kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2021年6月 Benoit「料理とワインのマリアージュ解禁!」と「お勧めワイン」のご案内です。

ひとこゑの おぼつかなきに ほととぎす われも聞きつ といふ人もがな 詠者不明

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 ホトトギスは「時鳥」と漢字で書きます。今では渡り鳥であることが周知されているホトトギスですが、昔々は山にこもり5月頃に里に下りてくると考えていたようです。そのため、この鳥の鳴き声は、夏が訪れたという「時」を教えてくれる「鳥」というわけで「時鳥」と。さらに、かつて生活の糧を担う稲作においては、一大イベントである「田植え」の最中、昔は田植え機などあろうはずもなく、難儀な作業だったことでしょう。その労をねぎらうように、はたまた手を止めずに早く植えなさいと急(せ)かすかのように、「時」を告げにくる「鳥」でもあるようです。

 自分が聞いたこともない、聞いたが記憶にない、このホトトギスの鳴き声。耳にはしていないのですが、どうやら我々に「緊急事態宣言解除」と「条件付きながら酒類提供解禁」の「時」を告げに来てくれたようです。この日をどれほど待ち望んだことでしょうか。

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 しかし、業務中ということもあり酒類提供解禁の「ひとこゑ」は、どんな内容だったのか?断片的にBenoitスタッフから言伝される内容は、あまりにも「おぼつかなきに(ぼんやりしていて、はっきりとつかめないので)」、周りに「われも聞きつといふひともがな(誰かはっきりとっ聞いたよ、という人がいてほしいものだ)」と思いながら、サービスに勤しむ自分がいました。証歌取りなどというたいそうなものではない、あまりにも低レベルの言葉遊びなだけに、お恥ずかしい限りですが、ここ数日の自分の気持ちを込めてみました。

 当たり前のことが当たり前ではないこと、今までの日常の日々がいかに恵まれていたことか、コロナウイル災禍が教えてくれた気がいたします。もう十分に痛感したところで、日常の回復に向け第一歩を踏み出そうと思います。「口福な食時」なひとときをお過ごしいただきたく、万全の準備をもって皆様をお迎えいたします。

 

Benoitシェフソムリエ厳選!シャンパーニュロゼワインでバラ色のひとときを!

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 緊急事態宣言下、Benoitは営業継続を決断するも、ワインとのマリアージュが無い食事というものは、困りはしないものの、いかんせん寂しいものでした。栄養を摂るというよりも、美味しい料理とワインは、我々の心も体も満たすことになり、心身共に健康へと導くのだと、このフランスの格言は教えてくれる。

Avec bon pain, bonne chère et bon vin, on peut envoyer promener la medecine.

「美味しいパン、美味しい料理、美味しワインがあれば、我々は薬を手放すことができる(医者いらず)」

 東西を問わず同じような格言があることを思うと、「過剰摂取」でなければ、あながち間違っているわけではない、そう確信しています。そこで、Benoitシェフソムリエ永田が、この夏にお楽しみいただきたく、選びに選んだ2種を特別価格でご紹介させていただきます。

 

 旧名シャンパーニュ地方のアイ村に1860年から本拠地を持つ老舗シャンパーニュメゾン「AYALA(アヤラ)」。彼らのシャンパーニュの特徴はシャルドネ種にあり。アイ村のシャルドネは果実味があり、酸味が柔らか。そこに、ピノ・ノワール種を合わせてつくる、その作りは常にエレガントであり人々を魅了し続けています。

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AYALA BRUT MILLÉSIMÉ 2007

10,000(税込/サービス料別)

 良年のみ醸されるミレジム。2007年の出来は称賛に値する、素晴らしい香りと堂々とした味わいピノ・ノワールの力強さとアルコール感に、シャルドネによる魅力的なフレッシュ感とエレガントさが加わっています。 ハチミツ・アカシア・トースト香・クリのデリケートな香りです。このミレジムはアイ村・特級のピノ・ノワール種をベースとしており、熟成感も感じられ、素晴らしい香りと堂々とした味わいの見事なシャンパーニュです。

※本数に限りがございます。ご希望の際には、このメールへの返信でご希望本数をお伝えいただけると幸いです。

 

 フランスでのワイン消費量の順位は赤➔白➔ロゼと続いていました。皆様のワインのお好みや、家での消費も変わらないのではないでしょうか。ところが、続いていまし「た」と書いたように、3年ほど前に順位が入れ替わったのです、赤➔ロゼ➔白と。どうも我々日本人はロゼワインが甘口でワイン初心者向けだという偏見が付きまといます。フランスの方々が、このような偏見をもっていようはずもなく、彼らは純粋に美味しい料理と美味しいワインを楽しむという、至極明快な理由でワインを選びます。

 フランスも日本も北半球に位置しているだけに、これから真夏を迎えます。まして、日本は梅雨時期にあり、じっとりムシムシの日々、さらに猛暑が待っているかと思うと、気が滅入ってしまうものです。だからこそ、キリっと冷やした芯のある辛口のロゼワインをお楽しいいただきたいのです。フランスで、ワイン消費量の順位が入れ替わった理由は、このワインが教えてくれるはずです。

