kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

Benoit特選食材「アスパラガス≪さぬきのめざめ≫」のご案内です。

Benoitの春は「讃岐から目覚める」

 春を代表する野菜の筆頭に上がるのが、グリーンアスパラガスではないでしょうか。多々ある野菜の中で、料理の主役を担うことのできる唯一無二の存在です。Benoitに届けられるアスパラガスは、香川県を代表する品種「さぬきのめざめ」です。

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 アスパラガスは、種をまいて数ヶ月で収穫できる野菜ではなく、植えてから収穫までに3年間を要します。この期間、アスパラガスはわさわさとした葉を成し、香川県ならではの陽射しを十二分に受けることで、根に栄養を蓄えていき枯れてゆく。これを毎年繰り返すことで、根が大地に広がってゆきます。

 国内で栽培されている多くは「ウエルカム」という海外育成品種という中で、香川県農業試験場で試験栽培を重ねた末、2005(平成17)年にオリジナル品種として誕生したのが「さぬきのめざめ」です。瀬戸内に降り注ぐ太陽の恩恵を十二分に受け育まれたこの逸品は、他の品種に比べ春の萌芽が早く、まさに春一番の美味しいめざめ(萌芽)」な特選食材

 

 高松空港のほど近くに農園をかまえる、「薫る農園」さん。ここの園主は、香川の農業女子として活躍中の河田薫(かわだかおる)さんです。そう、彼女が丹精込めて育て上げた、見事なまでのアスパラガス「さぬきのめざめを、」Benoitへ送っていただいております。

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 穂先がきゅっと締まった容姿端麗な姿。根元までやわらかいけれども、食感はシャクキシャクと。鮮度が抜群なため、みずみずしいのはもちろん、じんわりにじみ出(い)でるアスパラガスのジュースは、野菜特有の甘さを感じ取れます。

 

 アスパラガスの栽培方法は、他の野菜とは一線を画します。植栽してからゆうに3年の時を要することは前述いたしました。

 地下茎を広げ新芽を出す姿は、竹に似ています。新芽を美味しくいただくことも似ています。筍は竹であり山菜のように収穫期は短いもの。しかし、アスパラガスは野菜であり、可能な限り長期にわたり美味しいアスパラガスを皆様の食卓へ届けたいという栽培者願いのもと、彼らの弛まぬ努力と知恵が「立茎栽培」という独特の栽培方法を生み出しました。

 初春、緑色が皆無のまっさらな大地より顔をのぞかせるのが新芽(アスパラガス)です。ある一定の長さで収穫するも、次々と地下茎に蓄えられた栄養を使い、次々と新芽が成長していきます。そして、栽培者が天候とアスパラガスの体力を見極め、収穫を止め数本の新芽を成長させるのです。新芽は葉を開き、わさわさと成長してゆく(立茎)、そして太陽の力によって光合成を成し、栄養を地下茎に送るようになります。そして、再度収穫期が訪れるのです。

 この立茎を境に、前期が「春芽」、後期が「夏芽」と表現し、収量は春芽>夏芽です。もちろん、香川県「さぬきのめざめ」も例外ではなく、この立茎栽培による、つかの間の「昼寝の期間」があります。Benoitでは、このこの「昼寝期間」までの「春芽」を中心に、送っていただこうと思います。いつまで春芽なのか?こればかりは経験豊かな河田さんでも、アスパラガスに聞くしかないようです。

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 いつまで「さぬきのめざめの春芽」を楽しむことができますか?という問いに対し、自然の産物ゆえに、定かなことをお話できないもどかしさ。ご理解のほどなにとぞよろしくお願いいたします。

 この香川県の自然と、河田さんの弛まぬ努力が育んだ、「春一番の美味しいめざめ」を、Benoitシェフの野口が「Benoitの美味なるめざめ」となるよう、料理に仕上げてゆきます。ランチとディナーのプリ・フィックスメニューにて、魚料理の選択肢の中に、その名を連ねます。どのように姿を変えるのか?このお話は、後ほどにご案内させていただきます。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com