kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

Benoit特選プラン「11月の旅路」と特選ワインのご案内です。

たづねふる ふもとの里は もみぢ葉に これよりふかき 奥ぞしらるる  藤原俊成

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 万葉の時代は、樹々の葉が色を変えることを「もみつ」(動詞)といい、これが名詞のかたちをとり「もみち」なのだといいます。しかし、この時代に「ひらがな」は誕生しておらず、漢字の音読みを利用した当て字のように書き記されています。これが万葉仮名と呼ばれるもの。「もみつ」は「毛美都」、「もみち」は「毛美知」と。ところが、昔々の日本人の美意識は、これを許さなかったようです。同じ万葉集の中には、「黄葉」と書きながら「もみち」と読ませる歌もあるのです。「もみち」が「もみぢ」となり、「黄葉(もみじ)」に「紅葉(もみじ)」が加わるのは、平安時代まで時を待たなくてはなりません。

 「黄葉(こうよう)」と「紅葉(こうよう)」とは、色付きが違うだけなのかと思っていました。ところが、学術的には全くの別物の葉色の変化だったのです。樹々の葉には、クロロフィルという緑色とカロチノイドという黄色の色素が介在しています。ともに陽射しにあたることで力強さを発揮するため、「夏山蒼翠(そうすい)として滴るが如く (郭煕・臥遊録より)」と言われように、夏は深緑の美しい姿です。秋深くなり、陽射しが弱まることで、この両者が葉の中で分解されてゆくことになる。ところが、クロロフィルが先に消えてしまうために、今までクロロフィルの濃緑に潜んでいたカロチノイドが姿を現すのです。これが「黄葉」です。この最中に、アントシアニンを生み出す樹々があります。赤ワインで聞き覚えのある単語でしょう、赤い色素の成分です。弱弱しくなるクロロフィルとカロチノイドとは対照的に、活発なアントシアニン。これが「紅葉」です。老後の余生を楽しもうかとする「黄葉」と、なにをなにをと一念発起している「紅葉」。

 さて、黄葉と紅葉(以下は紅葉で統一します)は、昼間の溢れんばかりの陽射し、そして昼夜の寒暖差が必要なのだといいます。そのため、紅葉は奥山から前山へ、山々の稜線を辿るように里山へ、山の峰から麓(ふもと)へと下りてきます。藤原俊成は、山の麓で目にしたカエデの美しい姿に目を奪われた、きっと。生い茂った葉波は、蒼翠から黄葉へと衣替えをするも、斑(むら)をなしている。その叢(むら)の中に、一葉の紅葉。「これから分け入ろうとする山の奥深くには、いかほどの紅葉の樹々が色付いていることだろう。多種多様にわたる樹々の群(むら)は、私にどのような姿を見せてくれるのだろうか。」と、期待に胸膨らませる俊成の姿が目に浮かびます。

 少しばかり山の奥へと分け入り過ぎたであろうか。ついつい岐阜県の北部に位置している飛騨市まで来てしまう。ここから、世界遺産白川郷」で有名な白川村へと抜ける「越中西街道(国道360号)」の半ばに、泉鏡花の小説「高野聖」や東山魁夷画伯「山雲」の舞台になっている「天生(あもう)峠」があります。この地に根付く広大なブナの原生林、「天生県立自然公園」として管理され、地元の方はもちろん登山愛好家にも人気を博しているのです。待ちに待った雪解けの6月には、湿原一面に咲き誇るミズバショウが我々を迎えてくれ、10月末の紅葉を見納めとし、天生の森は雪に閉ざされます。半年という短い期間ながら、日々移ろいゆく雄大な自然美を楽しめる上に、紅葉時期は格別です。天生県立自然公園から、登山道へと向かい、目指すは籾糠(もみぬか)山の頂へ。片道3時間の道のりを歩きぬくと、眼前に広がる光景に言葉を失います。なぜ登山愛好家を魅了して止まないのか?理由がわかる気がいたします。

