kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

「惜夏特別プラン」と「平日限定≪7月個室プラン≫」のご案内です。

 日頃より並々ならぬご愛顧を賜っている上に、自分よりご案内している長文レポートに目を通していただけている皆様の労に報いるため、前回ご案内しました≪初夏特別プラン≫の名称を、≪惜夏特別プラン≫へと季節に合わせて名前を変更させていただきます。

 内容が変わらないため、どうでもよい変更ではありますが、期間を延長させていただきます。期間は、メールを受け取っていただいた日より、20208月末まで。ご予約は、自分へのメールをご利用ください。土日や急ぎの場合には、以下のBenoitメールアドレスより、もちろん電話でもご予約は快く承ります。

www.benoit-tokyo.com

ランチ

前菜+メインディッシュ+デザート

3,800円→3,530円(税サ別)

ランチ

前菜x2+メインディッシュ+デザート

4,800円→4,460円(税サ別)

ディナー

前菜+メインディッシュ+デザート

6,100円→5,680円(税サ別)

ディナー

前菜x2+メインディッシュ+デザート

7,100円→6,600円(税サ別)

 プリ・フィックスメニューの料理内容は、当日にメニューをご覧いただきながらお選びいただきます。ご希望人数が8名様以上の場合は、ご相談させてください。

  

 Benoitの一角に個室のようなスペースがございます。通常は5つほどテーブルを配置して営業を行っているため、すでにご存じの方も多いのではないでしょうか。昨今の新型コロナウイルス災禍により、人の集まる飲食の場を避けている方々もいらっしゃるかと思います。しかし、外食という「ひととき」は、日常の生活の中で欠かすことのできないもの。皆様も、自粛生活の中で切望したもののひとつではないでしょうか。

 しかし、そう易々と大人数が集まることを、今は許しません。そこで、このBenoitの個室を、少人数でご利用しませんかとのお誘いをさせていただきます。ビジネスでの会食や、知りうる仲間で、もちろんご家族で。20名様ほどまで一室に入ることができますが、ここを8名様前後で、ゆったりとお楽しみいただきたいのです。4名様以上からご予約を承ります。

 そこで、今回皆様にご提案させていただくのが、≪平日限定「7月個室プラン」≫です。7月と銘打った理由は、自分がシェフと相談し、皆様にお勧めしたいコース内容を組立てさせていただきたいのです。そのため、このプランは8月以降も継続しようと思いますが、料理内容は変更になります。 

平日限定個室プラン

前菜+メインディッシュx2+デザート ワイン3種

12,000円(税サ込)

f:id:kitahira:20200708100614j:plain

※個室はBenoitに一つしかございません。ご希望の際は、早めにご予約いただけると幸いです。ご予約は、自分へのメールをご利用ください。急ぎの場合には、以下のBenoitメールアドレスより、もちろん電話でもご予約は快く承ります。

www.benoit-tokyo.com

 

 7月に皆様に提案したい料理を簡単にご紹介させていただきます。当夜には、どれほど美味しく、それほどこだわりがあるのかは、自分が皆様のお食事が始まる前に、大いに語らせていただきます。自分の語学力の問題から、日本語限定であることお許しください。

 

プロヴァンス地方の夏を代表する料理「ラタトゥイユ」が前菜です。≫

f:id:kitahira:20200619153000j:plain

 夏野菜を代表するナス、ズッキーニ、パプリカをトマトで煮込んでいったプロヴァンス伝統料理です。家でも作りやすい料理だからこそ、Benoitらしい「こだわり」を随所に加えてゆきます。

 ナス、ズッキーニ、パプリカとタマネギは、それぞれを絶妙な食感を残すように焼いてゆき、香ばしさと内包する野菜本来の旨味を引き出します。それらの夏野菜と、完熟まで収穫を待った真っ赤なパンパンのトマトが、大鍋で一堂に会する。くたくたと煮込むことは、それぞれの野菜の甘さ凝縮させることになり、甘みが増します。さらに、冷ますことで、味わいが落ち着き、野菜のコクが際立ちます。松の実を加えることで、カリっと心地良い食感と、夏なのでナッツの香ばしさを。ともに盛り付ける半熟卵の、とろりとくる黄身との相性も抜群です。

 良く知っている料理だからこそ、Benoitのラタトゥイユの美味しさを感じ入っていただけるのではないでしょうか。この美味しさに酔いしれた時、宵(よい)のBenoit窓越しから、月夜に照らされた地中海を望むことができるやもしれません。

