kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2021年9月 Benoit「エイとグルノーブルとの出会い」を考えてみました。

Aile de RAIE à la grenobloise, épinards juste tombés

フランス産エイヒレのムニエル グルノーブル ほうれん草

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 2021年8月9月と月をまたぎ、ランチ・ディナーともにプリ・フィックスメニューの「シェフのお勧め」の枠内に名を連ねるメインディッシュです。日本では馴染みのない食材であるエイヒレを使い、グルノーブルというスタイルの調理方法で仕上げる、このフランスの伝統料理は、いまでもビストロの定番料理としてゆるぎない地位を獲得しています。バターに、ケッパーとレモン、そしてクルトンを加えるこの調理方法は、今もそのレシピは変わらず、好みによって分量が変わる程度のものといいます。ところで、この「グルノーブル」とは何を意味している言葉なのでしょうか。

 

 Grenoble(グルノーブル※以下、地名はアルファベット表記、料理名はカタカナ表記とさせていただきます。)は、フランス南東部に位置している都市で、Isére県の県庁所在地です。1968年の冬季オリンピック開催地としてご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。ドラック川とイゼール川が街中を流れ、車で30分も走ったところには、3000m級の山々が峰を連ねるアルプス山脈が聳(そび)える、まさに風光明媚な景観とはここのことかと思ってしまうほどの美しさです。パリからTGVで約3時間、リヨンからは電車で約90分と大都市からのアクセスも良好ということもあり、夏の登山や、冬のウィンタースポーツを楽しむ観光客の玄関口となっているようです。

 2016年、フランスの地域圏(région)の再編が行われ、Grenobleのあるイゼール県は、オーベルニュ・ローヌ・アルプ地域圏という大きな枠に組み込まれています。それ以前は、ローヌ河の東側から国境となっているアルプス山脈までの地、ローヌ・アルプ地域圏でした。経済ではなく、地理として考えると、旧地域圏はその特色が現れており理解しやすいものです。

 アルプス山脈の麓(ふもと)は、緩やかな傾斜をもつ裾野(すその)が広がっており、昔から酪農が盛んだったようです。牛乳そのままでは日持ちがしないため、いかに栄養価を維持しながら保存性を上げるか。この地の人々が生き抜く上での英知の結晶が、トム・ド・サヴォアやグリュイエールなどの「山のチーズ」です。その名声は、今も色褪(いろあ)せることはありません。

 この「山のチーズ」の原料は牛乳です。山羊や羊も飼育しているとは思いますが、牛に比べて飼育頭数は微々たるものであり、ミルクの量も及びません。この豊富な牛乳からは、チーズばかりではなくバターも作られていたはずです。その地の特産が伝統的な地方料理に反映されます。石がごろごろしている地が多いために牛の飼育が難儀なプロヴァンス地方が、オリーブオイルを多用します。その北に面するGrenobleでは、平面上の地図ではお隣でありながら、容易に手に入るバターが、日々の食事の中で欠かせない食材になっていたと思うのです。もちろん、オリーブなど栽培できる環境ではありません。

 

 すでにお気づきかと思いますが、Grenobleは山岳都市。およそ海産物とは無縁なほどに地中海からは距離があります。そのため、魚料理といえばマス(truite)やヨーロッパイワナ(omble de chavalier)などの川魚を使ったものばかりであるということは、想像に難くはありません。淡水魚は、淡白な白身なだけに、バターで調理したほうが旨味とコクが加わり美味しいものです。

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 ふつふつと泡立つバターの中で、小麦粉をまぶした魚を焼き上げる調理方法は「ムニエル」といい、フランスでは一般的な調理方法です。牛の飼育が盛んな地であれば、潤沢にあるバターを使ったムニエルに、さらにアレンジされたスタイルが確立され、伝統料理として今もその名を残しています。その一つが、今回の「グルノーブル」。ムニエルした後に、レモンとケッパー、そしてクルトンを加えたものです。

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 ふっと疑問が頭をもたげる。料理名にグルノーブルと名前が入る以上、Grenobleが発祥の地であると考えても良いと思います。地方の伝統料理には、その地の特産が使われるからこそ、連綿と引き継がれてきた。そう考えると、Grenobleは山岳地域なので、日本でも西日本でしか栽培の適わないレモンや、地中海沿岸が主産地であるケッパーは、栽培することが不可能な食材です。

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 さらに、Grenobleから地中海へは南へ進めば一番近いとはいえ、直線距離でもほぼ180kmはある。しかし、南と東は峻嶮なる峰々が聳(そび)えているため、南の山塊を迂回するような道のりは、とても海から近いとは言い難いもの。エイヒレはGrenoble(街名)でグルノーブル(料理名)に出会ったのでしょうか?

