kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2024年4月 季節のお話≪催花雨≫とBenoitからのご案内です。

催花雨(さいかう)」

 生きとし生けるものに必要不可欠なもののひとつが「水」で、これは雨によってもたらされます。時に猛威を振るい、甚大なる被害をもたらすも、豊富な雨無くして自然豊かな日本はありえないもの。まして、日本人は農耕民族だからこそ、雨の大切さを身をもって知っている。そのため、往古より日本の雨には、敬愛の念をもって多くの愛称がつけられています。

 冒頭の「催花雨」は、まさにこの漢字のごとく、<花>咲くことを<催(もよお)>す<雨>のこと。では、この「花」と何か?

 昔々の万葉の時代には、古代中国文明の影響が強く、「花」といえば中国より渡来してきた「梅」のことでした。しかし、平安時代ともなると日本語の根幹をなす「ひらがな」が誕生することで、日本文化が興隆(こうりゅう)するのです。日本への回帰というのか、素晴らしき日本を再認識しようというのでしょうか。この時代から、「花」といえば日本固有品種である「桜(ヤマザクラ)」を指すようになったのです。

 古人は、春の予兆を感じつつも、まだまだのんびりしている桜の樹に、しとしとと降る雨が花咲くことを催促(さいぞく)していると見たのです。三寒四温という時期にあり、降り続ける雨には辟易としてしまうもの。しかし、この雨が待ち望む桜が笑うことを催促してくれていると考えると、降り続ける雨の光景も、まんざら悪いものでもない気がいたします。

(かすみ)しく このめ春雨(はるさめ) ふるごとに 花のたもとは ほころびにけり  藤原顕季(あきすえ)

 

 歌中に整然と並べられた技巧を凝らした言葉遊び、この31文字の中によくも組み込んだものかと感服するばかりです。「このめ春雨ふるごとに」とは、「はる」を繰り返して読むことで、<木の芽張る><春雨降るごとに>となるのだという。さらに、袂(たもと)とは、和服の袖、下に垂れ下がった場所のことをいう。袖に手を通すとき、進みゆく手に従って袂が膨らんでくる。その袖の綻(ほころ)びから、手の一部が見て取れる…花の「つぼみ」が、花咲くために膨らむことで、ほのかな隙間から花の片鱗を覗かせていることを表現しているのでしょう。

 「木の芽張る」が、まだまだしっかりと外皮で守られた「つぼみ」のことであれば、「莟(つぼみ)」と書きます。これが、「催花雨」たらん春の雨が降るたびに、今か今かと花に押されるかのように膨らんだ「つぼみ」となると、「蕾(つぼみ)」と書くのです。この莟から蕾へと移りゆく時(とき)の経過をも歌に込めているかのよう。

 さらに、「ほころぶ」には、「顔がほころぶ」や「口元がほころぶ」のように、自然と笑みがこぼれるという意味もあります。花が咲くことを「花笑(はなわら)う」という表現を使います。なんと的を射た、美しい表現だと思いませんか。この「花笑う」という表現があるからなのか、花笑う前の膨らんだ芽を「蕾がほころぶ」という。ともすると、蕾からほんの少しだけ花が姿を見せたときは、「花微笑(はなほほえ)む」といってもいいのでは?

 春の到来を教えてくれる霞がたなびく中で、まだまだ張っているように堅い「莟」であったものが、しとしとと春雨が降るたびにほころびはじめ「蕾」となってきたようだ。もう数日で花笑うのだろうな~…この光景を眺めていた藤原季通の表情も、ほころんでいたことでしょう。

 往古より、「春に三日の晴れなし」と言い伝えられているほどに、不安定な天気が春という時期なのでしょう。しかし、昨今の「春の雨」は、しとしとと降る「春雨」とは言い難いものです。さらに、三寒四温という時期ではありながら、この寒暖差も激しさを増しているきがいたします。思うに、体調を崩した地球が、自ら回復へと強引に調整しているのか?何はともあれ、皆様無理は禁物です。十分な休息と休養をお心がけください。そして、十分な防寒対策の元、「花大笑い(満開の桜)」をお楽しみください。

 

余談ですが…

 なぜ、我々日本人は、ここまで桜に心惹かれるのでしょう?そもそも、なぜサクラと呼ぶのでしょう?そして、「花より団子」という愛(いと)おしい表現は、どうして生まれたのでしょう?少しばかり紐解いてみました。お時間のある時に以下よりご訪問いただけると幸いです。

kitahira.hatenablog.com

 