 パリの赤ペン先生がフランス語表記を修正してきました。「légumes d’été (夏野菜)」から「légumes du soleil (太陽の野菜)」へと。なかなか粋な表現だと思いませんか?

f:id:kitahira:20200619153128j:plain

Ratatouille de légumes du soleil, œuf mollet

夏野菜の冷たいラタトゥイユと半熟卵

 

≪魚料理のイサキが夏の到来を教えてくれます。≫

f:id:kitahira:20200619153101j:plain

 夏の訪れを教えにBenoitにやってきた「イサキ」。このパンパンの体系が、旬の美味しさであることを教えてくれているようです。魚の鮮度は目の澄み具合で推し量るといいますが、イサキ鮮度に関係なく目が白濁するといいます。

 Benoitだけに、お刺身で楽しむわけにはゆきません。丁寧に下ごしらえされた、見るも美しい切り身に、最後の一手間をかけることになります。「焼き」という、簡単そうで奥の深い最後の工程です。食材が持ちうる美味しさが、下ごしらえが、全て水泡に帰するかもしれません。「生」ではないが焼き過ぎない。言うは易く行うは難しとは、このことでしょう。職人としての経験に裏打ちされた「焼の技」が、イサキのさらなる美味しさ引き出すのです。

 夏の魚だけに青々とした夏を代表する野菜を添えたいものです。中でも、イサキの下に広げた、ズッキーニを荒く叩くように仕上げたものは、ズッキーニの甘さと心地よい酸味で仕上げたもの。インゲン豆、スナップエンドウ、スティック・ブロッコリー空心菜がイサキの美味しさを引き立てます。

f:id:kitahira:20200619153105j:plain

ISAKI au plat, légumes verts, sucs de cuisson

イサキのソテー 緑野菜

 

≪肉料理は、松坂牛ならぬ松坂ポークです。≫

f:id:kitahira:20200619152954j:plain

 このキレイに入る脂のサシが、豚肉の美味しさを物語っているでしょう。良く焼けば固くなる、生では食べることができないという、難しい食材でもあります。これを、表面を焼き、温かい小部屋で休ませることで、じっくりと固くならないように中まで焼き上げる。こだわりの焼きを生かすために考えられたこの厚さ、これもまた重要なポイントです。

 程よい食感がありながら、しっとりとした肉質は、この豚肉の美味しさを十分にお楽しみいただけるはず。さらに、荒くカットした黒と緑のオリーブ、ピクルスとクルミが、豚肉の美味しさを引き立てるかのようです。

f:id:kitahira:20200619152958j:plain

Longe de COCHON cuisinée en cocotte, pommes de terre nouvelles, lard et cébettes

豚ロース肉のソテー 新ジャガイモとワケギ

 

香川県ひうらの里の「すもも」が最後を飾ります。≫

f:id:kitahira:20200708102952j:plain

 スモモの特徴でもある酸味を利用し、バニラの風味豊かな熱々のデザート「クラフティ」というスタイルに仕上げていきます。クラフティは、甘酸っぱいグリオットチェリーやルバーブで仕上げることの多いフランス伝統のデザートです。これを、同じく酸味が特徴のスモモで、ましてや飯田桃園さんの逸品であれば、美味しくないわけがありません。

 熱々に焼き上げることで、スモモの酸味がまろやかになり甘さが引き立てられます。この甘酸っぱさが、バニラと卵の甘さとの抜群の相性で我々を魅了し、さらに牛乳アイスクリームと合わせようものならば、我々を「口福な食時」へと誘(いざな)うでしょう。

 昨年に引き続き、香川県の飯田桃園さんから直送されてくる「すもも」は、完熟での収穫だからこその美味しさがあります。今は「大石早生」が届いておりますが、「フランコ」「ソルダム」そして「太陽」と順に品種が変わってゆきます。

f:id:kitahira:20200708102942j:plain

Clafoutis aux PRUNES

香川県“ひうらの里のすもも”のクラフティ

 

 上記の内容が、7月のお勧めのコース料理です。なかなか充実した内容ではないでしょうか。しかし、この選定は大いに自分を悩ませました。他にも魅力的なものが多いのです。皆様同じメニューになりますが、内容の変更も可能です。後半は追加料金が必要ですが、ご検討いただけると幸いです。

 

