kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2022年6月7月Benoit東京 春過ぎて夏来たるらし…6月7月≪特別プラン≫と≪お勧料≫のご案内です。

 マスクを着けての外出が常態化している昨今にありながら、バニラビーンズを想わせる甘い重厚な香りに散歩の足が止まります。その香りの先には、緑濃い葉の群(むら)の中で大輪を咲かしている樹がありました。厚みのある真っ白な花びらをもつこの花は、曇天だからこそ目を惹く美しさであるばかりか、香りが香りだけにお菓子でできているのではないかと思ってしまうほど。

 日本の「三大香木」とは、花開くと芳しい香りを周囲にはなつ樹のことを指し、春が「ジンチョウゲ」で秋が「キンモクセイ」、夏はこの「クチナシ」です。その花のまわりに漂う「うっとりとする妖艶な香り」は、急いてる気持ちを忘れてしまうほど、リラックスしすぎてしまう、ただただこの香りに溺れてゆく自分がいます。

 日本原産のクチナシ。一重咲きと八重咲きの2種類あり、前者のみ実を成すといいます。この実を乾燥させたものは、「山梔子(さんしし)」や「梔子(しし)」とよばれ、漢方の生薬として活用され、真っ白な花からは想像もつかない、赤みがかった黄色の「梔子(くちなし)色」の染料へ。さらには、染物ばかりではなく、和菓子やたくあんなどの色付けにも使用されています。残念ながら、花から魅惑の香成分はいまだ抽出できていません。

 

春過ぎて 夏来たるらし

 「らし」は客観的な根拠に基づく現在推定の意を持ちます。何かを見て、感じて、味わうことで知り得た情報を根拠に、「春が過ぎて、とうとう夏がやって来たようだな~」という意味になります。

 都会の喧騒の中でも、何気なく目にした草木から季節の到来を感じることができます。桜が咲けば春、黄葉・紅葉は秋、木枯らしで葉を散らした樹々で冬。今の時期では、ドクダミアジサイ、冒頭でご紹介した芳しい香りでも魅了するクチナシは、夏本番を迎えるまえの梅雨時期であることを我々に教えてくれます。

 そして、楽しかった記憶とともに、思い出深い地が脳裏に鮮明に浮かび上がってくるのではないでしょうか。小学校や中学校、近くの公園、家族や友人と訪れた旅先の地などなど…四季折々の風情豊かな日本だからこそ、そしてその地で育ってきたからこそ感じることができるのでしょう。

 「春過ぎて夏来たるらし」、年を経るほどに深まってゆくこの感性を大切にしてゆきたいものです。

 

首夏特別プランのご案内です。

 コロナ禍での不自由な生活も、はや3年目を迎えました。そのような人間を横目に見ながら、四季は巡り去ってゆきます。日本人は、季節の移ろいを、陽射しや風を肌で、順を追って咲き誇る花々や、青々と茂る叢叢(むらむら)の様を目で、風や雨の音を耳で、風が運んでくる香を鼻で、旬の食材で季節の美味しさを口で楽しむ。季節を五感で感じ取ることで、体を順応させているのではないかと思うのです。家にこもってばかりでは体調がすぐれない理由は、これではないかと思うのです。

 そこで、皆様には迎える猛暑な日々を乗り越えていただきたく、「首夏」と銘打った特別プランをご用意いたしまします。旬の食材は、今我々が欲している栄養が満ち満ちている上に、美味しいものです。その一つ一つを味わうことで、「春過ぎて夏来たるらし」と感じ入っていただければ幸いです。

 

首夏特別プラン

期間:土日を含めた2022731()まで

 

ランチ

① 前菜x2+メインディッシュ+デザート

6,000円→5,400円(税込/サービス料別)

※前菜を1つにし、デザートを2つ選べるプランに変更できます。

② 前菜+メインディッシュx2+デザート

7,500円→6,600円(税込/サービス料別)

 

ディナー

③ 前菜x2+メインディッシュ+デザート

8,600円→7,600円(税込/サービス料別)

※前菜を1つにし、デザートを2つ選べるプランに変更できます。

④ 前菜+メインディッシュx2+デザート

10,000円→8,800円(税込/サービス料別)

 

 その他にもケーキ付プランなどもございます。詳細は以下のURLよりBenoitの予約サイトを参照ください。ご希望日のご予約が取れない場合でも、まだお席が残っている可能性もございます。その時は、何気兼ねなく自分へ返信、もしくBenoitへご連絡(03-6419-4181)ください。ご要望や質問なども、喜んで承ります。

