kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2023年5月Benoit ブランダード?どのような料理かさっぱりわからないが、これが美味なり!

 「タラのブランダード」というお料理は、横文字の名前だけに、なにやらさっぱり分かり難(にく)いものですが、これがまた美味なり。ヨーロッパでは、北欧を主として、塩をたっぷりとまぶし釘が打てるほどに乾燥させ保存性を高めたタラ、「Morue(モリュ)」と名付けられた食材があります。これをいかに美味しく食べようかという、フランスの伝統と知恵が作り上げたのが、ブランダードという料理。同じような料理が、ヨーロッパ各国にあり、大航海時代で言語が伝播するように、世界中に拡がっていきました。いったいどの地が発祥なのか、今となっては知る由もありません。

 日本は周囲を海に囲まれており、鮮度良く美味しいマダラが手に入る環境にあるため、Benoitのブランダードは塩干タラを使用しません。北海道のタラに塩をまぶし一晩お休みです。これにより、、身が引きしまるのと同時に、旨味が出てきます。このマダラを少しばかり塩抜きし、牛乳とニンニクの中で煮たものを、ほぐしたジャガイモと混ぜ合わせます。これに半熟卵をのせる。ジャガイモの甘さとホクホクの食感、そこにタラ特有の繊維っぽい身質と旨さが絡みあう。半熟卵のとろりとくる黄身との相性も抜群です。さらに、クリームにニンニクを風味付けしたものをソースとする。これがBenoitスタイルです。

Œuf mollet, brandade de MORUE

鱈のブランダードと半熟卵

※ランチのプリ・フィックスメニュー、前菜としてお選びいただけます。

 

 まったくもっと余談ですが、はてなブログのレストラングループに参加してみました。「面白かったよ」と思っていただけたのであれば、ぽちっと下のバナーのクリックをお願いいたします。

 

 バランスの良い美味しい料理を日頃からとることは、病気の治癒や予防につながる。この考えは、「医食同源」という言葉で言い表されます。この言葉は、古代中国の賢人が唱えた「食薬同源」をもとにして日本で造られたものだといいます。では、なにがバランスのとれた料理なのでしょうか?栄養面だけ見れば、サプリメントだけで完璧な健康を手に入れることができそうな気もします。これでは不十分であることは、すでに皆様ご存じかと思います。

 季節の変わり目は、体調を崩しやすいという先人の教えの通り、四季それぞれの気候に順応するために、体の中では細胞ひとつひとつが「健康」という平衡を保とうとする。では、その細胞を手助けするためには、どうしたらよいのか?それは、季節に応じて必要となる栄養を摂ること。その必要な栄養とは…「旬の食材」がそれを持ち合わせている。

 「春」とはどのような季節なのでしょうか。薬膳の先生の言葉を借ります。「春は陽気に誘われるかのように、気持ちが上ずってしまう時期です。」確かに、寒い冬が終わり、ぽかぽかともなると、花粉症で苦しむ中でも気持ちが高ぶってくるものです。しかし、この高揚感に、身体がついてゆかず、心と体のバランスが崩れることで体調不良を引き起こしてしまうのだというのです。

 そこで、気持ちの高ぶりを落ち着かせるために、薬膳では春には「香りの良いもの」を取り入れる。往古、この時期の日本では山菜を楽しむ習慣があります。この春を代表する山の幸の「やさしいほろ苦さ」も同じ効用だといいます。そして、「シェフは薬膳を知らないと思うけれど、旬の食材で組み立てる料理こそが薬膳の考え方そのもの」なのだと。

 季節が過ぎ去ってゆくように、柑橘も品種を変えながら、産地も西から東へと、順を追って終わりを迎えていきます。さあ皆様、香り高く心地よい酸味の利いた柑橘を、食生活の中に取り入れませんか。美味しくいただくことが、心身を健康な姿へと導くことになるはずです。疲労困憊の時には、足の赴くままにBenoitへお運びください。旬の食材を使った、自慢の料理やデザートでお迎えいたします。

 

 過ごしやすい日々ではありますが、まだ「春に三日のはれなし」と表現される時期です。この不安定な天気は、知らず知らずのうちに体力を奪ってゆくもの、油断はなりません。疲労・ストレスなどが原因で免疫力が下がっている時に、乾燥が加わると、コロナウイルスばかりではなく、風邪やインフルエンザにも注意が必要です。さらに、肌荒れやかゆみの原因にもなり、体感温度も下がります。健康のためにも、美容のためにも、程よい湿気お忘れなきように。そして、心の潤いも保ちながら快適にお過ごしください。

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com