kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2022年12月Benoit 「歳暮のご挨拶」と「新年のご案内」です。

なにとなく 年の暮るるは 惜しけれど 花のゆかりに 春を待つかな  源有仁(ありひと)

 何か特別なことがあるわけでもないけれど、歳暮(としのくれ)ばかりは、他の月とは全く違うほどに重みがあり、惜しむ思いが募るものです。12月31日と1月1日とは、月末から月初へと変わるということだけのことなのに。しかし、春には暖かな陽射しに誘われるかのように、草木の可憐な花が笑い始めます。これを待ち望むということは、きっとなにかしらのご縁があることなのでしょう。楽しみに春を待つことにしよう。

 今年もまた、新型コロナウイルス災禍に加え、ロシアのウクライナ侵攻という人災に翻弄され続けた一年であり、今なお収束の兆しがみえておりません。何が正しく、何が間違ってるのか手探りの中で、安心安全に過ごすことに加え、なすべきことをしなければならないというご辛労は並々ならぬものだったのではないでしょうか。

 「≪成功≫の反対は、≪失敗≫ではない、≪何もしないこと≫である」と、お客様より教わりました。成功はもちろん、失敗からも辛いですが多くのことを学ぶことができる。しかし、何も行動に移さなければ何もないままです。歳暮は、この一年を省みる機会を我々に与えてくれているような気がいたします。そして、花咲き誇る春には、我々を鼓舞してくれる何かがある。歳暮に省み、新年に新たな未来を想い描き、行動に移してゆくことで、樹々が萌(きざ)す季節には、きっと明るい兆しを皆様が感じることができるようになるはずです。

 新年を迎えるにあたり、皆様より賜りましたご温情を徒(あだ)や疎(おろそ)かにせず、自分の本年の至らぬ行動を省み、倦(う)まず弛(たゆ)まず努力を続け、少しでも皆様のご期待のお応えできるよう最善を尽くすことをお約束いたします。皆様におかれましては、Benoitへの変わらぬご愛顧のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 皆様におかれましては、歳暮(としのくれ)までを無事息災に過ごされますことと、希望に満ち満ちた新年をお迎えできますよう、青山の地よりお祈り申し上げます。

 

≪冬は時雨(しぐれ)から始まる…≫

 昨今では「冬は大寒波から始まる」ようで、気持ちの切り替えもままならぬうちに冬只中に入りこむようです。今では天気予報の精度が上がり、寒波の到来も予測できるようになりましたが、今年がこれほどまでの大雪をもたらすことは予想外だったのでしょう。難儀な生活を強いられている方々の、いちはやい日常の回復を、青山の地より祈念いたします。

 往古、季節の移ろいは、天気図ではなく自然の機微を読み取ることで悟っていたはず。春夏秋冬、肌に感じる気温によって判断できるものの、風流人はそれでは納得いかなかったのでしょう。季節の「はしり」を先んじて感じ取りたいと…そこで、京都の居を構える古人が着目したのが「時雨」でした。

冬は時雨から始まる

 なんと美しい言い回しでしょうか。どうやら、詠み人しらずのこの一首が発端であったようです。ということで、いつものごとく、少しだけ掘り下げてみました。

kitahira.hatenablog.com

 

2023年はBenoitから始まる…≫

 降り注ぐ太陽の陽射しが万物を育て上げ、四季折々の風はその土地土地に味わいをもたらします。その風がもたらした美味しさこそ「風味」であり、我々はここに「口福」を見出します。そして、旬を迎える食材は、人が必要としている栄養に満ちています。さらに、人の体は食べたものでできています。「美しい(令)」季節に冬食材が「和」する逸品に出会い、Benoitで「口福な食時のひととき」をお過ごしいただきたい。この想いを込め、「新春特別プラン」をご案内させていただきます。

 迎えし2023年は1月1日から4日までお休みをいただき、心機一転15()より、万全の準備をもって皆様をお迎えいたします。何かご要望・疑問な点などございましたら、何気兼ねなく返信ください。

 

新春特別プラン

期間:土日を含めた2022131()まで

ランチ: 前菜x2+メインディッシュ+デザート

6,000円→5,000円(税込/サービス料別)

ディナー: 前菜x2+メインディッシュ+デザート

8,600円→7,500円(税込/サービス料別)

 

 迅速に皆様のご希望にお応えできるよう、専用の予約サイト開設いたしました。以下のURLよりご利用ください。ご希望日のご予約が取れない場合でも、まだお席が残っている可能性もございます。その時は、何気兼ねなく自分へメール(kitahira@benoit.co.jp)返信、もしくBenoitへご連絡(03-6419-4181)ください。ご要望や質問なども、喜んで承ります。

ランチのご予約はこちらから

https://www.tablecheck.com/shops/benoit-tokyo/reserve?menu_items=6129a8e574892f048194df99

ディナーのご予約はこちらから

https://www.tablecheck.com/shops/benoit-tokyo/reserve?menu_items=639a92a94c35a91c73ff9575

 

20231月はBenoit特選シャンパーニュで始まる…

 Gosset(ゴッセ)は、シャンパーニュで最も古い歴史を持ち、マロラクティック発酵(乳酸発酵、以下MLFと表記)を行わないスタイルを、創業から今にいたるまで、頑なに守り続けています。これぞ「ゴッセ流のシャンパーニュ」なり!

