kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2023年12月Benoit 「歳暮(としのくれ)のご挨拶と新春のご案内です。」

春秋の あかぬわかれも ありしかど 年の暮れこそ なほまさりけり  藤原兼実

 春は春で、秋は秋で、なにやら満ち足りない気持ちで別れを惜しんだものですが、年の暮れこそが、どの季節が過ぎ去るときよりも、「飽かぬ別れ」をこれほどまでに感じ入ることはないものです…と、藤原兼実は詠う。

 何か特別なことがあるわけではありませんが、歳暮(としのくれ)ばかりは、他の月とは全く違うほどに重みがあり、惜しむ思いが募るものです。暦が太陽の軌道を基にするのであれば、一陽来復の観念からも「冬至」を歳暮とすればよかったのではないかと思うもの。しかし、古代賢人は、陽射しの恩恵が一番短い、玄冬(げんとう/玄には黒という意味があります)極まる冬至ではなく、約1週間の猶予をもって歳暮を迎えることにした。「飽く(望みなどが満ち足りて十分だと感じる)」人生を歩むべく、自らを省みる期間としたのではないかと思うのです。

 「あく」には、「明く」という言葉もあります。この上ない「飽くなき別れ」を感じる歳暮だからこそ、「夜が明ける」こと、「年が明ける」こと切望するのでしょうか。12月31日と1月1日とは、月末から月初へと変わるということだけのこと。しかし、この時期に募る思いが強いからこそ、「去年今年(こぞことし)」という言葉が胚胎されることになったのでしょう。

 

 今年は、新型コロナウイルス災禍が落ち着きを見せたかと思いきや、今はインフルエンザウイルスが猛威を振るっています。さらに、ロシアのウクライナ侵攻に加えパレスチナ問題、国内の政情不安という、人災に翻弄され続けた一年であり、今なお収束の兆しがみえておりません。何が正しく、何が間違ってるのか手探りの中で、安心安全に過ごすことに加え、なすべきことをしなければならないというご辛労は並々ならぬものだったはずです。心穏やかに過ごし日々のありがたさを感じ入った年ではなかったでしょうか。

 「≪成功≫の反対は、≪失敗≫ではない、≪何もしないこと≫である」と、お客様より教わりました。成功はもちろん、失敗からも、辛いですが多くのことを学ぶことができる。しかし、何も行動に移さなければ何もないままです。頭では理解していても、行動が伴いませんでした。さらに、自分の怠慢からご迷惑をおかけしましたことも数知れず。

 新年を迎えるにあたり、皆様より賜りましたご温情を徒(あだ)や疎(おろそ)かにせず、自分の今年の至らぬ行動を省み、倦(う)まず弛(たゆ)まず努力を続け、少しでも皆様のご期待のお応えできるよう最善を尽くすことをお約束いたします。皆様におかれましては、Benoitへの変わらぬご愛顧のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

 12月22日に「冬至」を迎えました。これからは徐々に陽脚が伸びてくるものの、古来より「畳の目ほど」と表現するほど微々たるものです。「冬至、冬なか、冬はじめ」というだけあり、本格的な寒さはこれから。木々は余計な体力を使わないよう冬籠りの準備中、まさに「山眠る」光景です。寒さ厳しい季節にはいります。

 古人は、冬に陽射しが降り注ぐ日を、恋しいからでしょう「愛日(あいじつ)」と呼んでいます。春秋左氏伝の「冬の日は愛すべし」からできた言葉のようです。冬は太陽が天高くまで昇らず、陽射しが低い角度で部屋の奥まで差し込むため、寒々しい中に暖かい「陽だまり」ができています。屋外でも、夏は木陰となっていた場所も陽だまりができているもの。

 今年にやり残したことがあるかと思いますが、ここはひとつ節目をつけ、「日向ぼっこ」で太陽の恩恵を十二分に享受いたしませんか。陽だまりでほっこりと温まるひとときは、何か心まで満たされる気になってしまいます。今年一年の自らを省みる時、暗闇よりも「陽だまり」のほうが、間違いなく明るい未来を見出すことができるはずです。

さらに、愛日には「時を惜しむ」や「親に孝行する日々」という意味もあるようです。「陽だまり」が導く「家族の絆」が心の拠り所となり、この乱世の波を乗り切る活力となる。そして、花咲き誇る春には、我々を鼓舞してくれる何かがある。歳暮に省み、新年に新たな未来を想い描き、行動に移してゆくことで、樹々が萌(きざ)す季節には、きっと明るい兆しを皆様が感じることができるようになるはずです。

