kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2023年6月 「北平がBenoitを不在にする日」のご報告です。

 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない6月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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 上記日程以外は、Benoitを優雅に駆け回る所存です。自分への返信でのご予約はもちろん、BenoitのHPや、他ネットでのご予約の際に、コメントの箇所に「北平」と記載いただけましたら、自慢の料理の数々を語りに伺わせていただきます。自分が不在の日でも、お楽しみいただけるよう万全の準備をさせていただきます。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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2023年5月Benoit ボーノ(美味しい)という名を冠したボーノポーク?!

 「ボーノポーク」は、イタリア語で美味しいという意味の「ボーノ」という言葉を冠し、なんとも軽々しい印象を受けますが、その実は、岐阜県の中濃ミート事業協同組合の威信にかけて育て上げた銘柄豚です。飼育地は、県内の瑞浪(みずなみ)市、山県市、揖斐(いび)市の3地域。3つの種の掛け合わせで誕生した三元豚で、そのひとつが霜降り割合を増加させる能力を持つ、岐阜県が開発育種した「ボーノブラウン」という種豚です。

 抗酸化能とオレイン酸を多く含む植物性原料を含み、飼料中のアミノ酸バランスを調整した専用に開発された飼料を与えています。この飼料を含め、徹底した管理のもとで飼育されることで、霜降り割合が一般的な豚肉の二倍にものぼり、肉自体の旨味を十二分に堪能できる上に、脂の甘味か加味されるのです。さらに、一般に流通している豚肉よりもドリップロスが少なく、肉の旨味が逃げにくいのが特徴といいます。

 飼育した全てが「ボーノポーク」というブランドを冠することはありません。県下の和牛ブランド「飛騨牛」が、霜降り具合を目視によって5等級なのか4等級なのか、はたまた3等級なのかと振り分けるように、この豚もまたロース部位を目視によって判別してゆきます。違う点は、区分けが「ボーノポーク」か「一般的な豚」の2択であるということ。

 皆様が、「ボーノポーク」という豚の名前を耳にしたことがないのも当然、徹底した管理のために多くを飼育できない上に、厳しい選別ゆえに流通量が極端に少ないのです。その、貴重な豚肉がBenoitに届いています!どれほど美味しいのか?それは、Benoitが4年間にもわたり他の豚へ浮気しないことがなによりの証(あかし)です。

 

 どれほどのブランド肉でも、豚肉は生では食せず、良く焼くと硬くなります。そこで、ロースの部位を厚めにカットするのですが、休ませながら断面がうっすらとピンク色になるように丁寧に焼き上げることで、しっとりとした食感とボーノポークの旨味を十二分に堪能できるのです。

 さらに、ディジョンマスターにエシャロットの甘みを加えたものを下に、オリーブ2種とクルミを細かくカットしたものを上に。ボーノポークと会いまった時、その美味しさが際立つかのよう。この味わいのバランスこそが、この料理の神髄です。

Longe de cochon de Gifu en cocotte, pommes de terre nouvelles, lard paysan et cébettes

岐阜県ボーノポークロース肉のココット焼き 新ジャガイモと九条ネギ

※5月末までは、ランチとディナー、ともにプリ・フィックスメニューの主菜として、お選びいただけます。6月7月は、ディナーのみのご提供です。

 

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 バランスの良い美味しい料理を日頃からとることは、病気の治癒や予防につながる。この考えは、「医食同源」という言葉で言い表されます。この言葉は、古代中国の賢人が唱えた「食薬同源」をもとにして日本で造られたものだといいます。では、なにがバランスのとれた料理なのでしょうか?栄養面だけ見れば、サプリメントだけで完璧な健康を手に入れることができそうな気もします。これでは不十分であることは、すでに皆様ご存じかと思います。

 季節の変わり目は、体調を崩しやすいという先人の教えの通り、四季それぞれの気候に順応するために、体の中では細胞ひとつひとつが「健康」という平衡を保とうとする。では、その細胞を手助けするためには、どうしたらよいのか?それは、季節に応じて必要となる栄養を摂ること。その必要な栄養とは…「旬の食材」がそれを持ち合わせている。