 

 ここからの話は、自分の推論です。調べていった中で自分が納得のいくストーリーを書かせていただきます。あながち間違ってはいない気もするのですが、はっきりとした確証があるわけでもありません。フランス料理店に勤務している一スタッフの「ひとりごと」として、読んでいただければ幸いです。

 

 人々が集うことで村ができ、村どうしを繋ぐ道が作られ、その道によって人々が行き交うようになると、要所要所に町が形成されるようになります。村にしろ町にしろ、その地が受け入れることのできる人数の規模でしか発達しないものです。では、その地が受け入れることのできる人数制限は、何で決まるのか。以下の3点だと考えます。

  • 水の確保
  • 居住地の広さ
  • 人々を養う食料を得るための耕作地

 生きとし生けるものにとって必要不可欠のものが①であり、飲料水はもちろん、生活用水としても欠かせません。湧水や清流であれば喜ばしい限りですが、そこまで山奥に行くと、②と③が確保できなくなります。いかに②を確保したところで、人を養うほどの食料を得るための、耕作地を確保しなくては生活を続けることはできません。

 上記を全て満たすとなると、大きな町を造ることができません。そこで、食料を栽培する耕作地を周囲の地に託し、食料として運び込むことで大人数を養うことを考えたのです。これによって都市が誕生しました。都市には、水の道と、周囲から食料などの必要物資を運び込むため道が必要不可欠です。例えば大都市「江戸」には、墨田川に加え、飲用のため神田上水玉川上水という水の道があり、五街道という物資の道が整備されています。

 フランスに目を向けようと思います。以前、フランス本土の形をした型というかパネルというか、ついつい衝動買いしたものを思い出し、引っ張り出してきました。そこには、フランスの県名と県庁所在地の街名が印字されており、街の位置は小さな丸を穿(うが)っています。名立たる地名が並ぶフランス北部の画像が下です。黄色の丸で囲んだ街の名前は、右回りに上から「Rouen(ルーアン)」「Paris(パリ)」「Orléans(オルレアン)」「Blois(ブロワ)」「Tours(トゥール)」「Angers(アンジェ)」と、世界史に街名が登場するほどの主要都市です。

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 この地図の優れたところは、2枚組になっており、この2枚目には、川と標高の違いによって色変えをした山が印刷されているのです。そこで、重ねてみると…分かり難いですが、黄色の丸で囲んだ街名の位置を記した穴が、ものの見事に川に重なるのです。セーヌ川は、「Paris(パリ)」を通り「Rouen(ルーアン)」抜けてドーバー海峡へ。ロワール川は、古城で名立たる街「Orléans(オルレアン)」から「Blois(ブロワ)」へ、そして「Tours(トゥール)」に「Angers(アンジェ)」と通り、大西洋へと注ぎます。

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 では、フランス南西部へ。下の画像の上から時計回りに「Lyon(リヨン)」、「Grenoble(グルノーブル)」、「Avignon(アヴィニョン)」と、黄色の丸で囲みました。一見、何も関係ないように居並ぶ街ですが、川・山が記されている2枚目を重ねてみると…

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 見事にローヌ川と符合します。右上にスイスとの国境をなすレマン湖があり、その先にあるサン・ゴタール山塊に端を発する。山々にぶつかり迂回するように東から流れてくるローヌ川が、北からの支流ソーヌ川と落合う場所が「Lyon」で、そのまま南下して「Avignon(アヴィニョン)」を経由して地中海へと注ぎます。この両都市の中間に位置してるのが「Valence(ヴァランス)」の、少し北側で、ローヌ川は支流イゼール川と落合います。この支流を右往左往と上流へと向かうと、今回のテーマとなっている「Grenoble(グルノーブル)」の町に辿り着きます。ちょうどこの町が、イゼール川とその支流ドラック川が落合う場。

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 世界遺産となっている全長275m、高さ49mの巨大な橋ポン・デュ・ガールは、ガール川を横切るように架かる水道橋です。「Uzès(ウゼス)」という町から、人口が増えていった当時ネマウススと呼ばれた「Nîmes(ニーム)」までの約50kmにも及ぶ水の道の一部。およそ2000年前にローマ人によって作られ、6世紀頃まで実際に使用されていました。Avignonのすぐ左にNîmesの街があります。

