kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2023年7月Benoit 「ブランド仔羊は名ばかりではなかった…知ってしまうともう戻れない!」

 「品質と特徴が、特殊な地理的環境に起因する」という大原則のもとに、EU加盟国で批准されているのがAOP(原産地呼称保護)。この厳格な基準よりも少しだけゆるくしたものがIGP(Identification Géographique Protégée / 地理的表示保護)というもので、「生産地に起因する品質、社会的評価、特徴がある」という解釈です。基準が緩和されたとはいえ、もちろん生産地が限定され、栽培・飼育に厳しい条件があるのです。

 今回、Benoitに届いている仔羊は、このIGP認定を受けている「Agneau de Lozère (アニョー・ド・ロゼール)」です。南フランスに位置する、かつてのLanguedoc-Roussillon(ラングドック・ルーション)地域圏とMidi-Pyrénées(ミディ・ピレネー)地域圏が合併してできたOccitanie(オクシタニー)地域圏の、北東に位置するのがLozère(ロゼール)県。この山岳部は、石が多く痩せた土壌で乾燥した気候から、2000年以上も前から羊の飼育が盛んだったという歴史を持ちます。

 この飼育環境のもとで、自然に乳離れするまで母羊に哺乳させ、人工飼料は与えないなどという、厳しい規定をクリアしたもののみがアニョー・ド・ロゼールを名乗ることができます。その肉はピンクがかった白色が美しく、肉質は絹のように滑らかで、きめが細かく引き締まっており、脂肪は硬く、ほのかに草の香りがする気がします。

 

 仔羊は丁寧にトリミングを施し、背肉を表面に焼き色を付け、ふつふつとしたバターをふりかけながら、ゆっくりゆっくり熱を加えてゆく。この魅惑的な香りをどう表現したものか。表面には美味しそうな焼目がつくが、中はまだ生のままです。肉が内包している温まった肉汁を利用し、中からじっくり熱がゆきわたるように、温かい肉部屋で休ませロゼ色に焼きあげます。この美しい焼色なくして、仔羊の美味しさを味わえないでしょう。

 トマト、ズッキーニ、ナスにピキオス(バスクパプリカ)と彩り豊かな夏野菜にパルメザンチーズを振りかけオーブンへ。チーズが溶けてふつふつとしたところで、仔羊とともに盛り付けます。目の前に運ばれてきた時、仔羊の焼き色と夏野菜のグラチネの色のコントラストが目を引き、甘い野菜と焼いたパルメザンチーズの香りが漂います。そこへ、仔羊の旨味の凝縮したソースを、そっとお肉へかけてゆく。全てが一堂に会する時、なぜシェフがお勧めするのか、お分かりいただけるはずです。

 ブノワでメニューの中に仔羊のローストが名を連ねるのは、7月末までです。この機会をお見逃しなく!

AGNEAU rôti, légumes gratinés

仔羊のロースト 野菜のグラチネ

※ランチとディナーのプリ・フィックスメニュー、主菜として+2,000円でお選びいただけます。

※産地が変更になることもあります

 

 バランスの良い美味しい料理を日頃からとることは、病気の治癒や予防につながる。この考えは、「医食同源」という言葉で言い表されます。この言葉は、古代中国の賢人が唱えた「食薬同源」をもとにして日本で造られたものだといいます。では、なにがバランスのとれた料理なのでしょうか?栄養面だけ見れば、サプリメントだけで完璧な健康を手に入れることができそうな気もしますが、これでは不十分であることを、すでに皆様はご存じかと思います。

 季節の変わり目は、体調を崩しやすいという先人の教えの通り、四季それぞれの気候に順応するために、体の中では細胞ひとつひとつが「健康」という平衡を保とうとする。では、その細胞を手助けするためには、どうしたらよいのか?それは、季節に応じて必要となる栄養を摂ること。その必要な栄養とは…「旬の食材」がそれを持ち合わせている。

 その旬の食材を美味しくいただくことが、心身を健康な姿へと導くことになるはずです。さあ、足の赴くままにBenoitへお運びください。旬の食材を使った、自慢の料理やデザートでお迎えいたします。

 

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 ついに関東梅雨明けです。今後さらに続く猛暑な日々は、思いのほか我々の体力を奪ってゆくもの。さらに、疲労・ストレスなどが原因による免疫力の低下を招きます。皆様、十分な休息と休養をお心がけください。そして、こまめな休憩と給水をお忘れなきように。

最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。皆様のご健康とご多幸を祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com