 「春」とはどのような季節なのでしょうか。薬膳の先生の言葉を借ります。「春は陽気に誘われるかのように、気持ちが上ずってしまう時期です。」確かに、寒い冬が終わり、ぽかぽかともなると、花粉症で苦しむ中でも気持ちが高ぶってくるものです。しかし、この高揚感に、身体がついてゆかず、心と体のバランスが崩れることで体調不良を引き起こしてしまうのだというのです。

 そこで、気持ちの高ぶりを落ち着かせるために、薬膳では春には「香りの良いもの」を取り入れる。往古、この時期の日本では山菜を楽しむ習慣があります。この春を代表する山の幸の「やさしいほろ苦さ」も同じ効用だといいます。そして、「シェフは薬膳を知らないと思うけれど、旬の食材で組み立てる料理こそが薬膳の考え方そのもの」なのだと。

 季節が過ぎ去ってゆくように、柑橘も品種を変えながら、産地も西から東へと、順を追って終わりを迎えていきます。さあ皆様、香り高く心地よい酸味の利いた柑橘を、食生活の中に取り入れませんか。美味しくいただくことが、心身を健康な姿へと導くことになるはずです。疲労困憊の時には、足の赴くままにBenoitへお運びください。旬の食材を使った、自慢の料理やデザートでお迎えいたします。

 

 過ごしやすい日々ではありますが、まだ「春に三日のはれなし」と表現される時期です。この不安定な天気は、知らず知らずのうちに体力を奪ってゆくもの、油断はなりません。疲労・ストレスなどが原因で免疫力が下がっている時に、乾燥が加わると、コロナウイルスばかりではなく、風邪やインフルエンザにも注意が必要です。さらに、肌荒れやかゆみの原因にもなり、体感温度も下がります。健康のためにも、美容のためにも、程よい湿気お忘れなきように。そして、心の潤いも保ちながら快適にお過ごしください。

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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2023年5月Benoit 「鰆(さわら)」と書くだけに、春にこそお楽しみいただきたい!

 サワラは「鰆」と漢字でかきます。やはり「春」と当て字に入るぐらいですから、春にこそお楽しみいただきたい旬の味覚。しかし、日本の近海を回遊している魚だけに年中水揚げがある魚…なぜ春なのか?この時期に産卵のために沿岸に近寄ってくるため、捕獲しやすいという理由が大きいでしょう。さらに、その産卵場所が瀬戸内海ということが、大阪さらには京都に近いということで、往古おおいにもてはやされたのではないかと思うのです。そこで、古人は「鰆」という国字をこしらえた…のだと思う。

 昨年、Benoitは佐渡ヶ島からサワラが送っていただいていました。Benoitシェフの野口が教えてくれたのですが、瀬戸内海や太平洋側で水揚げされたサワラよりも美味しい、ということかったということ。やはり、佐渡ヶ島近海で育まれたものは、ひと味もふた味も違い美味しい!と、新潟出身だけに誇らしかった。

しかし、今年は冬の寒波に春の暖かさによって海水温の変動が大きかったことが原因なのでしょうか、自分の故郷である新潟県では、サワラが記録的な不漁となっています。そこで、今季は豊洲市場を拠点とする魚卸の老舗「大芳」さんの助けをお借りします。日本海側限定で、彼らの目利きによって選ばれし逸品がBenoitに届く。今の主産地は石川県です。

 

 なぜ、日本海側限定なのか?

