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徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2021年10月11月 Benoit≪特選食材≫のご案内です。

ゆく川の 流れは絶えずして しかも もとの水にあらず ~方丈記鴨長明

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 時の流れもまた絶えることはなく、毎年のように季節は巡ってくるものの、今年の秋は昨年の秋ではありません。そして、「旬」もまた過ぎ去るのみで、待ってくれるという「優しさ」を持ち合わせていません。

 言葉は、その国の風土や文化を反映します。外国語を学ぶと、日本語には無い表現であったり、また日本語にしかない言い回しがあったりした経験があったはずです。この「旬」という漢字には、上旬・中旬・下旬のように、10日間という意味があります。「季節の食物が最も味の良い時期」とは、日本語独特の使い方だと語源辞典「漢辞海」は教えてくれます。

 我々日本人は、知らず知らずのうちに「旬」を心待ちにしているものです。ぜひ、日々の食事の中に「秋の味覚」を取り入れていただきたいです。「初物食べると寿命が75日延びる」とはよく言いますが、競うように他の誰よりも早く「初物ものを求めるのではなく、自分にとって季節の初物であることが重要です。旬の食材は美味しいばかりではなく、今我々が欲している栄養価が満ち満ちています。

 皆様に「秋の味覚」を感じていただきたく、10月11月の特選食材をご紹介させていただきます。「Benoitの料理も秋になりにけり」と感じていただき、お手の赴くままにご予約の連絡をいただけると幸いです。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

仲秋特別プランのご案内です。

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 草木の花々は移りゆく季節の機微を捉え、順を追って咲き誇るもいずれは散りゆきます。食材も同じように「旬」という期間は限られたものであり、「待つ」という優しさはありません。そこで、全ての旬食材は無理でも、Benoitに少しだけ顔を向けてくれた食材で、「口福な食時」ひとときをお過ごしいただきたく、「仲秋特別プラン」と銘打って、皆様にご紹介させていただきます。

  仲秋特別プラン

期間:土日を含めた20211031()まで

ランチ: 前菜x2+メインディッシュ+デザート

6,000円→5,000円(税込/サービス料別)

ディナー: 前菜x2+メインディッシュ+デザート

8,600円→6,800円(税込/サービス料別)

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営業時間のご案内

ランチ: 1130分から1530 (1400 ラストオーダー)

ディナー: 1700から2100 (1930 ラストオーダー)

※東京都の要請に従い、昼夜ともに酒類提供を再開させていただきます。

 

ヨーロッパから「キノコいろいろ」、飛行機に乗ってBenoitへお越しです!

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 秋の味覚の代表ともいえる「キノコ」が、フランスから飛行機でやってきています。冬本番を迎えるに前に、ぜひとも味わっておかねばなりません。今届いているものは、プルーロット(ヒラタケの仲間)、ジロール(アンズ茸の仲間)とトランペット・ドゥ・ラ・モー(「死のトランペット」という名前ですが毒キノコではありません)、カルドンチェッロ(エリンギ茸そっくり)、それとマッシュルームの5種類。生の時にはひとつひとつが地味ですが、ちゃっちゃっと熱を加えることで芳しい香りをはなつようになり、風味豊かな逸品へと変貌します。

 ここまで国産の食材にこだわりを見せながら、どうしてフランス産を購入するのか?シイタケやシメジにように、風味豊かな個性的なキノコが国産にはあります。ことフランス料理との相性となると、どうしてもフランス産に軍配があがるのです。さあ、どのような料理へ姿を変えるのでしょうか?

 

Benoitの秋は栗で始まり栗で終わる…≫

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 秋を代表する食材の中で、料理とデザートで主役を担うことのできるものは「栗」しかないのでしょうか。その栗ですが、大きく分類すると3つに分けることができ、それぞれに美味しさが異なります。天津甘栗などで有名な「中国栗」、マロングラッセなどには欠かせない「ヨーロッパ栗」、そして、日本の「和栗」です。Benoitには、ヨーロッパ栗と和栗が届いています。

 ヨーロッパ栗は、もちろんフランスから届きます。フランスの栗は特有のコクと甘さ、対して和栗の繊細で奥深い旨さが特徴でしょう。どちらが美味しいか?ということではなく、それぞれの特徴を生かして、料理とデザートに仕上げてゆきます。

