日頃より並々ならぬご愛顧を賜っている上に、自分よりご案内している長文レポートに目を通していただけている皆様の労に報いるため、≪初夏特別プラン≫を延長させていただくことにいたしました。
期間は、メールを受け取っていただいた日より、2020年7月末まで。ご予約は、自分へのメールをご利用ください。土日や急ぎの場合には、以下のBenoitメールアドレスより、もちろん電話でもご予約は快く承ります。
ランチ |
前菜+メインディッシュ+デザート |
3,800円→3,530円(税サ別) |
ランチ |
前菜x2+メインディッシュ+デザート |
4,800円→4,460円(税サ別) |
ディナー |
前菜+メインディッシュ+デザート |
6,100円→5,680円(税サ別) |
ディナー |
前菜x2+メインディッシュ+デザート |
7,100円→6,600円(税サ別) |
プリ・フィックスメニューの料理内容は、当日にメニューをご覧いただきながらお選びいただきます。ご希望人数が8名様以上の場合は、ご相談させてください。
さて、6月と7月のプリ・フィックスメニューは、一部が変更になるのみで、大きくは変わりません。そこで、皆様にお勧めしたいものをダイジェスト版として、皆様にご紹介させていただきます。お伝え足りないことは、日を改め詳細を書き記そうかと思います。全てを語りたいのですが、今回は厳選させていただきました。
≪何も足さず、何も引かず…Benoit自慢のフォアグラのコンフィ7月末まです!≫
鴨のフォアグラ、塩、鴨の脂、この3つの素材を使い、3週間という時の長さを必要とする、アラン・デュカスのスペシャリテでもある至高の逸品です。口の中の温かさでとろけるようなフォアグラの仕上がりと、素材の持つ旨味を十二分に引き出した美味しさは、他のフォアグラのコンフィは味気なく感じてしまうことでしょう。この詳細は、後日にお話させていただきます。
なぜ、アラン・デュカスが巨匠と称されているのか、垣間見ることができるはずです。
FOIE GRAS de canard confit, pain de campagne toasté
フォアグラのコンフィ パン・ド・カンパーニュのトースト
(追加料金 ランチ+1,500円 ディナー+1,000円)
※7月末まで、ランチ・ディナーのプリ・フィックスメニュー前菜として、お選びいただけます。
≪夏の暑さを払拭してくれる、爽やかな「ギリシャ風」前菜です。≫
マダイは、表面を炙るようにすることで、香ばしさを加え旨味を引き出します。しかし、この前菜は、マダイを凌駕する野菜の美味しさが際立っているのです。セロリ、ニンジン、タマネギ、カリフラワー、それにラディッシュ。レモンにコリアンダーの種を使い、絶妙な火加減で調理してゆき冷蔵庫で休ませます。コリアンダーはパクチーのことで、苦手の方の多い香草かと思います。しかし、このコリアンダーの種は、うんともすんともいわない味気ない食材。ところが、野菜とともに熱を加えることで、野菜本来の甘さを引き出すのです。
野菜それぞれの食感がリズミカルに口中に響き、野菜それぞれが甘さ旨さの旋律を奏でます。さらに、グレープフルーツの甘ほろ苦さ、マダイの美味しさが一加わることで、皆様を「口福な食時」へと誘(いざな)います。Benoitの窓越しから、エーゲ海を望めるかもしれません。
DORADE marinée, légumes à la grecque
※7月末まで、ランチのプリ・フィックスメニュー前菜として、お選びいただけます。
≪プロヴァンス地方の夏を代表する料理「ラタトゥイユ」が登場です、≫
夏野菜を代表するナス、ズッキーニ、パプリカをトマトで煮込んでいったプロヴァンス伝統料理です。家でも作りやすい料理だからこそ、Benoitらしい「こだわり」を随所に加えてゆきます。
ナス、ズッキーニ、パプリカとタマネギは、それぞれを絶妙な食感を残すように焼いてゆき、香ばしさと内包する野菜本来の旨味を引き出します。それらの夏野菜と、完熟まで収穫を待った真っ赤なパンパンのトマトが、大鍋で一堂に会する。くたくたと煮込むことは、それぞれの野菜の甘さ凝縮させることになり、甘みが増します。さらに、冷ますことで、味わいが落ち着き、野菜のコクが際立ちます。松の実を加えることで、カリっと心地良い食感と、夏なのでナッツの香ばしさを。ともに盛り付ける半熟卵の、とろりとくる黄身との相性も抜群です。
良く知っている料理だからこそ、Benoitのラタトゥイユの美味しさを感じ入っていただけるのではないでしょうか。この美味しさに酔いしれた時、宵(よい)のBenoit窓越しから、月夜に照らされた地中海を望むことができるやもしれません。
パリの赤ペン先生がフランス語表記を修正してきました。「légumes d’été (夏野菜)」から「légumes du soleil (太陽の野菜)」へと。なかなか粋な表現だと思いませんか?
