kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

Benoit「三月尽特別プランと特選料理」のご案内です。

 三寒四温とはよくいったものですが、今年の寒暖差の大きさは、尋常ならざる気がいたします。数日の間隔で寒暖が交互にというよりも、真冬と晩春が交互に訪れているようです。3月14日は、都内はまさに「ホワイトデー」の様相でした。積もることはありませんでしたが、この時期に大粒の「ぼた雪」が降ろうとは。そして気付けば3月17日、「春の彼岸入り」を迎えました。

 

 Benoitで考えうる「新型コロナウイルス対策」の取り組みを、前回のご案内でご紹介させていただきました。このウイルス災禍は、世界を席巻しているようです。クラスター感染を避けるうえでも、人の密集する場所を避けるべきであることも一理あります。しかし、人々の集まる場所を忌避していては、生活が成り立ちません。

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 お家の中での家族間の会話がSNSのみという徹底ぶりであれば、自分は何も言えません。しかし、家族間では会話があり、食事を共にすることで、情報交換がなされ安心感を得ることができているはずです。顔を合わせ、お互いの表情を見ながら、会話を楽しみながらの食事の時こそ、最高の「口福な食時」であるのだと思います。

 今、このタイミングで皆様を、Benoitへお越しいただくお誘いをすることは、不謹慎かもしれません。しかし、旬の食材は待ってはくれません。さらには、ウイルス対策によって心身が疲弊することは、気持ちのゆとりが失われ、体のバランスが崩れてゆきます。この状況を看過できません。

 

 そこで、Benoitでは、お客様からのご指摘をいただきながら、スタッフの健康に留意し、Benoit店舗や備品の徹底的な毎日の消毒作業による食環境を整えました。さらに、Benoitには日々届けられる「旬の食材」があり、シェフ率いるキッチンチームは、余計な添加物を一切加えずに美味しい料理の数々を仕上げております。

 毎日通ってくださいとはいいません。月の姿が「朔(さく)」から「望(ぼう)」となる間に一度ほど、いやこれは贅沢を言い過ぎです。「朔」から「朔」までの間に一度ほど、Benoitにて新鮮な食材がプロ料理人によって姿を変えた「旬の料理」の数々をお楽しみください。

 いまだ解決の糸口の見えない「ウイルス災禍」には、自らの免疫力を上げることで対抗してゆくしかありません。その、手助けの一つが、「口福な食時」だと考えます。旬の食材で仕上げられた美味しい料理は、皆様を笑顔にし、心にゆとりをもたらすはずです。旬の食材には、今我々が必要とする栄養が満ち満ちています。そして、「旬」は待ってはくれません。皆様にご案内させていただきます。

旬の逸品を

 

 318日水曜日から25日水曜日の約1週間の限定で、今の時期を代表する食材を使用し、皆様に美味なる「旬のお勧め料理」を提案させていただきます。通常のプリ・フィックスメニューの中の、それぞれのカテゴリーの選択肢に加えていただけると幸いです。

 

≪春を告げる「ホワイトアスパラガス」の前菜がBenoitに登場です!≫

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 春を代表する食材であり、なかなか自宅では調理しない食材の代表が、この「ホワイトアスパラガス」ではないでしょうか。3年以上かけて地下茎に栄養を蓄えたアスパラガスが、春の陽射しに誘われるかのように、地表に顔をのぞかせます。

 アスパラガス新芽の成長は目に見えて早く、ぐんぐん背丈をのばしてゆく。太陽の恩恵を十二分に受けたものが、グリーンアスパラガスであれば、陽射しをシャットアウトし、軟白化するように育てたホワイトアスパラガス。緑にはない、軟白化の独特なほど苦さに春らしさを感じ、優しい風味だけに調理人を選んできます。

 どうやらBenoitはホワイトアスパラガスに選ばれたようです。絶妙なる火加減で茹で上げられたホワイトアスパラガスは、しゃくりとした食感に、優しいアスパラガスの甘さとほろ苦さ。そのまま食すよりも、料理としてソースと出会うことで、その美味しさを十二分に発揮してくるようです。

 イタリア領シチリア島の南に位置している島匡「マルタ共和国」。彼の地で欠かせないのが、豊富な柑橘フルーツです。あまりにも気候風土が適しているため、美味なる柑橘は自然に実を成すほどだといいます。その柑橘を、熊本県が誇る不知火が代わりを務めることに。不知火の心地よい酸味と甘みが、ほわほわの卵黄のまろやかな中に溶け込んでいます。

 グリーンアスパラガスではない、ホワイトアスパラガスだからこそのこの相性は、マリアージュ以外にどう表現したものか。この機会に、ぜひBenoitでお楽しみください。

 昨今の天候不順が、香川県のホワイトアスパラガスの芽吹きを遅々とさせているようです。間に合わなければ、フランスから届けられるホワイトアスパラガスの力を借りようと思います。国産かフランス産かは、香川県のホワイトアスパラガスに聞くしかありません。ご不便をおかけいたしますが、なにぶん農産物ゆえ、ご理解のほどなにとぞよろしくお願いいたします。

 

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ASPERGES BLANCHES pochées, sauce maltaise

ホワイトアスパラガスのポッシェ オレンジ風味のサバイヨンソース

Supplément 追加料金 +¥1,000

 

 プリ・フィックスメニューの前菜として、昼夜にお選びいただけます。しかし、今年は不安定な収量予想のホワイトアスパラガスです。ご希望の場合は、ご予約の際にご希望数をお伝えいただけると幸いです。ご面倒をおかけしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 

≪どれほど待ち望んでいたことか、「グリーンピース」のフランセーズがBenoitに!≫

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 この「グリーンピースのフランセーズ」を、自分がどれほど待ち望んでいたことか。名前からして「ア・ラ・フランセーズ」とは、フランス風と訳すのですが…なんというふざけたネーミングでしょうか。仮に皆様が、和食を堪能しようと懐石料理店に足を運んだとします。スタッフに、「このお料理は」美味しいですね!なんという名前なのですか?」と聞いた時に、「日本風です」と答えたときに、どう思いますか?

