kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2021年 Benoit≪営業時間の変更≫と≪新春特別プラン≫のご案内です。

 新しい年を迎え、皆様はご自宅のある地を守る氏神様へ初詣をされたのではないでしょうか。旧年のお礼とご報告、そして新年も引きご加護を賜りますようにとお願いされたことと思います。願いを受ける氏神様におかれましては、「新型コロナウイルス災禍の収束」という願いが一番多かったことでしょう。

 仏教信仰の中で、一番多く目にすることができるのは、地蔵菩薩(ぼさつ)を祀る「お地蔵さん」ではないでしょうか。では、神様では「祠(ほこら)」以外にはないものかと思案してみる。皆様のお住いの地でも、大通りに面した地や、家々が密集してる地の辻(つじ)など、其処此処(そこここ)に鎮座し、ひっそりと我々を守ってくれている神様がいます。

 さて、この神様とは?詳細はブログに書き綴っております。お時間のある時にご訪問いただけると幸いです。

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≪営業時間変更のお願いです。≫

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 昨今の新型コロナウイルス災禍は、飲食店の弱さをまざまざと見せつけられました。人生を豊かにする上で、飲食店はなくてはならないものですが、平穏無事な状況下でしか成り立たないということ。順風満帆とは程遠い状況下に陥りました。今のBenoitは、この災禍の嵐に抗すべく、急ぎ帆を閉じ荒海の中に漂っている帆船のようなものでしょうか。

 自走できる船とは違い、風を頼りに進む帆船は、港に停泊するさいに錨をおろし、出発の際にこの碇を巻き上げる力を利用して、行き足をつけます。海が凪(な)いでいるとき、いざ出発しようにも、行き足のつかない帆船では、弱弱しい風ではどうすることもできません。

 そこで、Benoitは暴風雨の際には帆をたたみ、碇を海に沈めることで耐え抜き、少しでも海が穏やかになったときに、碇を巻き上げることで行き足を付け、皆様のご期待という風を受けとめるように、真帆片帆(まほかたほ)と大海原を進んでゆこうと思います。

 昨今の日本の状況を鑑み、誠に勝手ながら、Benoitの「平日ディナー営業を自粛」させていただきます。皆様には、多大なご迷惑をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。期限につきましては、緊急事態宣言および、都の要請に従わせていただきます。

 未曾有のウイルス災禍の収束に、緊急事態宣言は致し方ないことだと十分に理解しております。しかし、漂ってばかりでは一向に前へ進むことはできません。さらに、旬の食材は時を待ってはくれません。Benoitでは、前述しました考えうるウイルス対策を徹底し、ランチの時間は営業を継続させていただきます。

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≪ランチ≫ 1130分から1600 (1430 ラストオーダー)

≪平日ディナー≫ 営業を自粛させていただきます。

≪週末・祝日ディナー≫ 1700分から2000 (1900 ラストオーダー)

 

≪新春特別プランのご案内です。≫

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 万物を育て上げ、四季折々の風はその土地土地に味わいをもたせる。その風のもたらした美味しさこそ「風味」であり、我々はここに「口福な食時」を見出します。そして、旬を迎える食材は、人が必要としている栄養に満ちています。そして、人の体は食べたものでできています。「美しい(令)」季節に冬食材が「和」する逸品に出会い、

 そこで、日頃より並々ならぬご愛顧を賜っている上に、自分よりご案内している長文レポートに目を通していただけている皆様の労に報いるため、旬の食材をつかった美味なる料理を食することで、無事息災に日々を過ごしていただきたい、との想いを込め、≪新春特別プラン≫をご案内させていただきます。期間は、メールを受け取っていただいた日より、202127日(日)まで。ご予約は、このメール(kitahira@benoit.co.jp)への返信をご利用ください。お急ぎの場合には、Benoitメールアドレス(benoit-tokyo@benoit.co.jp)より、もちろん電話でもご予約は快く承ります。

 

新春特別プラン

ランチ

前菜x2+メインディッシュ+デザート

5,500円→4,200円(税サ別)

週末・祝日ディナー

前菜x2+メインディッシュ+デザート

7,800円→6,200円(税サ別)

※プリ・フィックスメニューの料理内容は、当日にメニューをご覧いただきながらお選びいただきます。ご希望人数が8名様以上の場合は、ご相談させてください。

 

 さらに、Benoitシェフソムリエからのお誘いがございます。蔵元さんと直接交渉をすることで、輸入が実現した、Benoitでしか購入できないスパークリングワインを、新春特別プランととともにお楽しみいただきたく、特別価格にてご案内させていただきます。

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Crémant de Bourgogne Cuvée Agnès  Vitteaut-Alberti  4,000(税サ別)

 このキュヴェ・アニエスは、スパークリングワインの専門家、ヴィトー・アルベルティが手掛ける最高傑作です。コート・ド・ボーヌとシャロネーズの両地区の葡萄シャルドネ種のみで醸され、瓶内熟成もシャンパーニュに匹敵する3年間。華やかな香りと凛とした酸味のバランスが秀逸、いついかなる時に飲んでも、納得していただける美味しさです。

※本数に限りがございます。ご希望の際には、このメールへの返信でご希望本数をお伝えいただけると幸いです。

 

≪北平のBenoit不在の日≫

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 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない1月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

17(日)

22日(金)

24日(日)

26日(火)

 上記日程以外は、Benoitを優雅に駆け回る所存です。自分への返信でのご予約はもちろん、BenoitのHPや、他ネットでのご予約の際に、コメントの箇所に「北平」と記載いただけましたら、自慢の料理の数々を語りに伺わせていただきます。

 皆様にお会いする機会を賜りながら、自ら放棄する無礼、ご容赦のほどよろしくお願いいたします。自分が不在の日でも、お楽しみいただけるよう万全の準備をさせていただきます。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

 最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご多幸とご健康を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com

季節のお話「さえの神」

 新しい年を迎え、皆様はご自宅のある地を守る氏神様へ初詣をされたのではないでしょうか。旧年のお礼とご報告、そして新年も引きご加護を賜りますようにとお願いされたことと思います。願いを受ける氏神様におかれましては、「新型コロナウイルス災禍の収束」という願いが一番多かったことでしょう。

 神社仏閣とは、神様を祀(まつ)っている建物と仏様を祀っている建物のことをいいます。前者が神社であり、後者が仏閣です。「お社(やしろ)」に神を祀り、まわりを樹々が囲む。この樹々は杜(もり)と呼ばれ、神格化された地との境をなしているという。「閣」は「たかどの」との訓読みがあり、立派な建物のこといいます。確かに、神社や寺院が集まる信仰の中心地ではない地域であれば、大小さまざまなお社に比べ、お寺さんは大きな建物で数が少ないでしょうか。小さいお社の「祠(ほこら)」とのなると、さらに多くなります。

 仏教信仰の中で、一番多く目にすることができるのは、地蔵菩薩(ぼさつ)を祀る「お地蔵さん」ではないでしょうか。では、神様では「祠」以外にはないものかと思案してみる。皆様のお住いの地でも、大通りに面した地や、家々が密集してる地の辻(つじ)など、其処此処(そこここ)に鎮座し、ひっそりと我々を守ってくれている神様がいます。

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さえの神」です。

 昔の日本人は、疫病などのよからぬ災厄は悪霊の仕業であると考えました。その悪霊が、自分達の村に入らないように、出入り口なる道端に祀ったのが、この「さえの神」です。この神様は「道祖神(どうそじん)」とも呼ばれています。冷徹さが「冴(さ)え」る神様、ではありません。「さえ」は「さう」という動詞の名詞形です。この「さう」は、「障(さは)る」の原型で、「自由な行動の妨げとなる/邪魔をする」ということ。何をどうしたらよいのかさっぱり分からない。そこで、古人は疫病をもたらす悪霊の侵入を防ぐために、村の出入り口「邪魔をしてくださる神」を祀りました。

 ご自宅から出勤や通学されるとき、散策に出かけられるとき、普段は見過ごしてしまう場所に、目を向けていただきたいです。そこに、「さえの神」はひっそりと佇(たたず)み、我々を見守ってくれています。そして、思いのほか数多く、多様な姿で「さえの神」と出会うことができるはずです。そこは、かつては村へ入る道であり、長きにわたり村人の切なる願いを託され、悪霊の村への侵入を「さえ」をしてくださったのです。

 目に見えず得体の知れないものに恐れおののくことは、今も昔も変わりません。しかし、科学の発展は多くのことを解決に導き、我々に安心感を与えてくれました。未曾有の新型コロナウイルスにしても、収束の兆しこそまだ見えないものの、少しずつ解明されてきています。

 日本の新型コロナウイルス罹患者は、ここにきて増加の一途を辿っています。しかし、他国に比べると、感染者の増加は遅々としたもの。これは、「さえの神」が邪魔をしてくれていたのかもしれません。しかし、問題の解決はしてはくれません。「感染の邪魔をし、このウイルスを調べる時間を少しは稼ぐことができたはず。次は君たちの番だ!」と。多くの情報が錯綜するなかで、「さえ」の神は我々に「智慧(ちえ)」をもって情報を見極め、行動に移すことを求めています。

 

 迷惑千万なウイルスが、Benoitに侵入することを妨げる、まさに「Benoitのさえの神」は、10階と11階に鎮座しております。ともに、音を発するわけでもなく、風を巻き起こすわけでもなく、あまりにも静かなために、効果があるのか心配になるほどです。しかし、それぞれの製薬会社さんには十分な実証実験の成果があり、効果のほどが確実なもののようです。

 「ようです」とは、なんとも歯切れの悪い物言いですが、見えない以上、素人には如何せん想像で話すしかありません。小さな小さなウイルスと、無色無味無臭の二酸化塩素との熾烈な戦いがBenoitで繰り広げられているのです。

