kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2021年6月7月 Benoit≪お勧め料理/デザート≫のご紹介です。

桜色を いまはみどりに ぬぎかへて (こずえ)しげる 衣がへかな  雲雅(うんが)

 

 6月1日は現行の暦では「衣がえ」です。学校の制服なども、この日から2週間ほどの猶予期間を設けて冬服から夏服へと変わります。着物の世界では、「袷(あわせ)」から「単衣(ひとえ)」へと更衣がなされ、初夏の暑さに対処しようとします。表地と裏地を合わせて仕立てる「袷」に比べ、表地のみの「単衣」は軽やかで風通しも格段に良いのだといいます。

 平安時代には旧暦の4月1日であり、鎌倉時代末期に活躍していた雲雅の時代もさほど大差はなかったのではないかと思います。新暦・旧暦との偏差は約40日ほどであることを鑑みると、今の5月頃のこと。季節の変わり目であり、若葉が芽吹いて瑞々(みずみず)しい姿「新樹(しんじゅ)」の時期です。

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 日本固有種の山桜は、花咲く頃の若葉は赤みがかった深みのある「桜色」(上の画像)でした。初夏を迎え、桜色の若葉が陽射しを受けることで、クロロフィルが大いに増長・活発化し、葉に満ち満ちることで淡い緑色(下の画像)へと「ぬぎかへ」た。花は笑い終え、その若葉が梢に生い茂るさまは、まさに新樹の季節の到来であり、雲雅は山桜の「衣がえ」だと詠う。そして、彼は人々の「更衣(こうい)/衣がえ」も時同じくしていたという。

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 新樹の季節の更衣は、「袷(あわせ)」から「単衣(ひとえ)」ではなく、「袷」の「襲(かさね)」の色目を変えたのではないかと思います。この「襲の色目」とは、「袷」の表地と裏地の色の違いを、季節にあわせて変えてゆくという、これが往日のファッションであり、「粋な姿」であるという。新樹の時期は、袷(あわせ)の表地は萌黄(黄緑)色で裏地は桜色という「桜萌黄」から、表地は白で裏地は青緑色という「卯(う)の花」へと衣がえをしたといいます。この裏地の色目の変化を、山桜の葉色の変化と呼応させるように雲雅は詠ったのではないでしょうか。

 そして、五月雨が続く頃は、薄手の袷で過ごし、梅雨時期の終わりを待って、単衣に「衣がえ」をしたのでしょう。その名残が、現行の6月1日なのかと。毎年のように、なぜ梅雨時期に衣がえをするのか?と疑問に思っていましたが、新旧暦の偏差約40日を考えると、旧暦6月1日は7月初旬にあたります。梅雨が明け、盛夏を迎える間に「衣がえ」ということなのでしょう。

 

 「衣がえ」は、季節が大きく変わることを意味しています。季節の変化は、我々の衣服などという些細なことよりも、自然環境に与える影響のほうが大きいでしょう。自然界の動植物は、この自然の機微を捉え、季節という概念があるかどうかはさておき、今何をすべきか判断し行動する。花を咲かせたり、冬眠したりと。人類以外の生きとし生けるものは、本能で季節を悟る。人は、この動植物の行動によって季節の移ろいを知る。

 時の経過は「成長」を促します。その結果、実を成すのが野菜や果物であり、栄養を蓄えるようにたらふく食してふくよかになるのが魚介です。我々は、これらを「旬の食材」と呼び重宝しています。そう、旬の食材には、今我々が欲している栄養が満ち満ちているのです。これらを「美味しく」「楽しく」摂ることは、心身共に満たされることとなり、各々の持ちうる免疫力を堅持することを約束してくれることでしょう。

 皆様が、Benoitでの「口福な食時」のひとときを過ごしていただくための一役を担う、「旬の食材」と「お勧め料理」をご紹介させていただきます。

 

Benoitの夏は、毎年のように魚のスープなり!≫

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 7月になると問い合わせが入るBenoit東京の「魚のスープ」。マルセイユの代表料理ですが、Benoitではドロドロしいというよりも滑らかに仕上げています。「魚介」ではなく「魚」のスープは、ワインを使用せず、魚本来の美味しさを引き出す。エビ・カニ・貝類を一切加えないため、口にするほどに魚の旨味を堪能できます。

 どのような魚で仕上げるのか?これは捕まった魚に聞くしかありません。Benoitシェフである野口が絶大なる信頼を寄せる80年近い歴史のある老舗魚卸の大芳さん。魚種の希望は伝えるも、彼らの目利きに一任します。とはいえ、この二人の付き合いの長さは、多くの言葉を必要としないようです。そのため、Benoitに届けられごとに、魚の産地ばかりか、種類も同じではありません。そこで、instagramを利用して、届いた魚情報を随時ご案内していこうと思います。

 今は、オニカサゴにホウボウ、そしてマゴチにオニカジカ。さらに小鯛が加わるかどうか。前者4種は、似ても似つかぬ容姿ですが、分類上では「カサゴ目」です。見た目からでは想像もつかないほど繊細で美味なる身質を持っている魚たちで、そのごつい頭や骨からは、得も言われぬ上質な旨味をとることができるのです。しかし、オニカサゴにオニカジカ…「オニ」「オニ」と、見たこともないのに、鬼にも魚にも失礼千万な話…

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 「POISSON de roche」という表記に、「roche(岩)」だけに「岩魚」やら「磯魚」との訳をあてています。確かに荒波の磯でもまれにもまれた魚種は美味しいもの。しかし、旨味の多い魚が磯ばかりではないことを、深い魚文化の日本人は知っています。ごつごつだったり、とげがあったり、ぬるぬるしていたり。

 今回ご紹介した魚たちの特徴といえば、自分のような素人が捌くには難儀な、ごつい顔と堅い骨があることでしょう。これが旨味のもととなります。「roche」とは、そういう「ごつごつの魚」を総称して名付けたのではないとも思うのです。どう調べても確証は持てませんが、そのような気がしてならないのは、あまりにもBenoitの「魚のスープ」が美味しいからです。

 皆様の目の前で、スープがそそがれた直後から、磯の香りに包まれます。濃厚な茶色を帯びた深みのあるオレンジ色の液体に、透明感はないが輝いている。濃厚ながら、甲殻類のような濃さではなく、さらりとした感さえあるものの、余韻に感じる魚の美味しさに酔いしれることになるでしょう。五臓六腑に染み入るかのような美味しさは、猛暑に疲れた体を癒してくれそうな気がします。目を閉じれば潮騒(しおさい)が耳に届き、目を開ければ、Benoitの窓越しに地中海が望める…かもしれません。

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Soupe de POISSON de roche, rouille et croûtons aillés

魚のスープ ルイユとクルトン

※プリ・フィックスメニューの前菜として、ランチ+1,000円/ディナー+800円でお選びいただけます。

 

≪最初の一皿は、冷製ヴィシソワーズでいかがですか?≫

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 毎年Benoitの夏季に登場する冷たいスープ、今期はジャガイモです。馴染みの食材ですが、素材が持ちうる美味しさを十分に楽しむには、やはりコツがありました。ジャガイモの繊細な甘さと滑らかさを生かすために、クリームではなくミルクでのばしてゆくのです。それだけでも美味しい、そこへプルンと鶏のブイヨンが加わることで、味わいに深みが増してきます。そして忘れてはいけないものが、バターをたっぷりつかったクルトンです。「後のせサクサク」とすることで、香ばしさと心地よい食感が生まれるのです。

 まだまだ残暑の残る昨今にあり、この冷たいスープから食事を始めるのも一興なのではないでしょうか。前菜2つのコースご希望で、このヴィシソワーズスープ、次に魚のスープをお選びいただいても止めません。というよりも、お勧めしたいぐらいです!

