kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2020年Benoit ≪冬のご案内≫です。

秋の色は まだひとしほの もみぢ葉に 心してふけ 山おろしの風  後鳥羽院

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 「季節は風が導いてくる」、こう古人は喝破する。そして、「風景とは風が導く景色である」と。黄葉・紅葉で彩られる「秋の色」に対し、秋風は白色だという。この「白」はcolorの白色ではなく、「清らか」という意味があり、無色透明の澄んだ風のこと意味している。秋の風には、「色無き風」との別称があることが何よりの証ではないでしょうか。

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 日本の秋を司る神は、染色と裁縫が特技とする「竜田姫(たつたひめ)」です。彼女が山野を駆け回ることで、秋色に染め上げる。この錦秋(きんしゅう)の女神の為せる業(わざ)が、秋の色を導くのだといいます。白い秋風が津々浦々を包み込むからこそ、空は青々しく、山々はくっきりと姿を見せ、草木の花々、木の実や果実、葉の色が鮮やかに映える。

 秋を導いてきた風は、日増しに寒くなるのと呼応するかのように、強くなってゆくように感じます。風が寒さをともなっているから、風の強さを意識してしまうのかもしれません。西からの風が秋を運んでくるならば、次は北から冬の風が訪れます。初冬の頃の強い風であれば「山おろしの風」といい、後に「木枯らしの風」となる、そう古人はいいます。

 かつて日本では、「時雨(しぐれ)」が、木の葉を染め上げるのだと考えていたようです。晴れ澄み渡った空にもかかわらず、はらはらっと肌に感じる軽やか雨を「時雨(しぐれ)」と言います。湿気のある風が山にぶつかり、雨粒を落とす。それが風に乗って晴れている地にもたらされるもので、盆地のような地理的環境が整っていないと、なかなか出会えないものです。

 「冬は時雨から始まる」といいますが、前述したような厳密な時雨ではなく、「時」の移り変わりを教えてくれる「雨」のことを意味している気がいたします。「一雨一度」ともいい、雨降るごとに気温が下がってゆく時期です。

 染物をする際に染料に生地を一回浸すことを「一入(ひとしお)」いいます。一回ではうっすらと色付くことになり、これを繰り返すことで色濃く染まるのです。多い数字を意味する「八」が加わった「八入(やしお)」とは、8回ではなく幾度となく染めの作業を繰り返すこと。そこで、初冬の降ったり止んだりする小雨のことを、「八入の雨」といいます。一入の雨が、木の葉をうっすら染め上げてゆく。繰り返し降りそそぐことで、色濃くなってゆくのだと。

 秋の色といえば、まっさきに想い描くのは紅葉の彩りではないでしょうか。その葉は、まだ一入の色合いでしかない。分かっているだろうな、山おろしの風よ、吹くならば心して吹け!と、後鳥羽院の威風堂々たる風格を想わせる一首でした。さて、今吹く風は、「山おろしの風」なのか「木枯らしの風」なのか?これは皆様の判断にお任せいたします。

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 余談ですが、「黄葉(こうよう)」と「紅葉(こうよう)」とは、色付きが違うだけなのかと思っていました。ところが、学術的には全くの別物の葉色の変化だったのです。樹々の葉には、クロロフィルという緑色とカロチノイドという黄色の色素が介在しています。ともに陽射しにあたることで力強さを発揮するため、「夏山蒼翠(そうすい)として滴るが如く (郭煕・臥遊録より)」と言われように、夏は深緑の美しい姿です。秋深くなり、陽射しが弱まることで、この両者が葉の中で分解されてゆくことに。

 ところが、クロロフィルが先に消えてしまうために、今までクロロフィルの濃緑に潜んでいたカロチノイドが姿を現すのです。これが「黄葉」です。この最中に、アントシアニンを生み出す樹々があります。赤ワインで聞き覚えのある単語でしょう、赤い色素の成分です。弱弱しくなるクロロフィルとカロチノイドとは対照的に、活発なアントシアニン。これが「紅葉」です。老後の余生を楽しもうかとする「黄葉」と、なにをなにをと一念発起している「紅葉」とでもいうのでしょうか。

 

≪季節のお話「柞に想うこと」のご案内です。≫

 其処彼処で目にする雑木林の黄葉に紅葉。「八入の雨」が一入一入と木の葉を色付かせてゆきます。そして、一足先に黄葉が見事な姿を我々に披露してくれています。「柞(ははそ)」とは、今では馴染みのない言葉ですが、なかなかに奥深いものでした。さあ、皆様を柞原へとご案内させていただきます。

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≪「歳暮(としのくれ)特別プラン」のご案内です。≫

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 「美しい(令)」季節の冬食材が「和」する料理の数々。これを美味しく食べることで、人は笑顔になり、体の内側から湧き出でる力となる。そして、我々をウイルス災禍から守ってくれることでしょう。「口福な食時」のひとときこそ、我々の心身を活力ある本来の姿へと導いてくれるのです。

