kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

Benoit特別プラン「五月尽」と「5月ダイジェスト版」のご案内です。

 立夏を迎え、暦の上では夏が始まりました。少し時期がずれるのですが、今回のテーマは晩春の季語になっている「竹の秋」です。「春」の季語なのに「秋」?

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 「竹」とは謎多き植物です。あまりにも身近な植物なため、あまり珍しさを感じないものなのですが、学術的には「木」でもなく「草」でもないといいます。イネ科に属する理由の一つとして挙げられるのが、イネ科の特徴でもある茎が空洞を成す「稈(かん)」を持つということ。竹の場合、その「稈」が硬く木質化する「木の特徴」を示すも、そのまま肥大化しないため年輪ができないという「草の特徴」も持ち合わせます。ということは、竹は竹以外のなにものでもなく、草木に分類してはいけないようです。しかし、植物ゆえに花を咲かせ実を付けます。「竹の花」?皆様が疑問に思うのも無理はありません。花の周期は1年ではなく、孟宗竹で60年、真竹で120年というのです。花の後には実を成すも、その後には、竹は枯死するのだというのです。この開花の周期では、一生見かけることがないのも無理はありません。

 「竹の花」が稀では、種から竹が増えてゆくことなく、「竹の子」によって竹林が拡がりを見せることになります。竹林は一本の竹が地下茎を広げ、「竹の子」という新芽が竹林を作り上げます。大きな竹林も地下茎でつながっているため、1本でも病原菌に感染すると、竹林が全滅するというのも、ここに理由があります。この竹の子が地面より顔を出すのが晩春です。和食では欠かすことのできない、この時期の旬の味覚の代名詞的な食材でもあります。「竹偏(へん)」に「旬」と書くと「筍(たけのこ)」とは、なんと的を射た漢字をしつらえることか。そして、4月の末から今に至る期間が、まさに筍の旬。

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 今、竹林を赴くと、周りの樹々が新緑美しく青々としているのに対し、黄葉している姿を目にします。竹の地下茎の無数に芽吹いた「筍」に養分を奪われているからです。さらに、収穫や実りを意味するのが「秋」。そのため、冒頭に紹介した「竹の秋」は、晩春の季語になるのです。これに対して、竹の葉が生い茂り翠輝かんばかりの姿を「竹の春」といい、秋の季語。春が秋となり、秋が春となる。この一見ちぐはぐに思える表現に、機知を含ませながら、人々に問う。この自然の機微の捉え方、言い表しの妙は、今でも十分に共感を得るものではないでしょうか。「麦秋」とは夏の季語、もう理由はお分かりかと思います。

 

 初夏を迎えながらも、食材においては、竹の話だっただけに、まだまだ「春たけなわ」です。アラン・デュカスの料理哲学である、「素材を厳選し、その素材の持ちうる香りと味わいを十二分に引き出し、表現すること」を、Benoitシェフであるセバスチャン・ルソーとパティシエール田中真理が、この彼の料理哲学を実践し、5月のプリ・フィックスメニューの選択肢に加えております。残念ながら、「筍」は登場しませんが、春を代表する食材で仕上げられた一皿一皿に、惜春(せきしゅん)の想いを感じ取っていただきたいと思います。

 そこで、皆様には、特別プライスの「五月尽(ごがつじん)特別プラン」をご案内させていただきます。期間は、メールを受け取っていただいた日より、531日までの平日限定です。各コース料理の内容は、プリ・フィックスメニューからお選びいただけます。ご予約人数が8名様を超える場合は、ご相談させてください。

 

≪五月尽特別プラン≫

ディナー

前菜x2+メインディッシュ+デザート

7,100円→6,100円(税サ別)

ディナー

前菜+メインディッシュ+デザートx2

夢のダブルデザート→6,100円(税サ別)

※ご予約は、電話もしくは、Benoitへメールにてご連絡をお願いいたします。質問などございましたら、何気兼ねなくお問い合わせ、もしくは返信をお願いいたします。

 