 前述したように、人が集い生活を営むにあたり、水の確保がなによりも重要な課題でした。特に、ローマ時代には共同浴場のように、水を潤沢に使用することが何よりも富の象徴でもあったようです。日本のように多雨な気候ではないため、この水資源を確保するための一番の良策は、雄大な大河の脇に街を作り上げることです。清流ではないかもしれませんが、この水資源によって上下水道を備えることを可能にしました。

 そして、山間(やまあい)を抜けた川の流れは緩やかとなり、その川岸には耕作地に適した地が広がります。さらに、川を利用しての水運は、陸上輸送とは比べることのできない物資に輸送を可能としたのです。そのため、川が落合う場所や、人々が集うに適した開けた地に、街が形成されてゆきました。

 Lyon(リヨン)が「食の都」と評されている理由は、ローヌ川の水運を使うことで、海産物と陸産物の交易の地として最適な場所であったからと考えています。この町から北はワイン銘醸地であり、東西には酪農による乳製品や農産物の銘産地、さらに鴨やブレス鶏など家禽類も美味とくる。内陸の地でありながら、Morue(モリュ)という、塩干乾燥タラを使った伝統料理があることは、なによりの証ではないかと思うのです。そして、この交易は海産物に限らず、南フランスの特産品や国外からの輸入品にまで及んだはずです。食材に限らず、Lyonからは、絹織物も旅立って行ったことでしょう。

 全ての商人(あきんど)が、水運の良さに従いLyonへ行ったのでは、相場は下がる一方で大手には敵いません。そこで、野心家は考えた。大きな船では辿り着きにくい支流を上がっていこう、と。イゼール川を遡って進むと、そこにはアルプスのお膝元ともいえる地Grenobleがありました。彼らは、ここで山の幸と海の幸との交易に加え、南フランスの特産品も持ち込んだと考えると、グルノーブルという料理に必要なケッパーやレモンであることも、合点がいくのではないでしょうか。

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 ここから知っているようで知らない「エイ」の話です。

 魚類は、「無顎(むがく)類」と「軟骨魚類」、そして最も繫栄している「硬骨魚類」の3つに大別できます。軟骨魚類とは、体のすべての骨が弾力性のある軟骨でできた魚のことで、約5億4300万年前の古生代カンブリア紀に出現した魚類は、全て軟骨で体を支えていたといいます。その中で、顎(あご)の骨があるものとないものに分化する。無顎類の魚は、その字の如く、顎骨が無いため、丸口で吸いつくように捕食する至極原始的な体の構造をもっています仲間です。ほとんどが絶滅するなかで、ヤツメウナギヌタウナギが今なお生存し続けています。

 顎骨をもつものが軟骨魚類として進化を続ける中で、硬い骨で体を支える魚類が誕生しました。それが硬骨魚類です。その中にあり、我々に馴染みの魚群を真骨魚類と総称されています。日本人にとって、一部の熱帯魚以外で名前を耳にする、スズキやアンコウ、カレイにコイなど、ほぼほぼ全てがここに収まります。

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 しかし、今回のテーマであるエイは軟骨魚類に分類されています。その中でも最も分化され、世界に約450種、日本近海には70種が生息しているといいます。生息域も、沿岸域から深海底まで、さらには熱帯の淡水にまで及ぶのです。エイまで多種に及ばないものの、同じ軟骨魚類の中にサメがあり、このグループで最も繁栄しているのが、この2種です。

 魚類が魚類である所以は、水の中で呼吸するために「鰓(えら)」があること。水または海水は口から取り込みこまれ、鰓を通り、後方にある「鰓孔(えらあな)」から抜けてゆきます。よく見かける硬骨魚類は、体の側面に一対しかありませんが、軟骨魚類は数対をあります。そういえば、サメは両サイドに鰓孔がいくつかあるのが見て取れます。ではエイは?

