kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2021年5月 Benoit≪特別プラン≫と≪バラ色の人生はバラ一輪≫からの案内です。

 まもなく、関東が梅雨入りします。季節のお話を書くために、日々の通勤や休日での公園散策を続けていると、毎年のように季節の花が順を追って咲き誇ることに気がつきます。至極当然のことながら、伐採や除草剤などの影響がない限り、毎年同じように訪れますが、同じではありません。とかく、桜の開花と梅雨入りについては、「平年より~日早い」や「遅い」が話題なるものです。

 あまりにも便利な「暦」があるために、その「暦」の立場から季節を見てしまう自分がいます。暦とは、1日を1とした単なるに数字の羅列であり、先々のスケジュールを管理するには便利なものです。しかし、そこには大きな季節は垣間見ることができても、反映はしていません。そのため、「開花宣言」や「梅雨入り宣言」で、我々の「暦」に季節をはめ込み、調整を図っているのではないかと思うものです。

f:id:kitahira:20210519214006j:plain

 古人はというと、この発想が逆であった気がいたします。移りゆく季節を感じ取り、暦にあてはめていた。。明治時代に旧暦(月の周期)から新暦(太陽の周期)へ移行する際、もちろん1か月以上もの誤差が生じました。太陽暦では閏(うるう)年には2月29日の「一日」ですが、太陰暦では「一か月」が誕生します。この誤差を埋めるには、暦ではなく、自然の季節主体でなければ、農作業などできようはずもありません。

 都会に住んでいると季節の機微が分からなくなる、そう思っていました。しかし、この能力は、よほどの一部の超人的な能力の持ち主以外、人類は持ち合わせてないのだと思います。そのため、古人は自然の移ろいを察知する能力の長けた賢者にならうようにしていた。それが、野生の動植物でした。

f:id:kitahira:20210519213958j:plain

 動植物の世界に「暦」などはなく、自ら生き抜くために自然の機微を捉えている。暦から見て、「~日早い」ということは、野生の中ではなんら意味をなさないものであり、草木は「このタイミングだ!」と判断し花開き、渡り鳥は旅立つ。ここには何の忖度もなく、生き抜くという本能のみが存在する。古人は、この野生動植物の動きに注視し、農耕の目安にしてきました。そして、「暦」という中に、「二十四節気」や「七十二侯」、さらに「雑節」という季節の言葉を組み込むことで、忘れないようにと心がけたのではないかと思うのです。

 我々日本人のご先祖様は、桜の開花は「田起こし」の目安でした。そして、「半夏生」を迎えるまでに「田植え」を終えていたようです。そう、桜の花が稲作の始まりを教えてくれていました。今年、桜の開花が早まったということは、四季のうつろいが平年よりも早く進むことを教えてくれます。その移ろいが緩慢であろうがなかろうが、花笑う時がそのタイミングであると。

 

むめさくら あまたの花の 春の色を ふぢやまぶきに 眺めはてぬる  伏見院

f:id:kitahira:20210519213955j:plain

 古来より、和歌に多く詠まれる人気の春の花といえば、梅、桜、山吹に藤の4つで、この順に開花してゆきます。どれほど時が経とうが、多少の温暖化の影響があるものの、季節は巡りに巡り、春は毎年のように我々のもとへと訪れてくれる。多くの園芸品種が育種され自生するも、日本固有種である山桜や藤、原種である山吹の姿は、今も昔も変わらないはずです。

 日本の13世紀は、伏見天皇の親政・院政の治世下でした。「梅(むめ)」「桜」と、春を彩る多くの花々も、「藤(ふじ)」「山吹」が殿(しんがり)を担い、夏へと移りゆく。年によって、それぞれの咲き誇る時期と間隔に違いはあるものの、花笑う順もまた、今も昔も変わらないはずです。

f:id:kitahira:20210519214002j:plain

 二季草(にきぐさ/ふたきぐさ)とも呼ばれている藤の花は、小さな花が順を追って咲いてゆくため、晩春から初夏へとまたぐように花期が長い。伏見院は、上述した春の代表花の4種はもちろん、春咲き誇る美しい花々を季節の移ろいとともに、もの思いに耽(ふけ)りながらぼんやりと「眺め」ていたのでしょう。散りゆく藤の花をもって、春を彩った花々も終わりを迎えたのだなあ…と感慨深い。春から夏へと季節が変りゆくことを藤の花から教わり、惜春の想いにかられていたのではないかと思う。

 

 その「藤」の花が落ちるのを見届けるかのように、地にはハート形の可愛い葉が生い茂り始めます。この花は、あまりにも地味で小さく、花びらもない。雄しべ雌しべが密集し小指ほど大きさの花穂、その花穂を包んでいた苞(ほう)と呼ばれるものが白く色変わりし、花が咲くことを虫たちに教えている。厳しい自然界の中で淘汰されぬよう、まさに命にかけて手に入れた能力なのでしょう。

f:id:kitahira:20210519214113j:plain

 庭に自生するとあっというまに生い茂ることと、何といってもその独特の香りがあるがために、忌避されがちなドクダミ。しかし、古来より薬草として親しまれ、近年は内包する多くの有効成分が美肌効果やデトックスの効果を生むのではないかと注目を集めています。まだ10年ほどですが、季節の話を書いているうちに感じたことがあります。このドクダミの花が、梅雨の時期が近づいていることを、我々に教えてくれています。

 

La vie en roseは、La vie avec une roseから!

f:id:kitahira:20210519214012j:plain

 日本人にとって、「花」といえば「サクラ」です。平安期から和歌の世界では「花」は「サクラ」を指し示し、今でもその開花に一喜一憂するほどです。では、お隣の中国はというと、「牡丹(ぼたん)」です。唐獅子牡丹(からじしぼたん)のデザインは、最強コンビを意味し、多くの陶磁器に描かれています。そして遠くフランスではというと、「バラ」です。