 VICHYSSOISE rafraîchie, garniture taillée

ジャガイモの冷製スープ “ヴィシソワーズ”

※ランチ/ディナーで、プリ・フィックスメニューの前菜としてお選びいただけます。

 

≪鶏レバーのテリーヌが登場!≫

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 Benoitがビストロである真髄は、やはり「テリーヌ」にあるのではないでしょうか。あまりにも有名な料理だけに、これといった決まった素材や調理法があるわけではなく、シェフの個性が表現される料理でもあります。Benoitの王道でもある「テリーヌ・ド・カンパーニュ」、そこのけとばかりに6月からメニューに割って入ったのが「鶏レバーのテリーヌ」です。

 鴨のレバーを太らせたものが「フォアグラ」であれば、ニワトリを太らせると「白レバー」です。これをたっぷりと使うのですが、これではレバーペーストになってしまいます。そこで、豚の肩肉で肉肉しい食感と豚の背油で旨味を加えるように、よく混ぜ合わせ、テリーヌの型で焼き上げます。レバーの比率が高いため、熱が入り過ぎればパサパサとなる。断面がほのかにピンク色の、この職人技ともいえる火入れが、まとわりつくような白レバーの旨味を逃がしません。レバー好きにはぜひお楽しみいただきたい逸品です。

 TERRINE DE FOIE DE VOLAILLE, pain toasté

鶏レバーのテリーヌ

※ランチのプリ・フィックスメニューの前菜としてお選びいただけます。ディナーでご希望の際には、ご予約の際にご希望数をお伝えください。

 

≪夏の暑さを払拭してくれる、爽やかな「ギリシャ風」前菜です。≫

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 マダイは、表面を炙るようにすることで、香ばしさを加え旨味を引き出します。しかし、この前菜は、マダイを凌駕する野菜の美味しさが際立っているのです。セロリ、ニンジン、タマネギ、カリフラワー、それにラディッシュ。レモンにコリアンダーの種を使い、絶妙な火加減で調理してゆき冷蔵庫で休ませます。コリアンダーパクチーのことで、苦手の方の多い香草かと思います。しかし、このコリアンダーの種は、うんともすんともいわない味気ない食材。ところが、野菜とともに熱を加えることで、野菜本来の甘さを引き出すのです。

 野菜それぞれの食感がリズミカルに口中に響き、野菜それぞれが甘さ旨さの旋律を奏でます。さらに、天草晩柑の甘ほろ苦さ、マダイの美味しさが一加わることで、至高の一皿へと仕上がります。美味しさに酔いしれ、Benoitの窓へと目を移すと…エーゲ海を望めるかもしれません。

 DORADE marinée, légumes à la grecque

真鯛と野菜のマリネ ギリシャ

 

≪イサキが夏の訪れを告げにきました。≫

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 関東近海ではなく、遠く西へ向かった地からBenoitに届けられるイサキは、対馬海流や豊後水道でもまれにもまれ、豊富な小エビのようなアミ類やシラスなどの仔魚をたらふく食しているからこそ、きれいな脂がのりにのった黒光りするパンパンの体系。だからこそ、長崎県大分県のイサキは、他に類を見ないほどの美味しさを誇ります。参考までに、魚の鮮度は目の澄み具合で推し量るといいますが、イサキ鮮度に関係なく目が白濁するため、参考になりません。

 Benoitだけに、お刺身で楽しむわけにはゆきません。丁寧に下ごしらえされた、見るも美しい切り身に、最後の一手間をかけることになります。「焼き」という、簡単そうで奥の深い最後の工程です。食材が持ちうる美味しさが、下ごしらえが、全て水泡に帰するかもしれません。「生」ではないが焼き過ぎない。言うは易く行うは難しとは、このことでしょう。職人としての経験に裏打ちされた「焼の技」が、イサキのさらなる美味しさ引き出すのです。

 夏を告げにきた魚だけに、新樹を想わせるような青々とした夏を代表する野菜を添えたいものです。中でも、イサキの下に広げた、ズッキーニの甘さと心地よいヴィネガーの酸味が、これほどまでに相性が良いものだったのかと思わずにはいられません。イサキの添えものでありながら、ソースのようにともに食した時には、皆様を「口福な食時」へと誘(いざな)うことでしょう。

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ISAKI au plat, légumes verts, sucs de cuisson

イサキのソテー 緑野菜

※ランチとディナー、ともにプリ・フィックスメニューの魚料理としてお選びいただけます。

 

Benoitではなかなかお目にかかれない仔羊料理です!≫

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 仔羊の骨付き背肉を表面に焼き色を付け、ふつふつとしたバターをふりかけながら、ゆっくりゆっくり熱を加えてゆく。この魅惑的な香りをどう表現したものか。表面には美味しそうな焼目がつくが、中はまだ生のままです。肉が内包している温まった肉汁を利用し、中からじっくり熱がゆきわたるように、温かい肉部屋で休ませロゼ色に焼きあげます。この美しい焼色なくして、仔羊の美味しさを味わえないでしょう。

 添える野菜は、やはり新樹らしく緑野菜です。なかでも枝豆が今回の味の決め手になります。湯がき細かくすることで心地良い食感と、まとわりつくような緑豆の旨味を引き出し、タルトのように仕上げます。他の緑野菜をのせた後に、パルメザンチーズを振りかけ焼き上げます。

 目の前に運ばれてきた時、仔羊の焼き色と緑野菜のタルトのコントラストが目を引き、甘い野菜と香ばしい焼いたチーズの香りが漂います。そこへ、仔羊の旨味の凝縮したソースを、そっとお肉へかけてゆく。全てが一堂に会する時、なぜシェフがお勧めするのかお分かりいただけるはずです。

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AGNEAU rôti, légumes verts au jus

仔羊のロースト 枝豆と緑野菜

※プリ・フィックスメニューの肉料理として、ランチ+1,500円/ディナー+1,200円でお選びいただけます。

 

≪パリ-東京?≫

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 先月まで、Benoitのデザートに名を連ねていた「パリ・ブレスト」。これは、2つの都市「Paris(パリ)」と、もう一つはブルターニュ半島の西端に位置している港湾都市「Brest(ブレスト)」の2つの都市を結ぶ一大イベントが「Paris-Brest-Paris(パリ-ブレスト-パリ)」と呼ばれている、自転車レースを記念して考案されたデザートです。誰が発案者なのかは諸説あるため断言できませんが、シューの生地をドーナツ状にした理由は、自転車のタイヤに模したのだといいます。

 今回のデザートは「パリ-東京」です。すでにお察しかと思いますが、「パリ」と「東京」の2つの都市名がついたデザートというよりも、1912年創業の老舗「Benoitパリ」と、その連綿と引き継がれてきたビストロ料理を日本にも紹介していこうと2005年にオープンした「Benoit東京」。ここから名付けられたのが今回のデザートです。

