kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2023年7月Benoit 「イサキがBenoitへ夏を告げに来た!」

 東北地方以南の海藻生い茂る岩礁域を棲み処にしているイサキ。淡白な味わいの白身で、塩焼きで食べるというイメージをお持ちの方も多いと思います。しかし、旬の名産地のイサキともなると、この固定観念が覆ります。対馬海流や豊後水道でもまれにもまれ、豊富な小エビのようなアミ類やシラスなどの仔魚をたら食(は)んでいるからこそ、きれいな脂がのりにのった黒光りするパンパンの体系なのです。だからこそ、長崎県大分県のイサキは、他に類を見ないほどの美味しさを誇ります。参考までに、魚の鮮度は目の澄み具合で推し量るといいますが、イサキ鮮度に関係なく目が白濁するため、参考になりません。

 Benoitだけに、お刺身で楽しむわけにはゆきません。丁寧に下ごしらえされた、見るも美しい切り身に、最後の一手間である「焼き」という、簡単そうで奥の深い最後の工程が加わります。食材が持ちうる美味しさが、下ごしらえが、全て水泡に帰するかもしれません。「生」ではないが焼き過ぎない。言うは易く行うは難しとは、このことでしょう。職人としての経験に裏打ちされた「焼きの技」が、イサキのさらなる美味しさ引き出すのです。

 この時期のイサキは、「麦わらイサキ」と呼ばれ、夏を告げにくる魚だといいます。そこで、新樹を想わせるような青々とした夏を代表する野菜を添えたいものです。ズッキーニに、インゲン豆やツルムラサキ空心菜などの旬を迎えている緑野菜を細かく切り混ぜ、イサキの下に広げる。野菜それぞれの内包する甘さと心地よいヴィネガーの酸味が、これほどまでに相性が良いものだったのかと思わずにはいられません。

 イサキは「梅雨イサキ」とも呼ばれています。梅雨時期の寒暖乾湿の差が厳しい日々が、知らず知らずのうちに体力を奪ってゆくものです。そこで、夏の到来を教えてくれたイサキと夏の緑野菜を美味しくいただくことで、乗り切ろうではありませんか。旬の食材には、今我々が欲している栄養が満ち満ちているのですから。

ISAKI au plat, légumes verts, sucs de cuisson

イサキのソテー 緑野菜

※ランチとディナー、ともにプリ・フィックスメニューの魚料理としてお選びいただけます。

 

 バランスの良い美味しい料理を日頃からとることは、病気の治癒や予防につながる。この考えは、「医食同源」という言葉で言い表されます。この言葉は、古代中国の賢人が唱えた「食薬同源」をもとにして日本で造られたものだといいます。では、なにがバランスのとれた料理なのでしょうか?栄養面だけ見れば、サプリメントだけで完璧な健康を手に入れることができそうな気もしますが、これでは不十分であることを、すでに皆様はご存じかと思います。

 季節の変わり目は、体調を崩しやすいという先人の教えの通り、四季それぞれの気候に順応するために、体の中では細胞ひとつひとつが「健康」という平衡を保とうとする。では、その細胞を手助けするためには、どうしたらよいのか?それは、季節に応じて必要となる栄養を摂ること。その必要な栄養とは…「旬の食材」がそれを持ち合わせている。

 その旬の食材を美味しくいただくことが、心身を健康な姿へと導くことになるはずです。さあ、足の赴くままにBenoitへお運びください。旬の食材を使った、自慢の料理やデザートでお迎えいたします。

 

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 関東はまだまだ梅雨の最中です。この寒暖乾湿の差は、知らず知らずのうちに体力を奪ってゆくもの。さらに、疲労・ストレスなどが原因による免疫力の低下を招きます。皆様、十分な休息と休養をお心がけください。そして、こまめな休憩と給水をお忘れなきように。

最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。皆様のご健康とご多幸を祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com