kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

Benoit「余寒特別プラン」と「山内鮮魚店物語「」のご案内です。

東風(こち)吹かば にほひおこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな  菅原道真

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 菅原道真藤原氏との権力闘争の末に敗れ、太宰府に左遷されるときに詠った、あまりにも有名な歌です。栄枯盛衰は世の常とはいえ、道真の恨みつらみはいかほどのことか。彼の没後、政敵の死から始まり、異常気象による旱魃(かんばつ)や飢饉の数々は、人々に「道真の怨霊」と思わせるに十分なものでした。とろろが、時代とおともに解釈が変わってゆき、「怨霊」から「学問の神」へ。皮肉なことに、政敵であった藤原氏によって神様へと祀られていくのです。

 国学者の方々や、古文専門家の方々からお叱りを受けるのは承知のうえで、31文字という短い文章だからこそ、時代の変遷というよりも、読み手によって多くの解釈があっても良いのではないかと思うのです。では、どう今回はどう読み解くのか?これは、「山内鮮魚店さん物語」の中で紹介させていただきます。特別プランのご案内の後、このメール最後にブログ先を添付いたしました。そちらよりご訪問いただけると幸いです。

 

 2月が「きさらぎ」であり、寒暖の差が激しいがために、「衣更着」を頻繁に繰り返さなければなりません。そして、「如月」とは、この不安定な天気に逆らわず、依(よ)り従うことを促す月なのだと読み解きました。このお話は、以前投稿しましたブログを参照ください。

kitahira.hatenablog.com

 Benoitは考えました。惜しまれつつ「一度終えてしまったプラン」を、先日の寒波の到来に呼応するように、復活させよう。短期間ではなく、2月いっぱい寄り添おうと。しかし、皆様より「3月は継続しないのですか?」という、何度となく届けられる要望メールを見捨てることはできませんでした。

 

 そこで、日頃より並々ならぬご愛顧を賜っている上に、さらにはこの長文レポートに目を通していただけている皆様の労に報いるためにも、さらに皆様のあついご要望にもお応えしようと、≪余寒特別プラン≫ の期間を、少しばかり延長させていただきます。期間は、メールを受け取っていただいた日より、2020313日までの平日限定。ご予約は、自分へのメール、もしくは以下のBenoitメールアドレスよりお願いいたします。もちろん電話でも、ご予約は快く承ります。

www.benoit-tokyo.com

 

余寒特別プランは313日までです!

ランチ ※

前菜x2+メインディッシュ+デザート

4,800円→4,300円(税サ別)

ディナー

前菜+メインディッシュ+デザート

6,100円→5,000円(税サ別)

ディナー ※

前菜x2+メインディッシュ+デザート

7,100円→6,000円(税サ別)

プリ・フィックスメニューの料理内容は、当日にメニューをご覧いただきながらお選びいただきます。ご希望人数が8名様以上の場合は、ご相談させてください。

※このプラン価格で、前菜x1+メインディッシュ+デザートx2「夢のダブルデザート」へ変更も可能です。

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 昨今の気候変動が、どれほど海の中に影響をおよぼしていることか。自分などには皆目見当がつかないのですが、其処此処(そこここ)の漁師さんの肌身に感じる危機感を耳にすると、のっぴきならない状況であることを感じ取ることができます。海流の変化や海水温の上昇は、魚の生息域の変更を余儀なくされ、今までの「漁師の勘」が通用しなくなってきている。今期のサンマの水揚げの激減は、まだ記憶に新しいものです。

 

 すでに、2019年の10月からBenoitのプリ・フィックスメニューに名を連ねる「マサバ」料理。宮城県志津川漁港の山内鮮魚店さんから、Benoitlへ直送されるこのマサバも、例外ではありません。昨年9月の話とは裏腹に、水揚げがない日が続くこともまれではありませんでした。メニューに「南三陸の」という文言を入れることを思い悩み続けた日々。抗することのできない自然への、自分勝手な忸怩(じくじ)たる思い。漁獲量の回復を切望したものの、この願い叶わず。豊洲市場の助けを借りながら継続してきた今期のマサバ料理は、2月末をもって終わりを迎えます。

