kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

Benoit特選ワインをテイクアウトしませんか?

 昨今の新型コロナウイルス災禍は、飲食店の弱さをまざまざと見せつけられました。人生を豊かにするうえでもなくてはならないものですが、平穏無事な状況下でしか成り立たないということ。

 4月に約3週間に及ぶ営業自粛で、Benoitの時は止まりました。この緊急措置は、その名の通り計画的なものではありませんでした。凪(な)いでいる大海原で、急ぎ帆を閉じた帆船のようなもの。しかし、急ぎ帆をたたんでしまったため、再度帆を張ってみたところで、風が吹かない限りどうすることもできません。

 毎夜のように、Benoitから怒れる「真っ赤な都庁」を眺めておりました。今はレインボーカラーになったとはいえ、この災禍の収束にはまだ時間が必要なようです。経済が停滞しているように、追い風はまだまだ先のこと。そこで、Benoitは大海原に錨(いかり)を落とし込み、これを巻き上げる力を利用して、出発の行き足をつけようかとおもいます。

 「失われた時」を取り戻すべく、Benoitとして何かできないものかと模索する中で、「テイクアウト」という新領域に足を踏み入れることにいたしました。しかし、時間が経った中でBenoitの料理を美味しくお召し上がりいただけるのか?という難問が脳裏をよぎります。

 そこで、お弁当というスタイルではなく、パックにして皆様にお持ち帰りいただき、お家で「切り分ける」や「温める」という一手間をかけていただくスタイルにて、「テイクアウト」を始めることにいたしました。既存のプリ・フィックスメニューからの抜粋でしたが、今後はテイクアウトのみの料理が登場いたします。参考までに、近日中に「鴨モモ肉のコンフィ」が姿を現します。今のメニューは以下を参照ください。

http://www.benoit-tokyo.com/pdf/2005_Takeout.pdf

 

 過日、政府による飲食店救済の施策として、「期間限定での酒販免許」が公布されました。願ったり叶ったりとはこのことなのでしょう、多忙を極める国税庁の方々のご尽力のおかげで、ワインの販売の許可をいただきました。そう、テイクアウトの品目に、Benoitシェフ・ソムリエ永田が厳選したワインが仲間入りしたのです。

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 保有する自慢のラインナップから、お勧めのワインを随時ご案内させていただきます。その中でも、自分が一押ししたい2種類のワインを以下にご紹介させていただきます。ともに一般に販売しておらず、Benoitのみでの販売を実現したものでです。

 

シャンパーニュalain ducasse

13,540円(税サ込)→10,000円(税込)テイクアウト価格

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 「プライベートシャンパーニュ」というと、既存のシャンパーニュにエチケットだけオリジナルのものを貼り付けたものが、巷に溢れています。そう、中身はシャンパーニュを醸しているメゾンの既存品です。ところが、このシャンパーニュ「alain ducasse」は違う。記憶が定かでないほど時を遡った頃、このシャンパーニュの話を聞いた時、我が耳を疑ったのを鮮明に覚えています。

アラン・デュカスグループ専用に醸造され、ブレンドされたシャンパーニュである」こと。

 シャンパーニュ造りは、ブドウ品種ごとにワインを醸し、年代(ヴィンテージ)違いも含め、ブレンドして瓶詰めしていきます。これに、ドサージュという甘いシロップを加え2回目の発酵に入ります。この2回目の発酵が、魅惑の泡を生み出し、最低3年瓶の中で熟成させることで、ガスがワインに溶け込むのです。そう、シャンパーニュには、最低でも4年の歳月が必要です。

 各シャンパンメゾンは、自分達の威信にかけてスタンダードのシャンパーニュを醸します。ある醸造責任者のコメントが忘れられません。「ヴィンテージシャンパーニュは、ブドウの出来が良かったときのみ醸せばよい。しかし、スタンダードのラインナップは、どんな年でも最高品質で醸さねばならない。これが一番苦労する。」と。これは、シャンパーニュに限ったことではありません。日本酒でも、本醸造が美味しくなければ、その蔵元の吟醸酒は購入しないでしょう。杜氏が一番気をもみ神経をとがらせるのが、スタンダードの「本醸造」です。お手頃の価格で、その蔵元の威信にかけて美味しさを醸さねばならないのです。

 そのシャンパーニュメゾンに、アラン・デュカスグループが依頼をし、ブレンド・熟成がオリジナルとなる、正真正銘の「プライベートシャンパーニュ」を造り上げたのです。それが、このシャンパーニュ「alain ducasse」なのです。快諾したのかどうかは定かではありませんが、この無理難題を引き受けてくださったのが、大手シャンパーニュメゾンの「LANSON」です。

 プライベートシャンパーニュとはいえ、醸したLANSONの評価に影響がでる危険性もあります。それでも、このシャンパーニュが、フランス国内はもちろん、世界各国のグループレストランに送り出されました。なぜでしょうか?一目瞭然ならぬ一口瞭然、「美味しいから」です。

 一般に販売しておらず、グループレストランのみでしか、お楽しみいただけません。さあ、巨匠アラン・デュカスと、グループを統括しているシェフ・ソムリエであるジェラール・マルジョンが、想い描くシャンパーニュ像とはいかほどのものか、気になりませんか?

 

≪クレマン・ド・ブルゴーニュ キュヴ・アニエス  ヴィトー・アルベルティ≫

8,470円(税サ込)→6,800円(税込)テイクアウト価格

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 前述したプライベートシャンパーニュもさることながら、「日本で飲めるのはBenoitだけ」という、こだわりのスパークリングワインのご紹介です。2020年3月から1年間、Benoitのハウス・スパークリングに採用された逸品です。

 このキュヴェ・アニエスは、スパークリングワインの専門家、ヴィトー・アルベルティが手掛ける最高傑作です。コート・ド・ボーヌとシャロネーズの両地区の葡萄シャルドネ種のみで醸され、瓶内熟成もシャンパーニュに匹敵する3年間。華やかな香りと凛とした酸味のバランスが秀逸、いついかなる時に飲んでも、納得していただける美味しさです。

 日本では発売されておらず、直接交渉をして輸入が実現したBenoitシェフ・ソムリエ永田の思い入れのある1本です。これもまた、気になりませんか?

 

 上記2点は、ストック本数に限りがごじます。ご希望の際には、早めにご予約をいただけると幸いです。自分へのメール、もしくは以下のBenoitメールアドレスよりお願いいたします。もちろん電話でも、ご予約は快く承ります。料理とのセットでも、もちろんワインだけでも快く承ります。

www.benoit-tokyo.com

 その他のテイクアウト用に抜粋したワインは、以下を参照ください。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

http://www.benoit-tokyo.com/pdf/2005_Takeout_Wine_A4.pdf

 

 終息の見えないウイルス災禍です。皆様、油断は禁物です。十分な休息と睡眠、「三密」を極力避けるようにお過ごしください。「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク越しではなく、笑いながらお会いできることを楽しみにしております。

 皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より切にお祈り申し上げます。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com