 パリ・ブレストが自転車のタイヤならば、パリ-東京は飛行機のタイヤとでもいうのでしょうか。残念ながら、今回は東京らしい食材を使用しているわけではありませんが、フランスでは相性抜群と言われるピスタチオとグリオット・チェリーの組み合わせをお楽しみいただきます。

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 原型がパリ・ブレストなだけに、シュー生地をドーナツ状に絞り込み、香ばしく焼き上げます。横から半分に切り分けたその間に、ピスタチオとグリオット・チェリーを挟み込みます。ピスタチオは、緑美しいムースリーヌとアーモンドの香ばしさを加えたプラリネへ。グリオット・チェリーは、食感を残すように煮詰めたコンディモンと甘酸っぱいマルムラードへと姿を変えたものを。

シュー生地だからこそのの心地よい食感。さらに、たっぷりとピスタチオを使うことで芳しい香りとナッツの美味しさと、グリオット・チェリーの心地よい甘酸っぱさ。全てが一堂に会する時、そこに「パリ-東京」が姿を現します。一口お召し下がりいただければ、そこにBenoitパリと東京との絆を見出せることでしょう。

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PARIS-TOKYO pistache / griottes

パリ-東京 ピスターシュ / グリオット

※ランチとディナー、ともにプリ・フィックスメニューのデザートとして、+500円でお選びいただけます。

 

2021年の、待望のBenoit桃デザートは…≫

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 今期、Benoitでは、桃の収穫を待ちパティシエの準備ができしだい、予定「ピーチ・メルバ」としてデザートに登場します。昨年は長引く梅雨が桃の品質に大きな影を落としました。こと、新潟県では出荷できる桃が調達できませんでした。今年は、暖冬により、桃の開花が早まっていることもあり、収穫は今月後半を予定していると聞いています。

 我々は、本能で季節を悟れないかわりに、我々は食材の旬を計(はか)ることができる。しかし、計るのみで見極めることができません。「いつから桃デザートが始まりますか?」という問いには、「桃に聞くしかありません」と…桃のみぞ知る、収穫の時期。皆様には不確定な情報でご不便をおかけいたしますが、なにぶんにも自然の産物ゆえ、ご容赦のほどなにとぞよろしくお願いいたします。始まる時には、再度ご案内を送らせていただきます。

 

ホトトギス」、名前は知っているも、どんな鳥でどんな鳴き声なのでしょうか?今も昔もホトトギスの初音をきくことは、なかなか難しかったようです。だからこそ、歌人は恋焦がれ、待ち続けることに…この想いのお話から、Benoit6月の特別プランのご紹介をさせていただきます。以下よりご訪問いただけると幸いです。

kitahira.hatenablog.com

 

 最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご多幸とご健康を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com

2021年6月 Benoit≪特別プラン≫と≪お勧め料理≫のご案内です。

ほかに鳴く やまほととぎす こと問はむ われに増さりて 人は待つかと  俊恵(しゅんえ)

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 「ホトトギス」、名前は知っているも、どんな鳥でどんな鳴き声なのか?

 昨今のインターネットとはなんとも便利なもので、この鳥を検索すると出るわ出るわ、これでもかと。姿・鳴き声も動画で楽しめます。これほど多くの方が投稿しているということは、やはり多くの人が捜し求め、出会った時の感動を共有したいという証なのでしょう。和歌の世界に幾度となく登場し、我々日本人に馴染みの鳥でありながら、今ではなかなか耳目に触れることがありません。

 気象庁が実施している「生物季節観測」というものがあります。「桜の開花宣言」のように花の開花であったり、ウグイスやセミの初音であったりと、気象庁のスタッフが自らの目と耳を使った確認方法というアナログなもの。昨年末に、この観察対象となる動植物の大幅な削減が発表されました。日本各地に点在する観測地点の自然環境の変化から、観察対象を見つけることが困難になったことが要因です。その削減された中に、ホトトギスがありました。寂しい限りですが、昨今の自然環境を考えると、住み難(にく)くなったのでしょう。

 今では渡り鳥であることが周知されているホトトギスですが、昔々は山にこもり5月頃に里に下りてくるとのだと考えていたようです。そのため、「ヤマホトトギス」と書き記すも、同じ鳥のこと。この鳥の習性から、ウグイスのように人目に触れることはほとんどなく、まして同じ樹に留まるという優しさを持ち合わせていないため、昨日に声音を聞いたからと今日も耳にできるということはないようです。今ほどに希少ではなかったとはいえ、昔も出会うことが難しかったようです。

 平安時代末期に活躍し、小倉百人一首にも歌を遺す俊恵といえども、ホトトギスはなんら忖度することなく気の向くままに飛び歌う。どれほどホトトギスの初音を待ち望んでいたことか。やっかみ募ってついつい冒頭の一首を詠ってしまったのでしょう。山からやってきたホトトギスは何処で声高らかに心地良いリズム奏でているのだろう。ホトトギスよ、お前に訊ねたい。そこには私以上にお前を切望する御仁がいるのか?いっときでよいから、こちらに来てはくれまいか…

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 コロナウイル災禍であろうとなかろうと、温暖化などが多少ならずとも影響していようが、自然界にはそれなりの理(ことわり)があり、それにならうかのように、気温・湿度が変化し、梅雨や台風といった気象環境が訪れます。我々人類は、脳みそが大きくなることで「考える」ことには長けているのですが、この変化を察知する能力を持ち合わせていないようです。そこで、古人は自然の機微を捉えることのできる自然界の動植物の変化を見てとることで補ってきたようです。

 今を生きる我々は、人類の英知の結晶ともいえる「暦」に囚われること、天気予報の精度が格段に上がったこと、さらに生活環境が良すぎるために、この季節感を捉えようとする気持ちを失ってしまったような気がします。旬の食材には今我々が欲している栄養が満ち満ちています。季節感を失うことは、この「旬」という感覚をも失わせ、その結果が今欲している栄養の不足を招いてしまうのはないでしょうか。昨今の現代病の一因も、ここにあるような気がいたします。

 

 日本全国津々浦々で名乗りを上げる旬の食材の数々。地方に眠る逸材たちよ、お前に訊ねたい。そこには私以上にお前を切望する御仁がいるのか?と言いたいところですが、間違いなく自分以上に必要としている人々がいます。地元にとっては必要不可欠な食材だからこそ、今でも栽培や漁にでているのですから。しかし、少しばかりBenoitに顔を向けてはくれまいか?君たちを待っているのは、地元の人ばかりではない。

 旬の食材は、今我々が欲している栄養が満ち満ちています。これを美味しく摂ることは、心身共に満たされることとなり、免疫力を堅持することを約束してくれることでしょう。コロナウイル災禍に抗するワクチン接種が始めっていますが、ご自身の体調が優れなければ元も子もありません。そこで、皆様にはBenoitで「口福な食時」のひとときをお過ごしいただきたく、特別プランをご用意させていただきます。

 

