kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2020年4月Benoit「臨時休業」のご報告です。

 昨今の感染者数の増加に、いまだ収束の兆しが見えておりません。そこで、今週はランチのみの営業を予定しておりましたが、未曾有の「新型コロナウイルス」感染拡大防止のため、以下の予定で営業自粛をさせていただきますことを、ご報告させていただきます。

 

2020年4月14日(火)から28日(火)までの期間、「臨時休業」とさせていただきます。

※さらなる営業時間の変更や短縮の可能性もございます。ウイルス災禍収束のため、皆様にはご理解のほどなにとぞよろしくお願いいたします。

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 皆様より温かい応援のメッセージの数々をいただきました。それを励みに、少しでもお応えしようとスタッフ一丸となり奮闘してまいりましたが、この抗し難いウイルス災禍を前に、少しでも終息の方向へと向かうのであればと、忸怩(じくじ)たる思いの中で、「営業自粛」を決断させていただきました。皆様のご期待にお応えすること叶わず、重ね重ねお詫び申し上げます。

 すでに、ご予約をいただいた方々、Benoitでのお食事を楽しもうかとご検討いただいていた皆様には、多大なるご迷惑をおかけすることになりますが、ご容赦のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。営業再開の際には、自分を含めスタッフ皆が一丸となり、万全準備をもってお迎えいたします。

 

 

ときわぎ

 聞き慣れないこの言葉ですが、漢字で表記すると、「常盤木」です。これは、今でいう常緑樹のことを指し示します。一年中、緑鮮やかな葉を茂らせる「ときわぎ」に、古人は不老長寿の想いを重ね合わせました。今ほど病気に対しての治療知識があるわけでもなく、まして目に見えない疫病などには恐れおののくばかり。「もののけ」や怨霊の仕業ではないか、そう古人が思うのも致し方ないことです。

 「ときわぎ」の中でも、陽にあたり輝かんばかりの果実が目を惹く、柑橘の樹々。古人はこの柑橘類を総称して、「橘(たちばな)」とよんでいました。年中つややかな緑の葉、初夏にはさわやかな香りを放つ白い花を咲かせ、木々眠る季節にたわわに黄金色の実をなすことに、なにか「永遠」なるものを感じていたのでしょう。

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 古事記の中に、垂仁(すいにん)天皇の命により、田道間守(タジマノモリ)が常世の国から持ち帰ったものが「非時香木実(時じくの香の木の実)」、これが今の「橘」だと記載されています。まさに不老不死の理想郷の象徴のような木なのです。

 

橘は 実さへ花さへ その葉さへ 枝(え)に霜ふれど いや常葉(とこよ)の樹  聖武天皇

 

 聖武天皇国分寺の建立、奈良東大寺大仏開眼供養を執り行うなど、仏教に帰依(きえ)しています。大地震、大飢饉や天然痘の大流行などの災禍に、藤原氏の反乱などが加わるなど、日本国内は混乱へと陥りました。これは、聖武天皇ご自身の不徳が致すところ(天人相関説)と考えたのです。

 源平藤橘の四姓と呼ばれる中で、権勢を誇っていた橘家への忖度であるという話もあります。しかし、聖武天皇なればこそ、仏教の助けを得て、平穏無事な世界へと、日本国民皆を導きたいと考えたのではないか。ともすると、橘の樹にみる不老長寿の力を、国民皆とともに分かち合うための願いが込められているのではないでしょうか。

 

 「橘」に、一縷(いちる)の望みを見出したい。日本は柑橘が美味しい時期に入っているからこそ、美味しく旬の食材を食すことで、体の免疫力を上げ「新型コロナウイルス」に対抗する。Benoitでも、熊本県天草から「不知火」と「パール柑(天草文旦)」、宮崎県綾町から「日向夏」が届いています。さらには、「天草晩柑」に見るように、西日本を中心として栽培されている「晩柑」が今期の柑橘最後を飾ります。「橘」は、5月末まで我々を助けてくれます。

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旬の食材には、今、我々が欲している栄養価が満ち満ちています

 

最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

末筆ではございますは、ご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より切にお祈り申し上げます。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com