 サワラが回遊魚であることから、瀬戸内海から関門海峡を抜け日本海へ、そのまま北上してゆき北海道の北か南を抜けて太平洋に出向き南下し、産卵場所である瀬戸内海へ向かうのだと…自分は考えてしまいました。これが、大いなる間違いだったのです。

 日本で水揚げのあるサワラは、2つに大別しなければならなかったのです。一つは、瀬戸内海を産卵場所にする「太平洋群」。もう一つが、黄海を産卵場所とする「日本海群」です。なぜ、太平洋側と日本海側でサワラの味わいに違いがあるのか。育った環境の違いであり、何を食餌しているかで身質も変わってくるのでしょう。人の身体は食べたもので形成されるように、サワラもまた同じことなのです。

 

 西京焼きなどで馴染みのサワラですが、焼いてしまってはやはり身質がぱさぱさしやすいものです。日本海の美味しい食餌をパクパク食べたからこその、きれいな脂をお楽しみいただきたいので、Benoitでは生食を選びます。しかし、天然の魚だけにアニサキスの心配が脳裏をよぎるもの。

 そこで、Benoitでは捌かれたサワラを一度冷凍し、いっさいのアニサキスを退治します。これを丁寧に解凍しただけでも美味しいのですが、ここでひと手間を惜しまない。表面を炙るように香ばしさを加え、「鰹のたたき」ならぬ「鰆のたたき」のように仕上げるのです。

 今が旬の野菜、カラフルな春ニンジンと赤玉ねぎをお供に、柑橘で春らしくこしらえる。柑橘は、熊本県不知火の「のむちゃん農園」の「不知火(しらぬい)」、次に「農6号」へ。怪しい名前ですが、これがかなり美味。甘みとコクがあるので、ジュース用に絞ってしまうそうなのですが、それを送っていただきました。

Sawara en escabèche

サワラのエスカベッシュ 柑橘風味

※ディナーのプリ・フィックスメニュー、前菜としてお選びいただけます。

 

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 バランスの良い美味しい料理を日頃からとることは、病気の治癒や予防につながる。この考えは、「医食同源」という言葉で言い表されます。この言葉は、古代中国の賢人が唱えた「食薬同源」をもとにして日本で造られたものだといいます。では、なにがバランスのとれた料理なのでしょうか?栄養面だけ見れば、サプリメントだけで完璧な健康を手に入れることができそうな気もします。これでは不十分であることは、すでに皆様ご存じかと思います。

 季節の変わり目は、体調を崩しやすいという先人の教えの通り、四季それぞれの気候に順応するために、体の中では細胞ひとつひとつが「健康」という平衡を保とうとする。では、その細胞を手助けするためには、どうしたらよいのか?それは、季節に応じて必要となる栄養を摂ること。その必要な栄養とは…「旬の食材」がそれを持ち合わせている。

 「春」とはどのような季節なのでしょうか。薬膳の先生の言葉を借ります。「春は陽気に誘われるかのように、気持ちが上ずってしまう時期です。」確かに、寒い冬が終わり、ぽかぽかともなると、花粉症で苦しむ中でも気持ちが高ぶってくるものです。しかし、この高揚感に、身体がついてゆかず、心と体のバランスが崩れることで体調不良を引き起こしてしまうのだというのです。

 そこで、気持ちの高ぶりを落ち着かせるために、薬膳では春には「香りの良いもの」を取り入れる。往古、この時期の日本では山菜を楽しむ習慣があります。この春を代表する山の幸の「やさしいほろ苦さ」も同じ効用だといいます。そして、「シェフは薬膳を知らないと思うけれど、旬の食材で組み立てる料理こそが薬膳の考え方そのもの」なのだと。

 季節が過ぎ去ってゆくように、柑橘も品種を変えながら、産地も西から東へと、順を追って終わりを迎えていきます。さあ皆様、香り高く心地よい酸味の利いた柑橘を、食生活の中に取り入れませんか。美味しくいただくことが、心身を健康な姿へと導くことになるはずです。疲労困憊の時には、足の赴くままにBenoitへお運びください。旬の食材を使った、自慢の料理やデザートでお迎えいたします。

 

 過ごしやすい日々ではありますが、まだ「春に三日のはれなし」と表現される時期です。この不安定な天気は、知らず知らずのうちに体力を奪ってゆくもの、油断はなりません。疲労・ストレスなどが原因で免疫力が下がっている時に、乾燥が加わると、コロナウイルスばかりではなく、風邪やインフルエンザにも注意が必要です。さらに、肌荒れやかゆみの原因にもなり、体感温度も下がります。健康のためにも、美容のためにも、程よい湿気お忘れなきように。そして、心の潤いも保ちながら快適にお過ごしください。

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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2023年5月Benoit ブランダード?どのような料理かさっぱりわからないが、これが美味なり!

