特別プラン
新しい年を迎え、皆様はご自宅のある地を守る氏神様へ初詣をされたのではないでしょうか。旧年のお礼とご報告、そして新年も引きご加護を賜りますようにとお願いされたことと思います。願いを受ける氏神様におかれましては、「新型コロナウイルス災禍の収束…
寒中お見舞い申し上げます。 旧年中は並々ならぬご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。新年を迎え、皆様より賜りましたご温情は徒(あだ)や疎(おろそ)かにせず、倦(う)まず弛(たゆ)まず研鑽の日々に努めます。「観梅の心、観桜の目」を忘れることなく、少…
秋の色は まだひとしほの もみぢ葉に 心してふけ 山おろしの風 後鳥羽院 「季節は風が導いてくる」、こう古人は喝破する。そして、「風景とは風が導く景色である」と。黄葉・紅葉で彩られる「秋の色」に対し、秋風は白色だという。この「白」はcolorの白色で…
降り注ぐ太陽の陽射しが万物を育て上げ、四季折々の風はその土地土地に味わいをもたせる。その風のもたらした美味しさこそ「風味」であり、我々はここに「口福な食時」を見出すのです。そして、旬を迎える食材は、人が必要としている栄養に満ちています。そ…
今から11年のさかのぼった2009年頃のこと。フランスで「Best of Chef」シリーズのレシピブックが刊行されました。10€という価格ながら、詳細な解説に幾枚もの写真が、素人の自分でも作れるのではないかという錯覚へと陥れる。1刊目は、BOCUSEさん。3刊目はRO…
秋の野に 人まつ虫の 声すなり われかと行(ゆ)きて いざ訪(とぶら)はむ 詠み人しらず 古人は、秋の音色を奏でるバッタのことを「虫」と表現しています。コオロギを筆頭に、マツムシやスズムシ、そしてキリギリス。どの虫がコオロギなのか?マツムシなのか?…
日ましに秋めく今日この頃。日中の気温こそ、まだまだ汗にじむほどではありますが、朝晩には肌寒さを感じるほどとなりました。「涼風(すずかぜ/しんりょう)」というと、夏の季語。秋に感じる涼しさは「新涼(しんりょう)」や「初涼(しょりょう)」というそうで…
思ひやれ 真柴のとぼそ おしあけて ひとりながむる 秋の夕ぐれ 後鳥羽院 和歌に対する造詣が深く、同時代に藤原定家という天才に恵まれたこともあり、勅撰和歌集の編纂の勅令を下しました。この英断によって、優美を極めた「新古今和歌集」が今に遺ることに…
旬の食材には、いま我々が欲している栄養に満ち満ちています。その食材を美味しく食べることで、人は笑顔になり「口福な食事」のひとときとなります。そして、その笑顔は体の内側から湧き出でる力となり、我々をウイルス災禍から守ってくれることでしょう。 …
行く先も まだ遥かなる 山みちに まだき聞こゆる ひぐらしのこゑ 藤原輔伊(すけただ) 山道を歩いていると、目的地にはほど遠いにもかかわらず、早くもヒグラシの声が聞こえてきたではないか。ヒグラシの寂しい声が山間に響き渡る。かなかなかな…独特の澄んだ…
夏山 蒼翠(そうすい)として滴(したた)るが如く (臥遊録 郭煕) さんさんと降りそそぐ陽射しを避けようと、木陰を探し一息つく。樹々の間を吹き抜ける優しい風は、冷たいわけではないが、涼しさを感じるものです。さらに、この風は、夏の香りを運んでくれる。…
世界一の収量を誇る果物は、「ブドウ」です。もちろん、生食と加工用を含めてです。世界規模で栽培されているだけに、その歴史は深く、紀元前3000年前には、黒海・カスピ海沿岸ではすでに栽培化が成されていたといいます。文明の伝播が、そのままブドウ栽培…
雑節「半夏生」が、田植えの終える目安となっていたことは、季節の話の中でご紹介させていただきました。この稲作一大事業を終えた後は、家主が皆の苦労を労(ねぎら)うために、宴(うたげ)を開いたのだといいます。「早苗(さなえ)振る舞い」と言っていたもの…
昨今の新型コロナウイルス災禍は、いまだ収束の兆しは見えず、我々は移動の制限を余儀なくされました。何をどうしたら良いのか全く分からない混沌とした世界の中で、このやり場のない鬱憤(うっぷん)をどうしたものか。疲労やストレスの蓄積は、免疫力を下げ…
日頃より並々ならぬご愛顧を賜っている上に、自分よりご案内している長文レポートに目を通していただけている皆様の労に報いるため、前回ご案内しました≪初夏特別プラン≫の名称を、≪惜夏特別プラン≫へと季節に合わせて名前を変更させていただきます。 内容が…