コロナに負けるな!Benoit特別プランのご案内です。

 草木の花々は移りゆく季節の機微を捉え、順を追って咲き誇るも、いずれは散りゆきます。食材も同じように「旬」という期間は限られたものであり、「待つ」という優しさはありません。そこで、全ての旬食材は無理でも、Benoitに少しだけ顔を向けてくれた食材で、「口福な食時」ひとときをお過ごしいただきたく、「初夏特別プラン」と銘打って、皆様にご紹介させていただきます。旬の食材を美味しくお召し上がりいただくことで、体の中から元気になっていただきたい。そして、気心知れたご家族ご友人との、騒ぐではない「語らい」のひとときは、ただ食事をする以上に心満たされることとなり、このコロナ災禍を乗り越える助けになるものと信じています。

 

初夏特別プラン

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ランチ

前菜x2+メインディッシュ+デザート

6,000円→5,000円(税込/サービス料別)

期間:土日を含めた2021630()まで

 

週末限定ディナー

前菜x2+メインディッシュ+デザート

8,600円→6,800円(税込/サービス料別)

期間:20216月20(日)まで

 

 陽が西の山の端(は)に沈みゆき、夜の帳(とばり)が下りてくる。Benoitは、「時短営業」ならびに「酒類提供中止」というとの要請を甘受し、「休業」ではなく「営業継続」という選択肢を選びました。そこで、思い立ったその時に、Benoitへお運びいただきたく、「首夏の夕暮れ特別プラン」を継続させていただきます。

 

首夏の夕暮れ特別プラン

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週末ディナー

前菜+メインディッシュ+デザート

7,500円→5,000円(税込/サービス料別)

期間:2021620()まで

 

 上記2つのプランは、お一人様でのご利用も喜んで承ります。「語らい」のために、自分が適度にお席にお伺いさせていただきます。現在の営業時間を以下に記載させていただきましたが、緊急事態宣言如何によって変動する可能性がございます。ランチはいつもと変わりませんが、ディナーは週末だけ通常営業を行い、平日は貸切のみとさせていただきます。

ランチ

1130分から1530 (1400 ラストオーダー)

週末ディナー ~ ※平日のディナーは、通常営業を行いません。

1700から2000 (1900 ラストオーダー)

ご予約は、このメール(kitahira@benoit.co.jp)への返信をご利用ください。お急ぎの場合には、Benoitメールアドレス(benoit-tokyo@benoit.co.jp)より、もちろん電話でもご予約は快く承ります。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

北平のBenoit不在の日

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 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない6月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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 上記日程以外は、Benoitを優雅に駆け回る所存です。自分への返信でのご予約はもちろん、BenoitのHPや、他ネットでのご予約の際に、コメントの箇所に「北平」と記載いただけましたら、自慢の料理の数々を語りに伺わせていただきます。自分が不在の日でも、お楽しみいただけるよう万全の準備をさせていただきます。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

 6月1日に「衣がえ」を迎えました。これは季節が大きく変わることを意味しています。季節の変化は、我々の衣服などという些細なことよりも、自然環境に与える影響のほうが大きいでしょう。この自然の機微を捉え、人類以外の生きとし生けるものは成長してゆきます。その成長の末に実を成すのが野菜や果物であり、栄養を蓄えるようにたらふく食してふくよかになるのが魚介です。そして、我々は、これを「旬食材」と呼んでいます。

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 旬の食材は、今我々が欲している栄養が満ち満ちています。これを「美味しく」「楽しく」摂ることは、心身共に満たされることとなり、免疫力を堅持することを約束してくれることでしょう。そこで、Benoitでの「口福な食時」のひとときを過ごしていただくため、「旬の食材」と「お勧め料理」をご紹介させていただきます。

kitahira.hatenablog.com

  

 最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご多幸とご健康を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com

2021年6月 Benoit「今宵はBenoitで!」平日貸切と週末個室占有のご案内です。

 「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」とは、優劣をつけることが難しい時に使います。さらに、似すぎているからややこしいというニュアンスも持ち合わせているようです。先日、皆様にご案内しました「今宵はBenoitで!」のご案内が言葉足らず、「いずれが部屋代で飲食代か」との多くの質問をいただきました。余計な話ばかり書いていて、肝心な内容が疎かになっていると反省しております。

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 そこで、緊急事態宣言延長に伴い延期となったことを受け、この「今宵はBenoitで!」も期間を延長し、再度皆様にご案内させていただきます。そう、夜の帳(とばり)が下りてゆくのをBenoitの窓越しに眺め、美味しい料理に舌鼓をうち、気心知れた仲間内で、騒ぐではない「語らい」のひとときを過ごしていただきたい。この思いから、通常一般営業をしていない平日ディナーはBenoit貸切り、土日のディナーは個室を占有していただこうと思います。

 

≪平日ディナー限定! Benoitをまるまる貸切りませんか?≫

皆様が気になる価格: 営業補償ということで11万円(税込/サービス料別)

期間: 617()までの平日ディナー限定

ご利用人数: 人数は問いません。

お時間: 170020:00まで

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≪週末ディナー限定! Benoitの個室を占有しませんか?≫

皆様が気になる価格: 営業補償ということで8万円(税込/サービス料別)

期間: 620()までの週末ディナー限定

ご利用人数: 人数は問いません。

お時間: 170020:00まで

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 ここで、ポイントとなる「営業補償」を説明させていただきます。これは、お部屋代というわけではなく、提示させていただいた金額をご飲食代でご利用いただきけませんか、というものです。分かり難いので、以下に例をあげて説明させていただきます。以下の価格は、消費税込みサービス料別です。

 

~平日ディナーを11名様で貸切る場合~

 ディナーのプリ・フィックスメニューから、皆様各々がお好みのコースと料理内容をお選びいただきます。食材の鮮度を維持するために、ランチと同じ料理と差し替えられているものもございます。11名様が10,000円(前菜x1主菜x2デザートx1)のコースをご注文いただいた場合は、

10,000x11=110,000

お料理代金の合計は110,000円

ご利用金額が営業補償と同額なので、お飲み物がご希望の場合は別途加算させていただきます。

 

~平日ディナーを6名様で貸切る場合~

ディナーのプリ・フィックスメニューから、4名様が10,000円(前菜x1主菜x2デザートx1)のコースで2名様が8,600円(前菜x1主菜x2デザートx1)のコースをお選びいただくと、

10,000x4=40,000

8,600x2=17,200

合計は57,200円

メニューの中には、追加料金が必要な料理をお牛ランプのステーキ(+1,500円)や仔羊のロースト(+1,200円)、魚介では魚のスープ(+800円)やオマールエビ(+1,500円)など、魅力的な料理がメニューに名を連ねております。皆様が何をお選びいただくかにもよるのですが、今回は合計で10,000円ほど追加してみます。

合計は67,200円

営業補償との差額分42,800円以上を、お飲み物でご利用いただけますでしょうか。

 

 営業補償料金はお部屋代ではなく、ご飲食代とお考え下さい。そのため、人数やご注文の量によっては、11万円を超えることになります。極端な例として、50人であればお一人様2,200円で、貸切ご飲食が可能ということではございません。料理の価格はいつものBenoitのディナー価格を参考にしていただけると幸いです。

 ご予約はもちろん、何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなく北平までお問い合わせください。このメール(kitahira@benoit.co.jp)への返信、電話でも喜んで承ります。

