kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

Benoit特選食材「香川県小豆島の≪島鱧≫」のご案内です。

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 香川県小豆島(しょうどしま)。穏やかで温暖な瀬戸内海に浮かぶ県下最大の島です。オリーブ栽培で有名な地ですが、島だけに海産物も豊富。一見穏やかに見える瀬戸内海ですが、小豆島近海は海流が早い。そして、ここはエビ類カニ類が多く生息する海域でもある。ということは、この小豆島近海のハモは、筋肉質で実が締まり、美味しいエビ・カニをたらふく食すことで、ハモ自らが旨味をもつことになるのです。そこで、島の北西に位置している四海(しかい)漁港では、乱獲を防ぎつつ、厳しい基準を設けることでハモの品質保持し、他に類を見ない美味なるハモとして、「島鱧(しまはも)」の確固たる地位を得ることになるのです。

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 「わたしたち四海漁協は香川県の小豆島にある小さな港町にあります。小豆島は、地中海に似た気候で年間を通じて穏やかです。また、醤油やオリーブが有名であり、瀬戸内国際芸術祭などもあわさり観光客で賑わいを見せています。」と語ってくれたのは、四海漁業協同組合の田中さんです。

 「多くの漁獲物のなかでも、最も多く獲れるものがエビ類とハモです。エビは『サルエビ』といい、関東地方でよく見るシバエビにも似たエビです。味は、甘味が強く地元では、ボイルしたものや殻ごと素揚げしたものがポピュラーです。小豆島の飲食店でもこのサルエビを食べることができます。」これまた美味なる食材、いつの日かBenoitに登場するかもしれません。

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 「もともと香川県(特に小豆島)でのハモは、需要が少なく取扱量が非常に少ない魚種でした。凶暴な魚のため素手で触れない、他の魚を食べるため生態系を崩す、など漁師さんにとっては害魚(弊害のある魚)として認識だったのです。昨今の漁村では、後継者不足に加え、漁獲物の減少や魚価の低迷など多くの問題を抱えており、わたしたちの四海漁協も例外ではありません。10年後には漁業者の数も70%以上減少する見込みがでています。」

 高齢化によるものと後継者がいないことで、大いに思い悩む漁師さん仲間。何か打開策がないものかと、模索の日々が続く。誰が発したのか、「ハモでいいんでちゃう?」と。京都や大阪では風物詩になるほどハモが有名であり、なくてはならない食材です。まして、需要も豊富でハモの値段も良い。そこで、四海漁港では厄介者として扱われていたハモをブランド化し、販路拡大し漁村の活性化を目指そう。とはいえ、皆皆の中で不安という得体のしれないものが鳴門の渦潮のごとく渦巻いていたはずです。長年四海漁港を守ってきた大先輩の方々は、綿々と引き継がれてきた伝統漁業の歴史の重みと、このままでは立ちゆきいかないと肌身に感じる未来への不安、この狭間に苦悩したことでしょう。ここに一筋の光明を射しこんだのが、四海漁業協同組合青年部の皆さんでした。

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 漁港仲間で一致団結し、「小豆島のハモ」への挑戦が始まったのが5年前のことでした。ハモに傷がつかないような漁法を考案し、漁獲時と出荷時にも選別作業をおこなう。さらに、徹底した水質と温度管理をした専用の水槽で一日畜養する。これによって、獲られた時のストレスを解消するといいます。手間暇をかけることにより、他の産地との差別化を図ることを目指したのです。この試みは、これまで害魚として扱われていた魚が有益な魚として周知されると同時に、地元活性化の原動力となる産業となり、新しい雇用を生み出しました。ここに、小豆島の新しい地魚ブランドが誕生したのです、

「小豆島 島鱧®」

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 さあ、この美味しい島鱧を、Benoitのシェフはどうするか?もちろん、フランスではお目にかからないハモは、シェフのセバスチャンにとって初めてのこと。焼いたり煮たりと試行錯誤の末、ふっと脳裏に浮かぶフランス伝統の逸品、「リヨンのクネル」だ!フランスでは淡水に棲むカワカマスを使用します。我々には馴染みのないこの魚は、小骨が多く、取り除こうとは微塵にも考えたくないもの。そこで、フランス人は考えたのです、「骨ごとミンチにしよう」と。そして、リヨンが内陸の地ゆえにエビはいない。では、代わりにザリガニで濃厚なソースに仕上げ、カワカマスと合わせようとなるわけです。この発想と同じく、小骨の多いハモは、ミンチにし、団子に姿を変えます。しかし、味わいは雲泥の差ほどにハモが勝る。そこで、海には海のエビでソースを仕上げようと。誕生!「島鱧のクネルBenoit風」です。

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QUENELLES à la lyonnaise, bisque légère

香川県小豆島産 “島鱧"のクネル リヨン風

プリ・フィックスメニューのメインディッシュの選択肢の中で、ランチは+1,000円、ディナーでは+800円にてお選びいただけます。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com