 そこで、日頃より並々ならぬご愛顧を賜っている上に、自分よりご案内している長文レポートに目を通していただけている皆様の労に報いるため、少し気が早いですが≪歳暮(としのくれ)特別プラン≫をご案内させていただきます。期間は、メールを受け取っていただいた日より、20211月末まで。ご予約は、このメール(kitahira@benoit.co.jp)への返信をご利用ください。お急ぎの場合には、Benoitメールアドレス(benoit-tokyo@benoit.co.jp)より、もちろん電話でもご予約は快く承ります。

 

ランチ

前菜+メインディッシュ+デザート

4,500円→4,000円(税サ別)

前菜x2+メインディッシュ+デザート

5,500円→5,000円(税サ別)

前菜+メインディッシュx2+デザート

6,800円→6,000円(税サ別)

ディナー

前菜+メインディッシュ+デザート

6,800円→6,200円(税サ別)

前菜x2+メインディッシュ+デザート

7,800円→7,200円(税サ別)

前菜+メインディッシュx2+デザート

9,100円→8,200円(税サ別)

 プリ・フィックスメニューの料理内容は、当日にメニューをご覧いただきながらお選びいただきます。ご希望人数が8名様以上の場合は、ご相談させてください。

 

2020年のクリスマスはBenoitメニューをご自宅で!≫

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 ご自宅で、ご家族や大切な方と素敵なクリスマスをお過ごしいただきたく、クリスマス限定テイクアウトメニューをご用意いたします。自慢の料理とデザートを全てセットにしたクリスマスを彩る華やかなメニューです。Benoit自慢の本格的なビストロ料理をお楽しみください。

 

提供期間 : 2020年12月23日(水)~26日(土)

価格:2名様セット 24,000円(税別) ※3名様のご用意も可能

申込方法 : このメール(kitahira@benoit.co.jp)への返信もしくは、電話(03-6419-4181)でご予約ください。

最終受付  : 2020年12月15日(火)

Menu

・フォアグラのコンフィ 柑橘のコンディマン

オマールエビ カブ 甲殻類ソース

・牛ホホ肉の赤ワイン煮込み “ドーブ” クリーミーなポレンタ

・ビュッシュ・ド・ノエル ブノワ風

・パン・ド・カンパーニュ

シャンパーニュやワインのご用意もございます。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

メニューは上記の通りですが、字面からでは分からない料理ばかりです。そこで、詳細をブログに書いてみました。どれほどの特選料理であるのか。テイクアウトをご検討の方も、検討されていない方も、少しばかりお時間を割いていただき、ご訪問いただけると幸いです。

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≪営業終了時間変更のお願い≫

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 東京都の要請を受け、営業終了時間を22時とさせていただきます。皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどなにとぞよろしくお願いいたします。

 

 

Benoit何末年始のご案内です。≫

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 2020年のBenoitは、12月31日まで駆け抜けようと思います。30日までは通常営業ですが、31日は20時ラストオーダーの22時クローズとさせていただきます。ランチの営業は変わりません。迎えし2021年は5日より、万全の準備をもって皆様をお迎えいたします。何かご要望・疑問な点などございましたら、何気兼ねなく返信ください。

 

 ≪北平のBenoit不在の日≫

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 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない12月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

13日(日)

19日(土)

21日(月)

28日(月)・29日(火)

 上記日程以外は、Benoitを優雅に駆け回る所存です。自分への返信でのご予約はもちろん、BenoitのHPや、他ネットでのご予約の際に、コメントの箇所に「北平」と記載いただけましたら、自慢の料理の数々を語りに伺わせていただきます。

 皆様にお会いする機会を賜りながら、自ら放棄する無礼、ご容赦のほどよろしくお願いいたします。自分が不在の日でも、お楽しみいただけるよう万全の準備をさせていただきます。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

12月特選食材のご案内です。≫

 太陽の恩恵を十二分に受け、風味豊かに育ったものこそ、旬の食材であり、美味しいばかりではなく、いま我が欲している栄養をも持ち合わせています。2020年冬の特選食材をご紹介させていただきます。

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 降り注ぐ太陽の陽射しが万物を育て上げ、四季折々の風はその土地土地に味わいをもたせる。その風のもたらした美味しさこそ「風味」であり、我々はここに「口福な食時」を見出すのです。そして、旬を迎える食材は、人が必要としている栄養に満ちています。そして、人の体は食べたものでできています。「美しい(令)」季節に冬食材が「和」する逸品に出会い、食することで無事息災に年末を迎えていただきたい。この想いを込め、Benoitのご案内をお送りさせていただきました。

 

 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com