kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2021年6月 Benoit≪特別プラン≫と≪お勧め料理≫のご案内です。

ほかに鳴く やまほととぎす こと問はむ われに増さりて 人は待つかと  俊恵(しゅんえ)

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 「ホトトギス」、名前は知っているも、どんな鳥でどんな鳴き声なのか?

 昨今のインターネットとはなんとも便利なもので、この鳥を検索すると出るわ出るわ、これでもかと。姿・鳴き声も動画で楽しめます。これほど多くの方が投稿しているということは、やはり多くの人が捜し求め、出会った時の感動を共有したいという証なのでしょう。和歌の世界に幾度となく登場し、我々日本人に馴染みの鳥でありながら、今ではなかなか耳目に触れることがありません。

 気象庁が実施している「生物季節観測」というものがあります。「桜の開花宣言」のように花の開花であったり、ウグイスやセミの初音であったりと、気象庁のスタッフが自らの目と耳を使った確認方法というアナログなもの。昨年末に、この観察対象となる動植物の大幅な削減が発表されました。日本各地に点在する観測地点の自然環境の変化から、観察対象を見つけることが困難になったことが要因です。その削減された中に、ホトトギスがありました。寂しい限りですが、昨今の自然環境を考えると、住み難(にく)くなったのでしょう。

 今では渡り鳥であることが周知されているホトトギスですが、昔々は山にこもり5月頃に里に下りてくるとのだと考えていたようです。そのため、「ヤマホトトギス」と書き記すも、同じ鳥のこと。この鳥の習性から、ウグイスのように人目に触れることはほとんどなく、まして同じ樹に留まるという優しさを持ち合わせていないため、昨日に声音を聞いたからと今日も耳にできるということはないようです。今ほどに希少ではなかったとはいえ、昔も出会うことが難しかったようです。

 平安時代末期に活躍し、小倉百人一首にも歌を遺す俊恵といえども、ホトトギスはなんら忖度することなく気の向くままに飛び歌う。どれほどホトトギスの初音を待ち望んでいたことか。やっかみ募ってついつい冒頭の一首を詠ってしまったのでしょう。山からやってきたホトトギスは何処で声高らかに心地良いリズム奏でているのだろう。ホトトギスよ、お前に訊ねたい。そこには私以上にお前を切望する御仁がいるのか?いっときでよいから、こちらに来てはくれまいか…

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 コロナウイル災禍であろうとなかろうと、温暖化などが多少ならずとも影響していようが、自然界にはそれなりの理(ことわり)があり、それにならうかのように、気温・湿度が変化し、梅雨や台風といった気象環境が訪れます。我々人類は、脳みそが大きくなることで「考える」ことには長けているのですが、この変化を察知する能力を持ち合わせていないようです。そこで、古人は自然の機微を捉えることのできる自然界の動植物の変化を見てとることで補ってきたようです。

 今を生きる我々は、人類の英知の結晶ともいえる「暦」に囚われること、天気予報の精度が格段に上がったこと、さらに生活環境が良すぎるために、この季節感を捉えようとする気持ちを失ってしまったような気がします。旬の食材には今我々が欲している栄養が満ち満ちています。季節感を失うことは、この「旬」という感覚をも失わせ、その結果が今欲している栄養の不足を招いてしまうのはないでしょうか。昨今の現代病の一因も、ここにあるような気がいたします。

 

 日本全国津々浦々で名乗りを上げる旬の食材の数々。地方に眠る逸材たちよ、お前に訊ねたい。そこには私以上にお前を切望する御仁がいるのか?と言いたいところですが、間違いなく自分以上に必要としている人々がいます。地元にとっては必要不可欠な食材だからこそ、今でも栽培や漁にでているのですから。しかし、少しばかりBenoitに顔を向けてはくれまいか?君たちを待っているのは、地元の人ばかりではない。

