旬の食材には、いま我々が欲している栄養に満ち満ちています。その食材を美味しく食べることで、人は笑顔になり「口福な食事」のひとときとなります。そして、その笑顔は体の内側から湧き出でる力となり、我々をウイルス災禍から守ってくれることでしょう。
日頃より並々ならぬご愛顧を賜っている上に、自分よりご案内している長文レポートに目を通していただけている皆様の労に報いるため、≪九月尽特別プラン≫を食べ納めとなる食材や料理とともに、ご案内させていただきます。期間は、2020年9月末まで。ご予約は、自分へのメールをご利用ください。お急ぎの場合には、以下のBenoitメールアドレスより、もちろん電話でもご予約は快く承ります。
ランチ |
前菜+メインディッシュ+デザート |
3,800円→3,530円(税サ別) |
ランチ |
前菜x2+メインディッシュ+デザート |
4,800円→4,460円(税サ別) |
ディナー |
前菜+メインディッシュ+デザート |
6,100円→5,680円(税サ別) |
ディナー |
前菜x2+メインディッシュ+デザート |
7,100円→6,600円(税サ別) |
プリ・フィックスメニューの料理内容は、当日にメニューをご覧いただきながらお選びいただきます。ご希望人数が8名様以上の場合は、ご相談させてください。
猛暑に悪態をつきつつも、名残惜しい夏とのお別れとなる「九月尽」です。10月には大幅にメニューが変更になるため、食べ納めとなるものばかり。そこで、残り1週間を切りましたが、皆様に特選食材とお勧めする料理を、以下にご紹介させていただきます。尽きるにはまだ早い!
≪最初の一皿は、冷製ヴィシソワーズでいかがですか?≫
毎年Benoitの夏季に登場する冷たいスープは、今期はジャガイモです。馴染みの食材ですが、素材が持ちうる美味しさを十分に楽しむには、やはりコツがありました。ジャガイモの繊細な甘さと滑らかさを生かすために、クリームではなくミルクでのばしてゆくのです。それだけでも美味しい、そこへプルンと鶏のブイヨンが加わることで、味わいに深みが増してきます。そして忘れてはいけないものが、バターをたっぷりつかったクルトンです。「後のせサクサク」とすることで、香ばしさと心地よい食感が生まれるのです。
まだまだ残暑の残る昨今にあり、この冷たいスープから食事を始めるのも一興なのではないでしょうか。ランチでもディナーでも、プリ・フィックスメニュー前菜の選択肢として名を連ねます。
VICHYSSOISE rafraîchie, garniture taillée
ジャガイモの冷製スープ “ヴィシソワーズ”
≪さらば、愛しきレバーテリーヌ…≫
Benoitがビストロである真髄は、やはり「テリーヌ」にあるのではないでしょうか。あまりにも有名な料理だけに、これといった決まった素材や調理法があるわけではなく、シェフの個性が表現される料理でもあります。Benoitの王道でもある「テリーヌ・ド・カンパーニュ」へ、割って入ってきたのが9月末までの期間限定「鶏レバーのテリーヌ」です。
鴨を太らせたレバーが「フォアグラ」であれば、ニワトリを太らせると「白レバー」です。これをたんまり使うのですが、これではレバーペーストになってしまいます。そこで、豚の肩肉で肉肉しい食感と豚の背油で旨味を加えるように、よく混ぜ合わせ、テリーヌの型で焼き上げます。レバーの比率が高いため、熱が入り過ぎればパサパサとなる。断面がほのかにピンク色の、この職人技ともいえる火入れが、まとわりつくような白レバーの旨味を逃がしません。レバー好きにはぜひお楽しみいただきたい逸品です。
Benoitランチのプリ・フィックスメニューに名を連ねます。もし、ディナーでご希望の際には、ご予約の際にご希望数をお伝えください。
TERRINE DE FOIE DE VOLAILLE, pain toasté
鶏レバーのテリーヌ
≪「魚のスープ」が、皆様を地中海へと誘(いざな)います!≫
皆様の目の前で、スープがそそがれた直後から、磯の香りに包まれます。濃厚な茶色を帯びた深みのあるオレンジ色の液体に、透明感はないが輝いている。濃厚ながら、甲殻類のような濃さではなく、さらりとした感さえあるものの、余韻に感じる魚の美味しさに酔いしれることになるでしょう。
