのような音が耳に入ってきました。この澄んだ音色は、金属と金属が当たる音ではありません。いったい何の音なのか、意識して耳をそ…

2021年10月 季節から少し外れたお話「蓮に想う惜夏の念」

8月の終わりに書こうと思っていた話です。しかし、すでに蓮の花も咲き終わったこともあり、来年への持ち越しを検討していました。その折に、栃木にお住まいに木村様よりハスの画像が届いたのです。そこには、見事な種を成したハスの実の姿が写っていました。…

2021年9月 季節のお話 「言の葉はあはれおよばぬ撫子の花…」

平安時代の美的理念を表現する言葉に、「をかし」というものがあります。これは、風情がある、趣きがある、美しい、というような意味があり、皆様も学生時代に古文でまっさきに覚えたのではないでしょうか。清少納言は、随筆「枕草子」の中でこの「をかし」…

2021年9月 「立秋」があるからこそ気になる一首…

8月7日に「立秋」を迎え、暦の上では秋が始まりました。まだまだ猛暑が続く中で、「秋」と言われても…と毎年のようにこの立秋だけは、何とも言えない違和感を覚えるものです。2007年に新たな気象用語がお目見えいたしました。最高気温が25℃以上は「夏日(なつ…

2021年8月 「涼をとるために月を待つ。」藤原基俊が待っていたのは月なのでしょうか?

夏の夜の 月まつほどの 手すさみに 岩もる清水 いくむすびしつ 藤原基俊(もととし) 枕草子の著者である清少納言は、なにかと優劣をつけることを好んだのでしょう。「春はあけぼの」に「秋は夕暮れ」…では夏は?彼女は「夏は夜」であり「月のころはさらなり」…

2021年7月 季節のお話「歩く姿は百合の花」に想うこと

6月7月の梅雨時期は、雲に覆われることの多く、時おり射す陽の光が恋しいものです。しかし、梅雨明けを迎えることで、今度はそのギラギラとした陽射しが「暑い暑い」と恨めしく思うもの。そのような我々の気持ちをよそに、其処彼処で貴婦人の如く微笑みかけ…

2021年6月 季節のお話「ホトトギスの声音を聞いたのか?聞いていないのか?」

先日の季節の話は、「ホトトギス」でした。これほど名の知れた鳥でありながら、その鳴き声を聞いた覚えがありません。いや、田舎育ちだけに、聞いていたかもしれません。しかし、まったく興味がないということが、ホトトギス美しい声音を「雑音」と自分の脳…

2021年6月 季節のお話「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」ああややこしや…

花菖蒲(はなしょうぶ)が花笑い始めました。 花びらを3つ上向きに、うてなを3つ垂れ下がるような花姿は、「三英の花」と称され人々に愛でられてきた、カキツバタにアヤメ、そしてハナショウブ。地域によって違いはあるものの、4月末あたりからカキツバタ、そ…

2021年5月 Benoit≪特別プラン≫と≪バラ色の人生はバラ一輪≫からの案内です。

まもなく、関東が梅雨入りします。季節のお話を書くために、日々の通勤や休日での公園散策を続けていると、毎年のように季節の花が順を追って咲き誇ることに気がつきます。至極当然のことながら、伐採や除草剤などの影響がない限り、毎年同じように訪れます…

2021年5月 Benoit「首夏の夕暮れ特別プラン」のご案内です。

小山田(をやまだ)の 水のながれを しるべにて せき入るるなへに 鳴くかはづかな 藤原定家 稲作は豊富な水資源を必要とするため、平野一面の田園風景とするには、高度な灌漑技術が求められました。昔々の日本において、皆がこの技術を習得できていようはずも…