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 10階では、姿こそ小さいですが、いっさい音を立てず、ウイルスに対して長きにわたり睨(にら)みをきかせる「クレベリン」です。すでにご存じの方も多いのではないでしょうか。場所を取らず・選ばずという優れもの。こざっぱりとしているので、勝手にBenoitシールを貼ってしまいました。

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 そして、11階では「nanoseedα」が広い範囲を包括するように、「除菌」「ウイルス除去」を担っております。これほどの大きさしかないにもかかわらず、100畳の広さに効果を発揮するといいます。

 Benoitでは、スタッフの出勤時の健康チェックはもちろん、終日を通してこまめなスタッフの手指の消毒を徹底。皆様に口に触れるものは、業務用洗浄機を使用することで、80℃以上の高温洗浄。店内では消毒清掃を徹底しております。そして、10階エレベーター前と、11階の階段脇では、「Benoitのさえの神」が、皆様を見守っております。Benoitでの「口福な食時」のひとときに、皆様が少しでも「安心・安全」を感じていただければ幸いです。

 

 医療従事者の皆様は身の危険を顧みず最前線で奮闘してくださっております。新薬開発に向け、寝る間も惜しんで研究を重ねている方々がいらっしゃいます。物流を途絶えないように、そして生活必需品を滞りなく取り揃え我々に提供してくださる方々がいらっしゃいます。彼ら皆様を支えてくださっている保育園、学校や学童など、多くの方々がいらっしゃいます。

 今までの日々の生活が、知らない方々の尽力の上で成り立っていることに気付かされます。この場をお借りし、深く深く御礼申し上げます。Benoitスタッフ一同、これまでの皆様の努力を胸に刻み、細心の注意をもって、コロナウイルス災禍収束を目指し、日々最善を尽くすことをお約束いたします。

 

 昨今の新型コロナウイルス災禍は、飲食店の弱さをまざまざと見せつけられました。人生を豊かにする上で、飲食店はなくてはならないものですが、平穏無事な状況下でしか成り立たないということ。先日発出された「緊急事態宣言」と東京都の要請、さらにBenoitの現状を鑑み、「ディナー営業の自粛」という苦渋の決断をさせていただきます。皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、ご理解のほどなにとぞよろしくお願いいたします。

 詳細は、新春特別ランチプランととおもにご案内させていただきます。

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 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く、優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com

Benoit2021年「寒中お見舞い」のご挨拶と「新年特別プラン」のご案内です。

寒中お見舞い申し上げます。

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 旧年中は並々ならぬご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。新年を迎え、皆様より賜りましたご温情は徒(あだ)や疎(おろそ)かにせず、倦(う)まず弛(たゆ)まず研鑽の日々に努めます。「観梅の心、観桜の目」を忘れることなく、少しでも皆様のご期待のお応えできるよう、万全の準備をもってお迎えいたします。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。皆様が、そして皆様のご家族ご友人の方々が、幸多き年となりますよう、青山の地よりお祈り申し上げます。

 

 「冬至 冬中 冬はじめ」とはよく言ったもので、2021年1月5日「小寒」、20日大寒」と2月3日までの「立春」までは、暦の上でもまだまだ冬であり、寒さ厳しい期間です。明治時代に太陰太陽暦からグレゴリオ暦へと改暦したこともあり、多少の季節の誤差があろうとも、今も昔もこの時期は寒かったはずです。

 かつて暖房器具が乏しい頃にあり、暖を取る方法は薪(たきぎ)を燃やすことでした。しかし、屋内では火災の危険が付きまといます。昔の日本は住居が密集しているため、一歩間違うと町自体が焼け野原となり消滅してしまう可能性すらありました。そこで、先人たちは、「炭」という画期的な逸材を発明したのです。

 この炭の登場が、どれほど人々の生活を変えたことでしょうか。暖房器具としては、今のストーブとは比べてはいけないほど微力ながら、古くは平安時代に始まり、戦後の高度成長時代にまでの長きにわたり、我々の生活に密接にかかわってきました。

 この炭の利点は、囲炉裏や火鉢の中で、尉(じょう)の中で種火の残った炭を保管することができたことです。火鉢の中で、炭を最後まで燃しきった時、グレーがかった白い灰となる。これが尉である、この中に火のついた炭を埋(うず)めておくことで、種火を残しておけるのです。これを「埋み火(うずみび)」や「埋(い)け火」といいます。ライターなどあろうはずもなく、火を起こすことが難儀な時代です。なんという生活の知恵でしょうか。

 

(うづ)み火の あたりに冬は 円居(まどゐ)して むつがたりする ことぞ嬉しき  隆元(りゅうげん)

 

 昼間なのか夜更けなのか、寒さ厳しい中で、さあ火鉢を囲もうではないか。埋み火を熾(おこ)し、手をあてて暖をとろうではないか。この親しい仲間と火鉢を囲みながらの「語らい」とは、なんという嬉しいひとときではないか。

 今年の年始は、ご自宅で過ごされた方が多いのではないでしょうか。火鉢や囲炉裏は無くとも、家族で食卓やコタツを囲んだ時に、普段は気にも留めないことが話題となり、心地良いひとときを過ごされたのではないでしょうか。この「むつがたり」が嬉しいことは、今も昔も変わりません。

 昨今のコロナウイルス災禍で失いつつあるのが、この「むつがたり」、「語らい」ではないでしょうか。オンラインでの里帰りは、確かに便利で有用でした。しかし、画面の向こうには本人がいるにもかかわらず、違和感を覚えずにはいられません。これが行き過ぎた場合、現実と架空の世界の区別がなくなってしまう気がするのです。AIの発達により、画面の向こう側に新しい世界ができないとも言い切れません。極論を言ってしまえば、画面の向こうに映る人が、今生きているのかどうかすら分からなくなる。

 なぜ、人は人と会いたくなるのか。オンラインは、どんなに声色が似ていても、やはり電子音である。音には耳が聞き取れなくとも、響く音階があるはずです。だから、目と目を合わせ、触れることのできる距離で語らい合うことを欲しているのではないでしょうか。馴染みの言葉で、聞き慣れた声色は、なんと安心感を与えてくれることでしょうか。

 

 かつて、古代日本人が、漢字という文字を知った時、どれほどの感銘を覚えたことでしょうか。すぐに取り入れることになり、大和朝廷の公文書などは「漢字」で記載されることになります。唐風文化が大和朝廷を席巻する中で、額田王(ぬかたのきみ)を筆頭に、万葉歌人の活躍が今の日本語の礎を築いたと考えています。言語が発展途上であるとき、人は歌によって気持ちを伝えてゆきました。中国語では漢詩であり、日本語では和歌でした。漢字の伝来が、書き記すことを容易にしたこともあり、天皇を含めた公家の中では、漢詩が教養の基本となりました。

 しかし、この圧倒的なこの漢字文明の中にあり、日本の言語は中国語になっていません。当時の先人たちは、漢字の読みを当て字にするように、和歌を書き遺したのです。ここに万葉仮名が誕生し、日本最古の歌集「万葉集」が誕生します。今馴染みの「ひらがな」は、平安時代まで待たねばなりません。なぜ、中国語にならなかったのでしょう。

 いまでこそ「山」に「川」と漢字で書き記しますが、かつては「や・ま」に「か・わ」であり、この「や」や「か」に何か意味があるということでもなく、「やま」や「かわ」という音の響きが、日本人の心に染み入ったのでしょう。この言葉には、日本人が読み取ることのできる「温もり」が含まれているのです。この感覚は、教えられるものでもなく、ましてAIに表現できるものでもありません。日本語でありながら、この心に響く言葉こそが、「大和言葉」です。我々は、知らず知らずに連綿と受け継いできたのです。

 

 温もりのある言葉での「語らい」の場を、失ってはいけません。この思いの下、Benoitを語らいの場としていただきたく、新春特別プランをご用意させていただきました。皆様に安心安全にお運びいただけるよう、コロナウイルス対策に万全を尽くしお出迎えさせていただきます。

 

≪新春特別プランのご案内です。≫

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 降り注ぐ太陽の陽射しと、その土地土地に吹く風が育て上げた「美しい(令)」季節の冬食材は、ありあまるほどの「風味」を内包しています。その風味豊かな食材の「和」する料理の数々は、美味しさが満ち溢れています。それを、騒ぐではなく、笑顔で「語らい」ながらの食事こそ、体の内側から湧き出でる力となり、我々をウイルス災禍から守ってくれることでしょう。「口福な食時」のひとときこそ、我々の心身を活力ある本来の姿へと、導いてくれるはずです。

 そこで、日頃より並々ならぬご愛顧を賜っている上に、自分よりご案内している長文レポートに目を通していただけている皆様の労に報いるため、旬の食材をつかった美味なる料理を食することで、無事息災に日々を過ごしていただきたい、との想いを込め、≪新春特別プラン≫をご案内させていただきます。期間は、メールを受け取っていただいた日より、20211月末まで。ご予約は、このメール(kitahira@benoit.co.jp)への返信をご利用ください。お急ぎの場合には、Benoitメールアドレス(benoit-tokyo@benoit.co.jp)より、もちろん電話でもご予約は快く承ります。

 

新春特別プラン

ランチ

前菜x2+メインディッシュ+デザート

5,500円→4,500円(税サ別)

ディナー

前菜x2+メインディッシュ+デザート

7,800円→6,800円(税サ別)

ランチ/ディナー

Crémant de Bourgogne Cuvée Agnès

4,000円(税サ別)

※プリ・フィックスメニューの料理内容は、当日にメニューをご覧いただきながらお選びいただきます。ご希望人数が8名様以上の場合は、ご相談させてください。

 

 さらに、Benoitシェフソムリエからのお誘いがございます。蔵元さんと直接交渉をすることで、輸入が実現した、Benoitでしか購入できないスパークリングワインを、新春特別プランととともにお楽しみいただきたく、特別価格にてご案内させていただきます。

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Crémant de Bourgogne Cuvée Agnès  Vitteaut-Alberti  4,000(税サ別)