五臓六腑に染み入るかのような美味しさは、猛暑に疲れた体を癒してくれそうな気がします。目を閉じれば潮騒(しおさい)が耳に届き、目を開ければ、Benoitの窓からは地中海が望める…かもしれません。
Soupe de POISSON de roche, rouille et croûtons aillés
魚のスープ ルイユとクルトン
(追加料金 ランチ+800円 / ディナー+600円)
7月になると、必ず問い合わせが入る、自慢の魚のスープです。美味しさを追求するあまり、どれほどの魚種にこだわっているのか、詳細をブログに書き記しております。2枚目の魚たちの画像が気になる方は、ぜひ以下よりご訪問ください。
≪夏の魚といえば、スズキです!≫
夏の魚の代表と言えば、「スズキ」ではないでしょうか。脂ののったイワシの群れを追い求め、パクリパクリと喰らいつく。美味しいイワシをたらふく食べているスズキが美味しくないわけがありません。この切り身を、しっとりと時間をかけながら焼き上げてゆきます。
魚の旨味を凝縮させてたようなジュをベースに、ケッパーとオリーブの旨味を加え、ヴィネガーの心地よい酸味を与えます。この甘酸っぱく仕上がったソースは、ナスとの相性も抜群。特に、魚の下に敷いている焼き叩いた長ナスに、このソースが絡め、スズキとともにお召し上がりいただいた時、それぞれの食材の織りなすマリアージュに、惜夏の想いを感じ取っていただけるはずです。
Blanc de BAR doré, aubergine confite, condiment câpres/olives noires
スズキのオーブン焼き 茄子のコンフィ ケッパー/オリーブ
ランチでは、宮城県の気仙沼港で水揚げされた「メカジキ」です。200kg前後の、筋肉隆々(りゅうりゅう)としたこの美しい切り身をご覧ください。丁寧に捌いてゆき、厚めにカットし、休ませながらしとりと焼き上げます。まさに魚ステーキのように。
ESPADON au plat, aubergine confite, condiment câpres/olives noires
メカジキのオーブン焼き 茄子のコンフィ ケッパー/オリーブ
≪Benoitではなかなかお目にかかれない仔羊料理、今月末までです!≫
仔羊の骨付きロース肉を表面に焼き色を付け、ふつふつとしたバターをふりかけながら、ゆっくりゆっくり熱を加えてゆく。この魅惑的な香りをどう表現したものか。表面には美味しそうな焼目がつくが、中はまだ生のままです。肉が内包している温まった肉汁を利用し、中からじっくり熱がゆきわたるように、温かい肉部屋で休ませます。美味しく焼き上げるために30分以上を要します。
赤ワインを加えて仕上げたマスタードの上にラムチョップを盛りつけ。仔羊の旨味が凝縮したジュと呼ぶソースで仕上げます。じゅわ~と音が聞こえてきそうですが、もちろん無音です。
添えている美しい緑の円盤状のものは、パート生地の上に、たっぷりの荒くカットした枝豆をのせ、ハナニラとスナップエンドウを飾り、パルメザンチーズをふりかけて焼き上げたもの。枝豆の触感と甘さが後引く美味しさで、これだけで前菜として通用するのではないかと思えるほどです。
AGNEAU rôti, légumes verts au jus
仔羊のロースト 枝豆と緑野菜
(追加料金 ランチ+1,500円 / ディナー+1,200円)
≪2020年の桃のデザートが、終わりを迎えようとしています!≫
2020年のBenoitの桃のデザートが、まもなく終わりを迎えようとしております。8月は岐阜県高山市の亀山果樹園さから、「白鳳」に始まり、「昭和白桃」を経て「黄金桃」へ。9月は山形県天童市の滝口果樹園さんへと継投してゆきました。今年の荒れた天候により、この桃の継投がどれほど「きわどい」ものであったことか…
桃の継投の殿(しんがり)の大役を担ってくれたのは、晩生の品種「さくら白桃」です。画像を見るからに硬そうな印象を持たれるかと思います。これが育種されたのは最近のことで、まだまだ知られていない品種なのです。しゃくっという硬めの、まるでリンゴのような食感です。しかし、白桃の美味しさを持ち、なおかつ甘みが強いのです。
