kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

寒中お見舞い申し上げます。

寒中見舞い申し上げます。

 初春のご挨拶が遅くなり申し訳ありません。旧年中は並々ならぬご愛顧を賜り、誠にありがとうございました。本年は皆様のご期待にお応えできるよう、さらに口上を磨き、「観梅の心、観桜の目」を座右の銘とし日々研鑽に励みます。2019年も、変わらぬご愛顧のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。皆様が、そして皆様のご家族ご友人の方々が、幸多き年となりますよう、青山の地よりお祈り申し上げます。

 時の流れに、何も歪みがあるわけではなく、ただ淡々に過ぎ去るのみ。とくに時を体感できるわけでもなく、陽が上り沈むことで流れを感じることができます。その流れを把握しようと、人類の英知の結晶でもある「暦」を生み出しました。太陽を中心とした地球の周期を数字にあてはめただけのもの。古人は惰性に流されることのないよう、1年を12の月に分け区切りを作りました。12月31日と1月1日には、太陽が沈みまた昇る、他の日と何も変わらない時の流れにも関わらず、何かが違う。だからこのような言葉が生まれたのでしょう。

去年今年(こぞことし)

 

 旧年から始まる新年を迎える準備は、12月半ばの山野に松を取りに行く「松迎え」をから始まりました。神様を「待つ」からなのでしょう、神が下りてくる依代(よりしろ)として、門松を代表するように家々に「松飾り」が。そして、災いの神が入ってこないように「注連縄(しまなわ)」が飾られました。「煤払い(すすはらい)」としての大掃除は、気を引き締め新たなことを始めるための心の準備をするのに役立ち、邪気を払い長寿の願いを込め屠蘇(とそ)をたしなむ。shして、今回皆様にご紹介したい縁起物がこの「ユズリハ」です。

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  初夏に姿を見せ始める「今年の葉」。これが生え終わるのを見届けるようには、「昨年の葉」が垂れ下がり散ってゆく。樹の上では、昨年の悲喜こもごもが伝えられているのか、「あとはよろしく」とでも言っているのでしょうか。常緑樹は、どれもがこのような世代交代が密かに行われているはずなのですが、この樹だけは葉の世代交代が分かりやすかったので名付けられたのでしょう、「譲り葉」と。代々、家系が絶えることなく続いていくことを願い、正月飾りにも用いられているようです。なぜ、この樹を今年最初のメールにしたためたのか。今年の干支が、まさに「ユズリハ」を意味しているからです。今年の干支の話の中で、理由を書かせていただきました。お時間のある時に、以下のURLアドレスよりご訪問いただけると幸いです。

kitahira.hatenablog.com

 

 そして、もう一つ忘れてはいけない縁起物の花、自然への畏敬の念が込めるのでしょう。閑散としているこの時期にあり、異彩を放っている、アイヌ民族の伝説でいう女神クナウの化身の花、「福寿草」です。

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 冬至を過ぎたとはいえ、畳の目ほどと表現されるほどにしか日照時間が伸びない時期、太陽を待ち望んでいるのは人も花も同じ。閑散とした山眠る景色の中で、太陽の如く黄金色の花は「福」に、花期の長さを「長寿」に、目にした時の喜びと輝かしい希望を、古人はその名「福寿」に託したのでしょう。朝の陽射しを十二分に集めるかのように花開き、昼過ぎには閉じてしまう。地下茎に蓄えられた養分を利用し、飾りっ気のない地から、まとまって顔を出す。閑散とした冬景色の中で、輝かんばかりに黄金色の花が咲き誇る光景は、何か心に温さを覚えるものです。

 残念なことに、都内では福寿草を目にすることが難しいようです。だからこそ目にした時の喜びは一入(ひとしお)、暖かな陽射しに誘われるがまま、福寿を求め散策するのも趣があるのではないでしょうか。飴細工のような淡い黄色の花を咲かす樹、この蝋梅(ろうばい)の甘い香りに誘われた際には、ぜひ周囲の足元をご覧ください。庭であれ公園であれ、ひょっこりと地面から顔を出しているやもしれません。そして、心底体の冷えた際には、足の赴くままにBenoitへお越しください。温かく美味しい料理で、皆様をお迎えいたします。

 

 過ごしやすい日々が続くなかで、とつぜんに日本列島が寒気に覆われました。疲労・ストレスなどが原因で免疫力が下がっている時に、乾燥が加わると、風邪ばかりではなくインフルエンザにも注意が必要です。さらに、肌荒れやかゆみの原因にもなり、体感温度も下がります。健康のためにも、美容のためにも、程よい湿気お忘れなきように。そして、心の潤いも保ちながら、快適にお過ごしください。 

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

150-0001 東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山10階

TEL 03-6419-4181

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