 「タラのブランダード」というお料理は、横文字の名前だけに、なにやらさっぱり分かり難(にく)いものですが、これがまた美味なり。ヨーロッパでは、北欧を主として、塩をたっぷりとまぶし釘が打てるほどに乾燥させ保存性を高めたタラ、「Morue(モリュ)」と名付けられた食材があります。これをいかに美味しく食べようかという、フランスの伝統と知恵が作り上げたのが、ブランダードという料理。同じような料理が、ヨーロッパ各国にあり、大航海時代で言語が伝播するように、世界中に拡がっていきました。いったいどの地が発祥なのか、今となっては知る由もありません。

 日本は周囲を海に囲まれており、鮮度良く美味しいマダラが手に入る環境にあるため、Benoitのブランダードは塩干タラを使用しません。北海道のタラに塩をまぶし一晩お休みです。これにより、、身が引きしまるのと同時に、旨味が出てきます。このマダラを少しばかり塩抜きし、牛乳とニンニクの中で煮たものを、ほぐしたジャガイモと混ぜ合わせます。これに半熟卵をのせる。ジャガイモの甘さとホクホクの食感、そこにタラ特有の繊維っぽい身質と旨さが絡みあう。半熟卵のとろりとくる黄身との相性も抜群です。さらに、クリームにニンニクを風味付けしたものをソースとする。これがBenoitスタイルです。

Œuf mollet, brandade de MORUE

鱈のブランダードと半熟卵

※ランチのプリ・フィックスメニュー、前菜としてお選びいただけます。

 

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 バランスの良い美味しい料理を日頃からとることは、病気の治癒や予防につながる。この考えは、「医食同源」という言葉で言い表されます。この言葉は、古代中国の賢人が唱えた「食薬同源」をもとにして日本で造られたものだといいます。では、なにがバランスのとれた料理なのでしょうか?栄養面だけ見れば、サプリメントだけで完璧な健康を手に入れることができそうな気もします。これでは不十分であることは、すでに皆様ご存じかと思います。

 季節の変わり目は、体調を崩しやすいという先人の教えの通り、四季それぞれの気候に順応するために、体の中では細胞ひとつひとつが「健康」という平衡を保とうとする。では、その細胞を手助けするためには、どうしたらよいのか?それは、季節に応じて必要となる栄養を摂ること。その必要な栄養とは…「旬の食材」がそれを持ち合わせている。

 「春」とはどのような季節なのでしょうか。薬膳の先生の言葉を借ります。「春は陽気に誘われるかのように、気持ちが上ずってしまう時期です。」確かに、寒い冬が終わり、ぽかぽかともなると、花粉症で苦しむ中でも気持ちが高ぶってくるものです。しかし、この高揚感に、身体がついてゆかず、心と体のバランスが崩れることで体調不良を引き起こしてしまうのだというのです。

 そこで、気持ちの高ぶりを落ち着かせるために、薬膳では春には「香りの良いもの」を取り入れる。往古、この時期の日本では山菜を楽しむ習慣があります。この春を代表する山の幸の「やさしいほろ苦さ」も同じ効用だといいます。そして、「シェフは薬膳を知らないと思うけれど、旬の食材で組み立てる料理こそが薬膳の考え方そのもの」なのだと。

 季節が過ぎ去ってゆくように、柑橘も品種を変えながら、産地も西から東へと、順を追って終わりを迎えていきます。さあ皆様、香り高く心地よい酸味の利いた柑橘を、食生活の中に取り入れませんか。美味しくいただくことが、心身を健康な姿へと導くことになるはずです。疲労困憊の時には、足の赴くままにBenoitへお運びください。旬の食材を使った、自慢の料理やデザートでお迎えいたします。