 和栗は、岐阜県恵那市の「恵那川上屋」さんより、和栗を炊きほぐしていただいた栗のペーストを送っていただきます。60年近くもの間、栗に向き合ってきた彼らの慧眼は本物。かつて、岐阜県恵那の地は昔から中山道の宿場町として栄えていました。秋、旅人がこの宿場に立ち寄ることを心待ちにした理由は、美味しい栗料理と栗菓子を提供していたからに他なりません。

 そういえば、栗には東西を問わず渋皮があります。美味しく食べるには、この渋皮を取り除かねばなりません。フランスで栗の収穫を迎えると、この渋皮剥(む)きは女性の担当だったといいます。この作業を経験した方はご存知かと思いますが、手が渋皮で黒ずんでくるのです。特に爪が黒ばんでくることを、フランス女性たちの美意識が許しませんでした。そこで、考案されたのが「マニキュア」だと…そのような女性たちの想いを感じ入りながら、Benoitの栗料理と栗デザートお楽しみいただくことも一興かと。

 

飛騨高山に鬼神「両面宿儺(りょうめんすくな)」を冠した野菜あり!

「六十五年 飛騨國有一人 曰宿儺」 日本書紀より

 65年、飛騨の国にひとりの人がいた。名を「両面宿儺(りょうめんすくな)」という。身の丈は3mはあろうか、それぞれに反対側を向いている顔を持ち、4本の腕を持つという。日本書紀によれば、暴れ鬼として書き記され、大和朝廷に敵対したとして、武振熊(たけふるくま)によって討伐されたといいます。

 しかし、ご当地である美濃・高山・飛騨では、人々を苦しめていた鬼神を退治してくれたこともあり、祀られているのです。数々の仏像を彫ったとされる、飛騨出身の円空の作品が、岐阜県高山市の千光寺(せんこうじ)に現存しています。2つある顔の優し気な表情が表に彫られているため、鬼神という印象はうけません。円空は、両面宿儺は彼の地を救った守り神なのだと喝破する。

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 その両面宿儺の名を冠する伝統野菜、「宿儺かぼちゃ」が今でも丹精込めて栽培されています。大きなサイズになればなるほど、栽培が難しくなると言われるなかで、この見事なサイズにまで育て上げられるには、どれほど手間暇をかけねばならないことか。岐阜県高山市で「かぼちゃ名人」と称される若林さん率いる、熟練の栽培者の方々よりBenoitへ送っていただいている品質の高さには脱帽するばかりです。

 表皮は薄く、中は見事なほどの詰まった黄色がかったオレンジ色が姿を見せます。和かぼちゃの多くは、味わいが素朴であるのに対し、この宿儺かぼちゃは一線を画します。優しいカボチャ特有の甘みの中に、ねっとりとしながらも、きれいな旨味の余韻が後を引く。洋かぼちゃにはない和かぼちゃの美味しさに舌鼓を打つこと間違いありません。

 なぜ、美味しいカボチャなのに、日本全国に出回らないのか。栽培が難しい上に、表皮が薄く日持ちがしないこと。そして、この大きさゆえなのでしょう。ご家庭で1本購入しようものならば、1週間はカボチャ料理が続くことになります。しかし、今なお栽培が続いている理由は、「美味しいから」の一言に尽きるでしょう。

 

≪秋ナスと秋サバは嫁に食わすな…!?

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「秋茄子は嫁に食わすな」

 体が冷えて流産してはいけないと嫁の体を労(いたわ)った言葉です。夏野菜であるナスは、水分が多い上にカリウムが豊富です。カリウムには利尿作用があり、余分な水分を体外に排出する際に体温を奪っていきます。さらに、ナスのアクも体温を下げるのだといいます。夏であれば良いことも、肌寒くなると困りもの…しかし、秋ナスは格別に美味しい。