 

 

≪季節の話 「白妙(しろたえ)の衣とは?」≫

春過ぎて 夏来たるらし 白妙(しろたえ) 衣乾(ころもほ)したり 天の香具山

 この歌は、万葉集に綴られている持統天皇の秀歌です。おや?と感じた方は、百人一首を諳(そら)んじることのできる方ではないではないでしょうか。平安時代に、一部言葉遣いが変更されているのです。なぜでしょう?解くカギは「白妙の衣」なのですが、そもそもこの言葉はなんのことなのか?昔話ででてくる「天女の羽衣(はごろも)」のことなのか?皆様、気になりませんか?

 

≪旬の食材とお勧め料理のご案内です!≫

 草木の花々は移りゆく季節の機微を捉え、順を追って咲き誇るもいずれは散りゆきます。食材も同じように「旬」という期間は限られたものであり、「待つ」という優しさはありません。そこで、全ての旬食材は無理でも、Benoitの要望に応えてくれた逸材でこしらえた「旬の味覚」をご用意いたしました。お勧め料理を、皆様にご紹介させていただきます。

 

Soupe de POISSON de roche, rouille et croûtons aillés

魚のスープ ルイユとクルトン

※プリ・フィックスメニューの前菜として、ランチ+1,000円/ディナー+800円でお選びいただけます。

 

VICHYSSOISE rafraîchie, garniture taillée

ジャガイモの冷製スープ “ヴィシソワーズ”

※ランチとディナーのプリ・フィックスメニュー、前菜としてお選びいただけます。

 

Ratatouille de légumes du soleil, œuf mollet

夏野菜の冷たいラタトゥイユと半熟卵

※ランチのプリ・フィックスメニュー、前菜としてお選びいただけます。

 

Poulpe marinée, légumes à la grecque

天草産真タコと野菜のマリネ ギリシャ

※ディナーのプリ・フィックスメニュー、前菜としてお選びいただけます。

 

TERRINE DE FOIE DE VOLAILLE, pain toasté

鶏レバーのテリーヌ

※ランチのプリ・フィックスメニューの前菜としてお選びいただけます。ディナーでは、「サラダ・グルマン」の付け合わせとして登場いたします。

 

ISAKI au plat, légumes verts, sucs de cuisson

イサキのソテー 緑野菜

※ランチとディナー、ともにプリ・フィックスメニューの魚料理としてお選びいただけます。

 

Poêlée de calamars au piment d’Espelette, garniture d’une basquaise

下関産剣先イカポワレ パプリカのピペラード バスク

※ランチとディナー、ともにプリ・フィックスメニューの魚料理としてお選びいただけます。

 

AGNEAU rôti, légumes gratinés

仔羊のロースト 野菜のグラチネ

※プリ・フィックスメニューの肉料理として、ランチ+1,500円/ディナー+1,200円でお選びいただけます。

 

Joues de cochon cuisinées longuement, courgettes et pâtes fraîches

豚ホホ肉の煮込み ズッキーニとフレッシュパスタ

※ディナーのプリ・フィックスメニュー、前菜としてお選びいただけます。

 

Longe de cochon de Gifu au sautoir, fenouil cuit et cru

岐阜県ボーノポークロース肉のソテー ウイキョウ タジャスカオリーブ風味

※ディナーのプリ・フィックスメニュー、前菜としてお選びいただけます。

 

CAMEMBERT Bries de mer

カマンベール ブリーズ・ド・メール

※ランチでもディナーでも、ご希望の際にはスタッフにお声かけください。800円(税込)~でご用意させていただきます。

 

 話しが長くなるため、今回は料理の画像と名前だけを紹介させていただきました。これでは物足りない!とお思いの方は、詳細をブログに書き綴っております。どのような食材で、どう調理しているのか?お時間のある時に、以下のURLよりご訪問いただけると幸いです。

 

北平のBenoit不在の日

 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない7月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

  関東は梅雨明けを迎えました。猛暑な日々に加え、不安定な天気は、知らず知らずのうちに体力を奪ってゆくものです。さらに、疲労・ストレスなどが原因による免疫力の低下を招きます。皆様、十分な休息と休養をお心がけください。そして、こまめな休憩と給水をお忘れなきように。

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

http://www.benoit-tokyo.com