 皆様におかれましては、歳暮(としのくれ)までを無事息災に過ごされますことと、希望に満ち満ちた新年をお迎えできますよう、青山の地よりお祈り申し上げます。

 

 

2024年はBenoitから始まる…≫

 降り注ぐ太陽の陽射しが万物を育て上げ、四季折々の風はその土地土地に味わいをもたらします。その風がもたらした美味しさこそ「風味」であり、我々はここに「口福」を見出します。そして、旬を迎える食材は、人が必要としている栄養に満ちています。さらに、人の体は食べたものでできています。「美しい(令)」季節に冬食材が「和」する逸品に出会い、Benoitで「口福な食時のひととき」をお過ごしいただきたい。この想いを込め、「新春特別プラン」をご案内させていただきます。

 迎えし2024年は1月1日から4日までお休みをいただき、心機一転15()より、万全の準備をもって皆様をお迎えいたします。何かご要望・疑問な点などございましたら、何気兼ねなく返信ください。

 

新春特別プラン 

期間:土日を含めた2024年2月29(木)まで

 

ランチ

前菜x2+メインディッシュ+デザート

7,000円→6,500円(税込/サービス料別)

※前菜を1つにし、デザートを2つ選べるプランに変更できます。

前菜+メインディッシュx2+デザート

8,500円→7,700円(税込/サービス料別)

 

ディナー

前菜x2+メインディッシュ+デザート

9,000円→8,500円(税込/サービス料別)

※前菜を1つにし、デザートを2つ選べるプランに変更できます。

前菜+メインディッシュx2+デザート

11,000円→10,000円(税込/サービス料別)

 

 

20241Benoitは、ちょっと贅沢なシャンパーニュで始まる…

 シャンパーニュメゾンDRAPPIERは、シャンパーニュの南端、オーヴ県ウルヴィル村に居を構える。12世紀にシルタシアン派の僧侶によって築かれた地下セラーは現在も使われており、当時からこの地でワイン造りが行われていた事を示している(ドン・ペリニヨンより古い)。1808年よりこの地でシャンパン造りを始めたドラピエは、現当主ミッシェル氏で8代目。他の大手とは異なり、常に家族経営を続けている稀有なメゾンです。

 長女の誕生が、このメゾンの転換点となります。ミッシェル氏は「子供達の将来を考えた時に自然と今の自然な畑作りと葡萄栽培をやるべき」と決意し、所有する53haの畑では1989年から一切の農薬を使用しない有機栽培へ。さらに、極力CO2(亜硫酸塩)の添加を避ける醸造方法を実践。収穫された葡萄は小分けにし、できる限り短時間でタンクに運ぶ。18度の完全な温度管理の下、野性酵母を使ってゆっくりと発酵を開始。酸素を遮断する為、圧搾機を発酵槽の真上に設置したグラヴィティシステムを採用。SO2無しでも果汁はバクテリアに侵されるこなく美味なるワインに姿を変える。

 このDRAPPIERが醸す、Grande Sendrée(グラン・サンドレ)というシャンパーニュを、皆様のご紹介させていただきます。この名称は、キメリジャン石灰岩が特徴の区画のこと。1836年にウルヴィル村を襲った火災で灰(サンドル)に覆われたことに由来するといい、ピノ・ノワール種とシャルドネ種が最高のポテンシャルを発揮する地だといいます。彼の地の育まれ、醸された2012年ヴィンテージです。

 凍てつく冬が大地をリセットし、暖かな夏が成長を促した…しかし、類を見ない雹が降りつけることで甚大なる被害を被るも、収穫時期の好天候から、有史以来の最高のヴィンテージではないかと評されているのです。完熟したピノ・ノワール種(55%)による、アメリカンチェリーの香の中に、シャルドネ種(45%)由来の白い花やバニラのニュアンスを感じることができる。ドサージュが少ないことで、張りのるミネラル感があり、長い余韻を楽しめるという。9年にも及ぶ瓶内熟成がなしえる、調和と複雑さが相まった味わいというのでしょうか。

 DRAPPIER曰く、10年の歳月を経ることで、やっとGrande Sendréeは楽しめることになるだろう…と。

 

2012 Champagne Drappier Grande Sendrée

26,000(税込・サービス料別)

期間は、202415()から229()まで

※すでに特別価格でのご案内のため、Benoitのワイン割引はご利用いただけません。

 

 本数に限りがあるため、予約はお早めにご検討ください。ご予約はもちろん、何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。に自分へメール(kitahira@benoit.co.jp)か、もちろん電話(03-6419-4181)でもご予約は快く承ります。先にご案内しました「新春特別プラン」とご検討いただけると幸いです。