 

 過ごしやすい日々ではありますが、まだ「春に三日のはれなし」と表現される時期です。この不安定な天気は、知らず知らずのうちに体力を奪ってゆくもの、油断はなりません。疲労・ストレスなどが原因で免疫力が下がっている時に、乾燥が加わると、コロナウイルスばかりではなく、風邪やインフルエンザにも注意が必要です。さらに、肌荒れやかゆみの原因にもなり、体感温度も下がります。健康のためにも、美容のためにも、程よい湿気お忘れなきように。そして、心の潤いも保ちながら快適にお過ごしください。

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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2023年5月Benoit 佐渡ヶ島のヒラメが、お相手に選んだのはホワイトアスパラガスなり!

 この時期にヒラメ?とお思いの方は、太平洋側にお住まいの方でしょう。新潟県では今から旬を迎えるのです。それも今回は佐渡ヶ島から直送という、なんとも贅沢な逸品がBenoitに届いているのです。

 彼の島は、東京二十三区合わせた面積よりも大きい。確かに、日本地図を見ると、見事な大きさで島が描かれている。これほどの大きさを誇りながら、九十九里浜のような広大な浜辺などは皆無で、大粒の砂が輝く狭き浜辺が点在するだけ、多くはごつごつと岩肌むき出しの岩礁地帯に囲まれているような島です。そのため、佐渡ヶ島の海岸域は、我々に見事なまでの景観を楽しませてくれます。

 その海岸域の延長でもある海の中は、海に生きる生物にとってなんとも居心地のいい住環境を提供してくれています。さらに、南からの対馬海流が多くのプランクトンを運ぶことで、豊かな食環境をもたらす。この理想的な「衣」のない「食住」は、海中生物の見事なまでの食物連鎖を形成することになります。プランクトンを食餌とする小魚や甲殻類が育まれ、それらを捕食する大型魚が幅を利かすようになる。人の体は食べたもので作られる、もちろん魚も同じこと。美味しい食餌で育まれた上に、海流にもまれにもまれたヒラメが、まず美味しくないわけがありません。

 佐渡ヶ島のマルヨシ鮮魚店の石原さんによって選ばれたヒラメは、彼の手によって神経〆の後に、丁寧に捌(さば)かれBenoitに直送されます。彼の目利きと仕事の丁寧さを、Benoitシェフの野口は絶賛している。実際に二人は会ってはいないが、ヒラメを仲介することで、それぞれの分野でのプロフェッショナルだからこそ気づくのでしょう。

 佐渡ヶ島近海のヒラメは、ぶりぶりの身質に旨味がのっている。新潟では、やはりお刺身でいただくことが多い。そこで、シェフの野口は考えた、「ショードレという料理は煮込み料理だが、これでは佐渡のヒラメの美味しさを損ねてしまう」と。さっと表面だけを焼く、そう焼ききらないことでヒラメのもちうる美味しさを生かせるのだ。

 このヒラメと一堂に会するのは、ホタテガイとハマグリ、そして忘れてはならないのが、フランスより届いたホワイトアスパラガスです。とホタテガイも、ヒラメ同様に、さっと表面を焼き上げます。ハマグリは、白ワインで蒸し焼きに。ホワイトアスパラガスは、ランド県の砂地で育まれた類まれなえぐさを生かすため、シンプルに茹でたもの。ハマグリを蒸し焼きにした際のスープに、魚のスープを加え、さらにクリームを少々。このスープこそが、この料理の決め手となる!

