kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2022年4月5月Benoit ≪花より団子特別プラン≫と≪限定シャンパーニュ≫さらに≪お勧め料理≫のご案内です。

 3月中旬ごろだったでしょうか、神奈川県に住んでいらっしゃる方からメールをいただきました。ご予約希望の文面の中に、このような一文が、「先週末くらいから、まだ遠慮がちですが鶯(うぐいす)が鳴いてます。」と。

 

谷の戸を あけてやきつる 鶯の まだ里なれぬ 今朝のはつこゑ  西園寺実材母(さぬきのはは)

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 山間(やまあい)の谷に戸を締めたかのように身を潜めるウグイスが、春の風なのか、花の香りなのか、春の息吹に誘われるかのように人里を訪れる、古人はそう考えていました。しかし、西園寺実材母は違うのですよという。ウグイスは自ら時季を見定め、谷の戸を開けて山を下りてきたのです。そして、まだ人里に馴れていないのでしょう、声音に「ためらい」や「たどたどしさ」を感じる今朝の初声でしたよ。

 ウグイスは、早春に人里でこの鳴きの練習をし、春の深まりとともに山へ向かって巣作りを行うという。都内では、皆無ともいえるウグイスの声。「ホーホケキョ」は、オスがメスへの求愛の声掛けであり、後の縄張りのアピールなのだといいます。山で耳にするホーホケキョは、自分の縄張りを伝えている声だという。しかし、その声音に色気を感じたら、そのウグイスはまだつがいを探しているということなのでしょうかね…あ!

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 ウグイスではないわよ、わたしはメジロよ!

 

 気付けば、花(ソメイヨシノ)が笑う季節の到来です。桜の花を愛でに足を運ぶも、小腹が空いたことを口実に、ついつい甘味処に立ち寄ってしまう。そのような時に、口からでてしまう…

花より団子

 花見では空腹は満たせず、落ち着かないばかりか苛立ちさえ覚えてしまうもの。やはり、腹ごしらえをしたうえで、こころ穏やかに花を鑑賞したいものです。この気持ちを、相手にユーモアとともに伝えることのできる、なんと素晴らしいフレーズでしょうかす。さらに7文字という字数が、歯切れよく心地よく響く理由なのでしょう。

ところが、このフレーズはもともと違ったいいまわしでした…意外な歴史がありました。

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 時は今を遡ること1300年、天武天皇により発願された平城遷都、710年頃の奈良時代のこと。当時に建立された奈良仏教を代表する法相宗大本山、「薬師寺」が舞台です。今では世界遺産となり、修学旅行や観光で訪れたことがあるのではないでしょうか。ここは、よく我々がお世話になるお寺さんとは違い、お葬式などを行うところではなく、学ぶところ。言いかえれば法相宗の教義を学ぶところです。

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 3月の末に、この大寺が国家繁栄、五穀豊穣と万民豊楽を願い、執り行われる春の行事が「花会式(はなえしき)」です。この約1週間の法要では、薬師如来、日光・月光両菩薩の前に、季節をつかさどる10種の和紙で作られた造花とお餅が備えられます。このお餅のことを、「檀供(だんぐ)」と呼びます。そして、この法要後、「花わけ」として、和紙の花と檀供をご協力いただいた方々に贈られます。

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 当時は仏教が国教化したこともあり、仏様のありがたさを常々説かれていたはずです。美しく織り込まれた和紙の造花は貴重で、誰しもが是が非でもと欲していたはずだ…と思うのは、豊かな時代に生きる我々の見解です。稲作によって、多くの人を養うことが可能になったとはいえ、奈良時代はそんなに食が豊かではありません。当時の多くの人々の気持ちは、造花よりお餅をいただきたかったはずです。

花より檀供(だんぐ)

 このフレーズを10回も繰り返し口に出してみると…いったい誰がいつごろに言い出したのでしょうか…「花より団子」の誕生です。そこで、Benoitより「花より団子」のご案内です。

 

花より団子特別プランのご案内です。

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 草木の花々は移りゆく季節の機微を捉え、順を追って咲き誇るもいずれは散りゆきます。食材も同じように「旬」という期間は限られたものであり、「待つ」という優しさはありません。そこで、全ての旬食材は無理でも、Benoitに少しだけ顔を向けてくれた食材で、「口福な食時」のひとときをお過ごしいただきたく、「花より団子特別プラン」と銘打って、皆様にご紹介させていただきます。そう、団子も良いですが、Benoitの美味しい料理をお楽しみください!