 食べ過ぎいけないことはどの食材でも同じこと。アク抜きしたナスを適量であれば、妊婦さんでも美味しくお召し上がりいただけます。まして、ナスから摂れる葉酸を思うと、「秋ナスこそ嫁に食わすべし!」というものです。なにぶん、体が冷えることは体感的に分かっていても、葉酸などの含有成分などわかりようもない時代にあっては致し方ないことなのかもしれません。

 Benoitには、香川県のナスが直送されています。特にブランドナスではありません。なぜ?送料をかけてでも買いたくなるほど美味しいナスだからです!一日に1kgものナスを摂取するということがない限り、安心して美味しいナスをお召し上がりください。

 と、ここでBenoitがお世話になっている豊洲市場の老舗魚卸「大芳」の宇田川さんから面白い話を伺いました。「秋ナスは~」に続き、魚河岸ではこういうことも言うそうです。

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「秋鯖(さば)は嫁に食わすな」

 こちらは、お嫁さんの体調を気遣っての言葉ではなく、こんな美味しい物を嫁に食わすのはもったいない、という意味といいます。男尊女卑ということで、今では物議をかもすような文言ですが、これは男共の表面上の強がりというもので、目くじら立てて反発するものではなかったという気がします。

 東京の魚河岸は、もちろん江戸幕府成立に誕生したものです。世界的に稀有な平和を謳歌した時代であり、優れた多くの芸術を生み出しました。しかし、このような時代は知力がものを言い、武力は廃れるものです。所領の田畑や家屋を守るべく、武芸に励むことも必要なくなった男共は、遊び惚けることが多くなったようです。

 そのような男共が、自分の立ち位置を確固たるものにするため、「秋鯖は~」というセリフを吐いたのだと思うのです。全てがそうではないことはもちろんですが、江戸時代は「男心と秋の空」と言われていました。大衆の前では強がっていても、家に戻ると奥様に「ぷらぷらしてるんじゃないよ!子供のためにも働きな!」と責めたてられていたのではないかという、江戸の長屋の一コマが脳裏に浮かびます。

 そして、もう一つ、「さばを読む」という言葉もまた、鯖(さば)でした。大芳さん曰く「魚河岸の先輩方が、昔、鯖の本数をごまかして販売していたところから生まれた言葉です。話題に事欠かない魚です。」と。海水温が下がってくる、これからが旬の魚です。ただし、「鯖の生き腐れ」というほど鮮度落ちが早い魚。「吟味して最高の逸品をお持ちします!」との心強い言葉をいただいています。

 「Ça va ?」とは、フランス語で「元気?」ですよね。似てますよね、何せ魚河岸の人間はサバを食べて元気をつけていますので!?と、なかなか粋なこという…

 

≪美味しいカレイは、マツカワガレイなり!

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 背びれを上に置き、白い腹目を地につけた時、「左ヒラメに右カレイ」なのだといいます。ヒラメとカレイを見分ける時の決まり文句ですが仲間の中でも例外がいる上に、自然界のか中では稀にひねくれものもいるようです。どちらにせよ、ともに美味しい魚に変わりはありません。と、コメントしていては、飲食業を生業とはできません。

 眼の向きは、やはり美味しさに違いをもたらしますが、エビ・カニ・小魚を捕食することで蓄えられる旨味は甲乙つけがたいもの。しかし、その肉質には大きな違いがあります。カレイ目ヒラメ科の仲間がぷりっと堅めであるならば、カレイ目カレイ科はふわりとして柔らかい。

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 今回は、カレイの仲間の中で、美味であることで群を抜いている「マツカワガレイ」が、北海道からBenoitに届いています。見事なまでに美しい背ビレに腹ビレに描かれる帯模様。これぞマツカワガレイなり!ヒラメにも負けないほどの肉厚さながら、やはり肉質は繊細で、優しい旨味に満ち満ちています。

 

佐渡ヶ島から直送!アオリイカBenoit初登場です。≫

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 新潟県佐渡ヶ島は、沿岸一周約280kmもあり、東京23区の1.4倍の広さを誇る本州最大の島です。新潟港からカーフェリーで2時間半、ジェットフォイルを使えば1時間ほどで島の両津港へと着岸します。そこから少しばかり北に向かうと、「佐渡魚市場」が姿を見せます。まだ東雲(しののめ)の頃から、次々と水揚げされる魚介の量の多さは、いかに佐渡近海が好漁場であるかを物語っています。