Chaudrée de turbot et coquillages, asperges blanches

佐渡ヶ島産ヒラメと貝のショードレ フランス産白アスパラガス

※ランチとディナーのプリ・フィックスメニュー、主菜として+1,500円でお選びいただけます。

 

 ショードレとは、フランスの漁師料理のひとつ。魚を知り尽くしたフランス漁師さんの料理と言えば、南仏の「ブイヤベース」があまりにも有名です。しかし、なにも漁師さんは南だけにいるわけではなく、もちろん北にもいる。彼らの漁師料理の中でも、ロワール地方の伝統料理が「ショードレ」です。

 海での一仕事を終えた漁船が港に着岸すると、すぐに魚の選別が始まり市場へと卸されます。この時に、美味しいけれど雑魚(ざこ)呼ばれる魚や、個体が小さすぎたものは、市場へは向かわず漁師さんの手元に残ります。そこで、彼らは考えたのでしょう…どうやったら美味しく簡単に食べることができるのか、と。

 南仏であれば、特産のトマトやオリーブオイルを使うことは想像に難くはありません。では、北フランスはというと、言わずと知れた酪農の産地です。牛乳やバターにクリーム…そう、現地のショードレは、多種多様な魚をミルクで煮たものです。しかし、そこはBenoitですから、魚文化の日本らしく美味しさを追求した結果、魚介は魚介、スープはスープと別々にこしらえる今のスタイルにいたしました。

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 バランスの良い美味しい料理を日頃からとることは、病気の治癒や予防につながる。この考えは、「医食同源」という言葉で言い表されます。この言葉は、古代中国の賢人が唱えた「食薬同源」をもとにして日本で造られたものだといいます。では、なにがバランスのとれた料理なのでしょうか?栄養面だけ見れば、サプリメントだけで完璧な健康を手に入れることができそうな気もします。これでは不十分であることは、すでに皆様ご存じかと思います。

 季節の変わり目は、体調を崩しやすいという先人の教えの通り、四季それぞれの気候に順応するために、体の中では細胞ひとつひとつが「健康」という平衡を保とうとする。では、その細胞を手助けするためには、どうしたらよいのか?それは、季節に応じて必要となる栄養を摂ること。その必要な栄養とは…「旬の食材」がそれを持ち合わせている。

 「春」とはどのような季節なのでしょうか。薬膳の先生の言葉を借ります。「春は陽気に誘われるかのように、気持ちが上ずってしまう時期です。」確かに、寒い冬が終わり、ぽかぽかともなると、花粉症で苦しむ中でも気持ちが高ぶってくるものです。しかし、この高揚感に、身体がついてゆかず、心と体のバランスが崩れることで体調不良を引き起こしてしまうのだというのです。

 そこで、気持ちの高ぶりを落ち着かせるために、薬膳では春には「香りの良いもの」を取り入れる。往古、この時期の日本では山菜を楽しむ習慣があります。この春を代表する山の幸の「やさしいほろ苦さ」も同じ効用だといいます。そして、「シェフは薬膳を知らないと思うけれど、旬の食材で組み立てる料理こそが薬膳の考え方そのもの」なのだと。

 季節が過ぎ去ってゆくように、柑橘も品種を変えながら、産地も西から東へと、順を追って終わりを迎えていきます。さあ皆様、香り高く心地よい酸味の利いた柑橘を、食生活の中に取り入れませんか。美味しくいただくことが、心身を健康な姿へと導くことになるはずです。疲労困憊の時には、足の赴くままにBenoitへお運びください。旬の食材を使った、自慢の料理やデザートでお迎えいたします。

 

 過ごしやすい日々ではありますが、まだ「春に三日のはれなし」と表現される時期です。この不安定な天気は、知らず知らずのうちに体力を奪ってゆくもの、油断はなりません。疲労・ストレスなどが原因で免疫力が下がっている時に、乾燥が加わると、コロナウイルスばかりではなく、風邪やインフルエンザにも注意が必要です。さらに、肌荒れやかゆみの原因にもなり、体感温度も下がります。健康のためにも、美容のためにも、程よい湿気お忘れなきように。そして、心の潤いも保ちながら快適にお過ごしください。

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

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2023年5月Benoit 暑いからこそ、熱々のオニオングラタンスープ!