 5月は、自分の怠慢から、「ダイジェスト版」を作成することをいたしませんでした。誠に申し訳ありません。そこで、今回の「五月尽特別プラン」のご案内と合わせ、今更ではありますがご紹介させていただきたいと思います。今月で終わりを迎えるものもございます。「美しい(令)」季節に春食材が「和」する逸品は、令和元年にこそふさわしい。そこで、皆様に旬の食材に出会い、食することで無事息災に夏を迎えていただきたい。旬を迎える食材を旬の食材は、人が必要としている栄養に満ちています。そして、人の体は食べのものでできています。この想いを込め、皆様にご紹介したい内容は、以下の13件です。

「特選食材」のご案内 6件

「料理/デザート」のご案内 4件

「イベント」のご案内 3件

 

香川県香南町からグリーンアスパラガス「さぬきのめざめ」が届いています。≫

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 香川県農業試験場で試験栽培を重ねた末、2005(平成17)年にオリジナル品種として誕生したのが「さぬきのめざめ」です。アスパラガスは、種をまいて数ヶ月で収穫できる野菜ではなく、植えてから収穫までに3年間を要します。この期間、アスパラガスはわさわさとした葉を成し、香川県ならではの陽射しを十二分に受けることで、根に栄養を蓄えていき枯れてゆく。これを毎年繰り返すことで、大地に根を広げてゆかねばなりません。そう、まだ産声を上げたばかりの特選食材なのです。

 今回Benoitに送っていただいているアスパラガスは、県庁所在地のある高松市の南に位置している香南町から。この地の畑を展開している、「薫る農園」さんからです。栽培者は、香川の農業女子として活躍中の河田薫さん。Benoitに届けられる、彼女の手掛けた「さぬきのめざめ」は、穂先がきゅっと締まった美しい姿、根元までやわらかいが歯ごたえはシャクシャク。鮮度が良いので、みずみずしいのはもちろん、にじみ出でるアスパラガスのジュースには野菜特有の甘さを感じまみれす。香川県の自然と、栽培にあたる人々の弛まぬ努力が育んだ、まさに「春一番の美味しいめざめ」です。

 地下茎を広げ新芽を出す姿は、竹に似ています。新芽を美味しくいただくことも似ています。筍は竹であり山菜のように収穫期は短いもの。しかし、アスパラガスは野菜であり、栽培者の弛まぬ努力と知恵が生み出した「立茎」という独特の栽培方法により、春の新芽から夏の新芽に姿を変えながら、長きにわたり我々の食卓に旬を届けてくれます。この立茎栽培には、芽の切り替えにともなう、つかの間の「昼寝の期間」があるのです。Benoitの春は「讃岐から目覚め」、「讃岐で眠りに就きます」。まだ目覚めているうちに、皆様のお越しをお待ちしております。

 

≪春に旬を迎える珍しいキノコ「モリーユ茸」が惜春を告げています。≫

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 多くのキノコが秋に旬を迎えるのに対し、このモリーユ茸は春に旬を迎える珍しいキノコです。ご覧のように、キノコの傘の部分が網のような姿のため、日本では「あみがさ茸」という名で自生しているのです。都内でも見ることができるのですが、素人がキノコに手を出すことは、あまりにも危険極まりないこと。それらしい姿のキノコを見かけても、鑑賞するにとどめてください。なぜ、国産が流通しないのか?和食では美味しさを見出せなかったのでしょう。

 対するヨーロッパでは、春を代表する高級食材の位置付けにあり、モリーユ茸食せずして春は終われません。これほどの食材のため、多くの人が「栽培」に取り組むも、いまだ成功例はなく、大自然が育んだ天然のものしかありません。そのため、天候に左右されることはもちろんですが、天気にも大きな影響を受けるのです。適度な雨は大地よりモリーユ茸が顔を出すことを促すも、キノコゆえに雨が降り続くことで、子供の手ほどにいっきに成長してしまうのです。大人の親指の指先ほどの大きさが、食感はもちろん味わい深く美味しいサイズ。大きくなると大味になってしまうのです。この気難しさもまた、この茸の価格を上げてしまう要因のひとつのようです。