 Benoitは、マルヨシ鮮魚店の石原さんに競りを託します。活気を帯びる市場の中で、彼にお願いしたのは旨味食味が抜群で、イカの中でも最高級の食材と称されている「アオリイカ」です。生きたものしか捕食しないという硬(かた)くなまでのこだわりが、この美味しさを生むのでしょう。

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 夏に生まれたアオリイカが、海水温が下がってくるころから沿岸部から深辺へと移りゆき、ぐんぐんと成長するといいます。確かに、今はまだ小さめだというのですが、いやいやこのサイズだからこその美味しさがあります。ただただ焼いただけのアオリイカにもかかわらず、その香りの高さに魅せられ、パリッという若々しい弾けるような…そして、イカ特有のムッムッとくる食感、その溢れ出る旨味に酔いしれる。

 石原さんがこのようなメッセージを送ってくれました…「ただただ美味しく召し上がっていただきたいという一心です。良いものを早く処理して一流の料理人に渡す事が魚屋の仕事だと思っています。さあ、定置網も始まりますよ!」と。

 

ジビエを代表する食材「エゾシカ」がメニュー名を連ねます!

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 Benoitのプリ・フィックスメニューには、通年を通して牛肉のランプステーキが鎮座しています。それに、対抗するかのように、日本のジビエ料理の代表格ともいえるエゾシカが、名乗りを上げました。のんびり歩いている牛とは違い、北海道を駆け回っているからエゾシカ。この行動パターンの違いは、赤身の肉質とはいえ、まったくの別物です。

 今回は、エゾシカのモモ肉をつかいます。硬そうなイメージをお持ちかもしれませんが、丁寧にトリミングされ、休ませながらしっとり焼き上げることで、モモだからこその肉の旨味を堪能できるのです。さあ、この美味しいエゾシカの肉を糧(かて)に、そ知らぬ顔で駆け抜けてゆく秋に追いつきましょう!

 

≪幻の酢ミカン「直七」が、幻ではなくなる?≫

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 この聞き慣れない「直七(なおしち)」とは、スダチやカボスといったような酢ミカンに分類されています。原産は広島県尾道市因島(いんのしま)の田熊で、学名は「田熊スダチ」といいます。これが高知県へと持ち込まれたのだろうというのです。今では因島で栽培している人はなく、高知県でも四万十市のさらに西隣にある宿毛(すくも)市とその周辺で栽培されているのみ。

 かつて、土佐の魚商人が、「魚に絞ると美味しいよ!」と触れ回ったことでこの名前が付いたのだと言います。そう、彼は「直七」さんでした。樹齢200年以上の古木が現存してることから、馴染みの酢ミカンであったようですが、地元以外では名前はもちろん、その風味を知る人は少なく、幻の柑橘と呼ばれているようです。

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 馴染みのスダチとは、外形も味・香も異なっています。ほのかな甘みに、心地よい酸味と柑橘の青々しさ。姿もそうですが、スダチとミカンを合わせたような柑橘です。青果での流通は昨年より初めてテスト的に一部のスーパーなどへ出荷しただけでした。今期、Benoitのシェフ野口が試食し絶賛!さらにシェフパティシエールの田中もま!そう、Benoitでは、幻の酢ミカンが幻ではなくなったのです。

 10月11月は、Benoitの料理とデザートにこの直七がふんだんに使用されます。メニューをご覧いただいても、どこにも記載がありません。いったいどのようにBenoitでは直七が姿を変えているのでしょう。※メニューに書かなかった理由は、皆様への問題のためではありません。希少な酢ミカンであるため、今期の収穫を待ってから野口と田中が試食したため、採用が決まったのは、10月になろうとしている頃だったのです。そう、自分の怠慢で記載を失念しておりました…

 

≪すでに!路地の早生みかん「汐風みかん」がBenoitに。≫

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 熊本県は知る人ぞ知る柑橘の産地です。その中でも、県中央部西側にある宇土半島のつけねの南に位置しているのが、不知火(しらぬい)地区です。この地名からして、我々を魅了して止まない柑橘を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。柑橘「不知火」の中で、一定基準を満たしたものが「デコポン」です。農業試験場で育種されたものの、栽培が難しいがために皆が二の足を踏む中で、果敢に挑戦し成功を収めたのが、不知火の人々でした。そして、その柑橘を「不知火」と名付けたのです。