 この厳しい自然環境の中で、Benoitのために最善を尽くしていただいたのが、前述した山内鮮魚店さんです。仕入れを担う山内さんが、早朝に会社に行くよりも先に漁港へ赴くため、キッチン担当者からはmessengerによって購入を打診しています。朝一の志津川漁港での競りの場に「マサバ」の姿がなければ、午後一の競りにも赴く日々。この気候変動による漁獲量の激減が現実であり、甘受しなければいけない。内心とは裏腹に、もう笑うしかないのだろう。山内さんからの返信は、我々を笑顔にしてくれる。まだ、お会いしたことはないのですが、心の大きな人なのだろう。

 

 志津川漁港での水揚げがあった際には、もちろんこの「南三陸のマサバ」の逸品を皆様の元へ。どのような料理に仕上がるのか?これは、「ブログ」に詳細を記載しております。お時間のある時に、以下のURLよりご訪問いただけると幸いです。

kitahira.hatenablog.com

  今なお、漁獲量が戻らず厳しい日々ではりますが、水揚げがった際にはBenoitへ送っていただきます。いつ「南三陸のマサバ」なのか?こればかりは、マサバにい聞くしかないようです。そして、この出会いは5月予定の「ホタテ漁解禁」を迎えることで、新たな局面を迎えることになるはずです。

 

 素人なために右往左往と失敗を繰り返しながら、日本各地に眠る「特選食材」探しを始めて5年ほどになるでしょうか。タッチパネルに触れることで発注が終了する昨今の時代にあり、アナログですが必ず「人との出会い」があり、これが特選食材を導いてきたのだと考えています。

 人と人が出会う機会は、皆に均等に訪れるもの。その時に、自らがその出会いに気付くアンテナを張っているかどうかで、見過ごしてしまうのだと思います。興味がなければ機を見落としてしまうのです。自らの人生を振り返った時、転機となった時には必ず人との出会いがあったはずです。出会うべくして出会うのでしょう。

 今まで多くの食材をご紹介してきました。しかし、「距離」という障壁が高く、いまだ願い叶わず面と向かってのお会いしたことの無い方々ばかりです。電話やメールで話をし続けていることで、あたかも会ったかのような錯覚にとらわれ、勝手にイメージ像を作り上げてしまう自分がいます。お会いできないことは寂しい気もしますが、この想像することは、なかなかに面白いもの。実際にお会いしたとき、実像と虚像が錯綜する時もあるほど。これがまた楽しいものです。

 

 冬になり、海水温が平常になることで、漁獲量が回復することを期待していました。そして、その機を逃さないよう、この山内鮮魚店さんとの出会いを語ろうかと画策していました。画策したまま、春を迎えてしまったのです。Benoitでのマサバ料理は、2月末をもって終わりを迎えます

 機を逸した感は否めませんが、「山内鮮魚店さん物語」を皆様にご紹介させていただこうと思います。冒頭にご紹介しました道真の歌の勝手な解釈はどうでも良いとして、青山社株式会社代表である朝比奈様のメッセージを引用させていただいております。以下より、ブログをご訪問いただけると幸いです。

kitahira.hatenablog.com

 

 暖かい日が続くようです。しかし、「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、まだまだ油断はできません。皆様、無理は禁物、十分な休息と睡眠をお心がけください。インフルエンザ対策もお忘れなきように。「旬の食材には、今人間が必要としている栄養価が満ち満ちている!」のです。世間を騒がすウイルスに対しても、しっかり食事をすることで健康を維持し、どうどうと対抗していきましょう。

 

いつもながらの長文を読んでいいただき、誠にありがとうございます。

末筆ではございますは、ご健康とご多幸を、青山の地よりお祈り申し上げます。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com