 このMLFとは、ブドウそのものがもっているリンゴ酸を乳酸に変える発酵の事で、アルコール発酵後に行われます。これを行わないと、熟成中に勝手にMLFが起こり、破裂や噴きこぼれの原因になり、意図しない品質へとかわります。往古は意味の分からない劣化?悪魔の仕業?などとされていたものの、MLFが解明されてからは、多くのワインメーカーはこのMLFを施すようになりました。リンゴ酸が乳酸に変わることで、まろやかな風味になります。

 では、なぜGossetは頑なにMLFを実施しないのか?こればかりはご当主に聞いてみないと分からないのですが、調べてみると…リンゴ酸があることで、長期熟成に耐える芯をもったワインが醸されます。それが、熟成によって得も言われぬ美味しさを内包するということを、彼らが識っているからなのでしょう。きっと「ブドウと畑の潜在能力を最大限に引き出し、表現できるから」と語るでしょう。

 畑は、Aÿ(アイ), Bouzy(ブジー), Ambonnay(アンボネイ), Le Mesnil-sur-Oger (ル・メニル・スュル・オジェ)という、ほぼグラン・クリュ区画の村のみ。収穫後は品種・村毎に全て分けて圧搾し、村毎にステンレスタンクで発酵。18℃で約15日間のアルコール発酵。マロラクティック発酵は行わない。約200種の原酒を12月にアッサンブラージュ。瓶詰めは翌年の3月~6月。瓶内熟成は、法の定められた15か月を大きく上回る48~60か月!ドザージュ8g/L…

 爽やかな白い花や、アーモンド、さらに柑橘などをも想起させる美しい香り。シャルドネ種とピノ・ノワール種が織りなす堅牢な骨格は、MLFを行っていないからこそのもの。そう、このボトルには彼らの想いが詰まっているのです。持ちうる五感をフルに使い、どれほどのものかをご堪能いただきたいと思います。2023年は、Benoitの料理と、シャンパーニュ「Gosset Grand Réserve」とのマリアージュをお楽しみください。

Champagne Gosset Grand Réserve brut

 17,500円(Benoitワインリスト価格) ➔ 9,900(税込・サービス料別)

 

 期間は、202315()から131()まで。本数に限りがあるため、予約はお早めにご検討ください。ご予約はもちろん、何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。に自分へメール(kitahira@benoit.co.jp)をお送りください。お急ぎの場合には、Benoitメール(benoit-tokyo@benoit.co.jp)より、もちろん電話(03-6419-4181)でもご予約は快く承ります。

※すでに特別価格でのご案内のため、Benoitのワイン割引はご利用いただけません。他のネットプランや割引の併用もできません。しかし、先にご案内しました「新春特別プラン」はご利用いただけます。

 

2023年のワインイベントはワインセミナーから始まる…≫

 Benoiシェフ・ソムリエの永田によるワインセミナー開催が決まりました。久しぶりの開催にふさわしく、この4年間で新しく発見した素晴らしいワインをご紹介いたします。価格高騰が続くシャンパーニュの中から注目すべきメゾンや、新発見した魅力ある地方ワイン6種類を、いつもながらの小話を交え、どれほど魅力的かを語らせていただきます。さらに、Benoitシェフの野口とともに、ワインと料理のマリアージュも画策中!こう、ご期待ください!

 

Benoitワインセミナー 「今後注目されるワインたち」

日時:2023127()18:30よりスタート

金額:15,000(消費税・サービス料込)

※質問などございましたら、何気兼ねなくお問い合わせ、もしくは返信をお願いいたします。席数に限りがございます。ご予約はこのメールへの返信、もしくはBenoit(03-6419-4181)にご連絡いただけると幸いです。

 

2023年の春は「フレンチでタンゴ」から始まる…≫

 人間の歴史を紐解いてみても、言葉という意思疎通のできるツールが無くとも、リズムを奏で、踊ることで神々と語り、感謝の気持ちを伝え、未来を占ってもらおう、もしくは導いてもらおうとしていることがわかります。力強くもリズミカルな太鼓の音に高ぶる気持ち、激しい舞を躍ることで神と一体化する儀式。神妙なる音楽に任せて、ゆったりと舞う巫女さんの姿には、尊厳の念を感じるものです。ほんの一例ですが、どちらも言葉を必要としません。

 神々への畏怖・畏敬の念から、愛情表現へと変わってゆくことは自然の流れであったはずです。そして、人々が切磋琢磨することで、至上の高みへ達した時、我々を魅了して止まない芸術となる。その一つが、「アルゼンチンタンゴ」です。そこで、「フレンチでタンゴ」と銘打って、皆様に音楽と舞の共演を、お食事も含め、五感を通してBenoitでお楽しみいただこうと思います。