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 多種多様にわたる樹々の群(むら)が、叢(むら)を成すように生い茂る。陽当たりに違いや標高の違いによる温度差から、まるで色のグラデーションのような、斑(むら)の美しさを魅せる。まさに、「秋山明浄にして粧うが如く (郭煕・臥遊録より)」とは、かような姿をいうのでしょう。藤原俊成は、麓の一葉の紅葉から、この雄大な美しさを想い描いたのか。今回は山に分け入り過ぎたのがために、すでに天生県立自然公園の紅葉は終わりを迎え、すでに冬支度が始まっております。皆様、来年は身近な樹々に紅葉の兆しが見て取れた際には、俊成の想いを思い出していただき、平安時代には思いもよらない距離の移動ですが、導かれるように籾糠山を訪れるのも一興かと。※今期はもう分け入ることはできません。

 

 もみぢ葉が、去り行く秋を我々に教えてくれています。この幽愁の想いを少しでも癒してくれるのが、山々の粧(よそお)いであり、秋の味覚なのではないないでしょうか。しかし、どちらも秋同様に去りゆくものであり、待ってはくれません。身近で紅葉を目にした時、足の赴くままに青山の地へと分け入りましょう。「青山の奥ぞしらるる」とは、まさにかようなことなり。Benoitが饗する秋食材の数々が、「十一月尽(じゅいちがつじん)」の感慨深さと相まって、「口福な食時」をお約束いたします。

 そ知らぬ顔で、紅葉が山を下りてきています。それに呼応するかのように、秋食材は急ぎ足で終わりを告げてゆき、「待ってあげよう」などという優しさは持ち合わせておりません。そこで、皆様の「青山の奥ぞしらるる」にお応えすべく、お勧めしたいコースプラン「11月の旅路」と「秘蔵のワイン」、フランス料理では欠かせない「チーズ」をご案内させていただきます。

 

探訪!日本のテロワール 11月の旅路」のご案内です

 Benoitシェフのセバスチャンが、アラン・デュカスの料理哲学「素材を厳選し、その素材の持ちうる香りと味わいを十二分に引き出し、表現すること」を踏襲しながら、日本のテロワールの魅力を「探訪!日本のテロワール」と銘打って、「四季折々の日本の旅路」をご紹介させていただこうと思います。日本の各地方が育んだ食材を通し、まるで彼の地を旅しているかのようにお楽しみいただけると幸いです。

日頃より並々ならぬご愛顧を賜っている上に、さらにはこの長文レポートに目を通していただけている皆様の労に報いなければなりません。そこで、特別価格のご案内です。期間は、メールを受け取っていただいた日より、1130日までの平日限定。ご予約は、このメールへの返信にてお願いいたします。土日や急ぎの場合には、以下のBenoitメールアドレスより、もちろん電話でもご予約は快く承ります。

www.benoit-tokyo.com

 各コースは、これ食せずして11月は終われないという料理内容で組ませていただきました。しかし、苦手な食材などありましたら、何気兼ねなくご予約の際にお伝えください。別の料理を提案させていただきます。では11月は以下のような旅のプランのご紹介です。

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宮城県南三陸町志津川湾

 

ランチ  十一月尽・秋の旅路 ~ 4,500(税サ別)

前菜1: 宮城県志津川漁港から “南三陸マサバ” エスカベッシュ

前菜2: 岐阜県飛騨高山伝統野菜 “宿儺かぼちゃ"のスープ リコッタチーズ

主菜: 岐阜県明宝牧場の“郡上クラシックポーク" バラ肉のコンフィとソーセージ レンズ豆の煮込み

飛騨牛のステーキをご希望の方は、+2,500円にて主菜を変更させていただきます。

デザートは以下の2択よりお選びください。

岐阜県恵那市恵那川上屋”と大垣市“和菓子の槌谷”の和栗と洋栗のモン・ブラン ブノワ風

広島県大崎上島 “瀬戸内レモン” ヘーゼルナッツのスフレとアイスクリーム

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岐阜県飛騨高山の「北アルプス大橋」

 