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 Benoitで目に入るものは、スタッフ以外はほぼフランスから届いたもの。其処彼処にアンティークが設(しつら)えられ、どこを向いても絵になる内装が自慢です。平日ディナーは、ここを皆様の仲間内だけで占有していただきたいのです。一般営業では写真撮影が憚(はばか)れることもあるかと思いますが、この日は全くその心配はありません。思い思いのドレスアップでお食事を楽しみ、想い出の写真撮影に興じるのも良いかもしれません。

 昨今のコロナウイル災禍で、結婚式などのお祝いができていない方も多いのではないでしょうか。この機会に、Benoitを占有してみませんか?簡単なドレスであれば、個室を更衣室にしてドレスアップしても良いかと思います。いつもであれば、ご利用は小学生以上に限定させていただいておりますが、貸切なのでお断りする理由はございません。離乳食やお子様ランチのご用意はないですが、メニューよりお好みものをお選びいただくが、ご両親との料理シェアでも良いかと思います。

 人数が少ない場合、ご希望があればBenoitの四隅を利用した完璧なるソーシャルディスタンスも可能です!これは冗談としても、Benoitを10階から11階まですべてを占有できる機会は今しかございません。別途お送りするご案内の中で、自分がBenoitを不在にする日の記載がございます。しかし、貸切をご希望の際には喜んで自分が自慢の料理の数々を語りに伺わせていただきます。ご検討のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。

※あまりにも閑散とした雰囲気を回避するため、お食事のテーブル以外も通常のテーブルセットをさせていただきます。

※週末の個室占有の場合は、他のお客様がいらっしゃるため、多少の制約がでてしまうことをご了承ください。

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 ブドウの花は、やがて果実となり、そのまま食して美味しいものです。そのブドウの房を、軽く潰して器に入れておくと、果皮に付着している酵母が動き出し、発酵が始まります…人類が初めて口にしたお酒はワインであったといいます。

Avec bon pain, bonne chère et bon vin, on peut envoyer promener la medecine.

「美味しいパン、美味しい料理、美味しワインがあれば、我々は薬を手放すことができる(医者いらず)」

ご飲食代とは…皆様、お察しいただけると幸いです。

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 昨今の未曾有のコロナウイル災禍は、いまだ収束の兆しが見えておらず、ウイルスとの戦いは厳しさを増すばかりです。「営業自粛」という選択肢が脳裏をよぎる中で、昨年に自粛した3週間に自分が心の拠り所を見失いかけた辛さを思い出し、Benoitは「営業継続」を選びました。どんなに厳しい営業結果になろうとも、考えうるウイルス対策を徹底し、皆様へ門戸を開けておくことで皆様に「美味しい料理」と「語らいの場」を提供し続けよう。そして、Benoitのために尽力してくれている仲卸さんや生産者さんにも少なからず報いたいと考えております。

 

 花びらを3つ上向きに、うてなを3つ垂れ下がるような花姿は、「三英の花」と称され人々に愛でられてきた、カキツバタにアヤメ、そしてハナショウブ。美しい花にもかかわらず区別が難しいことから、「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」という名文句が生まれました。優劣がつけがたいほど、ともに優れているので選ぶのに困ってしまう。さらには、美しい方々への賛辞に使われます。しかし、往日は少しばかり意味合いが違ったのではないかと思うのです。では、どのように?

kitahira.hatenablog.com

 

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com

2021年6月 季節のお話「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」ああややこしや…

花菖蒲(はなしょうぶ)が花笑い始めました。

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 花びらを3つ上向きに、うてなを3つ垂れ下がるような花姿は、「三英の花」と称され人々に愛でられてきた、カキツバタにアヤメ、そしてハナショウブ。地域によって違いはあるものの、4月末あたりからカキツバタ、そしてアヤメへと引き継がれ、6月前後にハナショウブが殿(しんがり)を担います。咲き誇る時期こそ違えど、アヤメ科アヤメ属に分類されているそっくりな花です。

 これほど印象深い、美しい花にもかかわらず区別が難しいことから、「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」という名文句が生まれました。優劣がつけがたいほど、ともに優れているので選ぶのに困ってしまう。さらには、美しい方々への賛辞に使われます。皆様、気づかれましたか?アヤメは「菖蒲」と漢字で書きますが、ハナショウブもまた「花菖蒲」です。

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 上の画像はアヤメで、下の画像はカキツバタ。気持ちカキツバタが早く花笑うも、時期がともに重なります。しかし、アヤメは草原でカキツバタは湿原で育つこともあり、よほど意図的に植栽しない限り、同じ場所で見ることはないでしょう。ところが、ここに湿原か水持ちの良い草原で姿を見せるハナショウブが加わり、生育地での判別は難しくなります。さらに、この花は園芸品種が多々あることで、姿・形はもちろん花期が重なることもある。そして、ここに菖蒲(しょうぶ)が入ろうものなら…さあ、皆様を混乱の渦中へと誘(いざな)います。

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五月(さつき)こば あやめ引くべき沼水に まづ人さそふ かきつばたかな  藤原家隆

 

 五月にもなれば、「あやめ」を引き抜きに多くの人が沢沼に訪れるのだろう。それよりも一足先にカキツバタが花開き、我々を誘っているではないか、と家隆は詠っている。おや?つい先ほど、アヤメは草原でカキツバタが湿原だと自分が説明したばかり。アヤメを引き抜くために水辺にゆくのか?これは、「あやめ」≠「アヤメ」ということを意味しています。

 月を基準とした旧暦と、太陽の新暦では、その偏差が一か月と十日ほど生じます。そのため、5月は梅雨入り時期にあたるのです。我々が、この梅雨の長雨を「五月雨(さみだれ)」というのは、その名残でしょう。旧暦5月は稲作で重要な田植シーズンであり、その際には大量の水資源を必要とします。そのため、5月は農耕の神様を指し示す「さ」の月なので「五月(さつき)」であり、降り続ける恵みの雨が「水垂(みだ)れ」るので、「五月雨(さ・みだれ)」だという。確かに、通常「五」の漢字に「さ」の読みはありません。参考までに、「さ」が舞い降りる「座(くら)」で、「さ・くら」、昔は神聖なる田植えを担ったのが女性で、彼女たちは「早乙女(さ・おとめ)」です。

 梅雨時期にある旧暦の5月は、稲作には恵みの雨であっても、湿度も気温も上がり伝染病や蚊などの害虫に悩まされる日々が続くことになります。そのため、この様変わりする季「節」の「句」切りとし、生活様式を変えてゆこうと考えたのが、5月5日の端午(たんご)の節句です。では、古人はこの悩ましい日々を乗り越えるためにどうしたのか?衣替えもそうでしょう、食品乾燥させ腐らぬよう知恵を絞ったことでしょう。そして、今でも名残を残すのが薬効効果のある風呂に浸かることでした。「菖蒲湯」です。

 アヤメとショウブは別の植物ですが、ともに漢字では「菖蒲」と書く。調べてみると、往日は今のショウブを「あやめ」と呼び、アヤメは「花あやめ」や「菖蒲(しょうぶ)」であったという。ということで、先の一首の「あやめ」は今でいう「ショウブ」のこと。この葉の持つ薬効効果が「菖蒲湯」を生み出した。さらに、その芳香は蚊が忌避することを知っていた。ぷ~んと甲高い羽音に悩まされるのは、今も昔も変わらず、蚊取り線香の無い時代にはどれほど重宝されていたことか。

 