 フランスの食の都「リヨン」では、オニオングラタンスープは鶏のガラからじっくりと旨味を引き出します。しかし、Benoitは違う!牛のすね肉から、じっくりと2日間かけて旨味を煮出すのです。このブイヨンこそが、Benoitのオニオングラタンスープの美味しさの決め手なり。

 この琥珀色に輝かんばかりのブイヨンは、濃いというよりも旨味が満ち満ちている。そこへ、たっぷりの飴色のタマネギを加えてほどよく煮込み、味を馴染ませるために冷やし休ませる。そして、オーダーをいただいた後、スープを熱々にし、ライオンの顔がデザインされた独特のスープボールへ注ぎ入れる。パンを浮かべ、グリュイエールチーズをパラパラと加え、オーブンへ。チーズがとろけ、ふつふつとしたところで、皆様の元へと運ばれてゆきます。

 このオニオングラタンスープは、3月までの限定と考えていました。しかし、多くのあついあつい要望にお応えし、5月末までこの熱々の逸品を延長することにいたします。素材に何か奇をてらうわけではない、素材そのもの美味しさを十二分に引き出した、まさに時(とき)がなせる美味しさの極みというのでしょう。前述したグリーンピースのスープと併せてご注文いただいても、自分は止めることはいたしません。

GRATINÉE À L'OIGNON

オニオングラタンスープ

※ランチとディナーのプリ・フィックスメニュー、前菜として+1,000円でお選びいただけます。

 

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 季節の変わり目は、体調を崩しやすいという先人の教えの通り、四季それぞれの気候に順応するために、体の中では細胞ひとつひとつが「健康」という平衡を保とうとする。では、その細胞を手助けするためには、どうしたらよいのか?それは、季節に応じて必要となる栄養を摂ること。その必要な栄養とは…「旬の食材」がそれを持ち合わせている。

 「春」とはどのような季節なのでしょうか。薬膳の先生の言葉を借ります。「春は陽気に誘われるかのように、気持ちが上ずってしまう時期です。」確かに、寒い冬が終わり、ぽかぽかともなると、花粉症で苦しむ中でも気持ちが高ぶってくるものです。しかし、この高揚感に、身体がついてゆかず、心と体のバランスが崩れることで体調不良を引き起こしてしまうのだというのです。

 そこで、気持ちの高ぶりを落ち着かせるために、薬膳では春には「香りの良いもの」を取り入れる。往古、この時期の日本では山菜を楽しむ習慣があります。この春を代表する山の幸の「やさしいほろ苦さ」も同じ効用だといいます。そして、「シェフは薬膳を知らないと思うけれど、旬の食材で組み立てる料理こそが薬膳の考え方そのもの」なのだと。

 季節が過ぎ去ってゆくように、柑橘も品種を変えながら、産地も西から東へと、順を追って終わりを迎えていきます。さあ皆様、香り高く心地よい酸味の利いた柑橘を、食生活の中に取り入れませんか。美味しくいただくことが、心身を健康な姿へと導くことになるはずです。疲労困憊の時には、足の赴くままにBenoitへお運びください。旬の食材を使った、自慢の料理やデザートでお迎えいたします。

 

 過ごしやすい日々ではありますが、まだ「春に三日のはれなし」と表現される時期です。この不安定な天気は、知らず知らずのうちに体力を奪ってゆくもの、油断はなりません。疲労・ストレスなどが原因で免疫力が下がっている時に、乾燥が加わると、コロナウイルスばかりではなく、風邪やインフルエンザにも注意が必要です。さらに、肌荒れやかゆみの原因にもなり、体感温度も下がります。健康のためにも、美容のためにも、程よい湿気お忘れなきように。そして、心の潤いも保ちながら快適にお過ごしください。

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2023年5月Benoit サクラマスの美味しさを知ってしまったので、今年もメニューに名を連ねます!