ディナー  十一月尽・秋の旅路 ~ 7,500(税サ別)

前菜: 宮城県志津川漁港から “南三陸マサバ” エスカベッシュ

主菜1: 香川県小豆島四海漁港より “島鱧(しまはも)" リヨン風クネル

主菜2: 岐阜県明宝牧場の“郡上クラシックポーク" バラ肉のコンフィとソーセージ レンズ豆の煮込み

飛騨牛のステーキをご希望の方は、+2,000円にて主菜を変更させていただきます。

デザートは以下の2択よりお選びください。

岐阜県恵那市恵那川上屋”と大垣市“和菓子の槌谷”の和栗と洋栗のモン・ブラン ブノワ風

広島県大崎上島 “瀬戸内レモン” ヘーゼルナッツのスフレとアイスクリーム

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香川県小豆島「四海漁港」

 

ディナー  ヨーロッパへ寄り道プラン ~ 5,500(税サ別)

前菜: フランス産 のスープ

主菜: 岐阜県奥美濃古地鶏"のフリカッセ イタリア産ポルチーニ フェルミエール風

デザートは以下の2択よりお選びください。

岐阜県恵那市恵那川上屋”と大垣市“和菓子の槌谷”の和栗と洋栗のモン・ブラン ブノワ風

広島県大崎上島 “瀬戸内レモン” ヘーゼルナッツのスフレとアイスクリーム

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岐阜県恵那市の「根の上高原」

 

ディナー  悠々自適な旅プラン ~ 6,100(税サ別)

前菜2種、メインディッシュ、デザートはプリ・フィックスメニューからお選びいただけます。ご予約人数が8名様以上の場合は、ご相談させてください。

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広島県大崎上島「岩﨑農園」より

 

 秋風が育んだ風味豊かな食材が、美味しくないわけがありません。その食材の美味しさを引き出すのが調理人です。しかし、いかに腕のたつ調理人であろうとも、食材以上の美味しさへと導くことはできません。両者が出会い相まった時、そこに美味なる料理が誕生します。そして、皆様を「口福な食事」へと誘(いざな)うのです。今回の旅路として、選ばせていただいた料理の数々が、どれほどの特選食材であるのか、いかような料理となるか。詳細は、「11月ダイジェスト版」として数日内にご案内いたします。

 「郡上クラシックポーク」がどれほどの特選食材かは、以下のを参照いただけると幸いです。

kitahira.hatenablog.com

 

Benoitワインセラーより秘蔵の逸品のご案内です

 Benoitシェフソムリエの永田から、「このような逸品が、ワンセラーの奥底に眠っているのです」と。大切なワイン資料をまとめているファイルの中から、A4サイズのワインテクニカルシートを一枚引き抜き、自分に見せてくれたのです。ぼろぼろの資料を手に取った時、これは雑に扱っていたからではなく、経年劣化であることを教えてくれた。このワインを購入したのは、なんと7年前のことだったのです。

 2009年のブルゴーニュ赤ワインは、「偉大なるヴィンテージ」となりました。世界中のバイヤーの耳目を集める中、造り手の意向によって随時瓶詰めされ、出荷されてゆきます。そして、2012年に永田が待ち望んだワイン入荷の情報が入ってきたのです。しかし、まだ3年ほどしか経っていない偉大なワイン、購入したところで飲み頃であるわけがありません。大いに悩んだ末に、購入したまま「時を待つ」ことにしたのです。永田が自分に手渡した「ぼろぼろの資料」は、7年前のものだったのです。

 とうとう、永田が「蔵出し」を決断しました。しかし、ここまで我慢して温存してきた愛娘のようなワインです。並々ならぬご愛顧を賜ってきた方にお楽しみいただきたい。そのため、ワインリストには記載せず、各スタッフがご案内をお送りし、希望者を募ろうという結論にいたったのです。さあ、どのようなワインなのか?