 なぜ、日本では見向きもされないキノコが、ヨーロッパではこれほどまでに珍重されるのか。やはり、相性の良い調理法になるのです。生の時にはうんともすんとも美味しさの「お」の字も香らないモリーユ茸が、バターやクリームによって熱を加えられることで、豹変するのです。この驚嘆すべき芳しさと美味しさだからこそ、春を代表する食材の地位を確固たるものにしているのです。

 

≪日欧の春を代表する食材が一堂に会する「アスパラガスとモリーユ茸のフリカッセ」が前菜に。≫

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前菜ではありますが、今回の主役たりうる一皿であり、自分が心待ちにしていた料理が、「モリーユ茸とグリーンアスパラガスのフリカッセ」です。2019年の春は「讃岐で目覚め」た「さぬきのめざめ」が、ヨーロッパの山々で目覚めた「モリーユ茸」と、東京Benoitで出会います。日欧の春を代表する食材が一堂に会するのです。

香川県の生み出した至高のグリーンアスパラガス「さぬきのめざめ」は、瀬戸内海を想わせる塩分の湯の中で、職人ならではのしゃくっという心地よい食感を残すように湯でられます。さらに、モリーユ茸はもちろんフレッシュが届きます。生の時にはパッとしない香りが、熱を加えることで豹変するのです。芳しい香りを放つこの茸に、相性の良いクリームを加え、旨味を十二分に引き出した中に、フランスのSavoie(サヴォア)県の特産でもあるVin Jaune(ヴァン・ジョーンヌ)と呼ばれる黄色いワインを香りづけに使用。なかなか独特な風味のワインですが、モリーユ茸とクリーム、さらにグリーンアスパラガスとを全て調和させる力を持っている山のワインです。

プリ・フィックスメニューの前菜の選択肢の中で、ランチは+2,000円、ディナーでは+1,500円にてお選びいただけます。天気・天候に左右されやすいこの2つの春食材のため、ご希望の場合は、ご予約の際に「アスパラガスとモリーユ茸希望」とお伝えいただけると幸いです。

 

Cookpot(クックポット)とは?≫

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 アラン・デュカスが、その土地土地で育まれた旬の野菜を、いかに美味しく皆様に供するべきかと思案した結果、考案された器のことで、2010年の春に、世界に点在するアラン・デュカスグループのレストランで使われるようになりました。「このCookpad(クックパッド)とは何ですか?」とよく聞かれますが、レシピ集ではありません。

 1987年に、アラン・デュカスがモナコの「ルイ・キャーンズ」で取り組んだコースメニューが、野菜への敬意を込めた「ジャルダン・ドゥ・プロヴァンス(プロヴァンスの庭)」です。デュカス自らが、プロヴァンスを巡って見つけ出した至高の野菜をお楽しみいただくコース料理。Cookpotは同じエスプリに基づいて誕生したのです。いうなれば、彼の料理原点と哲学を象徴した逸品を仕上げるためのツールというのでしょう。世界各地にある、デュカスグループのレストランで、テロワール(土地特有の気候風土)の恵みと季節感のある料理に仕上げるための「器」であり、「料理名」でもあります。

 

≪惜春のCookpot(クックポット)は春野菜が揃います。≫

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 筍の美味しい時期であり、これほど話題にしておきながら、 Cookpotには加わりません。春野菜の総集編ともいうべき、そうそうたる野菜が名を連ねるも、Benoitシェフのセバスチャンが美味しいと判断した野菜が採用されるため、日によっては内容が多少変わります。ほぼ毎日のように三浦の農家さんより届けられるもの、津々浦々の産地より直送されるもの、はたまた海外から。

