磯釣りでも人気を博すメバル。赤・白・黒メバルと見た目にはなかなか区別のつきにくい魚です。Benoitには、これらのメバルよりも、深場に生息しており、ひときわ美味しいと称される「ウスメバル」が青森県下北半島より届いています。津軽海峡の早い潮の流れの中で育ったウスメバルは、クセの無い淡白な白身で、カサゴの仲間らしいぷりぷりの肉質。今旬を迎えている魚で、あまりにも美味なため、和食でも煮付けで人気を博している魚です。
この美しく輝くオレンジ色と黒の模様が特徴であり、これが鮮度の目安ともなり、時が経つと色がくすんでくるといいます。別称に「筍(たけのこ)メバル」とあるのですが、ウスメバルが筍を食していることはなく、もちろん似ているというわけでもない。ウスメバルの美味しい時期が、ちょうど筍の美味なる時期と重なることもあり、魚の知識に長けた日本人ならではの旬を迎えた美味しい食材につけてしまう「愛称」のようです。とはいえ、ウスメバルと筍はきっと相性もいいのではないかと思わずにはいられません。
Benoitでは、フランスの伝統料理にならい調理してゆきます。魚を知り尽くしたフランス漁師さんの料理と言えば、南仏のブイヤベースが有名です。しかし、漁師さんは南仏だけに存在するのではありません。北仏のロワール地方にもいる。彼らの伝統料理は「ショードレ」と名付けられ、トマトではなく、酪農の産地だからこそ、乳製品を使います。
ウスメバルは、旬だからこその旨味に満ちており、煮てしまってはもったいない。そこで、ぷりっとした身質を生かすように、オリーブオイルを使って表面をパリっと焼き上げ、その後にオーブンを使ってしっとりと焼き上げます。さらに、ハマグリとホッキガイは、白ワインで口を開かせる。この貝の旨味が煮出たジュに、魚のガラから旨味を煮出したジュを加え、軽くクリームを合わせたものが、今回のショードレのソースとなります。
さらに、5月限定でフランスから飛行機の乗って届けられるホワイトアスパラガスが、添える旬野菜の仲間に加わります。ホワイトアスパラガスはロワール地方の特産であり、同郷のよしみではないですが、相性は抜群です。
全ての食材が一堂に会した時、ただ魚介のごった煮のような料理とは一線を画すBenoitのショードレが姿を現します。旬だからこその美味しさを、この機会にお楽しみください。
Chaudrée de MEBARU et COQUILLAGES
メバルと貝類のショードレ
プリ・フィックスメニューの魚料理の選択肢の中で、ランチは+1,500円、ディナーでは+1,000円にてお選びいただけます。しかし、入荷に限りがあるため、ご予約の際にご希望の数量をお伝えいただけると幸いです。※青森県市下北半島のウスメバル、貝類のハマグリとホッキガイは、天候などによる諸状況により産地変更や貝の種類変更の可能性がございます。自然のものゆえ、ご理解のほどなにとぞよろしくお願いいたします。
≪旬の食材とお勧めの料理・デザートのご案内です。≫
万物を育て上げ、四季折々の風はその土地土地に味わいをもたせる。その風のもたらした美味しさこそ「風味」であり、我々はここに「口福な食時」を見出します。そして、旬を迎える食材は、人が必要としている栄養に満ちています。そして、人の体は食べたものでできています。「美しい(令)」季節に春食材が「和」する逸品をお楽しみください。
詳細は、ブログに綴らせていただきます。お時間のある時に以下よりご訪問いただけると幸いです。
≪季節のお話「杜若(かきつばた)の役割とは?」≫
群青と称される「杜若(かきつばた)」が花笑い始めました。花びらを3つ上向きに、うてなを3つ垂れ下がるように、この独特な花姿のこの美しい花は「三英の花」と称され、今も昔も姿はかわりません。古人はこの美しさを見逃しませんでした。多くの歌人が和歌に詠いこんでいます。その中から一首だけご紹介させていただきます。
沼水の あたりも匂ふ かきつばた けふのみ春と みてや帰らむ 藤原定家
今回の季節のお話は、この「杜若」です。定家はどのような思いでこの花を詠ったのでしょう。勝手気ままな自分の解釈ですが、間違ってもいないような気もいたします。お時間のある時に、以下よりブログをご訪問いただけると幸いです。
≪惜春特別プランのご案内です!≫
杜若(かきつばた)が、垣となり去りゆく春という季節ばかりか、旬の食材をも留めてくれています。2021年5月5日に「立夏(りっか)」を迎え、暦の上では夏を迎えますがまだまだ名残惜しい春の味覚をお楽しみいただきたく、「惜春特別プラン」をご案内させていただきます。心ゆくまで、杜若の想いをお受け取り下さい!
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。
今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。
「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご多幸とご健康を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。
ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