かげくもる 庭の梢(こずえ) 見るほどに 軒もみどりに あやめをぞ葺()  藤原家隆

 

 蚊が部屋に入るのを防ぐために、軒にこれでもかと「あやめ」の葉を葺き並べてしまい、部屋から庭を眺めると、梢が繁茂しているかと思えるほどに薄暗い影ができているではないか。偶然にも、ご紹介した二首は同じ詠者でした。もしや、よほど蚊に悩まされていたのか、前首では「下見」に行き、後首は防蚊対策が準備万端となった時の安堵を詠ったのものなのでしょうか。「あやめ」は薬玉にしつらえ吊り下げられていたとも言います。きっと彼の屋戸には、其処彼処と薬玉を吊るしていたのでは。

 ショウブが勝負や尚武(武道を重んじること)に通じるとして、兜や武者人形を飾り、鯉のぼりを空高く泳がせる、我々の馴染みの男の子のお祝いである「端午の節句」が誕生したのは、武家社会の江戸時代のこと。そうすると、この時代かこれ以前に、「あやめ」は「ショウブ」へと呼び名が変ったことになります。

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 さて、ショウブは菖蒲と書くことは前述しました。そこで、菖蒲の花をご紹介させていただきます。上の画像は品種改良で生み出された「ハナショウブ」、漢字では花菖蒲と書きます。しかし、これは菖蒲の花ではありません。まるで言葉遊びのようですが、「菖蒲の花」≠「花菖蒲」ということです。では「菖蒲の花」はどんな花なのか?

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 画像の中央に、ウインナーのような長細いものを見ことができると思います。肉穂花序(にくすいかじょ)と呼ばれる花の集合体です。生い茂る剣先のような葉の中で、ひっそりと花開くのです。ショウブが育つのは水辺なので、見つけるには長靴などのそれ相応の準備が必要なほどにひっそりと。

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 かつては里芋の仲間ではないかと思われていたものが、いまではショウブ目ショウブ科と立派に独り立ちしたものへと分類されています。菖蒲の花は、花菖蒲の花は似ても似つかないまったくの別物でであり、唯一その剣先のような葉の形が似ているといるだけ。美しい!と愛でるのではなく、この葉の薬効と芳香が梅雨時期を乗り切るための必需品であり、かつては今の時期ともなると、こぞって沢沼へショウブを引きにいったのです。

 

 14世紀の約50年間を綴った軍記物語「太平記」は室町時代に成立したのではないかと言われています。その物語の中で、平安時代末期に活躍した源頼政の故事が遺されています。頼政が朝廷に出没する鵺(ぬえ)を退治した時の褒美として、宮中の美女、菖蒲前(あやめのまえ)を賜ることになります。その時、白河法皇は彼が彼女に恋心を抱いていることを知っており、いたずらを画策します。菖蒲前を含めた3人の美女に同じ着物を着させ、薄い絹の布越しに頼政に判別させようとしたといいます。もちろん、分かりようがなく、頼政はこう詠ったといいます。

 

五月雨に 沢辺の真菰(まこも) 水たえて いづれ菖蒲(あやめ) 引きぞ煩(わづら)

 

 五月雨の長雨によって、沢の水かさが増し溢れている。真菰(まこも)とは水辺に自生しているイネ科の植物で葦(あし)の仲間。繁茂している真菰の中であるはずの菖蒲(あやめ)が分からす、引き抜くことを思い悩んでいます。菖蒲(あやめ)は文目(あやめ)の掛詞になっており、物事の筋道という意味があります。「文目わからない」ほどの恋をしているのだな~との頼政の思いがひしひしと伝わってきます。ここから、「何(いず)れ菖蒲(あやめ)」という諺(ことわざ)が生まれたといいます。

 冒頭で皆様にご紹介した「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」は、この延長にあります。当初、自分はアヤメとカキツバタの花とが優劣つかないほど美しい、と考えていました。しかし、調べるほどになんとなくニュアンスが違うような気がしてくるのです。沼沢の岸辺に繫茂する剣先の葉の群(むら)の中で、どれがショウブでどれがカキツバタなのかと、思い悩んでいる。ただ外見が美しいから惹かれているのではない、自分の人生に不可欠な存在であり「あやめも分からぬ恋」をしている、あなたに…そう伝えたいのではないかと。皆様は、どう思われますか?

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 そう、ハナショウブが花笑い始めました。

 

いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)

 先日皆様にご案内しました「今宵はBenoitで!」のご案内が言葉足らず、「いずれが部屋代で飲食代か」との多くの質問をいただきました。余計な話ばかり書いていて、肝心な内容が疎かになっていると反省しております。そこで、緊急事態宣言延長に伴い延期となったことを受け、この「今宵はBenoitで!」も期間を延長し、再度皆様にご案内させていただきます。

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 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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2021年6月 北平がBenoitを不在にする日

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 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない6月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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  上記日程以外は、Benoitを優雅に駆け回る所存です。自分への返信でのご予約はもちろん、BenoitのHPや、他ネットでのご予約の際に、コメントの箇所に「北平」と記載いただけましたら、自慢の料理の数々を語りに伺わせていただきます。自分が不在の日でも、お楽しみいただけるよう万全の準備をさせていただきます。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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2021年5月 Benoit≪特別プラン≫と≪バラ色の人生はバラ一輪≫からの案内です。

 まもなく、関東が梅雨入りします。季節のお話を書くために、日々の通勤や休日での公園散策を続けていると、毎年のように季節の花が順を追って咲き誇ることに気がつきます。至極当然のことながら、伐採や除草剤などの影響がない限り、毎年同じように訪れますが、同じではありません。とかく、桜の開花と梅雨入りについては、「平年より~日早い」や「遅い」が話題なるものです。

 あまりにも便利な「暦」があるために、その「暦」の立場から季節を見てしまう自分がいます。暦とは、1日を1とした単なるに数字の羅列であり、先々のスケジュールを管理するには便利なものです。しかし、そこには大きな季節は垣間見ることができても、反映はしていません。そのため、「開花宣言」や「梅雨入り宣言」で、我々の「暦」に季節をはめ込み、調整を図っているのではないかと思うものです。

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 古人はというと、この発想が逆であった気がいたします。移りゆく季節を感じ取り、暦にあてはめていた。。明治時代に旧暦(月の周期)から新暦(太陽の周期)へ移行する際、もちろん1か月以上もの誤差が生じました。太陽暦では閏(うるう)年には2月29日の「一日」ですが、太陰暦では「一か月」が誕生します。この誤差を埋めるには、暦ではなく、自然の季節主体でなければ、農作業などできようはずもありません。

 都会に住んでいると季節の機微が分からなくなる、そう思っていました。しかし、この能力は、よほどの一部の超人的な能力の持ち主以外、人類は持ち合わせてないのだと思います。そのため、古人は自然の移ろいを察知する能力の長けた賢者にならうようにしていた。それが、野生の動植物でした。

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 動植物の世界に「暦」などはなく、自ら生き抜くために自然の機微を捉えている。暦から見て、「~日早い」ということは、野生の中ではなんら意味をなさないものであり、草木は「このタイミングだ!」と判断し花開き、渡り鳥は旅立つ。ここには何の忖度もなく、生き抜くという本能のみが存在する。古人は、この野生動植物の動きに注視し、農耕の目安にしてきました。そして、「暦」という中に、「二十四節気」や「七十二侯」、さらに「雑節」という季節の言葉を組み込むことで、忘れないようにと心がけたのではないかと思うのです。