 川で生まれたマスは、1年ほどその川で育まれる。後に、川の残る個体と川を下る個体とに分かれるというが、どのように決まるのかは、自然の神秘のベールに包まれていて、いまだ解明されていません。川に残ったものが「ヤマメ」であるならば、果敢に大海原へ向かうのが「サクラマス」です。

 サクラマスは、ベーリング海峡へと向かい、オキアミなどを大いに食して成長してゆきます。そして、1年後に母川(ぼせん)を目指し日本へ向かいます。この遡上する時期が、桜咲くころなので「サクラマス」と古人は名付けました。今この時期だからこそ、その極まった美味しさを堪能できる。「サクラマス」の旬は、今をおいて他にはありません。

 3年かけて母線回帰するサケとは違い、1年で戻ってくるサクラマスは、やはり脂のりが優しいもの。焼いてしまえば、ぱさぱさな鮭。そこで、身の中心まで火を通さないmi-cuit(ミ・キュイ)という調理方法を採用。これにより、しっとりとしながら、ほろっと崩れるように仕上げます。

 サクラマスの上には、甘さを引き出した新玉ねぎ、シャリシャリのスプラウトカリカリの細切りジャガイモをのせることで、味わいにアクセントを加える。ソースには、バターのコクと甘さに、心地よい白ワインと瀬戸内レモンの酸味が加わったブールブラン。そう、フランスはロワール地方の伝統料理を思わせる逸品です。

Sakuramasu au plat, primeurs de saison, beurre blanc

サクラマスのソテー 春野菜 ブールブランソース

※ランチとディナー、ともにプリ・フィックスメニューの主菜として、お選びいただけます。

 

 バランスの良い美味しい料理を日頃からとることは、病気の治癒や予防につながる。この考えは、「医食同源」という言葉で言い表されます。この言葉は、古代中国の賢人が唱えた「食薬同源」をもとにして日本で造られたものだといいます。では、なにがバランスのとれた料理なのでしょうか?栄養面だけ見れば、サプリメントだけで完璧な健康を手に入れることができそうな気もします。これでは不十分であることは、すでに皆様ご存じかと思います。

 季節の変わり目は、体調を崩しやすいという先人の教えの通り、四季それぞれの気候に順応するために、体の中では細胞ひとつひとつが「健康」という平衡を保とうとする。では、その細胞を手助けするためには、どうしたらよいのか?それは、季節に応じて必要となる栄養を摂ること。その必要な栄養とは…「旬の食材」がそれを持ち合わせている。

 「春」とはどのような季節なのでしょうか。薬膳の先生の言葉を借ります。「春は陽気に誘われるかのように、気持ちが上ずってしまう時期です。」確かに、寒い冬が終わり、ぽかぽかともなると、花粉症で苦しむ中でも気持ちが高ぶってくるものです。しかし、この高揚感に、身体がついてゆかず、心と体のバランスが崩れることで体調不良を引き起こしてしまうのだというのです。

 そこで、気持ちの高ぶりを落ち着かせるために、薬膳では春には「香りの良いもの」を取り入れる。往古、この時期の日本では山菜を楽しむ習慣があります。この春を代表する山の幸の「やさしいほろ苦さ」も同じ効用だといいます。そして、「シェフは薬膳を知らないと思うけれど、旬の食材で組み立てる料理こそが薬膳の考え方そのもの」なのだと。

 季節が過ぎ去ってゆくように、柑橘も品種を変えながら、産地も西から東へと、順を追って終わりを迎えていきます。さあ皆様、香り高く心地よい酸味の利いた柑橘を、食生活の中に取り入れませんか。美味しくいただくことが、心身を健康な姿へと導くことになるはずです。疲労困憊の時には、足の赴くままにBenoitへお運びください。旬の食材を使った、自慢の料理やデザートでお迎えいたします。

 

 過ごしやすい日々ではありますが、まだ「春に三日のはれなし」と表現される時期です。この不安定な天気は、知らず知らずのうちに体力を奪ってゆくもの、油断はなりません。疲労・ストレスなどが原因で免疫力が下がっている時に、乾燥が加わると、コロナウイルスばかりではなく、風邪やインフルエンザにも注意が必要です。さらに、肌荒れやかゆみの原因にもなり、体感温度も下がります。健康のためにも、美容のためにも、程よい湿気お忘れなきように。そして、心の潤いも保ちながら快適にお過ごしください。

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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