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2018 Côtes de Provance  La Vie en Rose Ch.Roubin

6,000(税込/サービス料別)

 フランスンのプロヴァンス地方は、言わずと知れたロゼワインの銘醸地です。「La Vie en Rose (ラ・ヴィ・アン・ローズ)」と銘打たれたこのロゼワインは、真っ赤なバラ色のワインではなく、「バラ色の人生」のひとときをこのワインを通して感じていただきたいのでしょう。輝かんばかりの淡いロゼ色の美しさに魅せられる。花畑の中にいるかのような香りに包まれるも、その片隅に植栽されているのかアニスの香りを感じ取れる。爽やかで繊細な味わいは、一口目から我々をプロヴァンへと引き込んでいくかのよう。

 ボトルが空になる頃ともなると…目を閉じれば、遠く地中海の潮騒(しおさい)が聞こえてくる…かもしれません。

 

営業時間変更のご案内です。

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 昨今の日本の状況を鑑み、Benoitでは、考えうるウイルス対策を徹底し、ランチは通常営業を継続し、ディナーは時間を短縮して営業させていただきます。さらに、この度の「蔓延防止等重点措置」による都の要請に従い、条件付きながら酒類の提供を621()の営業より始めさせていただきます

ランチ

1130分から1600 (1430 ラストオーダー)

ディナー

1700分から2000 (1900 ラストオーダー)

 ご予約以外にも、何かご要望・質問などございましたら、このメール(kitahira@benoit.co.jp)への返信をご利用ください。もちろん電話(Benoit東京 03-6419-4191)でも快く承ります。

 

≪今宵はBenoitで! Benoitの個室を貸切しませんか?≫

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 夜の帳(とばり)が下りてゆくのをBenoitの窓越しに眺め、美味しい料理に舌鼓をうち、気心知れた仲間内で、騒ぐではない「語らい」のひとときを過ごしていただきたい。そこで、平日ディナーはBenoitの個室を占有していただきたく。「今宵はBenoitで!個室貸切」をご案内させていただきます。

 

皆様が気になる価格: 営業補償ということで8万円(税込/サービス料別)

期間: 730()までの平日ディナー限定

ご利用人数: 人数は問いません。

お時間: 170020:00まで

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 ここで、ポイントとなる「営業補償」を説明させていただきます。これは、お部屋代というわけではなく、提示させていただいた金額をご飲食代でご利用いただきけませんか、というものです。分かり難いので、以下に例をあげて説明させていただきます。以下の価格は、消費税込みサービス料別です。

~ 平日ディナーを4名様(2名様2組)で貸切る場合 ~

ディナーのプリ・フィックスメニューから、2名様が10,000円(前菜x1主菜x2デザートx1)のコースで2名様が8,600円(前菜x1主菜x2デザートx1)のコースをお選びいただくと、

10,000x2=20,000

8,600x2=17,200

合計は37,200円

メニューの中には、追加料金が必要な料理をお牛ランプのステーキ(+1,500円)や仔羊のロースト(+1,200円)、魚介では魚のスープ(+800円)やオマールエビ(+1,500円)など、魅力的な料理がメニューに名を連ねております。皆様が何をお選びいただくかにもよるのですが、今回は合計で10,000円ほど追加してみます。

合計は47,200円

営業補償との差額分32,800円以上を、お飲み物でのご利用をお願いいたします。

 

ひとこゑは おぼつかなきを ほととぎす われも聞きぬ といふ人もがな  宗良親王

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 緊急事態宣言解除され、東京都から蔓延防止等重点措置の指針が発表されました。「ひとこゑ(ひとづてに一度耳にしただけ)」では、条件付きの酒類提供解除であるために、「おぼつかなきを(実情がつかめず不安)」を払拭できません。誰かはっきりと理解できたよという人がいてほしいものだ…と、ついつい心中を吐露させていただきました。

 

 冒頭の一首といい、この一首といい、なにを言っているのか?季節のお話で解説させていただきました。お時間のある時に、以下よりご訪問いただけると幸いです。

kitahira.hatenablog.com

 

 6月1日に「衣がえ」を迎えました。これは季節が大きく変わることを意味しています。季節の変化は、我々の衣服などという些細なことよりも、自然環境に与える影響のほうが大きいでしょう。この自然の機微を捉え、人類以外の生きとし生けるものは成長してゆきます。その成長の末に実を成すのが野菜や果物であり、栄養を蓄えるようにたらふく食してふくよかになるのが魚介です。そして、我々はこれを「旬食材」と呼んでいます。

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 旬の食材は、今我々が欲している栄養が満ち満ちています。これを「美味しく」「楽しく」摂ることは、心身共に満たされることとなり、免疫力を堅持することを約束してくれることでしょう。そこで、Benoitでの「口福な食時」のひとときを過ごしていただくため、「旬の食材」と「お勧め料理」をご紹介させていただきます。

kitahira.hatenablog.com

 

 最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご多幸とご健康を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com