特別プラン
マスクを着けての外出が常態化している昨今にありながら、バニラビーンズを想わせる甘い重厚な香りに散歩の足が止まります。その香りの先には、緑濃い葉の群(むら)の中で大輪を咲かしている樹がありました。厚みのある真っ白な花びらをもつこの花は、曇天だ…
散る花の あかぬなごりの なぐさめに 心うつれと さける山吹 藤原宣子(せんし) 桜の開花期間は、一年との中でほんの1週間ほどのこと。今ではすっかり葉桜となり、花笑う姿は遠い過去の事のように思えるもの。強く待ち望むからこそ、散りゆく姿に虚しい寂しさ…
3月中旬ごろだったでしょうか、神奈川県に住んでいらっしゃる方からメールをいただきました。ご予約希望の文面の中に、このような一文が、「先週末くらいから、まだ遠慮がちですが鶯(うぐいす)が鳴いてます。」と。 谷の戸を あけてやきつる 鶯の まだ里なれ…
すぎぬるか 年の通ひ路 いかならむ 隙(ひま)ゆく駒は あとだにもなし 守覚法親王(しゅかくほっしんのう) 守覚法親王は、父を後白河天皇にもつ、平安時代後期から鎌倉時代にかけて活躍した皇族です。この歌意は、過ぎてしまったな~一年という時が通う路はど…
寒中お見舞い申し上げます。 旧年中は並々ならぬご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。新年を迎え、皆様より賜りましたご温情は徒(あだ)や疎(おろそ)かにせず、倦(う)まず弛(たゆ)まず研鑽の日々に努めます。「観梅の心、観桜の目」を忘れることなく、少…
長い歴史の中で、シャンパーニュ・メゾンは買収と合併を繰り返してきました。そのため、今では多くのメゾンに出資者でもあるオーナー企業が名を連ねます。このような状況下にあり、ただひたすらに家族経営を続け、一切出資を受け付けず、自分達のスタイルを…
今年もまた、新型コロナウイルス災禍に翻弄され続けた一年であり、今なおこの災禍は収束の兆しがみえておりません。何が正しく、何が間違ってるのか手探りの中で、安心安全に過ごすことのみに費やした日々ではなかったでしょうか。皆様の、ご家族や仲間、す…
降り注ぐ太陽の陽射しが万物を育て上げ、四季折々の風はその土地土地に味わいをもたせる。その風のもたらした美味しさこそ「風味」であり、我々はここに「口福な食時」を見出すのです。そして、旬を迎える食材は、人が必要としている栄養に満ちています。そ…
今から12年のさかのぼった2009年頃のこと。フランスで「Best of Chef」シリーズのレシピブックが刊行されました。10€という価格ながら、詳細な解説に幾枚もの写真が、素人の自分でも作れるのではないかという錯覚へと陥れる。1刊目は、BOCUSEさん。3刊目はRO…
ゆく川の 流れは絶えずして しかも もとの水にあらず ~方丈記~ 鴨長明 時の流れもまた絶えることはなく、毎年のように季節は巡ってくるものの、今年の秋は昨年の秋ではありません。そして、「旬」もまた過ぎ去るのみで、待ってくれるという「優しさ」を持…
気がつけば、蝉の諸声(もろごえ)が止んでいる… 夏の盛りには、けたたましく鳴き声を上げていた、アブラゼミにミンミンゼミ。原宿駅から表参道へ向かうと、朝から青空に響かんばかりに諸声を上げていました。あまりにも暑い日中などは、この声に辟易(へきえき…
残暑お見舞い申し上げます。 「立秋」を迎えたからこそ、なにかと「秋」を探してしまうもの。しかし、まだまだ暑い日々が続く中で、なかなか秋の風情には出会えないものです。「秋は名ばかりか…」と思いつつ、けたたましく耳に響く蝉時雨(せみしぐれ)に導か…
残暑お見舞い申し上げます。 秋とは名ばかりで、まだまだ暑い日々が続きます。冬であれば、陽射しに恋い焦がれるも、今の時期では恨めしく思うもの。そんな人間をよそに、太陽の恩恵を嫌というほど受けながら、愚痴一つこぼさない草木たち。光合成には欠かせ…
「手遊(てすさ)み」に清水を両手で「掬(むず)び」ながら、夏の夜の月を待つ。「言の葉遊み(ことのはすさみ)」でハイレベルな恋文を詠い、愛しき人と恋「結ばれる」ことを願いながら、月下にて待つ。ドラマのワンシーンのような光景を想い描いてしまいます。…
≪コロナに負けるな!Benoit夏特別プランのご案内です。≫ 草木の花々は移りゆく季節の機微を捉え、順を追って咲き誇るもいずれは散りゆきます。食材も同じように「旬」という期間は限られたものであり、「待つ」という優しさはありません。そこで、全ての旬食…