 添付しました画像をご覧の通り、アスパラガス「さぬきのめざめ」はもちろん、フランスのランド産ホワイトアスパラガス、そら豆にスナップエンドウ、春ニンジン、カブ、新じゃがいも、さらにはウイキョウと。忘れていけないものがマッシュルームです。細かく刻み、バターと鶏の旨味のスープで煮炒めるようにデュクセルを仕上げる、これが野菜だけの味わいにコクを与えることになります。全てをCookpotの中に詰めるようにし、オーブンで焼き上げ、仕上げにパルメザンチーズをぱんぱんと振り、再度オーブンへ。まさに惜春を想いながらの食べ納めともいうべき、野菜のみの逸品が完成いたします。

 プリ・フィックスメニューの前菜の選択肢の中で、ランチは+1,000円、ディナーでは+800円にてお選びいただけます。天気・天候に左右されやすいこの春食材のため、野菜の内容が変わること、ご理解のほどなにとぞよろしくお願いいたします。

 

青森県の「ウスメバル」は今月末までです。≫

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 磯釣りでも人気を博すメバル。赤・白・黒メバルと見た目にはなかなか区別のつきにくい魚です。今回は、これらのメバルよりも、深場に生息している美味なる魚「ウスメバル」が青森県より届いています。津軽海峡の早い潮の流れの中で育ったウスメバルは、クセの無い淡白な白身で、カサゴの仲間らしいぷりぷりの肉質。今旬を迎えている魚で、あまりにも美味なため、和食でも煮付けで供されることが多いでしょうか。

 この美しく輝くオレンジ色と黒の模様が特徴であり、これが鮮度の目安ともなり、時が経つと色がくすんでくるといいます。ウスメバルの美味しい時期が、ちょうど筍の美味しい時期と重なるため、「筍メバル」との相性がつているのです。決してウスメバルが筍を食しているわけではなく、魚の知識に長けた日本人ならではの、旬を迎えた美味しい時期につけてしまう「魚の愛称」なのです。

 

青森県の「筍メバル」をブーリッドスタイルで。≫

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 青森県ウスメバルをオリーブオイルと使って表面をパリっと焼き上げ、その後にオーブンを使ってしっとりとぷりぷりとなるように焼き上げます。これだけでも十分に美味なることは、この食材が旬そのものの美味しさを持ち合わせているからでしょう。「筍メバル」の愛称は酔狂で名付けられたものではありません。

 さらに、「Benoitでは「Bourride(ブーリッド)」のスタイルで仕上げたソースを合わせます。南フランスの旧名Provence(プロヴァンス)地方の伝統的な魚料理で一番有名なのがBouillabasse(ブイヤベース)であるならば、同じ地中海に面する隣のLanguedoc(ラングドック)地方がBourrideです。地中海の海の幸である、魚をふんだんに使う漁師さん煮込み料理とでもいうのでしょう。同じ海岸線の隣に位置しているだけに、ほぼ同じような作り方です。魚の旨味が煮出したスープを、とろみが出るまで煮詰めたものをソースとして、今回の旬の筍メバルともに。

 ディナーのプリ・フィックスメニューのメインディッシュの選択肢の中で、お選びいただけます。ランチでご希望の際には、何気兼ねなくお問い合わせください。

 

≪フランスのランド地方から「ホワイトアスパラガス」がBenoitに届いています。≫

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 春を迎えると、なんとなく山菜を口にしたくなるのが 日本でるならば、ヨーロッパの人々にとって、ホワイトアスパラガスを食せずして春尽きることはないのでしょう。マルシェ(朝市)に山積みにされるこの食材が、人々がいかに待ち望んでいた食材であるかを物語っています。

 アスパラガスの原産は地中海東部。3000年前のエジプト文明の時すでに野生のアスパラガスが食されていたといいます。古代ギリシャ古代ローマ時代には栽培が始まり、フランスがルネッサンスを迎えると同時に、イタリアから持ち込まれたのだといいます。この時代に、丘陵地での栽培方法が確立したことで、ホワイトアスパラガスが世に登場したのだとか。

