kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2022年10月11月Benoit ボーノ(美味しい)という名を冠した「ボーノポーク」?!

 「ボーノポーク」は、イタリア語で美味しいという意味の「ボーノ」という言葉を冠し、なんとも軽々しい印象を受けますが、その実は、岐阜県の中濃ミート事業協同組合の威信にかけて育て上げた銘柄豚です。飼育地は、県内の瑞浪(みずなみ)市、山県市、揖斐(いび)市の3地域。3つの種の掛け合わせで誕生した三元豚で、そのひとつが霜降り割合を増加させる能力を持つ、岐阜県が開発育種した「ボーノブラウン」という種豚です。

 抗酸化能とオレイン酸を多く含む植物性原料を含み、飼料中のアミノ酸バランスを調整した専用に開発された飼料を与えています。この飼料を含め、徹底した管理のもとで飼育されることで、霜降り割合が一般的な豚肉の二倍にものぼり、肉自体の旨味を十二分に堪能できる上に、脂の甘味か加味されるのです。さらに、一般に流通している豚肉よりもドリップロスが少なく、肉の旨味が逃げにくいのが特徴といいます。

 飼育した全てが「ボーノポーク」というブランドを冠することはありません。県下の和牛ブランド「飛騨牛」が、霜降り具合を目視によって5等級なのか4等級なのか、はたまた3等級なのかと振り分けるように、この豚もまたロース部位を目視によって判別してゆきます。違う点は、区分けが「ボーノポーク」か「一般的な豚」の2択であるということ。

 皆様が、「ボーノポーク」という豚の名前を耳にしたことがないのも当然、徹底した管理のために多くを飼育できない上に、厳しい選別ゆえに流通量が極端に少ないのです。その、貴重な豚肉がBenoitに届いています!

 

 どれほどのブランド肉でも、豚肉は生では食せず、良く焼くと硬くなります。そこで、ロースの部位を厚めにカットするのですが、休ませながら断面がうっすらとピンク色になるように丁寧に焼き上げることで、しっとりとした食感とボーノポークの旨味を十二分に堪能できるように仕上げます。

 ディナーでは、前述した「宿儺かぼちゃ」を添えます。輪切りにした半実の上に、このカボチャのピューレを載せてオーブンへ。途中でパルメザンチーズを振りかけ、再度オーブンへ。甘く焼き上がる、ホクホクとなめらかな2種の食感のカボチャに、チーズが溶けてふつふつと絡みつくことでコクを与える。岐阜県という同郷の組み合わせに死角はありません。

Longe de cochon de Gifu rôtie, gratin de potiron

岐阜県ボーノポークロース肉のロースト 宿儺カボチャのグラタン

※ディナーのプリ・フィックスメニュー、主菜としてお選びいただけます。

 

 ランチは、ボーノポークの多様な美味しさをお楽しみいいただきたく、ロースの肉ステーキ、バラ肉のコンフィ、自家製ソーセージの3種は焼き、盛り合わせます。添えるのはフランスのル・ピュイ産のレンズマメの煮込み。ワインと同じように原産地呼称を受けている緑レンズマメだけに、その美味しさは格別です。カスレのように、レンズマメの中に豚肉を加えて煮込んでいるわけではありません。

Cochon de Gifu aux lentilles vertes du Puy

岐阜県ボーノポークソーセージ/コンフィ/ソテー レンズ豆の煮込み

※ランチのプリ・フィックスメニュー、主菜としてお選びいただけます。

 

 日ましに秋めく今日この頃。目に見える季節の移ろいの加え、秋風は秋の薫りも運んできます。ここはひとつ、文明の利器を遠慮し、五感を利かせて秋を探してみるのも一興ではないでしょうか。そして、秋の味覚が恋しくなった際には、足の赴くままにBenoitへお越しください。深まり行く秋と歩調を合わせるように、旬の食材がメニューをもって皆様をお迎えいたします。

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 終息の見えないウイルス災禍です。皆様、油断は禁物です。十分な休息と睡眠、「三密」を極力避けるようにお過ごしください。「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、笑いながらお会いできることを楽しみにしております。

皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より切にお祈り申し上げます。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com