 旬の食材は、今我々が欲している栄養が満ち満ちています。これを美味しく摂ることは、心身共に満たされることとなり、免疫力を堅持することを約束してくれることでしょう。コロナウイル災禍に抗するワクチン接種が始めっていますが、ご自身の体調が優れなければ元も子もありません。そこで、皆様にはBenoitで「口福な食時」のひとときをお過ごしいただきたく、特別プランをご用意させていただきます。

 

コロナに負けるな!Benoit特別プランのご案内です。

 草木の花々は移りゆく季節の機微を捉え、順を追って咲き誇るも、いずれは散りゆきます。食材も同じように「旬」という期間は限られたものであり、「待つ」という優しさはありません。そこで、全ての旬食材は無理でも、Benoitに少しだけ顔を向けてくれた食材で、「口福な食時」ひとときをお過ごしいただきたく、「初夏特別プラン」と銘打って、皆様にご紹介させていただきます。旬の食材を美味しくお召し上がりいただくことで、体の中から元気になっていただきたい。そして、気心知れたご家族ご友人との、騒ぐではない「語らい」のひとときは、ただ食事をする以上に心満たされることとなり、このコロナ災禍を乗り越える助けになるものと信じています。

 

初夏特別プラン

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ランチ

前菜x2+メインディッシュ+デザート

6,000円→5,000円(税込/サービス料別)

期間:土日を含めた2021630()まで

 

週末限定ディナー

前菜x2+メインディッシュ+デザート

8,600円→6,800円(税込/サービス料別)

期間:20216月20(日)まで

 

 陽が西の山の端(は)に沈みゆき、夜の帳(とばり)が下りてくる。Benoitは、「時短営業」ならびに「酒類提供中止」というとの要請を甘受し、「休業」ではなく「営業継続」という選択肢を選びました。そこで、思い立ったその時に、Benoitへお運びいただきたく、「首夏の夕暮れ特別プラン」を継続させていただきます。

 

首夏の夕暮れ特別プラン

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週末ディナー

前菜+メインディッシュ+デザート

7,500円→5,000円(税込/サービス料別)

期間:2021620()まで

 

 上記2つのプランは、お一人様でのご利用も喜んで承ります。「語らい」のために、自分が適度にお席にお伺いさせていただきます。現在の営業時間を以下に記載させていただきましたが、緊急事態宣言如何によって変動する可能性がございます。ランチはいつもと変わりませんが、ディナーは週末だけ通常営業を行い、平日は貸切のみとさせていただきます。

ランチ

1130分から1530 (1400 ラストオーダー)

週末ディナー ~ ※平日のディナーは、通常営業を行いません。

1700から2000 (1900 ラストオーダー)

ご予約は、このメール(kitahira@benoit.co.jp)への返信をご利用ください。お急ぎの場合には、Benoitメールアドレス(benoit-tokyo@benoit.co.jp)より、もちろん電話でもご予約は快く承ります。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

北平のBenoit不在の日

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 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない6月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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 上記日程以外は、Benoitを優雅に駆け回る所存です。自分への返信でのご予約はもちろん、BenoitのHPや、他ネットでのご予約の際に、コメントの箇所に「北平」と記載いただけましたら、自慢の料理の数々を語りに伺わせていただきます。自分が不在の日でも、お楽しみいただけるよう万全の準備をさせていただきます。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

 

 6月1日に「衣がえ」を迎えました。これは季節が大きく変わることを意味しています。季節の変化は、我々の衣服などという些細なことよりも、自然環境に与える影響のほうが大きいでしょう。この自然の機微を捉え、人類以外の生きとし生けるものは成長してゆきます。その成長の末に実を成すのが野菜や果物であり、栄養を蓄えるようにたらふく食してふくよかになるのが魚介です。そして、我々は、これを「旬食材」と呼んでいます。

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 旬の食材は、今我々が欲している栄養が満ち満ちています。これを「美味しく」「楽しく」摂ることは、心身共に満たされることとなり、免疫力を堅持することを約束してくれることでしょう。そこで、Benoitでの「口福な食時」のひとときを過ごしていただくため、「旬の食材」と「お勧め料理」をご紹介させていただきます。

kitahira.hatenablog.com

  

 最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご多幸とご健康を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com