 しかし、このグリーンピースのア・ラ・フランセーズは、そのネーミングをも凌駕する美味しさと、季節の逸品料理であることをフランス人は皆知っているのです。パリっ子にとっては、この料理を食せずして春は終われないのだといいます。いったいどのような料理なのか。よほど手の込んだフレンチなのだと思うかともいますが…

 いたってシンプル。グリーンピースを、新タマネギとパンチェッタ(生ベーコン)と、ちゃっちゃと煮炒めたもの。言ってしまば、至極簡単ではありますが、ことフランスやイタリアから届くグリーンピースのコクと甘さは、国産の比ではありません。国産食材をこよなく愛する自分が、まったく太刀打ちできないと毎年感じているのです。

 飛行機に乗ってやってくる、伊仏産の鞘付きのグリーンピースは、そのまま鞘ごと生でポリポリ美味しく食せるほど、甘いのです。さすがにエンドウ豆の鞘だけに、筋が多いので皆様にはお持ちいたしませんが、生で鞘ごと食べることのできるグリーンピースの粒が、美味しくないわけがありません。

 今回のお料理のココットの中には、1年分の「フレッシュ・グリーンピース」が敷き詰められていることでしょう。その緑の粒粒の絨毯の上に、スペインから届く仔豚の胸肉のローストが鎮座します。仔豚がメインか、グリーンピースがメインか?この料理の主役は、間違いなくグリーンピースです。シュウマイの上に載っているグリーンピースは、忘れてください。

 

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Côte de COCHON NOIR, petits pois à la française

スペイン産仔豚のロースト グリーンピースのフランセーズ

Supplément 追加料金 +¥1,500

 

 プリ・フィックスメニューの前菜として、昼夜にお選びいただけます。しかし、すべて飛行機の乗って届けられる特選食材だけに、ご用意には限りがございます。ご希望の場合は、ご予約の際にご希望数をお伝えいただけると幸いです。ご面倒をおかけしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 

特別プラン「三月尽」のご案内です。

 

 日頃より並々ならぬご愛顧を賜っている上に、さらにはこの長文レポートに目を通していただけている皆様の労に報いるためにも、さらに皆様の「口福な食時」のひとときのために、≪三月尽特別プラン≫ をご用意いたしました。期間は、メールを受け取っていただいた日より、2020331日までの平日限定。ご予約は、自分へのメール、もしくは以下のBenoitメールアドレスよりお願いいたします。もちろん電話でも、ご予約は快く承ります。

www.benoit-tokyo.com

三月尽特別プランは331日までです!

ランチ

前菜+メインディッシュ+デザート

3,800円→3,200円(税サ別)

ランチ ※

前菜x2+メインディッシュ+デザート

4,800円→3,800円(税サ別)

ディナー

前菜+メインディッシュ+デザート

6,100円→4,980円(税サ別)

ディナー ※

前菜x2+メインディッシュ+デザート

7,100円→5,520円(税サ別)

プリ・フィックスメニューの料理内容は、当日にメニューをご覧いただきながらお選びいただきます。ご希望人数が8名様以上の場合は、ご相談させてください。

※このプラン価格で、前菜x1+メインディッシュ+デザートx2「夢のダブルデザートプラン」へ変更も可能です。

 

 Benoitは、旬の食材の理を調えることで、美味しさを一皿に表現します。自然が育んだ食材が調理されることで、効率よく栄養を摂取できるかもしれません。さらに、「美味しい」と心が満たされることは、さらなる免疫力向上の手助けになるはずです。庚庚と直面する険難に、旬の食材の力を最大限に生かすように調理した、Benoitの美味なる料理の数々をもって、皆様にはこの険難を乗り越えていただこうと考え、期間限定「旬のお勧め料理」と特別プラン「三月尽」を提案させていただきました。

 

 季節の話題に「梅の花」を選び、ご紹介したのが3月12日のこと。これほどの荒れた天候であれば、桜の開花も遅れるのではないかと、高を括(くく)っていた自分は、桜が花開いたと耳にした時に、慌てふためくことになりました。そういえば、コブシの花が、桜の開花が近いことを教えてくれていた気がいたします。

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 自然機微を感じとれなかった自分を反省し、皆様にはタイミングを逸した感は否めませんが、今回もまた「梅の話」です。前回は式子内親王の歌を紹介させていただき、今回は藤原定家の歌です。彼らの身を置く状況を紐解くと、また違った受け取り方が見えてくるものです。

 

(むめ)の花 にほひをうつす 袖のうへに 軒もる月の かげぞあらそふ  藤原定家

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 さあ、31文字の深い美しい世界へ皆様をご案内いたします。そして、「庚庚」とはどんな意味なのか?気になる方は、ぜひ以下のURLよりブログをご訪問いただけると幸いです。

kitahira.hatenablog.com

 

 暖かい日が続くようです。しかし、「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったものですが、まだまだ油断はできません。十分な休息と睡眠をお心がけください。ウイルス対策もお忘れなきように。いつもながらの長文を読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 

いつもながらの長文を読んでいいただき、誠にありがとうございます。

末筆ではございますは、ご健康とご多幸を、青山の地よりお祈り申し上げます。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com