 

花より団子特別プラン

期間:土日を含めた2022430()まで

ランチ: 前菜x2+メインディッシュ+デザート

6,000円→5,000円(税込/サービス料別)

ディナー: 前菜x2+メインディッシュ+デザート

8,600円→6,800円(税込/サービス料別)

 

 迅速に皆様のご希望にお応えできるよう、専用の予約サイト開設いたしました。以下のURLよりご利用ください。ご希望日のご予約が取れない場合でも、まだお席が残っている可能性もございます。その時は、何気兼ねなく自分へ返信、もしくBenoitへご連絡(03-6419-4181)ください。ご要望や質問なども、喜んで承ります。

 

ランチのご予約はこちらから

https://www.tablecheck.com/shops/benoit-tokyo/reserve?menu_items=6237d2f1a6b861002577fba4

ディナーのご予約はこちらから

https://www.tablecheck.com/shops/benoit-tokyo/reserve?menu_items=6237d297bd7775002a5834fe

 

≪知る人ぞ知る、プライベートシャンパーニュselection alain ducasse」が眠りから覚めます!≫

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 「プライベートシャンパーニュ」というと、既存のシャンパーニュにエチケットだけオリジナルのものを貼り付けたものをいいます。そう、中身はシャンパーニュを醸しているメゾンの既存品なのです。ところが、この「Champagne selection alain ducasse」は違うのです。記憶が定かでないほど時を遡った頃、このシャンパーニュの話を聞いた時、我が耳を疑ったのを鮮明に覚えています。

 「アラン・デュカスグループ専用にブレンドされ、醸造されたシャンパーニュであること。

 シャンパーニュ造りは、ブドウ品種ごとにワインを醸し、年代(ヴィンテージ)違いも含め、ブレンドして瓶詰めしていきます。これに、ドサージュという甘いシロップを加え2回目の発酵に入ります。この2回目の発酵が、魅惑の泡を生み出し、最低3年瓶の中で熟成させることで、ガスがワインに溶け込むのです。そう、シャンパーニュには、最低でも4年の歳月が必要です。

 各シャンパンメゾンは、自分達の威信にかけてスタンダードのシャンパーニュを醸します。ある醸造責任者のコメントが忘れられません。「ヴィンテージシャンパーニュは、ブドウの出来が良かったときのみ醸せばよい。しかし、スタンダードのラインナップは、どんな年でも最高品質で醸さねばならない。これが一番苦労する。」と。これは、シャンパーニュに限ったことではありません。日本酒でも、本醸造が美味しくなければ、その蔵元の吟醸酒は購入しないでしょう。杜氏が一番気をもみ神経をとがらせるのが、スタンダードの「本醸造」です。お手頃の価格で、その蔵元の威信にかけて美味しさを醸さねばならないのです。

 プライベートシャンパーニュとはいえ、仕上がったワインの美味しさ如何では、自らの評価を落とす危険すらあります。さらに、アラン・デュカスに「妥協」という文字はなく、彼のイメージするシャンパーニュを仕上げなければならないという使命もある。危険と使命の間(はざま)で大いに悩んだであろうことは想像に難くはありません。それでも果敢に取り組み、この「Champagne selection alain ducasse」を世に送り出したのです。この大役を担ったのが、大手シャンパーニュメゾンの「LANSON」です。

 美味しかった…そう「た」という過去形です。今から3年ほども前のことでしょうか、このシャンパーニュ醸造中止の通達がきたのです。そこから1年もたたないうちに国内在庫が底をつき、幻のワインとなったのです。今では、世界のアラン・デュカスグループのレストランに問い合わせても、どこにもこのシャンパーニュはありません…一店舗を除いては…そう、Benoit東京のワインセラー奥底に少しだけ眠っているのです。

 4月、日本人には節目となるこの月を迎えたこともあり、この最後のストックを皆様に開放いたします。Benoit東京の隠し在庫は、6本のみ。そこで、2022年4月にBenoitへお運びいただける方で、ご希望の方を募らせていただきます。グループ統括ソムリエのジェラール・マルジョン監修で、アラン・デュカスが認めたプライベートシャンパーニュです。全世界のグループレストランでオンリストされていました。いったいどれほどの美味しさなのか?さあ、最後の機会です!