 このキュヴェ・アニエスは、スパークリングワインの専門家、ヴィトー・アルベルティが手掛ける最高傑作です。コート・ド・ボーヌとシャロネーズの両地区の葡萄シャルドネ種のみで醸され、瓶内熟成もシャンパーニュに匹敵する3年間。華やかな香りと凛とした酸味のバランスが秀逸、いついかなる時に飲んでも、納得していただける美味しさです。

※本数に限りがございます。ご希望の際には、このメールへの返信でご希望本数をお伝えいただけると幸いです。

 

2021年の干支「辛丑(かのとうし)」のお話です。≫

 昨年に端を発した新型コロナウイルス災禍は、今なおこの災禍は猛威を振るっており、収束の兆しが見えておりません。先行き不安の中で迎えた今年の干支は、「辛丑(かのとうし)」です。毎年のように、古代中国の賢人が干支に託したメッセージを読み解くべく、語源辞典片手に過ごした日々。腑に落ちる解釈に辿り着きました。お時間のある時に、ブログをご訪問いただけると幸いです。

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2021年冬の特選食材のご案内です。≫

太陽の恩恵を十二分に受け、風味豊かに育ったものこそ、旬の食材であり、美味しいばかりではなく、いま我が欲している栄養をも持ち合わせています。2021年冬の特選食材をご紹介させていただきます。昨年末に公開したものです。料理の詳細は、後日改めてご案内させていただきます。

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≪北平のBenoit不在の日≫

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 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない1月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

16日(土)・17(日)

22日(金)

24日(日)

26日(火)

31日(日)

 上記日程以外は、Benoitを優雅に駆け回る所存です。自分への返信でのご予約はもちろん、BenoitのHPや、他ネットでのご予約の際に、コメントの箇所に「北平」と記載いただけましたら、自慢の料理の数々を語りに伺わせていただきます。

 皆様にお会いする機会を賜りながら、自ら放棄する無礼、ご容赦のほどよろしくお願いいたします。自分が不在の日でも、お楽しみいただけるよう万全の準備をさせていただきます。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

 過ごしやすい日々が続くなかで、1月5日に「寒の入り」をいたします。日増しに寒さ厳しくなることでしょう。疲労・ストレスなどが原因で免疫力が下がっている時に、乾燥が加わると、コロナウイルスばかりではなく、風邪やインフルエンザにも注意が必要です。さらに、肌荒れやかゆみの原因にもなり、体感温度も下がります。健康のためにも、美容のためにも、程よい湿気お忘れなきように。そして、心の潤いも保ちながら快適にお過ごしください。

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最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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2021年干支「辛丑(かのとうし)」のお話です。

 「人の人たる所以(ゆえん)は、人間関係にある。」と喝破したのは、ドイツの政治学オットー・フォン・ギールケです。自然界の弱肉強食の世界とは異なる人間関係は複雑怪奇であり、多くの賢人が果敢にこれに挑むも、いまだ結論が出ていません。人が社会で生きてゆくには、必ず人と人との接点があり、人間関係に一喜一憂するものです。いがみ合うばかりの動物ではない。思いは十人十色であり、その誤解を少しでも減らそうと、人は意思疎通のために「言葉」を生み出しました。

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 人類が初めて手に入れたのものは、目に見えるものを音にして伝えようとする「話し言葉」だったはずです。古代日本では、土器などに「絵」で描き記されているものはあるものの、「文字」として遺されるには古代中国から「漢字」もたらされるまで待たなければなりません。この圧倒的な「言語」の渡来は、古代日本文化を凌駕することになります。大和朝廷の公文書が「漢字」で記載されていることが、その証なのではないでしょうか。

 世界の言語は、「絵画文字」、「表音文字」、「表意文字」などに大別されます。絵画文字は、古代文明に書き記された絵文字を代表とし、表音文字はアルファベット(音素文字)や日本の仮名(音節文字)などがあります。そして、表意文字は、一文字が単語を成し、実質的な意味を持つもの、「漢字」です。

 古代中国の賢人は、毎年の世相を分析し、時代時代を表現する漢字一文字をあて、後世に伝えようとしました。甲(こう)・乙(おつ)・丙(へい)…と続く「十干(じっかん)」と、馴染みの子(ね)・丑(うし)・寅(とら)…と十二支。この10と12という数字が、我々の生活の中でどれほど溶け込んでいるか。算数を学ぶ上で、数字の区切りとなるのが10。そして、半日は12時間、1年は12ヶ月。10と12の最小公倍数は「60」。還暦のお祝いとは、この漢字の通り「暦が還(かえ)る」人生60年目の節目を迎えたことを祝うもの。そして、あてがわれた漢字は、それぞれに樹の成長を模したものだというのです。

今年の干支は、「辛丑(かのとうし)」です。

 むかしむかしのこと、お釈迦様が動物たちに「新年の挨拶に赴いた順番を十二支にしよう」と語ったのだといいます。そこで、動物たちは我先にと、お釈迦様の下へと馳せ参じることになる。己をよく知る牛は足が遅いことを理解しているため、前日からすでに出発します。一番先に門口(かどぐち)に到着するも、その背に乗っていた賢いネズミがひょいと先に門をくぐる。順を追ってぞくぞくと主役が到着する中で、犬猿の仲といわれる両者の仲裁に入ったがためにニワトリは10番目。猫はなぜ登場しないのか?猫はお釈迦様への新年の挨拶の日を忘れ、ネズミに聞いたところ2日だと。翌日に事実を知った猫は怒り、これ以降ネズミを追いかけ続けるのだとか。

 干支の中にある「丑」という漢字に、牛という意味もあるかため、其処彼処にイラストで姿を現します。ところが、上記の口伝は、古代中国の賢人が干支を生み出した際に、周知してもらうために身近な動物にあてはめて流布したのだというのです。辰(龍)という架空の生物も、当時は深く信じられていたのでしょう。

 しかし、「うし」には「牛」という立派な象形文字が存在することを鑑みると、「丑(うし)」という漢字に牛という意味を含めることは、後付けのような作為を感じなくもありません。表意文字だからこそ、その漢字一文字一文字に意味があるはず。賢人は、今年の世相をどのように分析し、漢字という形で我々に遺したのでしょうか。素人ながら、漢字語源辞典を片手に書き綴ってみようかと思います。

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 干支が十干と十二支の組み合わせ出ることは前述いたしました。表意文字だからこそ、2つの漢字一文字ごとに意味がある。2つの立ち位置の違う世相を組み合わせているのだと考えます。最初の漢字の世相は、人が抗しがたい「時世」の勢いであり、賢人は10年というサイクルを見出し、「十干」をあてがう。人生とは栄枯盛衰を繰り返すもの、これが「人世」である。賢人は、その人世を12年であるとし、十二支をあてる。

 干支とは、古代中国の賢人が「時世」と「人世」を読み解くことで導いた、その年ごとの世相のこと。この英知の結晶でもある干支を知ることで、我々がいかに無事息災に、はたまた多くの幸を見過ごさないために、と後世に遺してくれたものなのです。

 時世を意味する十干を、樹の成長になぞらえて漢字をあてています。最初から6番目までは樹そのものの成長期間、残る4つは次の時世への引継ぎを準備する期間であるという。

 かたい殻に覆われた状態の「甲 (きのえ)」、芽が曲りながらも力強く伸びるさまが2番目の「乙(きのと)」。芽が地上に出て、葉が張り出て広がった姿が「丙(ひのえ)」。そして「丁(ひのと)」は、重力に逆らうかの如く、ぐんぐんと勢いよく天に向かい成長し、「戊(つちのえ)」で大いに茂る。成長最後は、勢いよくぼうぼうと生い茂った樹が、理路整然と体裁を整え、効率よく光合成をおこなうことで養分を蓄えてゆく「己(つちのと)」です。

 2020年の「庚(かのえ)」から最後の「癸(みずのと)」の期間は、花を咲かせ種を生み出すにいたります。秋にたわわに実がついた様子を象るのだといいます。「庚」は「己」を継承し、人のへそに象るとも。「庚庚(こうこう)」とは、樹木がしっかりと実をつけたさまを意味するのだといいます。

 2021年は8番目の「辛(かのと)」。あまりにも馴染みがあり、「辛い」としか思い浮かばないかもしれません。語源辞典「漢辞海」で調べてみると、意外な意味が含まれてることを教えてくれます。「説文解字(せつもんかいじ)」によると、「会意文字」で秋の万物が成長して熟すとある。さらに、「釈名(しゃくみょう)」によると、「辛」は「新」であるという。はじめは新たなものがみな収まってしまう、そう書き記されている。昨年の「庚」は「更」であり、「更」は新しいものへとかえるという意味を含んでいました。

 昨年から、時世は引き継ぐための種を作る過程に入りました。「庚」には「道路」という意味があり、すでに向かうべき道のりが形成されているのでしょう。未曾有のコロナウイルス災禍により、「夷庚(いこう)=平坦な道」ではなく、「険庚」となった感もあります。今年の「辛」には、辛いの他に、悲しいや苦しいという意もあります。「辛艱(しんかん)=苦しむ・難儀する」や「辛苦」「辛酸」など厳しい単語が多いもの。しかし、何事も新しいことの門出には苦労や厳しさがつきものです。「新地(さらち)」となった時世には、新しいものが何でもいくらでも収めることができる。しかし、何を収めるかの取捨選択は各々にまかせられている。では、どうしたら良いのでしょうか?これは、人世の「丑」が教えてくれます。

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 人世における栄枯盛衰に、賢人は12年を見い出し、樹の成長にならった漢字をあてがいました。昨年は人世一年目の「子(ね)」。子供のことでもあり、果実の実や植物の種をも意味します。陽気が滋(しげ)り始めると「説文解字」は教えてくれる。さらに「釈名」では、「子」は「孳(し・じ)」であると。陽気が萌えて下に孳生(じせい)する。「孳」とは、「増える/産み育てる」という意味があり、「子」は「蕃孳(はんし)=おおいに茂ったさま」の状態だといいます。

 2021年の「丑(うし)」は、馴染みのない漢字です。「丑寅(うしとら)」とは、北東の方角を意味し、俗に鬼門などと呼ばれてます。「丑三(うしみつ)」とは、丑の時刻を4つに分けた3番目のことで、今でいう午前2時から2時半ごろのこと。「丑」には、いったいどのような意味があるのでしょう?