 パリ近郊には、数多くのバラ庭園があり、初夏の頃には、豪奢に咲き誇る美しさに圧倒されるものです。日本でも今の時期に花開きますが、規模の面ではフランスとは雲泥の差があり、これはバラへの想いの強さの表れなのでしょう。日本が春の桜並木であれば、フランスは初夏のバラ庭園、これらが住み人々の心を慰(なうさ)める。

 フランスのシャンソン歌手エディット・ピアフの「La vie en rose」という名曲を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。あのゆったりとした抑揚のあるメロディーに、彼女の優し気な落ち着いた甘い声色は、フランスのみならず世界中の人々魅了したことでしょう。

 フランスにならい、La vie en rose(バラ色の人生)には、La vie avec une rose(一輪のバラのある人生)から始めるが良いのではないでしょうか。そこで、Benoitの花束をお願いしている、本店は表参道でパリにも支店のあるお花屋「Pas de Deux(パ・ド・ドゥ)」さんにご協力をいただき、ご希望の方にはバラ一輪を1,000(税込)にてご用意させていただきます。この花屋さんの代表である田島さんは、「フランスでバラの花がない花屋はもぐりよ!」と言い切ります。

f:id:kitahira:20210519214015j:plain

 大切な人にお祝いとして贈るも良し、自分自身への激励として贈るも良し。皆様の人生は二つとないかけがいのないもの。バラ色の人生は、バラ一輪から始めてみませんか。それもPas de Deux(2つとない)が厳選したバラの花で…

※皆様には状態のいいバラをお渡ししたいという田島さんの強い意向があります。ご予約日の3日前までに、ご希望本数を北平までご連絡ください。メール(kitahira@benoit.co.jp)をご利用ください。もちろん、Benoitへの電話(03-6419-4181)でも承ります。

 

コロナに負けるな!Benoit特別プランのご案内です。

 草木の花々は移りゆく季節の機微を捉え、順を追って咲き誇るも、いずれは散りゆきます。食材も同じように「旬」という期間は限られたものであり、「待つ」という優しさはありません。花々であれば「眺めはてぬる」で良いかもしれませんが、こと食材となると、もの思いに耽(ふけ)りながら終わりを迎えるのだな~では寂しい限りです。

 そこで、晩春の食材を「お召しはてぬる」としていただきたく、「惜春(せきしゅん)特別プラン」と銘打って、皆様にご紹介させていただきます。旬の食材には、今我々の欲している栄養が満ち満ちており、美味しくお召し上がりいただくことで、体の中から元気になっていただきたい。そして、気心知れたご家族ご友人との、騒ぐではない「語らい」のひとときは、ただ食事をする以上に心満たされることになり、このコロナ災禍を乗り越える助けになるものと信じています。

惜春特別プラン

ランチ: 前菜x2+メインディッシュ+デザート

6,000円→5,000円(税込/サービス料別)

週末限定ディナー: 前菜x2+メインディッシュ+デザート

8,600円→6,800円(税込/サービス料別)

f:id:kitahira:20210519214337j:plain

  陽が西の山の端(は)に沈みゆき、夜の帳(とばり)が下りてくる。Benoitは、「時短営業」ならびに「酒類提供中止」というとの要請を甘受し、「休業」ではなく「営業継続」という選択肢を選びました。そこで、思い立ったその時に、Benoitへお運びいただきたく、「首夏の夕暮れ特別プラン」を継続させていただきます。

首夏の夕暮れ特別プラン

週末ディナー  前菜+メインディッシュ+デザート

7,500円→5,000円(税込/サービス料別)

f:id:kitahira:20210519214009j:plain

 上記2つのプランは、お一人様でのご利用も喜んで承ります。「語らい」のために、自分が適度にお席にお伺いさせていただきます。期間は、土日を含めた2021531()までです。営業時間についてですが、ランチはいつもと変わりません。しかし、ディナーは、平日は貸切のみとし、週末だけ通常営業を行います。

ランチ

1130分から1530 (1400 ラストオーダー)

週末ディナー ~ ※平日のディナーは、通常営業を行いません。

1700から2000 (1900 ラストオーダー)

※22日土曜日は、ランチ営業はなく18時30分よりディナー開始いたします。

 ご予約は、自分へのメール(kitahira@benoit.co.jp)をご利用ください。お急ぎの場合には、Benoitメールアドレス(benoit-tokyo@benoit.co.jp)より、もちろん電話でもご予約は快く承ります。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

今宵はBenoitで!平日限定の貸切のご案内です。

 Benoitで目に入るものは、スタッフ以外はほぼフランスから届いたもの。其処彼処にアンティークが設(しつら)えられ、どこを向いても絵になる内装が自慢です。ここを皆様のご家族やご友人だけで占有していただきたたく、5月平日ディナー限定でBenoit貸切をご紹介させていただきます。詳細は北平まで、何気兼ねなくご連絡ください!

kitahira.hatenablog.com

 

 北平のBenoit不在の日

f:id:kitahira:20210323231146j:plain

 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない5月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

23()

25()

29()

31()

 上記日程以外は、Benoitを優雅に駆け回る所存です。自分への返信でのご予約はもちろん、BenoitのHPや、他ネットでのご予約の際に、コメントの箇所に「北平」と記載いただけましたら、自慢の料理の数々を語りに伺わせていただきます。自分が不在の日でも、お楽しみいただけるよう万全の準備をさせていただきます。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

f:id:kitahira:20210519214550j:plain

 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com