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 ブルゴーニュ地方のFLAGEY-ÉCHEZEAUX (フラジェ・エシェゾー)村に居を構えるDomaine Coquard-Loison-Fleurot (コカール・ロワゾン・フルーロ)は、栽培総面積8ha弱と小規模ながら、 GEVREY-CHAMBERTIN(ジュブレ・シャンベルタン)村からVOSNE-ROMANÉE(ヴォーヌ・ロマネ)村にかけて、6つの特級畑を所有しています。名立たるワインを醸しているにもかかわらず、日本ではほとんど知られておりません。理由は簡単なことで、ヨーロッパの個人客に直売されていたため、市場にでてこなかったのです。さらに、彼のブドウの一部は、ドミニク・ローランやルイ・ジャドなどの一流のネゴシアンに販売されているそうです。フランス国内での評価は抜群で、「Guide Dussert-Gerber des vins de France 2010」では、プルミエ・グラン・ヴァン・クラッセとしてD.R.C.と共にブルゴーニュ最高峰ドメーヌに格付けされ、2015年版では、最高評価の5クールを獲得しています。

 彼の醸す2種類のワインがBenoitに眠っています。「Les Poulaillères (レ・プライリエール)」と「En Orveaux (アン・ルヴォー)」の特級畑に、樹齢69年と59年の区画をもち、そこで丹精込めて栽培され選びに選んだブドウから醸された「Echezeaux grand cru」。樹齢74年の特級畑の区画から収穫され、丁寧な選別の後に醸される。そして、アリエ産の新樽を4割使用し18ヶ月もの期間熟成され瓶詰めされた「Clos Saint Deni grand cru」。ともに2009年という偉大なヴィンテージだったがために、Benoitのセラーで眠りに就いていたのです。令和元年、ついに目覚めの時がやってきました。

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2009 Echezeaux grand cru Domaine Coquard-Loison-Fleurot

2009 Clos Saint Denis grand cru Domaine Coquard-Loison-Fleurot

 上記の2種類は、ともに19,800(税サ別)でのご提案です。希少な逸品なために、もちろん各1箱(12本)しか保有しておりません。ご希望の際は、すぐに返信またはBenoitへご一報をいただけると幸いです。2020年1月末までの期間に、Benoitへお越しいただける場合は、希望数を大切に保管させていただきます。皆様、ネットで検索してみてください。このワインの美味しさと希少性をご理解いただけると思います。そして、今回のこの価格が、どれほど破格値であることか。すべてはシェフソムリエの永田の先見の明と、今の今まで眠らせ続けた我慢強さの賜物です。

 どれほど美味しいワインなのか?自分には分かりません。10年という「熟成」という魔法が、いかような美味しさを導き出したのか。この未知なる扉を開けるのは、皆様です。※Benoitのご飲食用での販売です。

 せっかくなので、アラン・デュカス傘下のレストランでしか楽しむことのできないシャンパーニュも特別価格でご案内です。エチケットを張り替えただけの張りぼてではなく、醸造ブレンドがオリジナルという「NV Champagne selection alain ducasse」。グループ統括ソムリエであるジェラール・マルジョン監修の美味なる逸品です。これを、8,000(税サ別)でいかがでしょうか。上記の赤ワインと共にお楽しみいただくもよし、このシャンパーニュだけを楽しむもよし。ご希望の際には、ご予約の際にお伝えいただけると幸いです。

 上記の特別ワイン3種は、≪トレ・ボン!日本のテロワール 11月の旅路」≫との併用は可能ですが、ワイン半額イベントなどの割引プラントとの併用はできません。ご理解のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。

 

