kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2025年7月2日に「半夏生(はんげしょう)」を迎えました…どういうこと?

 2025年6月21日の「夏至(げし)」から数えて11日目、7月2日に「半夏生(はんげしょう)」を迎えました。古人は、見た目に分かりやすい月の満ち欠けによって「(暦の)日」を理解し、月の朔望により「(暦の)月」を理解していました。しかし、地球の太陽周回軌道の「一太陽年」(現行歴)と、月の地球周回軌道の旧暦とでは、なかんかの偏差が生じてくる。そこで、この帳尻を合わるように閏年(うるうどし)を設け、約一月を定期に加えています。

 現行歴のように太陽暦であれば、一太陽年が同じであるために、閏年には2月29日という一日を加えるだけで、一太陽年と暦の誤差を調整するだけですみます。しかし、約

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 一月も加わるとなると、「おいおい」となるわけです。そこで、古人は季節の目安として欠かすことのできないものが「春分」や「夏至」に代表される「二十四節気(にじゅうしせっき)」を導入するのです。

 この二十四節気の基準となる重要な目安が、昼夜の時間が同じになる「春分」です。これと対をなすのが「秋分」。さらに太陽が一番長く姿を見せる「夏至」と、対となる「冬至(とうじ)」。一太陽年が、365日ピッタリではないので、この春分も一日だけずれることもあります。

 この暦の話は、ブログで書いているので、お時間のある時に以下よりご訪問いただけると幸いです。

 冒頭でご紹介した「夏至」が二十四節気であるならば、「半夏生」は雑節(ざつせつ)と呼ばれています。農耕民族である我々のご先祖様は、これらでは物足りないということで、日本の気候風土に合わせた標(しるべ)をこしらえました。それが、「雑節」です。春分秋分の日を中日に前後3日の7日間が「彼岸(ひがん)」です。なんとなく仏教色が濃くインドから伝わったかのようですが、実は日本独自の考え方なため、雑節です。

 雑節は、農や漁を生業にする者のとっては気をつけなければならない日が刻まれています。立春から数えて88日目の日の「八十八夜」は、「八十八夜の別れ霜」「八十八夜の泣き霜」といい、暖かくなったからといって、まだまだ遅霜には気をつけなけなさいと教えてくれる。さらに、210日目は「二百十日(にひゃくとうか)」は、野分(のわけ)が訪れるので海には出るなと教えてくれる。野分とは、いまで言う台風のこと。なんという先人達の知恵なのでしょうか。

 では、「半夏生」とは、いつのことか?さらに古人は我々に何を伝えようとしているのでしょうか?

 例年であれば、半夏生の数日後に梅雨が明け、夏の猛暑が到来します。稲作には豊富な水資源が必要なため、梅雨という長雨はまさに天の恵みともいうべきもの。そして梅雨明けと同時にサンサンと降り注ぐ陽射しが成長を促します。トラクターが姿を見せるまで、田植えは当然ながら手作業で行っていました。どれほどの時間と労力を要したことか…「ちゅう(夏至)をはずせ、はんげ(半夏生)は待つな」というように、田植えを終える目安が半夏生だったようです。これ以降は、「半夏半作」といい、十分な稲穂になるには日数が足りないため、無駄ですよと教えてくれる。

 この田植えの目安以外にも、半夏生の日には「毒が降るから井戸に蓋をしろ」やら、「半夏生の日に採れた野菜などは食べてはいけない」と言伝(ことづて)されています。半夏生の頃ともなると、梅雨も後半へと移り、大雨に見舞われることが例年のこと。西日本では、この大雨のことを「半夏雨(はんげあめ)」といい、この雨により川より溢れ出る水を「半夏水(はんげみず)」という。

 日増しに暑くなる中で、降り続く雨は、カビや雑菌が繁殖するには好都合であり、疫病が蔓延する危険すらあります。半夏雨により濁流となった川水は、飲み水には適さないほど雑菌を含有していることでしょう。それが、井戸に入り込むことで汚染される。さらに、半夏水となって溢れた水が、病原菌を運ぶ役割を担い、野菜に触れることで、人々の口々へと移りゆく。

 境内に設置された茅の輪をくぐることで、病気や禍を払う。6月の終わりに執り行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」という神事があります。高温多湿に加え、梅雨時期(田植え)の疲れが癒えない中で、無事息災に夏を乗り切ることは、神頼みをしなければならいほどに厳しいものだったことの表れです。

 古人は、人々に注意喚起を促すため、半夏(はんげ)という植物に毒があることから、この半夏生には「毒がふる」と。さらに、半夏生の時期は、収穫という農作業をせずに、家でゆっくり休みなさい。そして、病原菌の付着しやすい時期だからこそ、「この日に採れた野菜を食べてはいけない」と言い伝えたのではないでしょうか。諸説ある中で、真相は分かりませんが、あながち間違ってはいない気がします。

 さて、毒だ毒だと迷惑被っている「半夏」という植物。別に半夏にとって毒が有用であるわけでもなく、たまたま人間が口にすると具合が悪いというだけのこと。この可哀想ないや多々ある夏草の中で、歳時記の中に名を遺すいう「半夏」とは、いったいどんな植物なのでしょうか?この話は、次回に持ち越させていただきます。

 

 「半夏生」の与(くみ)する二十四節気の「夏至」の後には、「小暑」さらに「大暑」と1年で最も暑い時期が続きます。そこまで暑い暑い言わんでもわかるわ!と愚痴の一つも言いたくなるところですが、ここはカレンダーに頼ることなく、自然の機微を捉えるように、柔軟に対応してゆかねばなりません。

 空梅雨とはいうものの、梅雨明けはまだ先のこと。自分の体力を過信し、無理な行動は禁物です。十分な休息と睡眠、こまめな給水をお心がけください。木陰に入り、葉の間を抜ける心地よい薫風、陽射しにきらめきながら重なり合う木の葉、なんと美しい光景か、と夢心地に浸るのも良いものです。しかし、夢の(意識の無くなった)世界から抜けることができなくならないよう、ゆめゆめお忘れなきようにお気をつけください。

 バランスの良い美味しい料理を日頃からとることは、病気の治癒や予防につながる。この考えは、「医食同源」という言葉で言い表されます。この言葉は、古代中国の賢人が唱えた「食薬同源」をもとにして日本で造られたものだといいます。では、なにがバランスのとれた料理なのでしょうか?栄養面だけ見れば、サプリメントだけで完璧な健康を手に入れることができそうな気もしますが、これでは不十分であることを、すでに皆様はご存じかと思います。

 季節の変わり目は、体調を崩しやすいという先人の教えの通り、四季それぞれの気候に順応するために、体の中では細胞ひとつひとつが「健康」という平衡を保とうとする。では、その細胞を手助けするためには、どうしたらよいのか?それは、季節に応じて必要となる栄養を摂ること。その必要な栄養とは…「旬の食材」がそれを持ち合わせている。

 その旬の食材を美味しくいただくことが、心身を健康な姿へと導くことになるはずです。さあ、足の赴くままにBenoitへお運びください。旬の食材を使った、自慢の料理やデザートでお迎えいたします。

 

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最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。皆様のご健康とご多幸を祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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