 

 

GH Mumm メーカーズディナー開催決定!≫

 4年に一度の来たるうるう年の特別な一日、2月29日にG・H Mummシャンパーニュディナーを開催いたします。

 プレステージでもある 「Cuvée Lalou」はもちろん、日本人画家の藤田嗣治氏の名を冠した「Rosé Foujita」など、G・H Mummの真髄を感じられるラインナップをご用意。アンバサダーを務めるクリストファー・シュビヤー氏を迎え、大いにG・H Mummの魅力を大いに語っていただきます。

を、Benoitで、5種類の豪華シャンパーニュとお食事と共にお楽しみ下さい。ご参加をお待ちしております。

 

GH Mummメーカーズディナー

開催日: 2024229()

時間: 18:30会場 19:00スタート

定員: 50名様 (相席をお願いする場合もございます)

料金: 22,000(サービス料/税込) ※お食事とワインを含みます。

 

ラインナップ

Grand Cordon / RSRV4.5 / Cuvée Lalou / Rosé Foujita / Ice Extra

 

 ご予約はもちろん、何かご要望・質問などございましたら、自分へメール(kitahira@benoit.co.jp)で、何気兼ねなくご連絡ください。もちろん、電話(03-6419-4181)でも快く承ります。

 

 

≪さらなる高みをテーブルマナー講習会≫

 

 食事の席というのは、知っている人ばかりとは限らず、知らない人のときもある。そこは、栄養を摂る場所ではなく、語らいの場です。美しい所作が相手に共感を覚えさせる、そして内面からはなたれる品位品格が感動を覚えさせる。これが相手との距離を詰めることとになり、会話が弾む。そこに美味しい料理が加わることで「口福な食時」となる。知性あふれる言の葉が発せられる口が福を呼ぶのか、はたまた舌鼓(したつづみ)を打つほどの美味しい料理によって口中に福を感じるのか。この2つが相まったときの「ひととき」に、我々は幸せを感じるのではないでしょうか。

 其処彼処(そこかしこ)で開催しているテーブルマナー講習会であれば、自分は皆様へご案内することはありません。テーブルマナーを知っていても、「見初(みそ)むる」心地になる、そのような講習会のご案内です。

 

世界基準の一流を学ぶ 「テーブルマナー講座」

開催日: 2024128()

※2月以降の予定は、年明けにご案内させていただきます。

時間: 11:30より講義を始めます。 

11:10までにお運びください。終了予定は15時15分を予定しております。

料金: 18,000(サービス料/税込) ※お食事とワイン2杯を含みます。

※事前振込制です。ご希望の日程がございましたら、北平宛(kitahira@benoit.co.jp)にご連絡ください。質問なども喜んで承ります。この講習会に関しては、電話でのご予約は受け付けておりません。

 

 

北平のBenoit不在の日

 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない2023年1月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

202411日から4日まではBenoitはお休みをいただきます。

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上記日程以外は、Benoitを優雅に駆け回る所存です。自分への返信でのご予約はもちろん、BenoitのHPや、他ネットでのご予約の際に、コメントの箇所に「北平」と記載いただけましたら、自慢の料理の数々を語りに伺わせていただきます。自分が不在の日でも、お楽しみいただけるよう万全の準備をさせていただきます。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

 

 バランスの良い美味しい料理を日頃からとることは、病気の治癒や予防につながる。この考えは、「医食同源」という言葉で言い表されます。この言葉は、古代中国の賢人が唱えた「食薬同源」をもとにして日本で造られたものだといいます。では、なにがバランスのとれた料理なのでしょうか?栄養面だけ見れば、サプリメントだけで完璧な健康を手に入れることができそうな気もしますが、これでは不十分であることを、すでに皆様はご存じかと思います。

 季節の変わり目は、体調を崩しやすいという先人の教えの通り、四季それぞれの気候に順応するために、体の中では細胞ひとつひとつが「健康」という平衡を保とうとする。では、その細胞を手助けするためには、どうしたらよいのか?それは、季節に応じて必要となる栄養を摂ること。その必要な栄養とは…「旬の食材」がそれを持ち合わせている。

 その旬の食材を美味しくいただくことが、心身を健康な姿へと導くことになるはずです。さあ、足の赴くままにBenoitへお運びください。旬の食材を使った、自慢の料理やデザートでお迎えいたします。

 

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最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。皆様のご健康とご多幸を祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com