 アスパラガスの栽培には軽い砂地が適しており、フランスではパリ北西に位置しているArgenteuil(アルジャントゥイユ)町から始まりました。今でも栽培されている最古参の品種にその名を遺しています。そして、Val de Loire(ロワール地方)、Aquitaine(アキテーヌ地方)、そしてBassin Méditeranéen(南フランス)へと栽培ノウハウが伝わっていきます。

 今回、Benoitに送っていただく地は、Aquitaine(アキテーヌ)地方のBordeaux(ボルドー)の南に位置しているLandes(ランド)県です。この地のホワイトアスパラガスは、水はけのよい砂地で育て上げます。作物にとっては過酷な土壌なのでしょう。だからこそ、力強く成長することで、太く、そして独特のほろ苦さを特徴とする新芽へ。さらに、大西洋海流がもたらす温暖な気候、しかしそれは昼間の表情であり、この時期ならではの寒暖の差が、作物を魅惑的な甘さをもたらします。この環境下に、栽培者の弛まぬ努力が加わるのです。新芽を陽射しに当ててしまうと、光合成をおこなうことで緑色になってします。まだ暗い夜明け前、新芽に砂をかぶせるという重労働から始まります。

 フランス国王として全盛を極めた太陽王ルイ14世は、ヴェルサイユ宮殿の庭師に、「一年中収穫できる栽培方法を模索するように」と命じたという。それほどまでに愛してやまないアスパラガス。いつの時代もどの国も、権力者はいいたい放題です。旬があるからこそ美味しいのであり、収穫が待ち遠しい。時期が決まっているからこそ、失う前に楽しもうと思うのでしょう。

 

≪北海道より届いた「エイヒレ」のグルノーブル風とランド産ホワイトアスパラガス≫

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 馴染みのエイヒレは、乾物で焙って美味しくいただくものです。しかし、東北や北海道では「かすべ」という名前で販売されており、煮付けにして楽しんでいるといいます。フランスのビストロでは、欠かすことのできない食材でありながら、日本ではほぼどの海域でも水揚げがあるものの、食材として流通しない理由とは何なのか?食材としての認知度が低いことに加え、鮮度を維持することの難しさがあります。時が経ることで、独特なアンモニア臭を放つのです。そのため、神奈川なので水揚げがあった際にも、新鮮なうちに「かまぼこ」の原料へとまわされてしまうのです。今回は鮮度抜群の大ぶりの「エイヒレ」が、北海道よりBenoitに届いています。

 エイヒレの表面に小麦粉をまぶすように焼くムニエルのスタイルに。白身でありながら、ヒラメでいうエンガワの部位。プリっとしながらふるふるな食感でもあります。さらに、軟骨のパリパリ間もアクセントとなり、かなり美味です。たっぷりのバターを使いながら、焼き上げた後、その旨味の加わった溶けたバターへ、レモンの心地良い酸味とケッパーの旨味を加えます。ホワイトアスパラガスとエイヒレ、これ以外の調理方法が見当たらないほどの相性抜群のグルノーブルスタイル。日仏を代表する2つの特選食材が、仏伝統的な調理方法で仕上げられBenoitで一堂に会する。お皿の上でどのようなハーモニーを奏でるのでしょうか。

 プリ・フィックスメニューのメインディッシュの選択肢の中で、ランチは+1,500円、ディナーでは+1,200円にてお選びいただけます。ご希望の際は、ご予約の際に「エイヒレ希望」とお伝えいただけると幸いです。

 

沖縄県西表島石垣島より「ピーチ種のパインアップル」がBenoitへ≫

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 沖縄本島 からさらに西へ進むこと400kmほどで石垣島に辿り着きます。さらに西に位置している大きな西表島。強酸性土壌にしか生育せず、台風や干ばつの耐性のあるフルーツだからこそ、この2島が選ばれたのかもしれません。パインアップル冠芽を植え付けてから、収穫までは2年を要します。その間、溢れんばかりに降りそそぐ、沖縄の陽射しを十二分に受け、完熟を待ってから収穫された逸品が美味しくないわけがありません。

