kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2022-01-01から1年間の記事一覧

2022年12月Benoit 「歳暮のご挨拶」と「新年のご案内」です。

なにとなく 年の暮るるは 惜しけれど 花のゆかりに 春を待つかな 源有仁(ありひと) 何か特別なことがあるわけでもないけれど、歳暮(としのくれ)ばかりは、他の月とは全く違うほどに重みがあり、惜しむ思いが募るものです。12月31日と1月1日とは、月末から月…

2022年12月 季節のお話「冬は時雨から始まる…」

神無月 ふりみふらずみ 定めなき 時雨(しぐれ)ぞ冬の 初めなりけり 詠み人しらず 晴れ澄み渡った空にもかかわらず、はらはらっと肌に感じる軽やか雨を「時雨(しぐれ)」と言います。湿気のある風が山にぶつかり、雨粒を落とす。それが風に乗って晴れている地…

2022年12月 「北平がBenoitを不在にする日」のご報告です。

私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない12月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。 6日(…

2022年11月ADT 「二人のシェフが織りなす、一夜限りのトリュフの饗宴」のご案内です。

最初に。Benoit北平からのご案内ですが、内容は11月22日に自分が赴くアルティザン・ド・ラ・トリュフへのお誘いです。会場はBenoitではございません。 都内にある雑木林ではクヌギにミズナラなどが、街路樹でよく見かける「イチョウ」が、美しい黄葉を見せ始…

2022年10月11月Benoit 特選食材とお勧め料理・デザートのご紹介です。~ダイジェスト版~

花すすき まねく袂(たもと)は あまたあれど 秋はとまらぬ ものにぞありける 藤原元真(もとざね) いまでも其処此処に、秋らしい姿を見せてくれる「ススキ」。たわわに実る稲穂に似ていることからも、五穀豊穣を祝う意味でお月見や祭事では欠かすことのできな…

2022年10月11月Benoit 特選食材とお勧め料理・デザートのご紹介です。~ノーカット版~

花すすき まねく袂(たもと)は あまたあれど 秋はとまらぬ ものにぞありける 藤原元真(もとざね) いまでも其処此処に、秋らしい姿を見せてくれる「ススキ」。たわわに実る稲穂に似ていることからも、五穀豊穣を祝う意味でお月見や祭事では欠かすことのできな…

2022年11月 季節のお話「おぎ・はぎ・すすき…秋はとまらぬものにぞありける」

花すすき まねく袂(たもと)は あまたあれど 秋はとまらぬ ものにぞありける 藤原元真(もとざね) いまでも其処此処に、秋らしい姿を見せてくれる「ススキ」。たわわに実る稲穂に似ていることからも、五穀豊穣を祝う意味でお月見や祭事では欠かすことのできな…

2022年10月11月Benoit 知る人ぞ知る熊本県「やまえ栗」がデザートに登場!

秋ともなると、Benoitのディナーは「栗で始まり、栗で終える。」というプリ・フィックスメニューの流れが多くなります。ときに栗の前菜がスープなために、コース2番目に配することもありますが、気持ちの中ではやはり「栗で始まる」ようなものです。前菜の栗…

2022年11月 「北平がBenoitを不在にする日」のご報告です。

私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない11月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。 8日(…

2022年10月11月 遠藤さんの「紅玉」なくして、Benoitのリンゴデザートはありえません!

リンゴが美味しい時期がやってまいりました。甘ずっぱくて瑞々しい、しゃくっという食感が心地良い、我々には馴染み深いフルーツではないでしょうか。とはいえ、リンゴには多くの品種があり、それぞれに収穫時期や美味しさに違いがあります。多くの品種が世…

2022年10月11月Benoit 幻の酢ミカン「直七」のご紹介です!

この聞き慣れない「直七(なおしち)」とは、スダチやカボスといったような酢ミカンに分類されています。原産は広島県尾道市因島(いんのしま)の田熊で、学名は「田熊スダチ」といいます。これが高知県へと持ち込まれました。今では因島で栽培している人はなく…

2022年10月11月Benoit 秋ナスは嫁に食わすな !?

「秋茄子は嫁に食わすな」 体が冷えて流産してはいけないと嫁の体を労(いたわ)った言葉です。夏野菜であるナスは、水分が多い上にカリウムが豊富です。カリウムには利尿作用があり、余分な水分を体外に排出する際に体温を奪っていきます。さらに、ナスのアク…

2022年10月11月Benoit 佐渡ヶ島から直送!「アオリイカ」

新潟県の佐渡ヶ島は、沿岸一周約280kmもあり、東京23区の1.4倍の広さを誇る本州最大の島です。新潟港からカーフェリーで2時間半、ジェットフォイルを使えば1時間ほどで島の両津港へと着岸します。そこから少しばかり北に向かうと、「佐渡魚市場」が姿を見せ…

2022年10月11月Benoit ジビエを代表する食材「エゾシカ」がメニューに!

Benoitのプリ・フィックスメニューには、通年を通して牛肉のランプステーキが鎮座しています。それに、対抗するかのように、日本のジビエ料理の代表格ともいえるエゾシカが、名乗りを上げました。のんびり歩いている牛とは違い、北海道を駆け回っているから…

2022年10月11月Benoit ボーノ(美味しい)という名を冠した「ボーノポーク」?!

「ボーノポーク」は、イタリア語で美味しいという意味の「ボーノ」という言葉を冠し、なんとも軽々しい印象を受けますが、その実は、岐阜県の中濃ミート事業協同組合の威信にかけて育て上げた銘柄豚です。飼育地は、県内の瑞浪(みずなみ)市、山県市、揖斐(い…

2022年10月11月Benoit 飛騨高山の伝統野菜「宿儺かぼちゃ」なり!