 「丑」の漢字の語源を調べてみます。「説文解字(せつもんかいじ)」によると、「象形文字」であり、手をぎゅっと紐(むす)ぶす姿を象るといいます。(冬の終わりの)12月は、万物が動き始めて手作業を起こす。時節の数えに「丑」を加え十二支にした理由は、手作業を始める時節であるからという。

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 さらに、「釈名(しゃくみょう)」によると、「丑」は「紐」である。寒気がみずから屈紐(くっちゅう=ちぢこまること)のである。「易経」では「艮(ごん)」の卦(か)に相当する。「艮」は「限」である。この時節に物が生まれるということを聞かない。生誕を限止(=制限)するという。

 「易経」とは古代中国の賢人が生み出した占い法です。自分が占い師ではないため、詳細は専門家のHPを参照ください。易を構成する基本形を八卦(はっか)と呼び、その八卦を上下で組み合わせたものが「六十四卦(ろくじゅうしか)」であるといいいます。この八卦のひとつが「艮」というもの。これを図象化したものが下の画像です。

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 3列で表現される卦にあり、下から2列に半ばに切れ目のある陰が並ぶも、その上に切れ目のない横棒の陽がある。まるで陰の力に蓋をするかのようにデザインされています。艮の卦の象意は、万物を山が受け止めている。まさに山であり、山のように高い高尚なものであり、安定や阻止を意味しているといいます。

 孔子は「彖伝(たんでん)」の中で、この卦について説明しています。「彖に曰く、艮は止まるなり。時止まるべくは則(すなわ)ち止まり、時行うべくは則ち行う。動静其の時を失わざるは、其の道、光明なるなり。」と孔子は我々に教えてくれます。「艮」は止まることである。止まるべき時に止まり、行うべき時には行う。動くも止まるも、時(天命)を見失わなければ、その道の見通しは明るい。

 昨年の「坎」は「水」を象徴し、「険(けん)=険難」でした。水は高き所から低き所へと流れ続ける忙(せわ)しさもありながら、正確な平を意味する「水平の準拠」ともなります。今年の「艮」は「山」を象徴し、「限=制限する」であるといいます。天命である自らの道のりを、動かざること山の如し、俯瞰(ふかん)するように好機を見極め、動き止まる。その判断は、昨年に培われてきた良識を基準にせよと。

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 たびたび出てくる「説文解字」と「釈名」という名前。本というよりも辞典と言い表した方が良いかもしれません。しかし、これらが編纂されたのは、古代中国でした。「説文解字」は紀元後100年頃、六書(りくしょ)の区分に基づき、「象形」「指事(指示ではないです)」「会意」「形声」に大別され、さらに偏旁冠脚(へんぼうかんきゃく)によって分類されています。

 「象形文字」は、実物を絵として描き、その形体に沿って曲げた文字。「指事文字」とは、絵としては描きにくい物事や状態を点や線の組み合わせで表した文字をいい、「上」や「下」が分かりやすいと思います。十干の「己」は指事文字です。そして、「会意文字」は、既成の象形文字指事文字を組み合わせたもの。例えば「休」は、「人」と「木」によって構成され、人が木に寄りかかって休むことから。干支の「辛」は会意文字、「丑」は象形文字です。

 「偏旁冠脚」は、漢字を構成するパーツのこと。そのパーツの主要な部分を「部首」と定め、現在日本の漢和辞典は「康熙字典」の214種類を基本にしています。しかし、偏旁冠脚では、漢数字、十干や干支もこのパーツに含まれ、その分類区分は、「一」から始まり「亥」で終わる、総数が540です。数あるパーツの中から、殿(しんがり)を担ったのが「亥」です。十二支の最後もまた「亥」です。この後、さらに時は流れ紀元後200年頃、音義説によった声訓で語源解釈を行い編纂されたものが、「釈名」です。

 万物を陰と陽にわける陰陽説と、自然と人事が「木・火・土・金・水」で成り立つとする五行説が合わさった考え方が、陰陽五行説です。兄(え)は陽で弟(と)は陰。陽と陰は、力の強弱ではなく、力の向く方向性の違いのこと。陽は外から内側へエネルギーを取り込むこと、陰は内側から外側へ発することだといいます。運の良い人とは、陽の人であり、外側から自分自身へ力を取り込んでいる人のこと。「運を呼び込め」とはよく耳にいたします。陰の人とは、運が悪いわけではなく、自分自身のみなぎるエネルギーを外に発している人のこと。一方が良くて、他方が悪いわけではなく、すべては陽と陰の組み合わせです。陰陽の太極図を思い浮かべていただきたいです。2つの魂のようなものが合わさって一つの円になる。一方が大きければ、他方は小さくなり、やはり円を形成するのです。森羅万象全てがこの道理に基づくといいます。

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 2019年は、時世「己(紀)」が教えてくれるように、ひとつの区切りとして人倫の道を外さぬよう、なりふり構わず頑張ったことを省み、紀識(きしき=しるすこと)し紀念(きねん=こころにとどめて忘れないこと)することを促すのだと。忘れ去るのではなく、真摯に受け止め真実の核心となし、次へ引き継いでゆくこと。

 「庚」は「更」であることから、2020年は「更始(こうし)=古いものを捨て、初めからやり直すこと」の年であると。時世は成長から継承へと移る中で、先行きの見えない世相の一年でした。賢人は我々に人世は「子」であると教えてくれました。「子」は「孳」であり「坎(かん)」でもある。「孳孳(しし)」とは勤勉に努めることを意味します。「坎」の卦が上下に姿を見せる、六十四卦でいう「坎下坎上(かんげかんじょう)=坎為水」は、「重なる険難はあるが、真実をもって行動すればうまくいく。」ということを象っているといいます。山間を流れるせせらぎのように、一時に集中するのではなく絶え間なく努力を続けること、そして水でいう「水平」の如き確固たる準則を、いうなれば信念を持って、今年の時世を乗り切りなさいと教えてくれました。

 さて、2021年、干支は「辛丑」です。時世の「辛」には、「辛艱(しんかん)=苦しむ・難儀する」や「辛苦」「辛酸」など厳しい単語が多いもの。未曾有のコロナウイルス災禍は今なお猛威を振るっていることもあり、この漢字が心に突き刺さります。全ての希望に楔(くさび)を打ち込んでくる。しかし、「辛」は「新」でもある。何事も新しいことの門出には苦労や厳しさがつきものです。「新地(さらち)」となった時世には、新しいものが何でもいくらでも植えることができる。しかし、どのような種を植えるかの取捨選択は各々にまかせられている。

 今年の人世は「丑」です。(冬の終わりの)12月は、万物が動き始めて手作業を起こすこと。暗雲が覆いつくす中で、機運が動き始める。「丑」は「紐」である。寒気がみずから屈紐(くっちゅう=ちぢこまること)する、この機会を逃してはいけません。しかし、「易」では「艮(ごん)」の卦(か)に相当する。「艮」は「限」である。この時節に物が生まれるということを聞かない。生誕を限止(=制限)するという。艮の卦は山であり、動静を見極めよ、そう教えてくれます。

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 時世が機運を与えてくれる年。我々は度重なる険難に見舞われる中で、真実をもって行動したからこそ、今ここにいます。厳しいし辛い時世でした、しかし乗り越えてはいないものの、越えつつある。今までの努力が多くの果実を実らせ種を得ることができたことでしょう。昨年に学ぶことのできた良し悪しの判断基準をもとに、新地となった時世に、自らの手で自ら選んだ種を植えてゆく。1つではない、いくつも植えることができる。しかし、ことを急(せ)いてはいけない。山のように焦らず、よくよく見極めた種を植えてゆく。機械に頼ることなく手作業で、丁寧に丁寧に一粒一粒と新地に植えてゆく。時に休み、自らを省みる。「紐」には、結んではほどける衣服の紐(ひも)の意があります。

 2021年は、生きるに厳しい年であることに変わりはありません。しかし、時世は我々に新地を用意してくれています。「辛」を抱えるように辛抱し、自分の希望溢れる未来のために、よくよく選んだ種を植えてゆかねばなりません。いくつ植えても時世は受け入れてくれる。急がず焦らず、自分を省みることで、見極めた種を植えてゆきませんか?必ず芽吹き、実を成すはずです。

 1984年の「甲子(きのえね)」に幕開けした60年の世相のサイクル。「世」の字には30年という意味が込められていると聞きます。60年の中に30年の2つの世相。2014年「甲午(きのえうま)」からはすでに後半の世相が始まっています。還暦の中には6つの時世と5つの人世のサイクルがります。世相における栄枯盛衰は世の常であり、これを乗り越えなくてはなりません。その先で、宝の地図(人世のさらなる高み)を必ず見つけることができるはずです。

 

 蛇足ながら、「丑」には「牛」の意味もあります。牛の歩みはゆっくりしたもの。「牛の歩みも千里」とは、努力を怠らなければ、必ず成果が導かれるということ。そして、「角を矯(た)めて牛を殺す」は、わずかな欠点を矯正しようとして、かえって物事全体の台無しにしてしまうこと。丑に牛とは、後付けのような意味かと思いきや、なにやら意味深な思いが込められている気がいたします。さて、皆様はどう思われますか?