 池村英勝さんを代表とする西表島グループと、平安名貞市さんを代表とする石垣島グループの協力のもと、16玉入の段ボールでBenoitへ送っていただいています。届いた段ボる箱の脇にある、運ぶために指を入れる小窓から、なんと魅惑な甘い香りが漂うことか。完熟を待ち、朝一で収穫した後に沖縄を旅立つ。完熟を待つがために日持ちがしない時間との勝負。しかし、この美味しさを知ってしまうと、もう海外産には戻れない。パインアップルは追熟しないため、保管していても劣化するだけ。海外産は輸送に時間を必要とするため完熟前に収穫するのです。そう、収穫の時点でパインアップルの品質が決まるのです。

 この西表島石垣島の「パインアップル」と、沖縄本島の南側に位置する糸満市から届いた「パッションフルーツ」。今の沖縄県の特産で組み立てた逸品が、デザートメニューに加わっています。6月も、この2つの特選食材は残しますが、パインアップルの美味しさを堪能するのであれば、今月のほうがお勧めです。パッションフルーツの甘酸っぱさとプチプチの種の食感との相性も抜群です。

 プリ・フィックスメニューのデザートの選択肢の中で、ランチ・ディナーともに+800円にてお選びいただけます。

 

シャンパーニュメーカーズディナー「THIÉNOT(ティエノー)のご案内です。≫

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 シャンパーニュ地方・ランスに1985年に誕生したシャンパーニュメゾン「ティエノー」。そのシャンパーニュは保守的ではなく、常に新しい独創性を求める現代的スタイルです。創業者・アラン・ティエノ、長男スタニスラス、長女ガランスの3名による家族経営のシャンパーニュメゾンで、それぞれの名を冠したシャンパーニュがあるのも特徴のひとつです。また、アーティスト「スピーディー・グラフィット」とコラボレーションしたマグナムボトルはそのデザイン性から多くの反響を生みました。今回が初来日のガランス女史をお迎えし、豪華シャンパーニュディナーを行います。ラインナップはデザインの異なる1stと2ndの「スピーディーグラフィット」。また、それぞれの名前を冠したファミリーシャンパーニュをお楽しみいただきます。

 

Benoitシャンパーニュメーカーズディナー「THIÉNOT(ティエノー)

日時:2019530()18:30より受付開始 19:00開演

会費:18,000(ワイン・お食事代・サービス料込、税別)

※ご予約を受け付けております。電話もしくは、Benoitへメールにてご連絡をお願いいたします。質問などございましたら、何気兼ねなくお問い合わせ、もしくは返信をお願いいたします。

<ラインナップ>

NV  SPEEDY 1st Edition Magnum

NV  SPEEDY 2nd Edition Magnum

2008  Millesimé

2007  Cuvée Stanislas, Blanc de Blancs

2008  Cuvée Garance, Blanc de Noirs

2007  Cuvée Alain Thiénot

kitahira.hatenablog.com

 

≪ミュージックディナー「三味線プレイヤー 史佳」のご案内です。≫

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 津軽三味線の楽曲の原型は新潟県にあるといいます。それがためなのか、初代高橋竹山師の竹山流津軽三味線を正しく継承していこうと「新潟高橋竹山会」が誕生し、今は二代目会主の高橋竹育さんが100名近い会員を束ねています。その高橋竹育さんを母にもち、さらに師匠として9歳より三味線の世界に入りました。音の響きを大切にする「弾き三味線」を得意とし、古典を大切なベースとしながらも、伝統芸能の枠を超えた新しい「ニッポンの音楽」を求め、国内外の演奏活動・公演活動を行っている三味線プレイヤー「史佳 Fimiyoshi」さん。2019年10月5日にカーネギーホールでの演奏が決まっています。その前にBenoitで奏でます。前哨戦?いえいえ、史佳さんは本気です。