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NV Champagne selection alain ducasse

14,000(税込サービス料別)

※特別なシャンパーニュのため、Benoit東京のストックは6本です。そのため、1グループで1本とさせていただきます。ご希望の方は、ご予約日を決める前に、まずはこのメールへの返信をお願いいたします。シャンパーニュを確保したうえで、改めて4月のご予約日をお決めいただけると幸いです。このシャンパーニュに関しては、ワインの日での割引対象外となることをご了承ください。

 

≪季節のお話 「春の気色は きのふの日かげ けふの春雨」≫

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 春は「三寒四温」といわれているように、3日間の寒い日の後は、4日間の暖かい日が続き、この周期を繰り返しながら、日を追うごとに春本番へと移りゆく。今回は伏見院の歌とともに、「春の雨」と「春雨」の違い、さらに3月3日は桃の節句ということもあり、この桃の開花時期もご紹介させていただきます。さて、桃の花は桜の前に咲くのか後に咲くのでしょうか?

kitahira.hatenablog.com

 

45月のシェフお勧め料理は「エイヒレのムニエル」です!≫

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フランスのビストロ料理として欠かせない「エイヒレのムニエル」。我々日本人には馴染みのない食材である「エイ」、それがグルノーブルという調理スタイルで仕上げた逸品は、美味しいからなのでしょう、今なお多くの人々に愛され続けられている料理です。では、どのような料理なのでしょうか?

kitahira.hatenablog.com

 

グルノーブルとは何?なぜエイヒレなの?

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 フランスのビストロ料理として欠かせない「エイヒレのムニエル」とは前述しました。そもそも、グルノーブルとは何を意味しているのでしょう。そして、どうしてエイなのでしょう。皆様、気になりませんか?

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≪エイヒレと「瀬戸内レモン」がBenoitで出会います!≫

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 グルノーブルという料理スタイルに欠かすことのできない食材が、「レモン」です。Benoitでは瀬戸内レモンの旬に合わせ、「瀬戸内レモンのタルト」をご用意していましたが、3月末をもって終わりを迎えました。今は、エイヒレの料理に登場です。岩﨑農園のレモン無くして、この料理の美味しさはありえません。

 今回は、この岩﨑農園のご紹介です。Benoitとの出会いも書いております。皆様の中には、自分が全国を訪問して特選食材を探してるのだとお思いの方も多いかと思います。しかし、そうではないのです!出会うべくして出会うのです!

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Benoitで共に働いてくれる仲間を探しています。

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 Benoitは、ウイルス対策を継続しつつですが、賑やかなビストロらしい活気を取り戻すべく、スタッフの増員をすることにいたしました。皆様のお知り合いの中で、飲食の仕事にご興味のある方がいらっしゃったら、ご紹介いただけないでしょうか。ごの場でお願いすることではないことは重々承知しております。ご理解いただきますこと、なにとぞよろしくお願いいたします。

 

北平のBenoit不在の日

 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない4月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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 過ごしやすい日々ではありますが、まだ「三寒四温」と表現される時期です。寒暖の差は、知らず知らずのうちに体力を奪ってゆくもの、油断はなりません。疲労・ストレスなどが原因で免疫力が下がっている時に、乾燥が加わると、コロナウイルスばかりではなく、風邪やインフルエンザにも注意が必要です。さらに、肌荒れやかゆみの原因にもなり、体感温度も下がります。健康のためにも、美容のためにも、程よい湿気お忘れなきように。そして、心の潤いも保ちながら快適にお過ごしください。

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 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com