kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

季節のお話

2021年5月 Benoit「首夏の夕暮れ特別プラン」のご案内です。

小山田(をやまだ)の 水のながれを しるべにて せき入るるなへに 鳴くかはづかな 藤原定家 稲作は豊富な水資源を必要とするため、平野一面の田園風景とするには、高度な灌漑技術が求められました。昔々の日本において、皆がこの技術を習得できていようはずも…

2021年4月 季節のお話「杜若 (かきつばた)の役割?」

宇宙は誕生したのか?自分などには皆目見当が尽きません。その宇宙の中に、無数の惑星が集まり銀河系を形成し、その中に太陽系があり、我々の住んでいる地球があります。地球誕生以来、太陽の周りを公転していることは、この悠久の時の流れのなかで、なんら…

春の陽射しで雪がとける…「溶ける」、「融ける」それとも「解ける」?

春の陽気は、雪や氷をとかしてゆき、その雪の下には春を待ちわびた草草が萌えいずる機を伺っています。さて、雪や氷が「とける」、これを漢字で書くと、「溶ける」、「融ける」、それもと「解ける」? 現代文では、「氷がとける」を「氷が解ける」と書き記し…

2021年2月 季節のお話「埋み火 (うずみび)」とは?

暦の上では、「立春」を迎えたことで春が始まりました。陽気な春を思い浮かべますが、古人はこの時期を「三寒四温」だと教えてくれます。明治時代に太陰太陽暦からグレゴリオ暦へと改暦したこともあり、多少の季節の誤差があろうとも、今も昔もそう変わりは…

2021年2月 「Benoit営業時間の変更」と「余寒特別プラン」のご案内です。

余寒お見舞い申し上げます。 「立春」過ぎたのもつかの間、2月4日に関東では「春一番」が吹き込みました。暦通りの温かい春の到来かと思うのですが、古人はこの時期を「三寒四温」であると、我々に注意を促しています。その漢字の如く、3日寒い日の後に、4日…

季節のお話「鴛鴦の鴛を目にした時の兼昌の想い」

山川に ともなき鴛(をし)は 影をみて ひとつがひある 心ちすらしも 源兼昌(かねまさ) 漢字検定準一級に属する難読漢字である「鴛(おし)」。さらに「鴦(おう)」という、これまた難読漢字が加わる「鴛鴦(えんおう)」とは、鳳凰(ほうおう)のように何やら空想世…

季節のお話「さえの神」

新しい年を迎え、皆様はご自宅のある地を守る氏神様へ初詣をされたのではないでしょうか。旧年のお礼とご報告、そして新年も引きご加護を賜りますようにとお願いされたことと思います。願いを受ける氏神様におかれましては、「新型コロナウイルス災禍の収束…

2021年干支「辛丑(かのとうし)」のお話です。

「人の人たる所以(ゆえん)は、人間関係にある。」と喝破したのは、ドイツの政治学者オットー・フォン・ギールケです。自然界の弱肉強食の世界とは異なる人間関係は複雑怪奇であり、多くの賢人が果敢にこれに挑むも、いまだ結論が出ていません。人が社会で生…

2020年Benoit「歳暮(としのくれ)のご挨拶」

春秋の あかぬわかれも ありしかど 年の暮れこそ なほまさりけり 藤原兼実(かねざね) 春ごと秋ごとに、過ぎ去る季節に満ち足りないものを感じていましたが、歳暮(としのくれ)ともなると名残惜しさが尽きません。季節というよりも1年間を振り返っての本年との…

2020年Benoit ≪冬のご案内≫です。

秋の色は まだひとしほの もみぢ葉に 心してふけ 山おろしの風 後鳥羽院 「季節は風が導いてくる」、こう古人は喝破する。そして、「風景とは風が導く景色である」と。黄葉・紅葉で彩られる「秋の色」に対し、秋風は白色だという。この「白」はcolorの白色で…

季節のお話「柞(ははそ)に想うこと」

「雑木林(ぞうきばやし)」とは、落葉広葉樹で構成された人が作り上げた林のことです。整備された庭園とは違い、樹は薪(まき)や炭としての原材料となり、落ち葉は農産物の肥料として堆肥へと活用されるばかりか、降り積もることで、豊かな土壌を形成すること…