 

Benoitミュージックディナー 「三味線プレイヤー 史佳Fumiyoshi ≫」

日時:2019612()18:30より受付開始 19:00開演

会費:18,000(パフォーマンス・ワイン・お食事代・サービス料込、税別)

※ご予約を受け付けております。電話もしくは、Benoitへメールにてご連絡をお願いいたします。質問などございましたら、何気兼ねなくお問い合わせ、もしくは返信をお願いいたします。

kitahira.hatenablog.com

 

≪一夜限りに特選メニュー「夏食材の饗宴」のご案内です。≫

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 Benoitシェフのセバスチャンが、アラン・デュカスの料理哲学「素材を厳選し、その素材の持ちうる香りと味わいを十二分に引き出し、表現すること」を踏襲しながら、梅雨によって目覚めた食材を使い。一夜限りの「夏食材の饗宴」を、Benoitで開催することにいたしました。開催といっても、ミュージックディナーのように、何かイベントがあるわけでありません。通常通りのディナー営業です。しかし、この一夜だけは、シェフのセバスチャンが、「今、これを食せずして夏は始まらない」という旬の食材をつかって組み立てたコース料理のみご用意いたします。Benoitディナーの営業時間内のご都合の良い時をご指定いただき、ご予約いただけると幸いです。

 

Benoit特選メニュー「一夜限りの≪春食材の饗宴≫」

日時:201971()17:30より(21:00LO)Benoitの営業時間内にお越しください。

コース料金:お一人様9,800(税サ別)

※ご予約を受け付けております。電話もしくは、Benoitへメールにてご連絡をお願いいたします。何か質問などございましたら、何気兼ねなくお問い合わせください。

 

 

 「筍」を少し調べてみました。「たけのこ」という読みの他に「しゅん(じゅん)」とも。名詞とは別に形容詞としても使うようで、「筍鶏(じゅんけい)」とは、若い鶏のことだといいます。使用頻度は皆無ですが、なかなかに言いえて妙だと思いませんか。漢字の発祥は古代中国であり、その漢字の成り立ちを編纂したのが「説文解字」、時は紀元後100年頃、漢字辞典の誕生です。それによると、「意符の≪竹≫から構成され、音符の≪旬≫で組み立てられた形声文字」なのだと。

 六書(りくしょ)の区分に基づき、「象形」「指事(指示ではないです)」「会意」「形声」に大別され、さらに偏旁冠脚(へんぼうかんきゃく)によって分類されています。「指事文字」とは、絵としては描きにくい物事や状態を点や線の組み合わせで表した文字をいい、「上」や「下」が分かりやすいと思います。十干の「己」は指事文字です。そして、「会意文字」は、既成の象形文字指事文字を組み合わせたもの。例えば「休」は、「人」と「木」によって構成され、人が木に寄りかかって休むことから。そして、6割がたの漢字が分類されているのが「形声文字」です。「江」は≪シ(さんずい)≫の意符と、≪エ≫の音符で構成されたもの。

 「晴」もまた、形声文字。≪日≫天文事象を意符とし、≪青≫は音符であり、意味がないのだといいます。確かに正確に分類するとそうなのかもしれませんが、「日(太陽)」が光り輝き空「青い」状況が、「晴れ」と考えたいです。こう考えると、「筍」は「竹」が美味しい「旬」を迎えたものであると。専門家の皆様、誠に申し訳ありません。勝手気ままな自分の願望です。「竹の秋」で始まった五月尽のご案内は、「筍」で終わりを迎えさせていただきます。

 

いつもながらの長文を読んでいいただき、誠にありがとうございます。

末筆ではございますは、ご健康とご多幸を、イノシシ(風水では無病息災の象徴)が皆様をお守りくださるよう、青山の地よりお祈り申し上げます。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com