 左右の両サイドではなく腹面、下側にあります。この違いが、「サメ」と「エイ」を分類する重要なポイントです。図鑑やネットで姿を見てほしいのですが、「サカタザメ」は前の半分がエイのようで、後の半分はサメのような姿をしています。「サメ」と名前がついていますが、エイに分類されます。それと、「カスザメ」は、エイのような姿をしていますが、鰓孔が側面にあるため、サメの仲間です。

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 硬骨魚類にはない軟骨魚類の特徴として、歯が次々に生え代わることと、楯鱗(じゅんりん)と呼ばれる歯と同じ構造をもつ鱗(うろこ)をもつこと、浮き袋がないことが挙げられます。わさびを擦り下ろすために、鮫皮(さめがわ)を使うのも、この楯鱗だからこそ。硬骨魚類では、体内に浮き袋があり、ここに気体を溜めることで体重と同じ程度の浮力を得ることになり、上下左右にと水中を自由に動き回ることができるようになります。この浮き袋がないと、体は沈んでいく一方で常に体を海底から浮かせる力を維持し続けなければなりません。弱肉強食の自然界の厳しさの中、これほど余計な体力を消耗し続けていなくては生き抜けないと思うのですが…

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 そこで、軟骨魚類は生き抜くために体を進化させていった。浮き袋を手に入れることは生態的に無理だったのでしょう。彼らは尿素を身体(からだ)にため込むことで、自然淘汰の荒波を乗り越えてきた。いや、海の中でゆうゆうと潜(くぐ)り抜けてきたというのでしょうか。では、この尿素とは何ぞや?漢字から想像するに、なにやらばっちいものを想像してしまうのですが、動物にとって欠かせないものです。我々馴染みのハンドクリームの成分表をみると…肌の保湿には必要不可欠な成分です。

 人間を含めあらゆる動物は、活動のエネルギーを得るため、そして成長してゆくために代謝(たいしゃ)を行い続けます。タンパク質はα-アミノ酸に分解され体に摂りこま、代謝によって有用な成分と有毒なアンモニアを生成してしまう。このアンモニアは、血液によって肝臓に運ばれ、この臓器のオルニチン回路によって無毒の尿素へと姿を変えます。そして、余分な尿素は腎臓によって尿として体外に排出されるのです。

 魚類にとって、つねに水の中で生活するため、浸透圧調整が必要不可欠な能力です。海水魚の場合、自分の身体よりも海の塩分濃度が濃いため、体内の水分がどんどん抜けていってしまいます。反対に淡水魚は体内の塩分濃度の方が高いため、体内の塩分濃度下げるために水分がどんどん体の中に入ってきます。水棲生物でありながら、淡水魚が海水で、その逆も生きてはいけない理由はここにあります。

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 さあ、軟骨魚類が、この尿素を身体に溜め込む理由が、なんとなく想像がついたのではないでしょうか。決して肌の保湿のためではありません。尿素が海水よりも比重の軽いことを利用し、身体(からだ)に溶け込ますことで、硬骨魚類の浮き袋のように浮力を得ていたのです。さらに、海水と同じくらい濃い体液・濃い血液を作り出すことになり、浸透圧による体内の濃度調節の必要がないのです。硬骨魚類は、変化する体内の塩分濃度を、飲水や尿による塩分の排出によって維持します。軟骨魚類はその必要が無いため、ほとんど水を飲まないといいます。

 サメやエイの軟骨魚類にとっては生きていく上で必要不可欠な尿素が、捕食者である我々にはなかなかの厄介者でした。硬骨魚類は、死後数日も経つと生臭さがでてきます。しかし、サメもエイも美味しい魚でありながら、時間の経過とともに生臭さではなく、鼻をつんざくようなアンモニア臭を発するのです。なぜ?尿素は無味無臭なのに…理由は、微生物がこの尿素を分解してしまい、アンモニアに戻してしまうからでした。

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 サメもエイも鮮度が良いと美味しい魚です。このアンモニア臭は腐っているわけではなく、微生物のいたずらなため、魚自体の美味しさは変わりません。人によっては、このアンモニア臭の香りが美味しさを引き立てると言うのです。しかし、この香りはなかなか万人受けするものではありません。我々がサメやエイを美味しくいただくことを妨げている、一番の理由です。

 

 ところが、先人たちは、この厄介者のアンモニアを利用することを考えたのです。アンモニアのおかげで、軟骨魚類は腐りにくい!冷蔵技術の発達していない時代に、山間(やまあい)の村々で食べることのできる海の幸だったのです。今でも山陰地方の山間部では、「わに肉/わに料理」として名物のひとつになっています。