滝口果樹園さんにお願いし、9月初旬にごっそりと購入させえていただきました。総数30箱!届いた時には、あまりの量に不良在庫とならないかと心配でしたが、まったく余計な心配だったようです。今や残りが10箱を切ってしまいました。とうとう、今期最後を迎えようとしているのです。
少しばかり、今回の「さくら白桃」を送っていただいた山形県天童市の滝口果樹園さんのことを。以前から、自分が知っていたわけではありません。9月の桃探しで、八方塞がりの自分に、救いの手を差し伸べてくれたのが「香川県さぬき市物語」でご登場いただいた、鹿庭さんでした。彼の言葉を引用させていただきます。
桃の栽培は堆肥など有機物を多く使い、収穫は一気にしてしまわずに、一つの木でも4回くらいに分けて味がのったものだけを選びながら収穫してゆきます。そのため、常に出荷できるわけではなく、収穫のタイミングでそのときいいものだけを選ぶので出荷数が限られたりすることがあるそうです。あまり多くを語らない若い生産者さんなのですが味がいつも安定していますのでおそらく土地の土質やバランスが良いのではないかと思います。
滝口さんが丹精込めて育て上げた「さくら白桃」を使ったヴァシュランとはどのようなデザートになるのか。詳細は以下よりブログをご訪問いただけると幸いです。
Vacherin aux PÊCHES
山形県“さくら白桃”のヴァシュラン
(追加料金 ディナー+800円)
≪Benoitシェフソムリエ永田の秘蔵のコレクションを、特別価格で皆様へ!≫
ワインの銘醸地として、名高いブルゴーニュ地方。南北に拡がる彼の地の、ほぼ中央に位置しているのが「Beaune (ボーヌ)」の街。そこに、1750年から素晴らしいテロワールを表現したワイン造りを行なっている老舗があります。45haの自社畑を所有し、そのうちの殆どがプルミエ・クリュとグラン・クリュ。また、パートナーの契約農家から供給されるブドウで自社畑産ワイン同様に高品質なワインを醸しているこの造り手は…
「Domaine CHANSON (ドメーヌ・シャンソン)」
さて、なぜDomaine CHANSONの話をしているのか。いつもであれば、ご当主が来日し、Benoitでワインパーティー開催!と告知するのですが、昨今の状況はこれを許しません。そこで、皆様には、この老舗が醸すワインをBenoitのお食事とともに、皆様のご都合で、お楽しみいただこうと。特選ワインを特別価格で、皆様にご提案させていただこうと思います。Benoitシェフ・ソムリエ永田の、この一言から始まりました。
「このような逸品が、ワインセラーの奥底に眠っているのです」と。
≪白ワイン≫
2015 Chassagne-Montrachet 1er cru Les Chenevottes |
16,000円(税サ別) |
2015 Puligny-Montrachet 1er cru Les Folatières |
16,000円(税サ別) |
≪赤ワイン≫
2012 Corton grand cru |
16,000円(税サ別) |
※すでに特別価格なため、ワインの日では割引対象外となることをご了承ください。
希少な逸品なために、ご希望の際は、すぐに返信またはBenoitへご一報をいただけると幸いです。2020年10月末までに、Benoitへお越しいただきますこと、なにとぞよろしくお願いいたします。ご予約日まで、希望数を大切に保管させていただきます。どれほど美味しいワインなのでしょうか?ワインごとに自慢話をブログに書き記させていただきます。少しでも参考になれば幸いです。
「涼風(すずかぜ/しんりょう)」というと、夏の季語。秋に感じる涼しさは「新涼(しんりょう)」や「初涼(しょりょう)」というそうです。秋分を迎え、暦の上では秋の最中。もう涼しさを感じていらっしゃることと思います。秋らしい寒暖の差は、知らず知らずのうちに体力を奪ってゆくもの、十分な休息と睡眠をお心がけください。
そういえば、「女心と秋の空」とはよく耳にいします。しかし、江戸時代には「男心と秋の空」といったそうです。移ろいやすい心の持ち主は、いったいどちらなのでしょうか。
「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。
ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