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最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com

2020年Benoit「歳暮(としのくれ)のご挨拶」

春秋の あかぬわかれも ありしかど 年の暮れこそ なほまさりけり  藤原兼実(かねざね)

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 春ごと秋ごとに、過ぎ去る季節に満ち足りないものを感じていましたが、歳暮(としのくれ)ともなると名残惜しさが尽きません。季節というよりも1年間を振り返っての本年との別れとなることは、得も言われぬほどに感慨深いものです。太陽が昇り沈みゆく、ただこの繰り返し、約365日をかけて地球が太陽の周りを1周する。ただただ日一日と過ぎ去ってゆくなかで、いったい誰がこの日を歳暮と決めたのでしょうか。

 地球が太陽の周りを1周する公道、その区切りとして定められた1年の終わりの日が、12月31日です。陽が西の稜線に姿を消し、静まり返る闇夜に迎える1月1日午前零時に新年を迎えるも、やはり、陽が顔をのぞかせた時に「新年を迎えた」という実感がわくものです。

 生きとし生けるものに欠かせない「陽の光」、もちろん我々にとっても。皮膚に太陽が当たらないとビタミンDが形成されないなどと言われますが、それ以上に「心に与える影響」が大きいのではないでしょうか。世界各国に太陽信仰が存在するということが如実に物語っています。

 誰がこの日を「一年の節目」と決めたのでしょうか。「冬至」でも良かった気がいたします。しかし、古人は何かしらの理由をもって、去年今年(こぞことし)という区切りを作りました。旧年を省みることで、新年を新たな気持ちで迎えることができる。世相に翻弄されることなく、人生の芯となる心構えを再構築することができると考えたのではないでしょうか。

 

 今年は、新型コロナウイルス災禍に翻弄され続けた一年であり、今なおこの災禍は猛威を振るっております。何が正しく、何が間違ってるのか手探りの中で、安心安全に過ごすことのみに費やした日々ではなかったでしょうか。皆様の、ご家族や仲間、すれ違う見知らぬ人々を想うからこその行動が、世界の国々とは違う、今の日本の現状を導いてきているのかと思います。どれほどのご心労であったことか、心中お察しいたします。

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 今春には、「営業していることへの罪悪感」すら感じることもありました。絶望の淵に立たされていた時、我々を励ましてくれたのが皆様からのお言葉でした。どれほど心に染み入り、励まされたことでしょうか。そして、この未曾有の災禍の中で、能天気とも思える自分からお送りしているBenoitのご案内を、拒否せず受け取っていただけること。さらに、突然の営業自粛などにより、これほどまでに食材でお世話になっていながら購入中止となった生産者の方々の温かいお言葉。目頭が熱くなる思いでおります。深く深く御礼申し上げます。

 新年を迎えるにあたり、皆様より賜りましたご温情は徒(あだ)や疎(おろそ)かにいたしません。そして、自分の本年の至らぬ行動を省み、倦(う)まず弛(たゆ)まず努力を続け、少しでも皆様のご期待のお応えできるよう最善を尽くすことをお約束いたします。皆様におかれましては、Benoitへの変わらぬご愛顧のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。

 降り注ぐ太陽の陽射しが万物を育て上げ、四季折々の風はその土地土地に味わいをもたせる。その風のもたらした美味しさこそ「風味」であり、我々はここに「口福な食時」を見出します。そして、旬を迎える食材は、人が必要としている栄養に満ちています。そして、人の体は食べたものでできています。「美しい(令)」季節に冬食材が「和」する逸品に出会い、食することで無事息災に日々を過ごしていただきたい。この想いを込め、今後もBenoitのご案内をお送りさせていただきます。

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 古人は、冬に陽射しが降り注ぐ日を、恋しいからでしょう「愛日(あいじつ)」と呼んでいます。春秋左氏伝の「冬の日は愛すべし」からできた言葉のようです。冬は太陽が天高くまで昇らず、陽射しが低い角度で部屋の奥まで差し込むため、寒々しい中に暖かい「陽だまり」ができています。屋外でも、日当たりの良いところでは陽だまりが。

 まだまだ、今年にやり残したことがあるかと思いますが、ここはひとつ節目をつけ、「日向ぼっこ」で太陽の恩恵を十二分に享受いたしませんか。陽だまりでほっこりと温まるひとときは、何か心まで満たされる気になってしまいます。今年一年の自らを省みる時、暗闇よりも「陽だまり」のほうが、間違いなく明るい未来を見出すことができるはずです。さらに、愛日には「時を惜しむ」や「親に孝行する日々」という意味もあるようです。「陽だまり」が導く「家族の絆」が心の拠り所となり、この乱世の波を乗り切る活力となることと信じております。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

150-0001 東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山10階

TEL 03-6419-4181

www.benoit-tokyo.com

2020年Benoit ≪冬のご案内≫です。

秋の色は まだひとしほの もみぢ葉に 心してふけ 山おろしの風  後鳥羽院

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 「季節は風が導いてくる」、こう古人は喝破する。そして、「風景とは風が導く景色である」と。黄葉・紅葉で彩られる「秋の色」に対し、秋風は白色だという。この「白」はcolorの白色ではなく、「清らか」という意味があり、無色透明の澄んだ風のこと意味している。秋の風には、「色無き風」との別称があることが何よりの証ではないでしょうか。

kitahira.hatenablog.com

 

 日本の秋を司る神は、染色と裁縫が特技とする「竜田姫(たつたひめ)」です。彼女が山野を駆け回ることで、秋色に染め上げる。この錦秋(きんしゅう)の女神の為せる業(わざ)が、秋の色を導くのだといいます。白い秋風が津々浦々を包み込むからこそ、空は青々しく、山々はくっきりと姿を見せ、草木の花々、木の実や果実、葉の色が鮮やかに映える。

 秋を導いてきた風は、日増しに寒くなるのと呼応するかのように、強くなってゆくように感じます。風が寒さをともなっているから、風の強さを意識してしまうのかもしれません。西からの風が秋を運んでくるならば、次は北から冬の風が訪れます。初冬の頃の強い風であれば「山おろしの風」といい、後に「木枯らしの風」となる、そう古人はいいます。

 かつて日本では、「時雨(しぐれ)」が、木の葉を染め上げるのだと考えていたようです。晴れ澄み渡った空にもかかわらず、はらはらっと肌に感じる軽やか雨を「時雨(しぐれ)」と言います。湿気のある風が山にぶつかり、雨粒を落とす。それが風に乗って晴れている地にもたらされるもので、盆地のような地理的環境が整っていないと、なかなか出会えないものです。

 「冬は時雨から始まる」といいますが、前述したような厳密な時雨ではなく、「時」の移り変わりを教えてくれる「雨」のことを意味している気がいたします。「一雨一度」ともいい、雨降るごとに気温が下がってゆく時期です。

 染物をする際に染料に生地を一回浸すことを「一入(ひとしお)」いいます。一回ではうっすらと色付くことになり、これを繰り返すことで色濃く染まるのです。多い数字を意味する「八」が加わった「八入(やしお)」とは、8回ではなく幾度となく染めの作業を繰り返すこと。そこで、初冬の降ったり止んだりする小雨のことを、「八入の雨」といいます。一入の雨が、木の葉をうっすら染め上げてゆく。繰り返し降りそそぐことで、色濃くなってゆくのだと。

 秋の色といえば、まっさきに想い描くのは紅葉の彩りではないでしょうか。その葉は、まだ一入の色合いでしかない。分かっているだろうな、山おろしの風よ、吹くならば心して吹け!と、後鳥羽院の威風堂々たる風格を想わせる一首でした。さて、今吹く風は、「山おろしの風」なのか「木枯らしの風」なのか?これは皆様の判断にお任せいたします。

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 余談ですが、「黄葉(こうよう)」と「紅葉(こうよう)」とは、色付きが違うだけなのかと思っていました。ところが、学術的には全くの別物の葉色の変化だったのです。樹々の葉には、クロロフィルという緑色とカロチノイドという黄色の色素が介在しています。ともに陽射しにあたることで力強さを発揮するため、「夏山蒼翠(そうすい)として滴るが如く (郭煕・臥遊録より)」と言われように、夏は深緑の美しい姿です。秋深くなり、陽射しが弱まることで、この両者が葉の中で分解されてゆくことに。

 ところが、クロロフィルが先に消えてしまうために、今までクロロフィルの濃緑に潜んでいたカロチノイドが姿を現すのです。これが「黄葉」です。この最中に、アントシアニンを生み出す樹々があります。赤ワインで聞き覚えのある単語でしょう、赤い色素の成分です。弱弱しくなるクロロフィルとカロチノイドとは対照的に、活発なアントシアニン。これが「紅葉」です。老後の余生を楽しもうかとする「黄葉」と、なにをなにをと一念発起している「紅葉」とでもいうのでしょうか。

 

≪季節のお話「柞に想うこと」のご案内です。≫

 其処彼処で目にする雑木林の黄葉に紅葉。「八入の雨」が一入一入と木の葉を色付かせてゆきます。そして、一足先に黄葉が見事な姿を我々に披露してくれています。「柞(ははそ)」とは、今では馴染みのない言葉ですが、なかなかに奥深いものでした。さあ、皆様を柞原へとご案内させていただきます。

kitahira.hatenablog.com

 

≪「歳暮(としのくれ)特別プラン」のご案内です。≫

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 「美しい(令)」季節の冬食材が「和」する料理の数々。これを美味しく食べることで、人は笑顔になり、体の内側から湧き出でる力となる。そして、我々をウイルス災禍から守ってくれることでしょう。「口福な食時」のひとときこそ、我々の心身を活力ある本来の姿へと導いてくれるのです。

 そこで、日頃より並々ならぬご愛顧を賜っている上に、自分よりご案内している長文レポートに目を通していただけている皆様の労に報いるため、少し気が早いですが≪歳暮(としのくれ)特別プラン≫をご案内させていただきます。期間は、メールを受け取っていただいた日より、20211月末まで。ご予約は、このメール(kitahira@benoit.co.jp)への返信をご利用ください。お急ぎの場合には、Benoitメールアドレス(benoit-tokyo@benoit.co.jp)より、もちろん電話でもご予約は快く承ります。