昨今では気候変動の影響なのか、線状降水帯という聞き慣れない言葉が連日のように天気予報から発せられ、およそ梅雨らしからぬ雨が多かったような気がいたします。皆様におかれましては、無事息災であることを願うとともに、被災地におかれましては、遠く青…
ひとこゑの おぼつかなきに ほととぎす われも聞きつ といふ人もがな 詠者不明 ホトトギスは「時鳥」と漢字で書きます。今では渡り鳥であることが周知されているホトトギスですが、昔々は山にこもり5月頃に里に下りてくると考えていたようです。そのため、こ…
ほかに鳴く やまほととぎす こと問はむ われに増さりて 人は待つかと 俊恵(しゅんえ) 「ホトトギス」、名前は知っているも、どんな鳥でどんな鳴き声なのか? 昨今のインターネットとはなんとも便利なもので、この鳥を検索すると出るわ出るわ、これでもかと。…
「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」とは、優劣をつけることが難しい時に使います。さらに、似すぎているからややこしいというニュアンスも持ち合わせているようです。先日、皆様にご案内しました「今宵はBenoitで!」のご案内が言葉足らず、「いずれ…
まもなく、関東が梅雨入りします。季節のお話を書くために、日々の通勤や休日での公園散策を続けていると、毎年のように季節の花が順を追って咲き誇ることに気がつきます。至極当然のことながら、伐採や除草剤などの影響がない限り、毎年同じように訪れます…
春の陽気に誘われるように新梢が伸び、新緑美しい葉を茂らせた隙間から、ブドウの花が顔を覗かせています。梅雨入り前の天候が不安定な時ですが、ブドウは花開くことを本能的にこの時期であると決めているようです。もう少し早く花笑えば、雨によって受粉を…
小山田(をやまだ)の 水のながれを しるべにて せき入るるなへに 鳴くかはづかな 藤原定家 稲作は豊富な水資源を必要とするため、平野一面の田園風景とするには、高度な灌漑技術が求められました。昔々の日本において、皆がこの技術を習得できていようはずも…
≪酒類提供中止のお知らせです。≫ Benoitに鎮座するバッカスの慟哭が聞こえてくる… Avec bon pain, bonne chère et bon vin, on peut envoyer promener la medecine. 「美味しいパン、美味しい料理、美味しワインがあれば、我々は薬を手放すことができる(医者…
〽 夏もち~かづく♫ は~ちじゅうはちや♪ 野にもや~まにも♩ わ~か葉が茂る♬ 日本の唱歌でもある、この「茶摘み」の歌は、誰しもが子供のころに耳にしたことがあるのではないでしょうか。丘陵に理路整然と植栽されている茶畑。春の陽射しによって輝きをはな…
2021年3月14日、例年よりも早く東京都の開花宣言が発せられました。靖国神社の境内にある標本木を、気象庁の方が「1、2…5輪。開花ですね」と数えてゆく光景は、この時期の風物詩といっても良いのではないでしょうか。この桜の開花宣言や、ウグイスやセミなど…
暦の上では、「立春」を迎えたことで春が始まりました。陽気な春を思い浮かべますが、古人はこの時期を「三寒四温」だと教えてくれます。明治時代に太陰太陽暦からグレゴリオ暦へと改暦したこともあり、多少の季節の誤差があろうとも、今も昔もそう変わりは…
余寒お見舞い申し上げます。 「立春」過ぎたのもつかの間、2月4日に関東では「春一番」が吹き込みました。暦通りの温かい春の到来かと思うのですが、古人はこの時期を「三寒四温」であると、我々に注意を促しています。その漢字の如く、3日寒い日の後に、4日…
「冬至 冬中 冬はじめ」とはよく言ったもので、2021年1月5日「小寒」、20日「大寒」と2月3日までの「立春」までは、暦の上でもまだまだ冬であり、寒さ厳しい期間です。明治時代に太陰太陽暦からグレゴリオ暦へと改暦したこともあり、多少の季節の誤差があろ…
緊急事態宣言の発出により、今後しばらく外出を控え、ご自宅で過ごされた方が多いのではないでしょうか。ご家族皆様にBenoitへお運びいただきたくことは憚(はばか)れる昨今にあり、少しでもご自宅での「語らい」の場をこしらえていただきたく、新春特別テイ…
新しい年を迎え、皆様はご自宅のある地を守る氏神様へ初詣をされたのではないでしょうか。旧年のお礼とご報告、そして新年も引きご加護を賜りますようにとお願いされたことと思います。願いを受ける氏神様におかれましては、「新型コロナウイルス災禍の収束…