kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

Benoit特選チーズ「バノン・ア・ラ・フォイユ」のご案内です。

 フランスの食文化を語るうえで欠かすことのできない食材、チーズ(フランス語ではフロマージュ)です。ミルクを濃縮したようなものなので、栄養価は抜群です。牛、羊に山羊とミルクの種類の変化に加え、フランスの気候風土が育んだ風味は千差万別。同郷のワインとのマリアージュを通し、まるで旅をするかのような醍醐味もまた一興なり。そこで、Benoitでチーズを担当する保坂と自分が、皆様に「美味しく」、「面白く」、「ベストプライス」で提案させていただこうと考えております。

 

 今回ご紹介する逸品は、「Banon à la feuille (バノン・ア・ラ・フォイユ)」です。

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 手のひらサイズで栗の葉で包まれた可愛らしい姿が特徴でしょう。スイスに源流を持ち、風光明媚なレマン湖を経由し、地中海に流れ込む、全長812kmにおよぶフランスを代表する大河「ローヌ河」。この流域には、上流にリヨン、下流域にはアヴィニョンなど、そうそうたる町々が名を連ねます。そのアヴィニョンを下ったあたりに、東から流れ込む支流「デュランス川」が。この川を上るように進んでいくと、プロヴァンス地方の北部に位置している山岳地帯でもあるアルプ=ド=オート=プロヴァンス県(04)に入っていきます。この県の西側に位置しているのが「バノン」の町です。低いところで標高400m、高い箇所は1000m越え、平均標高は817mといいます。

 

 これほどの高低差がある地域ということは、アルプス山脈の稜線をなしているかのような雄大な牧草地をのんびりと牛たちを放牧しながら…とは違い、斜面厳しいがゆえに、牛の生育は難しく、おのずと羊か山羊が登場することになります。羊と山羊とは漢字一文字違い、やはり山岳地域は「山」「羊」というわけです。バノンの町を代表するチーズ「バノン」は、少なからず育てている牛のミルクが加わることもありますが、やはり山羊のチーズです。

 

 バノン(ここから先はチーズ名です)の詳細は、巷溢れるチーズ本やnet検索の情報を参照してください。山羊のミルクを分離させ、フェセル(水きりかご)の中に詰め、自然脱水を施し、2週間ほどの熟成期間を取ります。この間に自然に発するカビが、ミルクのたんぱく質を分解することで美味しさを導き出します。これを、オー・ド・ヴィ(イタリアのグラッパのようなもの、アルコール40%の蒸留酒)にくぐらせ、栗の葉で包みます。

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 山羊チーズの特徴はなんといっても、ミルク由来の心地よい酸味と食感でしょう。フランス国内の山羊チーズの産地は言わずと知れたロワール河流域です。この地域の特徴は、熟成の若いときにはみずみずしいながらホロっとした崩れるよな食感。熟成をなしたものは、水分が抜けるためにこくのある風味にぼろっとほぐれるような食感。しかし、バノンはまったくタイプが異なります。表皮が少し硬く、切るととろりとした断面を目にすることができます。そう、ほろっとではなく、ねっとりとまとわりつくような食感なのです。なんとも美味!この特徴をなしえるために欠かせないものが栗の葉です。奈良柿の葉寿司のような殺菌効果ではなく、そう殺菌しては困るのですよ、チーズなので、保湿を保つ役割を担っているようです。硬く繊維のしっかりとした栗の葉だからこそなのでしょう。

 

 すでに「食べ頃」とろっとした状態でBenoitに届いております。限定的に購入したもののため、皆様がお越しいただける際に、あるかどうか。しかし、美味しいチーズなので、頃合いを見て今後も購入を考えております。フランスの伝統に裏打ちされた逸品、タイミングがあった際には、ご賞味いただけると幸いです。何かご要望・疑問な点などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

末筆ではございますは、ご健康とご多幸を、イノシシ(風水では無病息災の象徴)が皆様をお守りくださるよう、青山の地よりお祈り申し上げます。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com