Benoit特選フロマージュ「山のチーズ」のご案内です

 私事で恐縮なのですが、この度チーズプロフェッショナル協会の狭き門である認定試験に合格いたしました。もちろん、自分ではなくBenoitの仲間がです。ワインにはソムリエという専門の知識を携えて、皆様のご要望にお応えする専門職があります。これのチーズ版です。想像以上に難しい試験で、自分などでは合格を勝ち取るなどは夢のまた夢。しかし、Benoitの若手がやってくれたのです!あまりの嬉しさに、この場をお借りしてご報告させていただきます。緊張気味で画に写っている彼は、小林健太と申します。

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 有資格者となっても、ただあるものを販売しているのでは何も意味を成しません。ソムリエの集大成がワインリストであるように、チーズもまた管理はもちろん、皆様へ提案してゆいかねばなりません。そこで、いままで自分が好き勝手にやっていたBenoitのチーズを、彼を軸として進めていくことにいたしました。彼の豊富な知識は必ずや、皆様にチーズの魅力を伝えてくれるはずです。経験不足は知識で補えますが、経験することに勝るものはありません。さあ、11月はどうする?そこで、小林は考えました。

 「冬のチーズといえば、山のチーズです。」と言い切り、語り始める。「山のチーズ」というのは、山間に暮らす人々が寒く厳しい冬を乗り越えるための食料として、雑菌の元となる水分を少なくし、塩水に浸ける事で長期保存を可能とした大型のチーズの事を言います。フランスの代表的なものでいうと「Comté(コンテ)」がこれにあたります。今回は、その「Comté(コンテ)」も含みつつ、フランスの「」に関係のあるチーズをいくつかご用意しました。その中でも特に注目して頂きたいのが、

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バスク地方

 ピレネー山脈をはさみ、スペインとフランスの両側にまたがる地方です。この地域では羊の飼育が盛んで、夏になるとピレネー山脈の高地にて放牧され、香り高い牧草を食べながらゆっくりと過ごします。その香り高い牧草から作られる2種類のチーズ「Etorki(エトルキ)」「Bleu des Basques(ブルー・デ・バスク)」をご用意しました。乳種は同じですがタイプによる違いをお楽しみください。それぞれのチーズの熟成期間から逆算すると今が食べごろだと思われます。

 食べたいものをラインナップしていた自分のスタイルとは一線を画します。専門職として自覚した彼の姿勢は、今後のBenoitには欠かせません。第一弾が「」山のチーズ」ならば、次は何か?すでに何かを画策しているようなのですが、まだ何も語りません。

 皆様からの要望や質問を賜ることで、サービススタッフはそれに応えようとする、これがスタッフの成長につながると考えています。言うなれば、皆様がいらっしゃるから、スタッフが成長できるのです。自分もまだまだ未熟ですが、皆様のおかげで少しまた少しと成長している?(成長と老化との戦いです)と考えております。そう、Benoitで見かけた時には、小林にチーズについて気になること他なんでも、何気兼ねなく聞いていただけると幸いです。「家ではどうやって保存したほうがいい?」、彼はどうお答するのか?自分ならば…「食べきってください」と。

 

まだまだ書き足りないことばかり。「11月ダイジェスト版」は、数日内にご案内いたします。11月のご案内が月半ばとなってしまいますこと、深くお詫び申し上げます。

 

 降り注ぐ太陽の陽射しが万物を育て上げ、四季折々の風が吹き抜けることで、その地ごとの「風土」が生まれます。その風土で育まれた食材は、また格別な美味しさを内包します。「風土」が育んだ美味しさこそ、「風味」という。「風土風味」は千差万別。この違いを知った時、我々は「口福な食時」のひとときを過ごすことができるはずです。旬を迎える食材は、人が必要としている栄養に満ちています。そして、人の体は食べたものでできています。「美しい(令)」季節に秋食材が「和」する、まさに令和の年にこそ相応しい。「口福な食事」を楽しみながら、無事息災に年末を迎えていただければ幸いです。

 

最後までお読みいただき誠にありがとうございます。

末筆ではございますが、皆様のご多幸とご健康を、青山の地よりお祈り申し上げます。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com