 我々日本人のご先祖様は、桜の開花は「田起こし」の目安でした。そして、「半夏生」を迎えるまでに「田植え」を終えていたようです。そう、桜の花が稲作の始まりを教えてくれていました。今年、桜の開花が早まったということは、四季のうつろいが平年よりも早く進むことを教えてくれます。その移ろいが緩慢であろうがなかろうが、花笑う時がそのタイミングであると。

 

むめさくら あまたの花の 春の色を ふぢやまぶきに 眺めはてぬる  伏見院

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 古来より、和歌に多く詠まれる人気の春の花といえば、梅、桜、山吹に藤の4つで、この順に開花してゆきます。どれほど時が経とうが、多少の温暖化の影響があるものの、季節は巡りに巡り、春は毎年のように我々のもとへと訪れてくれる。多くの園芸品種が育種され自生するも、日本固有種である山桜や藤、原種である山吹の姿は、今も昔も変わらないはずです。

 日本の13世紀は、伏見天皇の親政・院政の治世下でした。「梅(むめ)」「桜」と、春を彩る多くの花々も、「藤(ふじ)」「山吹」が殿(しんがり)を担い、夏へと移りゆく。年によって、それぞれの咲き誇る時期と間隔に違いはあるものの、花笑う順もまた、今も昔も変わらないはずです。

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 二季草(にきぐさ/ふたきぐさ)とも呼ばれている藤の花は、小さな花が順を追って咲いてゆくため、晩春から初夏へとまたぐように花期が長い。伏見院は、上述した春の代表花の4種はもちろん、春咲き誇る美しい花々を季節の移ろいとともに、もの思いに耽(ふけ)りながらぼんやりと「眺め」ていたのでしょう。散りゆく藤の花をもって、春を彩った花々も終わりを迎えたのだなあ…と感慨深い。春から夏へと季節が変りゆくことを藤の花から教わり、惜春の想いにかられていたのではないかと思う。

 

 その「藤」の花が落ちるのを見届けるかのように、地にはハート形の可愛い葉が生い茂り始めます。この花は、あまりにも地味で小さく、花びらもない。雄しべ雌しべが密集し小指ほど大きさの花穂、その花穂を包んでいた苞(ほう)と呼ばれるものが白く色変わりし、花が咲くことを虫たちに教えている。厳しい自然界の中で淘汰されぬよう、まさに命にかけて手に入れた能力なのでしょう。

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 庭に自生するとあっというまに生い茂ることと、何といってもその独特の香りがあるがために、忌避されがちなドクダミ。しかし、古来より薬草として親しまれ、近年は内包する多くの有効成分が美肌効果やデトックスの効果を生むのではないかと注目を集めています。まだ10年ほどですが、季節の話を書いているうちに感じたことがあります。このドクダミの花が、梅雨の時期が近づいていることを、我々に教えてくれています。

 

La vie en roseは、La vie avec une roseから!

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 日本人にとって、「花」といえば「サクラ」です。平安期から和歌の世界では「花」は「サクラ」を指し示し、今でもその開花に一喜一憂するほどです。では、お隣の中国はというと、「牡丹(ぼたん)」です。唐獅子牡丹(からじしぼたん)のデザインは、最強コンビを意味し、多くの陶磁器に描かれています。そして遠くフランスではというと、「バラ」です。

 パリ近郊には、数多くのバラ庭園があり、初夏の頃には、豪奢に咲き誇る美しさに圧倒されるものです。日本でも今の時期に花開きますが、規模の面ではフランスとは雲泥の差があり、これはバラへの想いの強さの表れなのでしょう。日本が春の桜並木であれば、フランスは初夏のバラ庭園、これらが住み人々の心を慰(なうさ)める。

 フランスのシャンソン歌手エディット・ピアフの「La vie en rose」という名曲を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。あのゆったりとした抑揚のあるメロディーに、彼女の優し気な落ち着いた甘い声色は、フランスのみならず世界中の人々魅了したことでしょう。

 フランスにならい、La vie en rose(バラ色の人生)には、La vie avec une rose(一輪のバラのある人生)から始めるが良いのではないでしょうか。そこで、Benoitの花束をお願いしている、本店は表参道でパリにも支店のあるお花屋「Pas de Deux(パ・ド・ドゥ)」さんにご協力をいただき、ご希望の方にはバラ一輪を1,000(税込)にてご用意させていただきます。この花屋さんの代表である田島さんは、「フランスでバラの花がない花屋はもぐりよ!」と言い切ります。

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 大切な人にお祝いとして贈るも良し、自分自身への激励として贈るも良し。皆様の人生は二つとないかけがいのないもの。バラ色の人生は、バラ一輪から始めてみませんか。それもPas de Deux(2つとない)が厳選したバラの花で…

※皆様には状態のいいバラをお渡ししたいという田島さんの強い意向があります。ご予約日の3日前までに、ご希望本数を北平までご連絡ください。メール(kitahira@benoit.co.jp)をご利用ください。もちろん、Benoitへの電話(03-6419-4181)でも承ります。

 

コロナに負けるな!Benoit特別プランのご案内です。

 草木の花々は移りゆく季節の機微を捉え、順を追って咲き誇るも、いずれは散りゆきます。食材も同じように「旬」という期間は限られたものであり、「待つ」という優しさはありません。花々であれば「眺めはてぬる」で良いかもしれませんが、こと食材となると、もの思いに耽(ふけ)りながら終わりを迎えるのだな~では寂しい限りです。

 そこで、晩春の食材を「お召しはてぬる」としていただきたく、「惜春(せきしゅん)特別プラン」と銘打って、皆様にご紹介させていただきます。旬の食材には、今我々の欲している栄養が満ち満ちており、美味しくお召し上がりいただくことで、体の中から元気になっていただきたい。そして、気心知れたご家族ご友人との、騒ぐではない「語らい」のひとときは、ただ食事をする以上に心満たされることになり、このコロナ災禍を乗り越える助けになるものと信じています。

惜春特別プラン

ランチ: 前菜x2+メインディッシュ+デザート

6,000円→5,000円(税込/サービス料別)

週末限定ディナー: 前菜x2+メインディッシュ+デザート

8,600円→6,800円(税込/サービス料別)

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  陽が西の山の端(は)に沈みゆき、夜の帳(とばり)が下りてくる。Benoitは、「時短営業」ならびに「酒類提供中止」というとの要請を甘受し、「休業」ではなく「営業継続」という選択肢を選びました。そこで、思い立ったその時に、Benoitへお運びいただきたく、「首夏の夕暮れ特別プラン」を継続させていただきます。

首夏の夕暮れ特別プラン

週末ディナー  前菜+メインディッシュ+デザート

7,500円→5,000円(税込/サービス料別)

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 上記2つのプランは、お一人様でのご利用も喜んで承ります。「語らい」のために、自分が適度にお席にお伺いさせていただきます。期間は、土日を含めた2021531()までです。営業時間についてですが、ランチはいつもと変わりません。しかし、ディナーは、平日は貸切のみとし、週末だけ通常営業を行います。

ランチ

1130分から1530 (1400 ラストオーダー)