 

ランチ

前菜+メインディッシュ+デザート

4,500円→4,000円(税サ別)

前菜x2+メインディッシュ+デザート

5,500円→5,000円(税サ別)

前菜+メインディッシュx2+デザート

6,800円→6,000円(税サ別)

ディナー

前菜+メインディッシュ+デザート

6,800円→6,200円(税サ別)

前菜x2+メインディッシュ+デザート

7,800円→7,200円(税サ別)

前菜+メインディッシュx2+デザート

9,100円→8,200円(税サ別)

 プリ・フィックスメニューの料理内容は、当日にメニューをご覧いただきながらお選びいただきます。ご希望人数が8名様以上の場合は、ご相談させてください。

 

2020年のクリスマスはBenoitメニューをご自宅で!≫

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 ご自宅で、ご家族や大切な方と素敵なクリスマスをお過ごしいただきたく、クリスマス限定テイクアウトメニューをご用意いたします。自慢の料理とデザートを全てセットにしたクリスマスを彩る華やかなメニューです。Benoit自慢の本格的なビストロ料理をお楽しみください。

 

提供期間 : 2020年12月23日(水)~26日(土)

価格:2名様セット 24,000円(税別) ※3名様のご用意も可能

申込方法 : このメール(kitahira@benoit.co.jp)への返信もしくは、電話(03-6419-4181)でご予約ください。

最終受付  : 2020年12月15日(火)

Menu

・フォアグラのコンフィ 柑橘のコンディマン

オマールエビ カブ 甲殻類ソース

・牛ホホ肉の赤ワイン煮込み “ドーブ” クリーミーなポレンタ

・ビュッシュ・ド・ノエル ブノワ風

・パン・ド・カンパーニュ

シャンパーニュやワインのご用意もございます。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

メニューは上記の通りですが、字面からでは分からない料理ばかりです。そこで、詳細をブログに書いてみました。どれほどの特選料理であるのか。テイクアウトをご検討の方も、検討されていない方も、少しばかりお時間を割いていただき、ご訪問いただけると幸いです。

kitahira.hatenablog.com

 

≪営業終了時間変更のお願い≫

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 東京都の要請を受け、営業終了時間を22時とさせていただきます。皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどなにとぞよろしくお願いいたします。

 

 

Benoit何末年始のご案内です。≫

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 2020年のBenoitは、12月31日まで駆け抜けようと思います。30日までは通常営業ですが、31日は20時ラストオーダーの22時クローズとさせていただきます。ランチの営業は変わりません。迎えし2021年は5日より、万全の準備をもって皆様をお迎えいたします。何かご要望・疑問な点などございましたら、何気兼ねなく返信ください。

 

 ≪北平のBenoit不在の日≫

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 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない12月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

13日(日)

19日(土)

21日(月)

28日(月)・29日(火)

 上記日程以外は、Benoitを優雅に駆け回る所存です。自分への返信でのご予約はもちろん、BenoitのHPや、他ネットでのご予約の際に、コメントの箇所に「北平」と記載いただけましたら、自慢の料理の数々を語りに伺わせていただきます。

 皆様にお会いする機会を賜りながら、自ら放棄する無礼、ご容赦のほどよろしくお願いいたします。自分が不在の日でも、お楽しみいただけるよう万全の準備をさせていただきます。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

12月特選食材のご案内です。≫

 太陽の恩恵を十二分に受け、風味豊かに育ったものこそ、旬の食材であり、美味しいばかりではなく、いま我が欲している栄養をも持ち合わせています。2020年冬の特選食材をご紹介させていただきます。

kitahira.hatenablog.com

 

 降り注ぐ太陽の陽射しが万物を育て上げ、四季折々の風はその土地土地に味わいをもたせる。その風のもたらした美味しさこそ「風味」であり、我々はここに「口福な食時」を見出すのです。そして、旬を迎える食材は、人が必要としている栄養に満ちています。そして、人の体は食べたものでできています。「美しい(令)」季節に冬食材が「和」する逸品に出会い、食することで無事息災に年末を迎えていただきたい。この想いを込め、Benoitのご案内をお送りさせていただきました。

 

 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com

2020年Benoit12月≪特選食材≫のご案内です。

 風が季節を導き、彩りばかりではなく、喜怒哀楽をも表願しているかのような美しい「風景」を我々に見せてくれます。そして、四季折々の風は国内各地方にその地ならではの「風土」を作り出すことになる。その多様な「風土」で育まれた食材は、同じ野菜であっても味わいに些細な違いがあり、それが「風味」となる。太陽の恩恵を十二分に受け、風味豊かに育ったものこそ、旬の食材であり、美味しいばかりではなく、いま我が欲している栄養をも持ち合わせています。

 2020年冬の特選食材をご紹介させていただきます。

 

≪牡蠣(かき)のグラタン!メニューに再登場です

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 この時を、どれほど待ち焦がれたことか。昨年に好評を博した牡蠣料理が、満を持してメニューに再登場しました。Benoitでは使用できない食材だと認識していた15年間、この勝手な思い込みから解き放たれたのが昨年のことでした。長きにわたり不遇の地位にあった牡蠣の思いに応えるかのようにして誕生したのが、「牡蠣のグラタン」という料理です。

 牡蠣は豊洲市場に届いた鮮度抜群のものを剥きます。そのため、産地は大きく分けて2か所から。牡蠣養殖激戦区である瀬戸内海の沿岸地域と、東北のリアス式海岸が特徴の岩手県です。甲乙つけがたい美味しさを共に誇りますが、比較的多くBenoitに届くのは、岩手県です。

 山が海沿いにまでそそり立つリアス式海岸は、山のミネラル豊富な清らかな水が、海へ流れ込み、豊富な植物性プランクトンを育みます。そのプランクトンを食(は)む食(は)むしている牡蠣が、美味しくないわけがありません。瀬戸内海の穏やかな海流が、牡蠣筏による養殖に適しているように、規模こそ小さいですがリアス式海岸の湾もまた好適地なおです。

 牡蠣は殻から剥き、その殻の中に、しんなりと甘さを引き立てるように熱を加えた下仁田葱を盛ります。生のカキ身をポロ葱の上にのせ、シャンパーニュを降り注ぎ、サバイヨンという卵黄を使ったクリームのソースをかぶせるようにし、オーブンへ。焼き色がつくことで蓋ようになったサバイヨンの下では、シャンパーニュによってふつふつとカキが蒸しあげられてゆくのです。さらに、このサバイヨンの蓋が牡蠣の旨味のスープを逃がしません。

 テーブルに供された時、芳しい香に魅せられ、口にした時には言葉を失うでしょう。生ガキも良いですが、フランスの伝統が生み出した「カキのグラタン」こそ、カキの美味しさを最大限に引き出す逸品かもしれません。あ~シャンパーニュや白ワインがよんでいる…

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HUÎTRES gratinées au sabayon de Champagne

殻付き牡蠣のグラタン シャンパーニュ

 プリ・フィックスメニューの前菜の選択肢の中で、ランチは+1,000円、ディナーでは+800円にてお選びいただけます。しかし、入荷に限りがあるため、ご予約の際にご希望の数量をお伝えいただけると幸いです。

 

香川県から、鮮度抜群のブロッコリーが直送されています!≫

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 香川県の県庁所在地・高松市の南部に位置し、「高松空港」がある町として有名な香南町(こうなんちょう)。空港滑走路の南には「さぬきこどもの国」という大型児童館があります。公園や自転車コースを始め、プラネタリウムや大型遊具設備も備えた複合施設で、休日はもちろん平日も子どもの親子連れで賑わっているといいます。

 香川の空の玄関口ともいうべき香南町は、農地面積が町全体の5割近くを占めているのです。讃岐平野の一端を担うだけに稲作はもちろんですが、果樹を多種多様の作物が栽培されています。彼の地に居を構え、広大な農地を有しているのが、「薫る農園」さんです。

 園主である河田薫さんは、現地では農業女子として有名なようで、いかに美味しい農産物に育てたあげるかの研究に暇(いとま)はありません。そのため、彼女が丹精込めて育て上げた農産物には一目を置かれているのです。Benoitは昨年に「彼女の手掛けたアスパラガスに出会いました。あまりの美味しさにシェフ納得の品質であり、今年の春も購入させていただきました。

 残念ながら、新型コロナウイルス災禍に見舞われたために、空白の春を迎えたことは周知の事実です。皆様に薫る農園さんのアスパラガスの美味しさを語ることのできなかった無念さを引きずっている折に、彼女がブロッコリーを栽培していると小耳に挟み、今回白羽の矢が立ったのです。

 Benoitに届いた見事なまでのブロッコリーは、緑美しく、ずっしりと重い。素晴らしい品質だとシェフは言う。ちょっとばかり調べてみると、良いブロッコリーの見分け方には、「花蕾(からい/頭のこんもりしている花のつぼみ)が密で濃い緑色である」「外葉(茎から伸びている小さな若葉)がしおれていない」「茎が変色しておらず、≪す≫が入っていない」ものが良いといいます。段ボールに入っていた多くのブロッコリー、どれ一つとして当てはまらないものはありませんでした。

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 ブロッコリーの実力といえば、毎日でも食卓に並べたいほど。カロテンとビタミンCが豊富であるばかりか、体内の解毒酵素や抗酸化酵素の生成を促進し、体の抗酸化力や解毒力を高める「スルフォラファン」を含んでいます。

 だからでしょうか、収穫したてのブロッコリーはあまりにも勢いが強いため、扱いが難しいといいます。確か、香川県の農協から出荷する際には、クラッシュアイスをたっぷりと詰め込んで出荷している。この出荷方法を考案したのは香川県で、他県が模倣するようになるのです。

 そこで、河田さんは一考してくれました。Benoitへ送り出すブロッコリーは、収穫後すぐに冷蔵庫で休ませ、翌日に発送してくれています。この心遣いが宿るブロッコリーが、美味しくないわけがありません。

 

≪栗のスープを延長いたしました!≫

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 皆様の熱いご要望のお応えし、栗のスープを延長させていただきます。予定では2021年1月末までですが、フランス栗の入荷状況如何で終わりを迎えることも考えられます。

 フランスの栗を、これでもかとたっぷり使い、ビロードのようなという意味の「ヴルーテ」という名を冠したスープに仕上げます。濃く甘くなるからといって、薄くする発想はフランスには無いようです。味わいを足し算するかのように、赤ワインのタンニンと同じ「渋味」の成分を含む栗の渋皮を加えることで、味わい深いスープへ。ディナーのプリ・フィックスメニューに名を連ねております。

 今宵は、栗で始まり栗で終わる。フランス栗で始まり和栗で終わる。デザートにモンブランを組み合わせることで可能となる、今の時期ならではのコース料理をお楽しみいただけます。※ランチでご希望の際には、+800円にてご用意させていただきます。要予約です!