≪夏の暑さを払拭してくれる、爽やかな「ギリシャ風」前菜です。≫

f:id:kitahira:20200619153138j:plain

 マダイは、表面を炙るようにすることで、香ばしさを加え旨味を引き出します。しかし、この前菜は、マダイを凌駕する野菜の美味しさが際立っているのです。セロリ、ニンジン、タマネギ、カリフラワー、それにラディッシュ。レモンにコリアンダーの種を使い、絶妙な火加減で調理してゆき冷蔵庫で休ませます。コリアンダーパクチーのことで、苦手の方の多い香草かと思います。しかし、このコリアンダーの種は、うんともすんともいわない味気ない食材。ところが、野菜とともに熱を加えることで、野菜本来の甘さを引き出すのです。

 野菜それぞれの食感がリズミカルに口中に響き、野菜それぞれが甘さ旨さの旋律を奏でます。さらに、グレープフルーツの甘ほろ苦さ、マダイの美味しさが一加わることで、皆様を「口福な食時」へと誘(いざな)います。Benoitの窓越しから、エーゲ海を望めるかもしれません。

f:id:kitahira:20200619153141j:plain

DORADE marinée, légumes à la grecque

真鯛と野菜のマリネ ギリシャ

 

≪フランス料理といえば、「鴨胸肉」を忘れてはいけません。≫

 フランスから届いた鴨胸肉は、皮目に隠し包丁を入れるようにし、余計な脂を落とすようにゆっくりと焼き上げます。そして、温かい小部屋で休ませることで、この焼色を実現させるのです。鴨らしい食感と味わい、日本では鴨が葱を背負って来るのですが、Benoitはオレンジがおともをします。ソースに混ぜるのではなく、添えるように。オレンジの果肉ばかりでなく、表皮も使うことで、柑橘特有のほろ苦さを生かすように仕上げたマルムラードとの相性は抜群です。

f:id:kitahira:20200708102949j:plain

CANARD à l'orange, fenouil fondant

フランス産鴨胸肉のロースト ウイキョウとオレンジ

 

≪少し贅沢にコースを組み立ててみてはませんか?≫

Benoitのメニューの中で、欠かすことのできない3つの料理のご紹介です。

鴨のフォアグラ、塩、鴨の脂、この3つの素材を使い、3週間という時の長さを必要とする、アラン・デュカスのスペシャリテでもある至高の逸品です

f:id:kitahira:20200619153135j:plain

FOIE GRAS de canard confit, pain de campagne toasté

フォアグラのコンフィ パン・ド・カンパーニュのトースト

(追加料金 +1,500円税サ込)

 

 フランス料理の中で、オマールエビ甲殻類の中でも群を抜いて人気の食材です。このコクのある味わいとぷりぷりの食感は、オマールエビから煮出すように仕上げた、エビの旨味が凝縮したかのようなソースとお楽しみください。

f:id:kitahira:20200708102940j:plain

HOMARD aux navets, bisque légère

オマールエビとカブ 甲殻類ソース

(追加料金 +1,500円税サ込)

 

 Benoitのメニューでは、不動の地位を得ている赤城牛ランプステーキです。丁寧なトリミングで筋を除き、ゆっくり時間をかけて焼き上げることで、職人技が光る一品です。牛肉の赤身の美味しさをご堪能ください。

f:id:kitahira:20200708102945j:plain

RUMSTEAK de bœuf aux poivres, grosses frites et cœur de sucrine

群馬県産“赤城牛のランプ”のポワレ 胡椒風味 自家製フレンチフライ

(追加料金 +2,000円税サ込)

 

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。皆様にお召し上がりいただきたい料理を羅列させていただきました。まだまだ言葉足らずなところがございます。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなく自分へのメールをご利用ください。土日や急ぎの場合には、以下のBenoitメールアドレスより、もちろん電話でもご予約は快く承ります。

www.benoit-tokyo.com

 

 目に見えないウイルスに対し、医療従事者の皆様は身の危険を顧みず最前線で奮闘してくださっております。新薬開発に向け、寝る間も惜しんで研究を重ねている方々がいらっしゃいます。物流を途絶えないように、そして生活必需品を滞りなく取り揃え我々に提供してくださる方々がいらっしゃいます。彼ら皆様を支えてくださっている保育園や学童、役場など、多くの方々がいらっしゃいます。

 今までの日々の生活が、知らない方々の尽力の上で成り立っていることに気付かされます。この場をお借りし、深く深く御礼申し上げます。Benoitスタッフ一同、これまでの皆様の努力を胸に刻み、細心の注意をもって、日々最善を尽くすことをお約束いたします。

 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、笑いながらお会いできることを楽しみにしております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より切にお祈り申し上げます。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com