週末ディナー ~ ※平日のディナーは、通常営業を行いません。

1700から2000 (1900 ラストオーダー)

※22日土曜日は、ランチ営業はなく18時30分よりディナー開始いたします。

 ご予約は、自分へのメール(kitahira@benoit.co.jp)をご利用ください。お急ぎの場合には、Benoitメールアドレス(benoit-tokyo@benoit.co.jp)より、もちろん電話でもご予約は快く承ります。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

今宵はBenoitで!平日限定の貸切のご案内です。

 Benoitで目に入るものは、スタッフ以外はほぼフランスから届いたもの。其処彼処にアンティークが設(しつら)えられ、どこを向いても絵になる内装が自慢です。ここを皆様のご家族やご友人だけで占有していただきたたく、5月平日ディナー限定でBenoit貸切をご紹介させていただきます。詳細は北平まで、何気兼ねなくご連絡ください!

kitahira.hatenablog.com

 

 北平のBenoit不在の日

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 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない5月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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 上記日程以外は、Benoitを優雅に駆け回る所存です。自分への返信でのご予約はもちろん、BenoitのHPや、他ネットでのご予約の際に、コメントの箇所に「北平」と記載いただけましたら、自慢の料理の数々を語りに伺わせていただきます。自分が不在の日でも、お楽しみいただけるよう万全の準備をさせていただきます。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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2021年5月「今宵はBenoitで!」貸切のご案内です。

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 春の陽気に誘われるように新梢が伸び、新緑美しい葉を茂らせた隙間から、ブドウの花が顔を覗かせています。梅雨入り前の天候が不安定な時ですが、ブドウは花開くことを本能的にこの時期であると決めているようです。もう少し早く花笑えば、雨によって受粉を妨げられることもないのに、そう思う今日この頃です。

 その「ブドウの花」。花が果実になるため、房なりのブドウにはさぞや多くの花が咲くのではないか?まるでアジサイのようにぎゅっと小さな花が咲き誇るのではないかとお思いではないですか?実は、皆様の話題にならないほどの、簡素極まりない花をしれっと咲かすのです。

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 ブドウは小さな蕾が密集した花穂(かほ)が、そのまま大きくなって果実の房となります。蕾一つ一つは、帽子をかぶったように守られており、これを脱ぎ捨てると可愛い雄しべと雌しべが顔を出します。花びらが無いため、花のような感じがしないのですが、これが立派なブドウの花です。

 ご覧の通り、あまりにも弱弱しい姿であり、雨が激しければ、もれなく雄しべ雌しべが流れ落ち受粉ができなくなります。雨に優しさがあれば生い茂る葉が傘となるのですが、激しい雨に打ちのめされたり、強風で葉が傘の役割を成さない場合は、結実しません。しかし、果実が熟すまでの期間を考えると、この不安定な時期に花開かなければならない…

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 厳しい自然界で多くの動植物が淘汰されてゆくなか、ブドウは考えた。一度に全ての花を咲かすのではなく、順を追ってゆこうと。これにより、天気のいたずらにより結実無しというリスクを回避できるのではないかと。まばらな実付の房となる結実不良(ミルランダージュ)になろうとも、生存競争を勝ち抜くために、ブドウはこの開花方法を選択した。見てくれを気にするのは我々(ブドウ)ではなく、人間だ!

 

 ブドウは自然界を生き残りました。有史以来、美味しい果実をもたらし、さらには美酒へと姿を変える。その有用性から人類に重宝され、今では温室育ちという過保護な待遇まで受けています。それでも、路地に育つブドウは自然環境と対峙し、立派に生き抜いています。

 昨今の未曾有のコロナウイル災禍は、いまだ収束の兆しが見えておらず、ウイルスとの戦いは厳しさを増すばかりです。「営業自粛」という選択肢が脳裏をよぎる中で、昨年に自粛した3週間に自分が心の拠り所を見失いかけた辛さを思い出し、Benoitは「営業継続」を選びました。どんなに厳しい営業結果になろうとも、考えうるウイルス対策を徹底し、皆様へ門戸を開けておくことで皆様に「美味しい料理」と「語らいの場」を提供し続けよう。そして、Benoitのために尽力してくれている仲卸さんや生産者さんにも少なからず報いたい、そう考えました。

 しかし、ブドウが厳しい自然界を生き抜くために、開花のタイミングをずらすという荒業を成し得たにもかかわらず、Benoitは「ディナー営業中止」という、後ろ向きな選択をしています。Benoitは何かできないものか?そう思案し続けながら夜のとばりがおりてゆく。静まり返るBenoitの店内で、パチパチと永田のパソコンを打つ音が響いている。そこへ、Benoitの代表取締役社長である鈴木から、こう一報が入ったのです。

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ディナーの貸切はどうだ?

 

 闇夜に包まれたBenoitの中には、こうこうと明かりをつけ、さぼっているわけではないが、思案している自分がいる。いるのであれば、Benoit貸切希望の方にご利用いただけば良いではないか。それもこのコロナウイル災禍だからこそ、普段でありえない、定額少人数でBenoit個室ではなくまるまる全部を貸切って楽しんでいただいてもいいのではないか?そこで!

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≪5月平日ディナー限定! Benoitをまるまる貸切りませんか?≫

皆様が気になる価格: 営業補償ということで11万円(税込/サービス料別)

ご利用人数: 人数は問いません。

お時間: 170020:00まで

※この価格はお部屋代ではなく、ご飲食代とお考え下さい。料理の価格はいつものBenoitのディナー価格を参考にしていただけると幸いです。ご予約はもちろん、何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなく北平までお問い合わせください。このメール(kitahira@benoit.co.jp)への返信、電話でも喜んで承ります。ご飲食代…皆様、お察しいただけると幸いです。

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 Benoitで目に入るものは、スタッフ以外はほぼフランスから届いたもの。其処彼処にアンティークが設(しつら)えられ、どこを向いても絵になる内装が自慢です。ここを皆様の仲間内だけで占有していただきたいのです。一般営業では写真撮影が憚(はばか)れることもあるかと思いますが、この日は全くその心配はありません。思い思いのドレスアップでお食事を楽しみ、想い出の写真撮影に興じるのも良いかもしれません。

 昨今のコロナウイル災禍で、結婚式などのお祝いができていない方も多いのではないでしょうか。この機会に、Benoitを占有してみませんか?簡単なドレスであれば、個室を更衣室にしてドレスアップしても良いかと思います。

 人数が少ない場合、ご希望があればBenoitの四隅を利用した完璧なるソーシャルディスタンスも可能です!これは冗談としても、Benoitを10階から11階まですべてを占有できる機会は今しかございません。18日火曜日と31日月曜日を以外は、自分が自慢の料理の数々を語りに伺わせていただきます。ご検討のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。

※あまりにも閑散とした雰囲気を回避するため、お食事のテーブル以外も通常のテーブルセットをさせていただきます。

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 ブドウの花は、やがて果実となり、そのまま食して美味しいものです。そのブドウの房を、軽く潰して器に入れておくと、果皮に付着している酵母が動き出し、発酵が始まります…

Avec bon pain, bonne chère et bon vin, on peut envoyer promener la medecine.

「美味しいパン、美味しい料理、美味しワインがあれば、我々は薬を手放すことができる(医者いらず)」

 

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com