 

≪カリフラワーもまた旬を迎えております。≫

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 ブロッコリーと同じ仲間であるがゆえに、時期がかぶってしまうカリフラワー。同じ時期でなけえば…と思うも、同じ仲間であるからこそ、一番美味しい旬の時期が同じであるともいう。Benoitでは、ブロッコリーに隠れてしまいますが、カリフラワーには、軽やかなコリコリ感のある食感と、優しい甘さに惹かれるものです。もちろん栄養価もブロッコリーに遜色なく素晴らしいものです。今は香川県から届きましたが、地方を巡りながら、その美味しさをお伝えしてゆこうと思います。

 ランチ、ディナーともに、メインディッシュでホタテのお供をいたします。

 

≪知っているようで知らない菊芋がディナーに姿を見せます!≫

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 名前は聞いたことがあっても、食したことのない方が多いのではないでしょうか。この野菜は「菊芋(きくいも)」です。名前から想像するに、昔から日本にあったかのような気になるのですが、原産地は北アメリカで、日本には江戸時代末期に渡来してきたのだといいます。ご覧のように、美味しくいただく部分はジャガイモと同じように塊茎(かいけい)とよばれる箇所です。姿はまるでショウガのようです。参考までに、ショウガは根茎部をいただきます。

 岐阜県中津川市。この地名を聞いてピンとくるかたは、特産の「栗きんとん」が好きな方ではないでしょうか。栗の銘産地であるだけではなく、やはり多くの特産物が眠っていました。そのひとつが、この菊芋です。そういえば、岐阜県には「菊芋のお漬物」が特産としてある…。そこで、中津川から直送していただきました。

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 ダンボール箱いっぱいの菊芋の光景は圧巻なり。里芋のようであり、ゴボウのような独特な食感も持ちあわせている。シェフのイメージする姿に調理された菊芋を食した時、美味しさのあまり感動すら覚え、シェフに聞いてしまった。シェフ曰く「中津川の菊芋は美味しい上に、他産地とは一線を画すほどに甘い」と。余韻に残る大地の味わいは、菊芋だからこそのもので、これまた美味なり。さて、どう調理されているのでしょうか?

 

≪「ヒラスズキ」というスズキの仲間がディナーに登場。どんな魚?≫

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 スズキ目に分類される魚群は多種多様に及び、スズキはもちろん、サバの仲間であるカツオやマグロ、タイの仲間も忘れてはいけません。さらに、イサキやハゼにまで。馴染みの魚名ばかりではないでしょうか。餌が多く、産卵と子育ての場所として便利な沿岸部をほぼ独占しているようなもの。さらに回遊魚として他の環境下にも進出しているのです。

 今回の特選食材は、スズキ目スズキ科のスズキ。ではなく、同目同科に身を置く「ヒラスズキ」です。見た目には、そっくりなスズキとヒラスズキですが、その生態に大いに違いがありました。スズキは、日本沿岸の其処彼処で出会える魚で、餌となるエビや小魚を追い求めるように、春ほどに内湾に移動し、夏には河口や汽水域に入ります。ヒラスズキは、千葉県沿岸から南にかけての海域にしか生息せず、河口や汽水域には入り込みません。

 この生態の違いこそ、スズキとヒラスズキの美味しさの違いを生み出しているのです。行動範囲が広く、イワシの群れを追うかのように内湾へと入り込むスズキは、夏を代表する食材であり、味わいが濃く旨味に満ちています。汽水に入スズキは、淡水魚のような臭みを感じるため、我々日本人はあまり良いイメージを持っていないのではないでしょうか。しかし、濃厚な味わいは、洋食ではソースとの相性が抜群であり、欠かせない食材です。

 ヒラスズキは、いまだ生態が解明されていない謎多き魚。外洋に面した沿岸部の岩礁海域、いうなれば凪(なぎ)とは無念な海域で耐え忍ぶように生きている。そして、海水が冷たくなることで回遊してくるサバやサンマ、さらに岩礁に棲むエビ・カニ類を餌にしているのでしょう。冬にその美味しさの本領を発揮します。

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 この切り身は、マダイのようですが、ヒラスズキです。捌く手にまとう美しい脂の輝き、うっすらピンクがかる透き通るような身色、そして弾力のある身質。荒波にもまれにもまれているからこその美味しさが、ここに内包されているのです。そこまで美味しいにもかかわらず、なぜ我々に馴染みがないのか。それは生息域が限られていることもあり、漁獲量があまりにも少ないからです。

 

岐阜県の地鶏「奥美濃古地鶏」がディナーに姿を見せました!

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 昔も昔の物語。天照大神を岩戸の中に身を隠し、世は闇の中へ。これは一大事と多くの神々が天照大神を岩戸から引き出すために、試行錯誤した様子が古事記に書き記されています。その時に、肌もあらわに踊った天宇受賣命(あまのうずめりみこと)は、芸能の神様として飛騨市河合町の鈿女(うずめ)神社に祀られています。その鳥居の下には「金の鶏」が埋められた。この鶏は天照大神を自ら「天の岩戸」を開けさせるため、気を引くために鳴かせたという「常世の長鳴鳥」だと。そして、この鶏こそ「岐阜地鶏(天然記念物)」の祖先であるという。岐阜県養鶏試験場が、この「岐阜地鶏」をもとに、「神代の味」の再現しようと研究を重ね、並々ならぬ努力の末に生み出したのが、「奥美濃古地鶏(おくみのこじどり)」です。

 雄大大自然のなかで、のびのびと育てあげられる奥美濃古地鶏。すべての生産者の鶏が、この名を名乗れるわけではありません。岐阜県では奥美濃古地鶏普及推進協議会を発足し、厳しい基準を順守する生産者のみに与えられるもので、定期的に調査を行うことで品質の維持に努めています。この徹底した管理のもとで育てられた鶏肉は、ほんのり赤みを帯びた歯ごたえのある肉質を生み出し、深みのある旨味に満ち満ちています。

 

≪知る人ぞ知る「ボーノポークぎふ」という豚肉の美味しさ…≫

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 イタリア語の「ボーノ」という言葉から、なんとも軽々しい印象を受けますが、その実は、岐阜県の中濃ミート事業去同組合の威信にかけて育て上げた銘柄豚です。耳にしたことがないのも当然のこと、飼育数が少ない上に、徹底した管理選別ゆえに流通量が極端に少ないのです。

 「ボーノポークぎふ」は、県内の瑞浪(みずなみ)市、山県市、揖斐(いび)市の3地域で、飼料を含めた徹底した管理のもとで飼育されています。岐阜県独立行政法人農業生物資源研究所と農林水産先端技術産業振興センターと共同開発した、豚肉の霜降り割合を増加させる能力を持つデュロック種豚「ボーノブラウン」と、ランドレース種と大ヨークシャー種から生まれた母豚による、三元豚です。飼料には、県内の日本農産工業株式会社が共同開発した、抗酸化能とオレイン酸を多く含む植物性原料を含み、飼料中のアミノ酸バランスを調整した専用飼料を与えるという徹底ぶり。そのため、霜降り割合が一般的な豚肉の二倍にものぼり、肉自体の旨味を十二分に堪能できる上に、脂の甘味か加味されるのです。さらに、一般に流通している豚肉よりもドリップロスが少なく、肉の旨味が逃げにくいのが特徴といいます。

 飼育した全てが「ボーノポークぎふ」というブランドを冠することはありません。県下の和牛ブランド「飛騨牛」が、霜降り具合を目視によって5等級なのか4等級なのか、はたまた3等級なのかと振り分けるように、この豚もまたロース部位を目視によって判別してゆきます。違う点は、区分けが「ボーノポークぎふ」か「一般的な豚」の2択であるということ。

 丹精込めて育て上げ、徹底した審査の末に名乗ることのできる「ボーノポークぎふ」が、美味しくないわけがありません。しかし、豚肉は生では食すことができません。自分のような素人では、焼き過ぎてしまうために、せっかくの霜降りを焼き落とすことになり、がちがちに焼き上がってしまいます。では、職人が焼くとどうなるのか?

