「サクラマス」 よく耳にする魚名ですが、知っているものの説明ができない魚種ではないでしょうか… 清流の川で生まれ、1年半ほど川での生活を過ごした「ヤマメ」が、川を下ってゆく。下ってゆく。そして、大海原(おおうなばら)へと足を踏み込む。足?尾ビレ…
「サクラマス」と「サケ」、言うなれば「鱒(ます)と鮭(さけ)の違い」を、飲食を生業としながら、説明できない自分がおりました。調べれば調べるほどに、自分の認識の甘さを大いに反省することとなり、益々もって簡潔明快に説明できなくなるという、やっかい…
春は曙(あけぼの) やうやう著(しる)くなりゆく 山ぎは少し明かりて紫だちたる 雲のたなびきたる 清少納言「枕草子」より 自分が学生の頃は、中学校の古文ででしたが、今では小学校の国語の授業で出会うようです。平安時代中期に、清少納言が思いの丈を書き綴…
≪花より団子…惜春プランのご案内です!≫ 花見に出かけ小腹が空いた際に、ついつい口からでてしまう言葉が「花より団子」。花を愛でるよりも腹を満たす、風流よりも実益だ!という、なかなか的を射た表現であり、相手に気持ちがユーモアとともに伝わる素晴ら…
山里の 春の夕ぐれ 来てみれば いりあひの鐘に 花ぞ散りける 能因(のういん) 古人の言葉遣いを知るほどに、なんと言い得て妙なのかと学ぶことが多いものです。「山の端(は)」と「山際(やまぎわ)」という言葉があります。似ていますが意図しているところは別…
徒然草で兼好法師は、「花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは」と綴っている。「花は満開のときだけを、月は雲がないときだけを見るものであろうか、いやそうではない。」と喝破しているのです。この背景には、往古より「月は雲なきをのみ見る」ことを…
1983年に、アルザス地方のワイン産地で格付けがされたとき、Grands Crus(特級畑)として名を連ねた中の一つが、Brand(ブラント)という区画でした。このBrandとは、アルザス語で「焼けた」という意味を持つといいます。何かが燃えているわけでもなく、温泉が湧…
Pépino (ペピーノ) この名前を耳にして、「あ~あのフルーツね!」とくる方は皆無かと思います。大ぶりなトマトほどの大きさで、メロンや洋ナシの風味を併せ持つ。樹に実るのではないため果実ではない。イチゴやメロンと同じように果菜類に分類され、ナス科…
Pépino (ペピーノ) このかわいい名前を耳にして、「あ~あの食材ね!」とくる方は皆無かと思います。自分が知らないのはもちろんですが、アラン・デュカスグループのエグゼクティブシェフパテシエアジアのAriiteaさんも知らなかった。大ぶりなトマトほどの大…
寒中お見舞い申し上げます。 皆様、年末年始はいかがお過ごしでしたでしょうか。郷里に帰る、新天地を旅する、異国の地に赴く、自宅でゆっくりと過ごすなどと十人十色だったのではないでしょうか。どの様な過ごし方であっても、人が社会の中で生きている以上…
2025年の干支(えと)は、「乙巳(きのとみ)」です。 世界の言語は、「絵画文字」、「表音文字」、「表意文字」などに大別されます。絵画文字は、古代文明に書き記された絵文字を代表とし、表音文字はアルファベット(音素文字)や日本の仮名(音節文字)などがあり…
神無月 ふりみふらずみ 定めなき 時雨(しぐれ)ぞ冬の 初めなりけり 詠み人しらず 晴れ澄み渡った空にもかかわらず、はらはらっと肌に感じる軽やか雨を「時雨(しぐれ)」と言います。湿気のある風が山にぶつかり、雨粒を落とす。それが風に乗って晴れている地…
夕立(ゆうだち)の なごりの空に 雲晴れて いざよふ月に 秋ぞほのめく 宜秋門院丹後(ぎしゅうもんいんたんご) 宜秋門院丹後の叔父にあたるのが源頼政です。頼政は、源平合戦の口火を切った以仁王(もちひとおう)の挙兵に加担し、宇治川を挟んで平氏と対峙する…
私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない9月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。 4日(…
草木の花々は移りゆく季節の機微を捉え、順を追って咲き誇るもいずれは散りゆきます。食材も同じように「旬」という期間は限られたものであり、「待つ」という優しさはありません。そこで、全ての旬食材は無理でも、Benoitの要望に応えてくれた逸材でこしら…
残暑お見舞い申し上げます。 夏山も とよむばかりに 明けたてば まことに蝉(せみ)の 声ぞきこゆる 大弐(だいに) 今も昔も、程度の差こそあれ、夏は暑いものです。東の山際(やまぎわ)が白むように夜が明けてくる。日中に北風が吹き荒れるような天候でなければ…
残暑お見舞い申し上げます。 降り注ぐ陽射しを避けようと木陰を探し、一息。恨めしそうに見上げると、そこには何か別世界が広がっているかのような錯覚に。照りつける熱波に負けず、小さいながらも青々と美しく立派な葉を茂らせた木々は、夏を喜んでいるかの…
暑中お見舞い申し上げます。 (2024年6月20日撮影のシャルドネ種) 農産物の栽培において、栽培対象がどのような成長過程にあるのかを測るうえで、目安となるのが「有効積算気温(Growing Degree Days ※以下GDD)」というものです。ブドウが冬の冬眠から目覚める…
草木の花々は移りゆく季節の機微を捉え、順を追って咲き誇るもいずれは散りゆきます。食材も同じように「旬」という期間は限られたものであり、「待つ」という優しさはありません。そこで、全ての旬食材は無理でも、Benoitの要望に応えてくれた逸材でこしら…
私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない7月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。 4日(…
私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない5月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。 5日(…
季節は過ぎてゆき、待てといっても待ってはくれないもの。5月5日に「立夏」を迎え、暦の上で夏が始まりました。すでに猛暑を予感させるような夏日が続きますが…ここは惜春の思いを込めて…期日に書き切らなかった負け惜しみです。 春は曙(あけぼの) やうやう…
春は曙(あけぼの) やうやう著(しる)くなりゆく 山ぎは少し明かりて紫だちたる 雲のたなびきたる 清少納言「枕草子」より 清少納言は平安時代に宮仕えしていたこともあり、もちろん居住地は京都中心地です。盆地だからこそ、彼女は山際に朝日を見ることになり…
とかく今の時代は便利になったものだとつくづく感じます。水・電気・ガスなどのライフラインの完備、大都市に張り巡らされた交通網、スマホを使えば指先1本であらゆる情報に触れることができます。「時」の流れに緩急はないにもかかわらず。この環境の変化は…
私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない5月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。 4日(…
「催花雨(さいかう)」 生きとし生けるものに必要不可欠なもののひとつが「水」で、これは雨によってもたらされます。時に猛威を振るい、甚大なる被害をもたらすも、豊富な雨無くして自然豊かな日本はありえないもの。まして、日本人は農耕民族だからこそ、雨…
私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない4月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。 5日(…
「Artisan(アルチザン)」とはフランス語に語源をもち、手工芸で製品を作る職人のことを意味します。往年は、創造的な作品を生み出す「芸術家」と対比した言葉でした。しかし、芸術的な作品も、アルチザンの熟練の技なくして成り立たないと考えるようになると…
私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない3月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。 4日(…
寒中お見舞い申し上げます。 波乱の幕開けとなりました。能登半島地震という天災に加え、羽田空港衝突事故という人災が起こりました。尊い命が失われたことに深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様が健康を損なわずに日々を過ごされることを、そして…