Champagneの地からBenoitに集う、3人の若きアルチザン!≫

 シャンパーニュの世界では長らく大手メゾンが主役の座を誇示してきました。彼らがその存在を広く世界に認知させ、愛される特別な飲み物として確固たる地位を築き、シャンパーニュというブランドを確立してきました。この大手メゾンが台頭する中で、家族ぐるみという最小規模で粛々とシャンパーニュを醸し続けていた人々がいる。彼らは、なんのしがらみもなく、ただ自分が美味しいと思うものを追い求め続けことができた。それが、大手メゾンが表現することが難しい個性となり、それが他に類を見ない美味しさを導いてくることになるのです。ここ数年で、シャンパーニュも「造り手」に脚光が浴びるようになってきたことは、この美味しさに多くの人が気づいたことに他なりません。

 そこで、シャンパーニュの銘醸地として名高い3地域。それぞれの地に居を構え、職人的栽培醸造家と称される3人、のアルチザン、Pierre Paillard (ピエール・パイヤール) Antoine(アントワーヌ)氏に、Doyard (ドワイヤール) Guillaume(ギヨーム)氏、そしてCaze Thibaut (カゼ・ティボー) Fabien(ファビアン)氏がBenoitに集(つど)う。すでに世界のワイン評論家から一目置かれている彼らが一堂に会する機会など、そうそうあるものではりません。自分が語るのとはわけが違う、彼らの口から発せられる言の葉一枚一枚によって、彼らの醸したシャンパーニュの輝きが増すはずです。Benoit自慢の料理とともに、大いにお楽しみください。

 

アルチザンによるシャンパーニュの饗宴/競宴

開催日: 202446()

時間: 18:00会場 18:30スタート

料金: 25,000(サービス料/税込) ※お食事とワインを含みます。

※生産者が各テーブルに順次着席する ため、皆様には相席をお願することになります。個別のお席がご希望の際は、ご予約時にお伝えいただければ、喜んでご用意させていただきます。

 

 それぞれのアルチザンと、今回お楽しみいただくシャンパーニュのラインナップをブログに綴っております。どうしようとお悩みの方は、ぜひ以下よりご訪問ください。彼らに魅せられると同時に、今回のパーティーが、どれほど貴重であるかを知ることができると思います。

kitahira.hatenablog.com

 

≪テーブルマナーを知っていても、見初(みそ)むる心地のする講習会です!

 其処彼処(そこかしこ)で開催しているテーブルマナー講習会であれば、自分は皆様へご案内することはありません。

 日本人が、ついついやってしまうことを、笑いを込めながら教えてくれ、毎度のように「やっちまった~」と笑いが、部屋の仕切りとなるカーテンの隙間から漏れ聞こえてくる。このようなテーブルマナー講習会があったであろうか。だからこそ、皆様にご案内させていただくのです。

 

世界基準の一流を学ぶ 「テーブルマナー講座」

開催日: 2024

4月 8()/27()

5月 5()/26()

7月 20()/29()

すべてが単独での開催で、すべてに申し込む必要はありません。

時間: 11:30より講義を始めます。 

11:10までにお運びください。終了予定は15時15分を予定しております。

料金: 20,000(サービス料/税込) 食事とワイン2杯を含みます。

※ 7月29日(月)の開催のみ料金18,000円です。

※事前振込制です。ご希望の日程がございましたら、北平宛(kitahira@benoit.co.jp)にご連絡ください。質問なども喜んで承ります。この講習会に関しては、電話でのご予約は受け付けておりません。

 

 いったいどのような講習会なのか?吉門先生のご紹介を含め、ブログに詳細を綴っております。人生が変わるといっても過言ではありません。気になる方は、ぜひ以下よりブログを参照ください。

kitahira.hatenablog.com

 

北平のBenoit不在の日

 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない4月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

kitahira.hatenablog.com

 

 バランスの良い美味しい料理を日頃からとることは、病気の治癒や予防につながる。この考えは、「医食同源」という言葉で言い表されます。この言葉は、古代中国の賢人が唱えた「食薬同源」をもとにして日本で造られたものだといいます。では、なにがバランスのとれた料理なのでしょうか?栄養面だけ見れば、サプリメントだけで完璧な健康を手に入れることができそうな気もしますが、これでは不十分であることを、すでに皆様はご存じかと思います。

 季節の変わり目は、体調を崩しやすいという先人の教えの通り、四季それぞれの気候に順応するために、体の中では細胞ひとつひとつが「健康」という平衡を保とうとする。では、その細胞を手助けするためには、どうしたらよいのか?それは、季節に応じて必要となる栄養を摂ること。その必要な栄養とは…「旬の食材」がそれを持ち合わせている。

 その旬の食材を美味しくいただくことが、心身を健康な姿へと導くことになるはずです。さあ、足の赴くままにBenoitへお運びください。旬の食材を使った、自慢の料理やデザートでお迎えいたします。

 

 ダイレクトメールでのご案内をご希望の方は、以下よりメールアドレスの登録をお願いいたします。

メールマガジン 購読申込用フォーム

 

最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。皆様のご健康とご多幸を祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com