馴染みのカボチャとは一線を画す姿に、「うり?」と思われる方も多いのではないでしょうか。これが、「両面宿儺(りょうめんすくな)」という神の名を冠する「宿儺かぼちゃ」。新品種ではなく、岐阜県の飛騨高山地方で連綿と受け継がれてきた伝統野菜です。彼…

2022年10月11月Benoit 京都の地鶏「丹波黒鶏」をご堪能ください!

フランスの地鶏「ラベルルージュ」の血統をもち、京都で育種されているのが「丹波黒鳥(たんばくろどり)」です。飼育羽数を制限し、90~100日という長期にわたる飼育期間は、きめ細かな肉質に、上質な脂肪分とコクのある味わいを約束してくれる。しかし、鶏肉…

2022年10月11月Benoit 今秋は旬の美味しい魚をムニエルでいかがですか?

フランス料理店で魚料理名に、「ムニエル」という言葉が度々姿をみせます。「舌平目のムニエル」などは、いかにもフランスっぽい料理であり、音の響きではないでしょうか。この「ムニエル」とは、料理を意味するのではなく、魚に小麦粉をまぶし、たっぷりの…

2022年10月11月 Benoitに欠かせないテリーヌなる料理…

ンン Terrineとは、数多(あまた)あるフランス料理店の中でも、特にビストロを冠する店では欠かすことのできない料理ではないでしょうか。魚介を使ったテリーヌもありますが、やはり基本は肉を使ったものです。農業国フランスとはいえ、かつてはそこまで色が…

2022年10月11月 Benoitに集うキノコいろいろを前菜でいかがですか?

秋の味覚の代表ともいえる「キノコ」。ここまで国産の食材にこだわりを見せながら、どうしてフランス産を購入するのか?シイタケやシメジにように、風味豊かな個性的なキノコが国産にはあります。ことフランス料理との相性となると、どうしてもフランス産に…

2022年10月11月 Benoitの秋は栗で始まる…

秋を代表する食材の中で、料理とデザートで主役を担うことのできるものとして、和洋を問わず筆頭に挙がるのが「栗」でしょう。栗なる木の実を大きく分類すると3つに分けることができ、それぞれに美味しさが異なります。天津甘栗などで有名な「中国栗」、マロ…

2022年10月11月 Benoitお勧め料理「天草産真タコ」を少しでも多くの方に!可能な限り延長します

「タコの産地といえば?」という問いに、真っ先に思い浮かぶのが兵庫県の明石(あかし)ではないでしょうか。高品質なうえに、水揚げ量が日本一を誇ります。これほどのタコ銘産地でありながら、存亡の危機に晒された時がありました。今から50年以上も前のこと…

2022年10月 「北平がBenoitを不在にする日」のご報告です。

私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない10月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。 4日(…

2022年夏 Benoitの特選食材「桃の時期の終わりを迎えて…」

かつて、野を分けんばかりの台風のことを「野分(のわけ)」と呼ばれていました。人が抗(あがら)うことのできない自然の猛威に加え、いつ来るとも分からない情報の無さは、古人をどれほどの恐怖へと陥れたことでしょうか。 今は天気予報の精度があがり、台風の…

2022年夏 Benoitの特選食材「桃についてつらつらと」

往古(おうこ)、古代中国では東西に仙境があると信じられていました。東の蓬莱(ほうらい)山と、西の崑崙(こんろん)山。この西の仙境に住んでいたのが西王母(さいおうぼ)と呼ばれている仙女最高位の神様です。この西王母は、崑崙山で不老長寿の桃を栽培してい…

2022年夏 Benoitの特選食材≪桃≫ 「山形県の滝口果樹園(タキグチフルーツガーデン)さん」のご紹介です。

桜前線と同じように、桃前線も北上してゆきます。Benoitが桃を購入させていただいている北限は山形県です。仙台市から国道48号を西へ西へと向かい、山形盆地に入ったところに将棋の駒で有名な天童市があります。標高はゆうに240mを超えるこの地で、滝口亮輔…

2022年夏 Benoitの特選食材≪桃≫ 「岐阜県の亀山果樹園さん」のご紹介です。

「飛山濃水(ひざんのうすい)」とは、見事なまでに岐阜県の地形を言い当てています。往古、彼の地には美濃と飛騨という2国があり、これが合併して岐阜県となります。もともと2国だったということは、あまりにも自然環境が違うことを示唆しているのでしょう。 …

2022年夏 Benoitの特選食材≪桃≫ 「香川県の大西さん」のご紹介です。

いく先も まだ遥かなる 山みちに まだき聞こゆる ひぐらしのこゑ 藤原輔尹(すけただ) この話を書きながら、ふっと思い浮かんだのがこの歌でした… シェフの力量はメニューに、ソムリエの実力はワインリストに、八百屋さんは取り扱っている野菜や果実に表れる…

2022年夏 Benoitの特選食材≪桃≫ 「熊本県の西川農園さん」のご紹介です。

「どうやって各地の食材を探してくるのですか?いつ現地に行っているのですか?」 皆様からこうよく質問をいただきます。確かに、ほぼほぼBenoitにいる自分が、地方へ赴くことは不可能であることを、皆様は知っているからこその問いなのでしょう。 皆様が驚…

2022年夏 Benoitの特選食材≪桃≫ 「和歌山県の豊田屋さん」のご紹介です。

悠久の時の流れを遡り、日本で最初に登場したであろう国家らしき「邪馬台国」。小学校で学ぶ日本の歴史に登場するこの名称を、知らない人はいないのではないでしょうか。いまだ謎のベールに包まれ、いったい日本のどこにあったのかすら、未解決。その有力候…