 どれほど美味しいのか、「焼き」の職人技とはいかなるものか、気になりませんか?ディナーのプリ・フィックスに名を連ねております。

 

≪馴染みの「みかん」だからこそ、Benoitはだわりたい!≫

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 広島県、瀬戸内海に浮かぶ離島「大崎上島(おおさきかみじま)」。サンサンと降り注ぐ陽光に温暖な気候という恵まれた環境の中、飽くなき探求心と努力を積み重ね、類まれなる品質の柑橘を育て上げているのが、岩﨑さんご一家です。陽射しばかりでなく、愛情もたっぷり受けて育ったミカンが美味しくないわけがありません。

 Benoitのシェフパティシエールである田中は、静岡県掛川の出身です。彼の地は、美味しいと全国に名を馳せる「三ケ日みかん」の産地。毎年のように比較され、地元で流通している一級品の三ケ日みかんに平伏(ひれふ)しておりました。今年の荒れ狂う気候変動の中で、とうとう一矢を報いることができる時が訪れたのです。職人だからこそ厳しい田中が、「美味しい!」と岩﨑さんのみかんを絶賛したのです。

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 摘んだそのままを届けていただくため、表皮のワックスを取り除く必要もありません。果肉はもちろん、果皮も使用してBenoit自慢のデザートへと姿を変えます。このデザートを口にした時、目を閉じると遠く潮騒(しおさい)が耳に届き、レモン畑から一望できる瀬戸内海に浮かぶ島々の美しさが脳裏に浮かぶ…はずです。

 

≪伝統的な和栗の栗きんとんは美味しい。こだわりの和栗だから美味しい!≫

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 ブナ科クリ属の果実は、日本ではすでに縄文時代から食料として重宝されていたようです。これは日本に限ったことではありません。世界には大きく分けて四つの品種があり、その自生している大陸名が品種名になっています。フランスのマロングラッセでも有名なヨーロッパグリ、天津甘栗の中国グリ、絶滅したのではなかと思うアメリカグリ、そして和栗こと日本グリです。

 和栗は世界に誇る栗の品種です。ヨーロッパの洋栗や天津甘栗で有名な中国栗とは一味違った優しい甘さだからこそ栗の風味を十分に感じ取れ、瑞々(みずみず)しさが特徴。栗おこわのように、お米との相性は抜群なのはもちろん、栗きんとんも忘れてはいけません。栗そのものの美味しさを生かす和の技法は、すでに何百年も前から伝統として確立しているのです。

 岐阜県東南部の恵那市中山道の宿場町として旅人で賑わいを見せている時代、山栗を使った料理やお菓子が評判となり、「栗菓子の里」として歴史に名を残すことになります。彼の地にて、創業以来、「美味しい栗無くして美味しい栗菓子はなし」という信念のもと、恵那山の麓(ふもと)の広大な地に、栗の木を植栽し続けています。伝統にあぐらをかくことなく、栽培を担う人がより良い栗を育めるよう環境づくりを整え、その栗の美味しさをいかんなく発揮できる栗菓子を追求する、スタッフ皆が自らの担当する分野において日々研鑽に励み続けている老舗。栗きんとんの発祥の地である岐阜県の中津川、恵那峡に居を構える、「恵那川上屋(えなかわかみや)」さんです。

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「地元に栗を呼び戻そう」

 老舗である恵那川上屋さんの軌跡は、順風満帆だったわけではありませんでした。これほどの伝統と、栗の名産地としての名声を得ながら、人々の「農業離れ」には逆らうことができず、生産量が最盛期の10分の1にまで激減した時代がありました。栗無くして栗菓子はできず、まして素材以上の美味しさなどありえません。素材の確保と品質追求という難題が老舗を苦しめていたといいます。思い倦(あぐ)ねるままで、これといって解決の糸口が見つからない中、鎌田真悟さんが老舗の代表に就いた1998年を機に、「老舗の時」が動き始めます。

 JA東美濃が、特選栗評議会のメンバーの中から優れた栗生産者を認定し「超特選栗部会」という精鋭チームを発足いたしました。これは、栗栽培名人である塚本實(つかもとみのる)先生の「低樹高栽培」を学び、自らも指導者としてこの栽培ノウハウを仲間に教え伝えていくプロ集団です。「地元に栗を呼び戻そう」のメッセージのもと、「栗の名産地」復権をめざし、地元一丸となり労を惜しまない日々。この取り組みが功を奏し、栗の生産量も回復を見ることになりました。

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 Benoitには、2種類の和栗ペーストを送っていただいております。サトウキビから仕上げた黒糖を加えることで、香ばしいながらもほのぼのとする甘さが、栗の風味を引き立てる、まさに栗菓子の完成品、恵那川上屋さん自慢の「栗きんとん」そのものの(画像右側)。それと、まったく加糖せずに栗を炊きほぐしただけのもの(画像左側)の右側は、栗色が美しく、団粒のようにほろほろと、和栗のホクホクとした優しさと和栗らしい甘さが口中いっぱいに広がります。

 ひとつひとつでも十分に美味しい食材を、半々の比率でブレンドしたものを、今回のデザートで惜しげもなく使用します。皆様には、Benoitで何に姿を変えたかは、もう脳裏に浮かんだのではないでしょうか。

 

≪栃久保棚田の笠置(かさぎ)ゆず?≫

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 岐阜県を流れる木曽川を上流へとの上ってゆくと、渓谷の斜面を利用した、見事な棚田に出会うことができます。江戸時代に中期の頃に切り拓いたという歴史を持ち、いまなおその棚田の役割を全うしているのです。急峻な地形は、生半可な開拓では成しようもなく、大小さまざまな石によって組まれた頑強な石垣は一見の価値あり。随所にみられる石垣に気付かれた石の階段は、先人たちの知恵そのもの。ここは「栃久保(とちくぼ)棚田」と名付けられ、岐阜県恵那市笠置町で我々を迎えてくれます。

 この地は、斜面ならではのその水はけの良さ、渓谷だからこその川面の照り返し、そして山ならではの寒暖の差があるため、稲作はもちろんですが、果樹の栽培にも適しているのです。そこで、彼らは棚田を利用してユズを植栽していったのです。先人たちの先見の明は、さすがとしか言いようがありません。見事なまでのユズが実ったのです。人々からは「笠置ゆず」と呼ばれ、ひとつのブランドを造り上げたのです。

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 しかし、棚田という立地は、耕作面積をたやすく増やせるというものではなく、収量には限りがありました。どれほど名声を得たとしても、生産量の少なさを補うことはできません。県外や他の地域が、植栽面積をぐんぐん広げるなかで、一歩も二歩も遅れをとることになり、全国で名を馳せることが難しくなってゆきます。

 それでも、地元の人々はユズの栽培を辞めることはありませんでした。手間暇かけて育て上げた「笠置ゆず」は、他地域にも負けないユズに育つということを知っているからです。棚田は、ユズにとっては好立地ですが、栽培者にとっては難儀なもの。そのような苦労など、百も承知といわんばかりに、彼らは無農薬栽培を徹底しているのです。

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 笠置の人々が丹精込めて育て上げた、ユズがBenoitに届いています。太陽をさんさんと浴びることで、生い茂る葉は光合成をすることで、美味しさをなす栄養を果実に送り続けます。果実は、暴風雨にあたるために傷がつきやすい。しかし、この自然に鍛え抜かれることで、農薬に頼ることなく自らが持ちうる病原菌への抵抗力を生かしながら熟してゆきます。

 2020年のBenoitクリスマスメニューテイクアウトのデザートに使用するのですが、実はいつものプリ・フィックスメニューでも、たっぷりと使用しています。おや?どこを探してもメニューに「ゆす」の記載はありません。いったいどのようなデザートになっているのしょうか?

 

≪しぼったままのブドウジュースが、アルザス地方から!≫

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 濃縮還元ジュースを否定するつもりはりません。これほどまでに保存性を高め、いつなんどきでも果実味溢れる果汁100%ジュースを楽しめることになったのです。しかし、この利便性とは裏腹に、やはり失うものもあるのです。搾った果汁を濃縮して、水で還元するように戻して同じ味わいになるのかというと、ともに美味しいのですが別ものになります。

 フランスのアルザス地方に居を構えるOTTONEL。数々美味しいワインを醸すワイナリーでありながら、こともあろうか収穫したブドウ果汁を発酵させずに瓶詰めしたのです。ブドウは「ミュスカ」という品種のみで、フィルターも通していないため、瓶によっては種まで混入しているのです。

 巷には辛口のワインが大多数を占めており、「ワイン用のブドウより食用のブドウの方が甘い」と皆様のお思いではないですか?これがまったくの逆で、ワイン用の方が格段に甘いのです。例えば、糖度15度の果実があるとします。この度数は相当に甘さを感じるフルーツです。これを絞って発酵させると、約7%のアルコール飲料になるのです。ワインの度数は12~15%であることを考えると、どれほどの糖度が必要であることか。

 このアルザスのブドウジュースは、確かに甘いです。しかし、ワイン用だからこその心地良くも芯のある酸味をもっているのです。これが後引く美味しさとなっているようです。正直に、この果樹糖度でもワインにした場合に足りない感があります。それでも、ワイン用の果汁がどれほど甘さであるのか?さらには酸味が必要なのか?美味しさを楽しみながら学ぶことのできるジュースなのです。

 気になりませんか?

 

 降り注ぐ太陽の陽射しが万物を育て上げ、四季折々の風はその土地土地に味わいをもたせる。その風のもたらした美味しさこそ「風味」であり、我々はここに「口福な食時」を見出すのです。そして、旬を迎える食材は、人が必要としている栄養に満ちています。そして、人の体は食べたものでできています。「美しい(令)」季節に冬食材が「和」する逸品に出会い、食することで無事息災に年末を迎えていただきたい。この想いを込め、Benoit12月のお勧め情報をお送りさせていただきました。

 

≪季節のお話「柞に想うこと」のご案内です。≫

 其処彼処で目にする雑木林の黄葉に紅葉。「八入の雨」が一入一入と木の葉を色付かせてゆきます。そして、一足先に黄葉が見事な姿を我々に披露してくれています。「柞(ははそ)」とは、今では馴染みのない言葉ですが、なかなかに奥深いものでした。さあ、皆様を柞原へとご案内させていただきます。

kitahira.hatenablog.com

 

≪「歳暮(としのくれ)特別プラン」他、12月のご案内です。≫

 「美しい(令)」季節の冬食材が「和」する料理の数々。これを美味しく食べることで、人は笑顔になり、体の内側から湧き出でる力となる。そして、我々をウイルス災禍から守ってくれることでしょう。「口福な食時」のひとときこそ、我々の心身を活力ある本来の姿へと導いてくれるのです。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com