季節のお話「冬の到来を告げる初音」

コツコツコツ… 子供たちの楽し気な声が響く公園の中で、片隅の木立に立っていると、熟練の大工さんが細い木槌で樹を連打してるかのような音が耳に入ってきました。この澄んだ音色は、金属と金属が当たる音ではありません。いったい何の音なのか、意識して耳…

季節のお話「秋風の色は何色?」

秋ふくは いかなる色の 風なれば 身にしむばかり あはれなるらん 和泉式部 朝晩の涼やかな風は、秋の訪れを実感させてくれます。この心地良く吹き抜ける涼風に何色を見出したのでしょうか。その風が心に染み入るようで趣深いものです、と和泉式部は書き記す…

季節のお話「妖艶なるアサガオの花」

秋の野に 人まつ虫の 声すなり われかと行(ゆ)きて いざ訪(とぶら)はむ 詠み人しらず 日ましに秋めく今日この頃。日中の気温こそ、まだまだ汗にじむほどではありますが、朝晩には肌寒さを感じるほどとなりました。仕事柄、帰路に着くころには、すっかりと日…

季節のお話「手招く尾花」のご紹介です。

万葉集の中に記載されている山上憶良の名句が、当時の野に咲き誇っている秋の花が何であるかを教えてくれます。そして、人々はこれぞ「秋の七草」だと賞賛したのです。 秋の野に 咲きたる花を 指(および)折り かき数ふれば 七種(ななくさ)の花 萩(はぎ)の花 …

季節のお話「萩と野分」のご紹介です。

萩の葉に かはりし風の 秋の声 やがて野分の 露くだくなり 藤原定家 2020年9月22日に「秋分」を迎え、朝晩の涼しさが増してきたように思います。今年の中秋の名月(旧暦8月15日)は、10月1日にあたるそうです。そう考えると、今は旧暦8月の最中(さなか)という…

季節のお話「半夏生」~後編~

まるでセミが催促するかのように、関東梅雨明けを迎えました。今年の干支である「庚(かのえ)」という漢字を使った「庚伏(こうふく)」という言葉があります。夏の一番暑い時期という意味なのですが…考えすぎでしょうか、今夏は十分な暑さ対策が必要なのかもし…

季節のお話「半夏生」~前編~

まるでセミが催促するかのように、関東梅雨明けを迎えました。梅雨明けしてから、なかなかセミの声を聞かず、なにやら不穏な夏の迎え方をした昨年に比べ、やはり今年はセミが待ちきれないほど梅雨の期間が長かったようです。いよいよ、真夏の到来です。 今年…

翠の叢に咲く「忘れ草」のご紹介です。

陸路であり海路であり「道」の誕生は、人と物が行き交うことを容易にしました。積極的な交易は、人と物の移動にとどまらず、美味しい実りをもたらすものや、観賞用の草木にまで及びます。この人々の移動は、文化や芸術を伝播(でんぱ)させてゆくことにもなり…

五月雨の中で、ひっそり咲き誇るこの花は?

五月雨に ひとり日をふる ながめこそ なかなか伴(とも)の ある心ちすれ 寂然(じゃくねん) 五月雨(長雨)が降り続くので、一人物思いに耽(ふけ)る日々。これがまたなんでも話を聞いてくれる従者と共にいるようで、一人でも退屈しないもだ。長雨もそう悪くはな…

「五月雨」は、なぜ「さみだれ」と読むのでしょうか?

関東「梅雨入り」を迎えました。雨が降り続いたかと思うと、一時の「梅雨の中休み」もあります。この梅雨前線の気まぐれに一喜一憂する日々を過ごされているのではないでしょうか。この梅雨時期の雨のことを、古人は「五月雨」と名付けました。そして、この…

なぜ?我々日人はここまで桜に心惹かれるのか? なぜ?サクラと呼ぶのか? そして「花より団子」は、どうして生まれたのか? 少しばかり紐解いてみました。

世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし 在原業平(ありわらのなりひら) 世の中に、まったく桜がなくなれば、いつ花開くのか待ち焦がれたり、風が花を散らさないかと気を揉んだり、散れば散ったで惜しんだりと、心を煩(わずら)わせることも…