日頃より並々ならぬご愛顧を賜っている上に、自分よりご案内している長文レポートに目を通していただけている皆様の労に報いるため、≪初夏特別プラン≫を延長させていただくことにいたしました。 期間は、メールを受け取っていただいた日より、2020年7月末ま…
ぬしなくて 荒れにし屋戸の 庭のおもに ひとり菫の 花さきにけり 藤原公重(きんしげ) 「菫(すみれ)」は、日本では北海道から沖縄県まで津々浦々で目にすることができ、紫色の小さな花を咲かせます。あまりにも控えめな姿のため、園芸品種として育種されてい…
三寒四温とはよくいったものですが、今年の寒暖差の大きさは、尋常ならざる気がいたします。数日の間隔で寒暖が交互にというよりも、真冬と晩春が交互に訪れているようです。3月14日は、都内はまさに「ホワイトデー」の様相でした。積もることはありませんで…
東風(こち)吹かば にほひおこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな 菅原道真 菅原道真が藤原氏との権力闘争の末に敗れ、太宰府に左遷されるときに詠った、あまりにも有名な歌です。栄枯盛衰は世の常とはいえ、道真の恨みつらみはいかほどのことか。彼の没後、…
暦の上では、2月3日が「寒の明け」、翌4日には「立春」を迎え、春が始まりました。今期は、「寒中」でありながら肌身で暖冬を感じていたために、暦の春を受け入れやすかったのではないでしょうか。 しかし、古人はこの時期を「三寒四温」であると、我々に注…
田鶴(たづ)のすむ 沢べの蘆(あし)の したね溶け みぎは萌えいづる 春は来にけり 大中臣能宣(おおなかとみよしのぶ) 詠者は平安時代中期に活躍していた歌人。彼が、ある年の祝賀の屏風に添えた歌だといいます。沢のほとりに枯れた姿を残す蘆の群生。その株元…
寒中お見舞い申し上げます。 初春のご挨拶が遅くなり申し訳ありません。旧年中は並々ならぬご愛顧を賜り、誠にありがとうございました。本年は皆様のご期待にお応えできるよう、さらに口上を磨き、「観梅の心、観桜の目」を座右の銘とし日々研鑽に励みます。…
神無月 ふりみふらずみ 定めなき 時雨ぞ冬の はじめなりけり よみ人しらず 「後撰集」より 「時雨」とは、初冬にかけてパラパラと降ったり止んだりする通り雨のこと。分かったようで分からない、これが正直な意見だと思います。それもそのはず、厳密に時雨と…
たづねふる ふもとの里は もみぢ葉に これよりふかき 奥ぞしらるる 藤原俊成 万葉の時代は、樹々の葉が色を変えることを「もみつ」(動詞)といい、これが名詞のかたちをとり「もみち」なのだといいます。しかし、この時代に「ひらがな」は誕生しておらず、漢…
花すすき まねく袂(たもと)は あまたあれど 秋はとまらぬ ものにぞありける 藤原元真(もとざね) 其処此処で我々に秋の到来を教えてくれる「ススキ」。月とは群を抜いた相性も見せており、過日の仲秋の名月では皆様のご家庭でも活躍したのではないでしょうか…
野分(のわき)する 野べのけしきを 見るときは 心なき人 あらじとぞ思ふ 藤原季通(すえみち) 野分(のわけ/のわき)とは、野を分けんばかりの暴風雨、今でいう台風のこと。野分の暴風がふきすさぶ光景を目の当たりにした時、抗しがたい自然の猛威になすすべなく…
残暑お見舞い申し上げます。 過日「立秋」を迎え、日ましに秋めく今日この頃。日中の気温こそ、まだまだ残暑を感じますが、朝晩の心地良い涼やかなる風が吹き抜けます。「涼風(すずかぜ/りょうふう)」とは、秋の季語。さらに空を見上げると、もくもくとした…
「紅一点(こういってん)」 多くの中で異彩を放つもの、むさい多くの男性陣の中の、美しい一人の女性、などという意味合いでよく使われる言葉です。この表現は、緑の葉が生い茂るなかで輝かんばかりに咲く一輪の花という光景から生まれたらしいのです。今では…
立夏を迎え、暦の上では夏が始まりました。少し時期がずれるのですが、今回のテーマは晩春の季語になっている「竹の秋」です。「春」の季語なのに「秋」? 「竹」とは謎多き植物です。あまりにも身近な植物なため、あまり珍しさを感じないものなのですが、学…
春の陽気に誘われるかのように花開いた「桜」も、すでに葉桜へ。春を代表する桜の開花は、我々に田を耕す「田打ち」のタイミングを教えてくれます。東北では、桜の開花が遅いためコブシの花を基準にしていたようで、その名残が「田打ち桜」という栄冠を手に…