Benoitミュージックディナー アルゼンチンタンゴ

日時:202337()8() 18:00より受付開始 18:30開演

料金:ダンススペース周辺のお席をS席、少し離れたA席をご用意させていただきます。

S席24,000(パフォーマンス・ワイン・お食事代・サービス料/税込)

A席19,000(パフォーマンス・ワイン・お食事代・サービス料/税込)

 

ダンサー:クリスティアン&ナオ

ピアノ:サッコ香織

バンドネオン川波幸恵

ヴァイオリン:専光秀紀

※昨今の不安定な環境下のため、開催日や出演者が変更になる可能性がございます。

 

 質問などございましたら、何気兼ねなくお問い合わせ、もしくは返信をお願いいたします。席数に限りがございます。当面の間、ご予約はメールのみとさせていただきます。北平宛(kitahira@benoit.co.jp)にご連絡いただけると幸いです。

 

≪さらなる高みを!「テーブルマナー講習会」≫

 其処此処で開催しているテーブルマナー講習会であれば、自分は皆様へご案内することはありません。

 講師である吉門さんとは、すでにBenoitで68回もこの講習会を開催しているのです。リピートされている方ばかりであり、あまりにもためになり面白いため、その方がご友人を誘う。それほどに内容が深いものなのです。

 吉門憲宏さんは、元日本航空国際線のキャビンスーパーバイザー(チーフパーサー)として世界の空を飛び続けた、飛行距離は地球450周を超えるほど。120万人もの旅客様と笑顔を交わしてきているのです。在職中は、定年退職になるまで飛行機に乗り続けたつわもの。日本文化の礼節を伝える民間外交でもある接客のプロとしての人生を歩んできた、だからこそ、多くの知見があるのです。

 先生との自分との出会いは、偶然だったのか必然だったのか…現職を退いてからは、アメリカでのMBA取得のための派遣される某大手企業のスタッフが、欧米の社交界に馴染めるようにとトレーニングをする講師を担っていました。その打合せの席なのか、無事に送り出したお礼のためだったのか、大手企業の人事の方々が選んだのがBenoitの一席だったのです。そのようなことは露知らず、自分がいつものように語るは語る…後日に知ることになるのですが…いやお恥ずかしい限りです。

 この出会いが、今も続いているBenoitで開催される「テーブルマナー講習会」を導いていたのです。全ての所作には理由がある。日本人が、ついついやってしまうことを、笑いを込めながら教えてくれる。毎度のように、会場はやっちまった~と「笑い」溢れている。このようなテーブルマナー講習会があったであろうか。もちろん、料理は自分が語りに伺わせていただきます。

 先日開催された講習会の中で、目頭が熱くなるお話を伺いました。自分が見失いつつある思いを、あらためて思い起こさせてくれたのです。日本人であることを誇りに思う…この感動秘話は後日に…キーワードは…

JA8101

 

世界基準の一流を学ぶ 「テーブルマナー講座」

開催日: 202319()祝日 & 219()

時間: 11:30より講義を始めます。 

11:10までにお運びください。終了予定は15時15分を予定しております。

料金: 16,000(サービス料/税込) ※お食事とワイン2杯を含みます。

※事前振込制です。ご希望の日程がございましたら、北平宛(kitahira@benoit.co.jp)にご連絡ください。質問なども喜んで承ります。この講習会に関しては、電話でのご予約は受け付けておりません。

 

北平のBenoit不在の日

 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない2023年1月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

202311日から4日まではBenoitはお休みをいただきます。

10日火曜日

※13日以降の予定は、追ってfacebookinstagramにてご報告させていただきます。

 

 12月22日に「冬至」を迎えました。これからは徐々に陽脚が伸びてくるものの、古来より「畳の目ほど」と表現するほど微々たるものです。「冬至、冬なか、冬はじめ」というだけあり、本格的な寒さはこれから。木々は余計な体力を使わないよう冬籠りの準備中、まさに「山眠る」光景です。寒さ厳しい季節にはいります。

 古人は、冬に陽射しが降り注ぐ日を、恋しいからでしょう「愛日(あいじつ)」と呼んでいます。春秋左氏伝の「冬の日は愛すべし」からできた言葉のようです。冬は太陽が天高くまで昇らず、陽射しが低い角度で部屋の奥まで差し込むため、寒々しい中に暖かい「陽だまり」ができています。屋外でも、夏は木陰となっていた場所も陽だまりができているもの。

 まだまだ、今年にやり残したことがあるかと思いますが、ここはひとつ節目をつけ、「日向ぼっこ」で太陽の恩恵を十二分に享受いたしませんか。陽だまりでほっこりと温まるひとときは、何か心まで満たされる気になってしまいます。今年一年の自らを省みる時、暗闇よりも「陽だまり」のほうが、間違いなく明るい未来を見出すことができるはずです。さらに、愛日には「時を惜しむ」や「親に孝行する日々」という意味もあるようです。「陽だまり」が導く「家族の絆」が心の拠り所となり、この乱世の波を乗り切る活力となることと信じております。

 

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com