Ratatourille de légumes du soleil, œuf mollet
夏野菜の冷たいラタトゥイユと半熟卵
※7月末まで、ディナーのプリ・フィックスメニュー前菜として、お選びいただけます。
≪イサキが夏の到来を教えてくれます。≫
夏の訪れを教えにBenoitにやってきた「イサキ」。このパンパンの体系が、旬の美味しさであることを教えてくれているようです。魚の鮮度は目の澄み具合で推し量るといいますが、イサキ鮮度に関係なく目が白濁するといいます。
Benoitだけに、お刺身で楽しむわけにはゆきません。丁寧に下ごしらえされた、見るも美しい切り身に、最後の一手間をかけることになります。「焼き」という、簡単そうで奥の深い最後の工程です。食材が持ちうる美味しさが、下ごしらえが、全て水泡に帰するかもしれません。「生」ではないが焼き過ぎない。言うは易く行うは難しとは、このことでしょう。職人としての経験に裏打ちされた「焼の技」が、イサキのさらなる美味しさ引き出すのです。
ランチでは、夏の魚だけに青々とした夏を代表する野菜を添えたいものです。中でも、イサキの下に広げた、ズッキーニを荒く叩くように仕上げたものは、ズッキーニの甘さと心地よい酸味で仕上げたもの。インゲン豆、スナップエンドウ、スティック・ブロッコリーや空心菜がイサキの美味しさを引き立てます。
ISAKI au plat, légumes verts, sucs de cuisson
イサキのソテー 緑野菜
※7月末まで、ランチのプリ・フィックスメニュー主菜として、お選びいただけます。
ディナーでは、日本のイサキとヨーロッパのアーティチョークが、東京のBenoitで出会います。アーティチョークの独特のほろ苦さを生かしたコンディモンの上に、プリっとイサキが鎮座します。そして、添える野菜の中には、アーティチョークの「うてな」が加わる。食感と、夏の旨みの違いが食欲を誘(いざな)う。ヨーロッパの人にとって、アーティチョークを食せずして夏は終われないのです。
ISAKI au plat, artichauts en barigoule
イサキのソテー アーティチョークと野菜のバリグール
※7月末まで、ディナーのプリ・フィックスメニュー主菜として、お選びいただけます。
≪「Aile de Raie」とは「エイの翼」のこと。Benoitへ飛んできた?≫
フランス語で「aile(エル)」とは、翼や羽根のことを意味し、決して「ail(アイユ)」のニンニクではありません。「Aile de Raie」とは「エイの翼」という意味になります。エイの仲間は、海底に佇(たたず)んでいるか、エサを求めて砂地を徘徊していることが多いものです。しかし、たまには羽を伸ばしたくなる時もあるのでしょう、大海原を悠々泳ぐこともあるのです。その姿は、まるで海の中を両翼を広げるように飛んでいるかのよう。なんという的を射たような表現なのか。
我々には「エイヒレ」という名前の方が分かりやすいかと思います。北海道や青森県のあたりでは、「かすべ」という名で親しまれています。「アカエイ」という種だけに、我々が想像する薄平べったい姿をしているため、焼くというよりも、煮付けにすることが多いようです。乾燥させて焙って食べたりする「エイヒレ」は、酒の肴(さかな)として馴染み深い逸品ではないでしょうか。
今回は、フランスの北西に位置しているブルターニュ地方から「ガンギエイ」ばがBenoitに届いています。このエイは、アカエイと違い、両翼が短いために肉厚なのが特徴です日本にもいるのですが、海流激しいドーバー海峡で、もまれにもまれたいるからこそ肉厚な逸品です。
「エイヒレ」は、白身ではあるのですが、弾力のある肉質に加え、少しぷるっとしているのが特徴でしょう。エイに関していえば、長く広いエンガワのようなものであり、ヒレを支える軟骨もコリコリと口中を楽しませてくれます。
エイヒレを、たっぷりのバターを使って香ばしく焼き上げます。そこへ、レモン、ケッパーとクルトンを加え、心地良い酸味と旨味の加わったバターを、エイへかけ戻しながら仕上げをしてゆきます。ふつふつと泡立つバターと、そこにほのかに香る心地良い酸味は、そばにいるだけで食欲を搔き立てます。エイの姿からは想像もできないほど美味であり、フランスではビストロ料理の定番。そして、この調理方法以外を、自分は知りません。
Aile de RAIE à la grenobloise, épinards juste tombés
(追加料金 ランチ+1,200円 ディナー+800円)
※7月末まで、ランチ・ディナーのプリ・フィックスメニュー主菜として、お選びいただけます。
≪松坂牛ならぬ松坂ポークがランチに姿を見せてました。≫