 不知火海の沿岸地域は、一年を通して温暖。海に面した山の斜面は、太陽の恩恵を十二分に受けることができるうえに、柑橘のとって快適な水はけをももたらします。さらに、海からの養分たっぷりの汐風、阿蘇の伏流水である熊本の水、澄んだ空気で育まれた果実は、旨味たっぷりでジューシーで味わい深いものへ。

 この地で代々にわたり果樹栽培を続けている「のむちゃん農園」は、若き園主である野村和矢さん早苗さんに受け継がれました。彼らは、天の恵みである不知火の地に利に甘んじることなく、飽くなき探求心のもとで、さらなる安心安全・美味しい果実を育て上げる努力を惜しみません。どれほどのものか!このお話は後日に。

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 今回は、不知火の自然の恵みと、彼らの愛情をたっぷりと受けて育ったミカン、「汐風みかん」がBenoitに届いています。この時期にあり、露地栽培の早生みかん。シェフ野口も、シェフパテシエ-ル田中も、その品質の高さを絶賛しています。この二人の名前が挙がったということは…そう、直七同様にBenoitの料理とデザートに欠かせない食材となっています。

 「不知火海岸沿いの段々畑で潮風と海の恵(魚、サンゴ、カニ、カイ、にがり)をたくさんうけて育った汐風みかんです。皆様、お楽しみください!」と、野村さんからメッセージが届きました。

 

山形県の遠藤農園さんから、りんご「紅玉」」が届きました!

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 馴染み深いフルーツのリンゴは、いともやたやすく購入することができます。しかし、「紅玉」という品種となると、栽培している方が少ない上に、植栽本数も激減するのです。生食にて、しゃくっとした心地良い食感と甘みに満ちた新品種が続々と登場し、昔ながらの硬く酸っぱいりんごである「紅玉」は敬遠されてしまうのでしょう。しかし、ことデザートとしてリンゴを選ぶ場合、生食にて美味なる日本のリンゴでは、加熱した際に甘すぎて酸味がないため適しません。ことデザートにおいて、紅玉を勝るものは、まだありません。

 山形県の西に聳(そび)える山々は、新潟県との県境をなしています。その山より湧き出でる清らかな水は、落合い落合いせせらぎとなり、さらに川幅を大きくし、山間(やまあい)の沿うように蛇行しながら海へとそそぐ最上川。その上流域に朝日町があり、大谷(おおや)という地でリンゴ畑を拓(ひら)いているのが、遠藤果樹園の若き園主、遠藤直裕さんです。が

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 Benoitにとっての「リンゴの故郷(ふるさと)」から一報が入ります。「紅玉の収穫が始まりますよ!」と。なぜ毎年のように遠藤さんの果樹園からリンゴ「紅玉」を送っていただくのか?それは、美味しいからの一言に尽きます。知り合ってから、はや3年が経ちました。彼がリンゴに真摯に向き合い、想いを込めて育て上げていることを知ることになり、なぜ遠藤さんのリンゴが美味しいのかを納得してしまう自分がいます。

 どれほどの逸品であるのか?リンゴが皆様に教えてくれるはずです。

 

≪季節からずれたお話 「蓮に想う惜夏の念」のご紹介です。≫

 晩夏に書こうと思っていた話です。しかし、すでに蓮の花も咲き終わったこともあり、来年への持ち越しを検討していました。その折に、栃木にお住まいに木村様よりハスの画像が届いたのです。見事に実をなしたハスの姿に、ついつい時季外れではありますが、蓮の美しさをご紹介させていただきます。惜夏の念を覚えながら、読んでいただけると幸いです。

kitahira.hatenablog.com

 

北平のBenoit不在の日

 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない10月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。また、新型コロナウイルス災禍如何によって変更の可能がございます。ご不便をおかけいたしますが、ご容赦のほどなにとぞよろしくお願いいたします。

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 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com