このキレイに入る脂のサシが、豚肉の美味しさを物語っているでしょう。良く焼けば固くなる、生では食べることができないという、難しい食材でもあります。これを、表面を焼き、温かい小部屋で休ませることで、じっくりと固くならないように中まで焼き上げる。こだわりの焼きを生かすために考えられたこの厚さ、これもまた重要なポイントです。
程よい食感がありながら、しっとりとした肉質は、この豚肉の美味しさを十分にお楽しみいただけるはず。さらに、荒くカットした黒と緑のオリーブ、ピクルスとクルミが、豚肉の美味しさを引き立てるかのようです。
Longe de COCHON cuisinée en cocotte, pommes de terre nouvelles, lard et cébettes
豚ロース肉のソテー 新ジャガイモとワケギ
※7月末まで、ランチのプリ・フィックスメニュー主菜として、お選びいただけます。
≪仔牛が新たな姿でディナーに再登場です。≫
たっぷりのバターが、熱せられたココットの中で溶けてゆく。そして、ふつふつと泡立ち、甘い香りを放つようになる時、バター液面の淵が焼き色を帯びてくる。仔牛の肉は、焼くことで美味しさを引き出すも、どうして逃げてしまうものもあります。その美味しさを含んだバターを、何度も何度も繰り返しかけ戻すようにする。
Beigeのシェフ小島が、まだBenoitのシェフに就いていた頃、「美味しさを戻してあげる」のだと語っていたのを思い出す。仕上げのタイミングを計りながら、ゆっくりと焼いてゆく。単調な作業ながら、これがいかに重要な工程であるかは、担当スタッフの眼差しの厳しさに表れています。
この断面の美しい色が美味しさを物語っているでしょう。豚肉もそうでしたが、仔牛のような白っぽいの肉料理には、オリーブの旨味と塩加減がよく合うものです。細かくカットした黒と緑のオリーブが美味しさを引き立てます。
Longe de VEAU cuisinée en cocotte, pommes de terre nouvelles et cébettes
仔牛ロース肉のオーブン焼き 新ジャガイモとワケギ
※7月末まで、ディナーのプリ・フィックスメニュー主菜として、お選びいただけます。
≪7月「桃デザート」中止のお知らせ≫
毎年のように皆様にお楽しみいただいてきた「桃の季節」の到来です。昨年は、7月和歌山県の豊田屋さんの白桃を使い、「ピーチ・メルバ」というデザートに仕上げておりました。しかし、今期はこのデザートのご用意が適(かな)いません。豊田屋さんの桃の不作ではなく、Benoitの事情によるものです。毎年、不動の地位を確立していたデザートだけに、待望されていた方も多いことと思います。ご期待にお応えできなかったこと、深く深くお詫び申し上げます。
姿を変えた桃のデザートを模索しておりますが、いまだ明確なことは分かってはおりません。日本の夏を彩る美味なる果実なだけに、今期このまま断念することもできません。なんとしてでも、皆様に「Benoit桃デザート」をご案内できるよう、最善を尽くさせていただきます。
≪酒類のテイクアウトがはじまりました。≫
政府による飲食店救済の施策として、「期間限定での酒販免許」が公布されました。願ったり叶ったりとはこのことなのでしょう、テイクアウトの品目に、Benoitシェフ・ソムリエ永田が厳選したワインが仲間入りいたしました!中でも、以下の2つのスパークリングワインは、他では購入不可能な逸品です。
NV Champagne Selection alain ducasse 10,000円(税込)
NV Crémant de Bourgogne cuvée Agnès Vitteaut-Alberti 6,800円(税込)
どれほどお勧めのワインであるかは、以下よりブログを参照ください。
目に見えないウイルスに対し、医療従事者の皆様は身の危険を顧みず最前線で奮闘してくださっております。新薬開発に向け、寝る間も惜しんで研究を重ねている方々がいらっしゃいます。物流を途絶えないように、そして生活必需品を滞りなく取り揃え我々に提供してくださる方々がいらっしゃいます。彼ら皆様を支えてくださっている保育園や学童、役場など、多くの方々がいらっしゃいます。
今までの日々の生活が、知らない方々の尽力の上で成り立っていることに気付かされます。この場をお借りし、深く深く御礼申し上げます。Benoitは、営業時間延長を決定いたしました。これまでの皆様の努力を胸に刻み、細心の注意をもって、日々最善を尽くすことをお約束いたします。
「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、笑いながらお会いできることを楽しみにしております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より切にお祈り申し上げます。
ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