 お刺身としていただくにも、焼いていただくにも、やはり刺激のあるアンモニア臭が困りものです。「クサヤ」のように、慣れると病みつきになってしまうものかもしません。しかし、この香りが無くなることで、もっと馴染みやすい食材になるというものです。古人は多くのことを試したのでしょう。試行錯誤する中で、ミカンやユズ、そしてカボスのような柑橘に浸すのが効果的だと知ったのです。山陰地方の南側には瀬戸内海があり、まさに柑橘の宝庫。出会うべくして出会ったのでしょう。柑橘に含まれるクエン酸が、アンモニアと反応することで、クエン酸アンモニウムに変わり、臭みがなくなるのです。

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 料理とは、「理(ことわり)を料(りょう)るもの」であり、美味しく、安心・安全に食べるための知識であり技術です。鮮度の良い食材が多く手に入る地では、シンプルに生食や、焼く蒸すなどの調理で十分美味しくいただけます。しかし、生きるために食材を確保することが困難な地では、いかに保存して食いつないでゆくか。さらに、その保存食をさらに美味しく食べることができないかと、試行錯誤の後に見つけ出したものが、伝統料理として今も息づいているものです。

 エイは、地中海にも生息しています。プロヴァンス地方の港で水揚げされ、すぐに調理されてしまえば、そのまま美味しくいただけるのです。その美味しさを知っているからこそ、彼らは保存食に加工することで、ローヌ川を上った内陸の地へ運べないものかと考えた。冷蔵技術のない時代であれば、沿岸の民もエイがアンモニア臭を放つことを知っていたはずです。そして、誰かが口にしたのでしょう…臭いけれども、腐っているわけではなく、美味しいことに気がついた。これはいける!

 彼らは、エイばかりではなく他の食材とともにローヌ川を遡(さかのぼ)ったはずです。そして、食の都と称されるLyonに辿り着く。しかし、他の多くの逸材に埋もれてしまい、エイの魅力はかすれるばかり。そこで、支流を上がりさらに山間部へと向かうことにした。さらなる時間を要するため、多くの海産物は腐敗したことでしょう。しかし、エイだけはアンモニア臭があるが腐っていなかった。いや、アンモニアのおかげで腐らなかった!

 Grenobleは山岳都市です。かつては、山の幸は豊富でも、海の幸は皆無といってもいいでしょう。この街の人々が、水運によって持ち込まれたエイという食材に出会った時、アンモニア臭はするが腐っていない海産物を手にした感動は一入(ひとしお)だったことでしょう。彼らは考え実行したはずです、どうしたらこの香りを消せるのか…。答えは同じ船の積み荷にあったのです。南仏特産のレモン!もちろんレモンは柑橘でありクエン酸を多く含みます。日本の山陰地方の人々と同じことに着目したのです。

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 ここに「エイヒレグルノーブル料理」が誕生した。Lyonのように食材の宝庫では、この着想はなかったでしょう。しかし、この料理が美味しかったからこそ、Lyonのブション(ビストロの前身)と呼ばれるレストランでお目見えしたことでしょう。美味しいからこそ伝播してゆく。ついにはParisのビストロで、セーヌ川の水運がもたらしたエイヒレと出会ったことで、ビストロ伝統料理へと昇華し、今なおエイの料理として色褪せることはありません。

 Grenobleで発案されたグルノーブルという料理スタイル。当初の手順では、エイヒレにレモンを搾りかけてから小麦粉をまぶしてバターで焼いていたのではないか…なんの確証もないですが、ついついそう考えてしまうもの。今は、運送と冷蔵・冷凍技術の発展により、エイヒレアンモニア臭がないため、レモンを搾りかけるという手間が省かれているのではないか。

 今回のブログ自体が、自分の推論でしかありません。しかし、調べるほどに分かってくる事実を考えていくうちに、全てが紡がれていくことで見えてくるものがありました。確かに、史実にそった確証はありません。ただ、理屈が通る物語を書けたように思います。さて、皆様はどのように思いますか?Benoitで「エイヒレグルノーブル」という料理をお召し上がりいただきながら。思いを馳せることも一興なのではないでしょうか。

 

≪季節のお話 立秋があるからかこそ気になる一首」≫

 「涼しさ」というものを、体感的に感じるのか、実際の気温で感じるのか。冒頭で勝手な持論を書いてみましたが、なかなかに説得力があるのではないでしょうか。そうすると、同じ「涼しさ」という言葉でも、思い浮かぶ風景は少しばかり変わってきます。こう考えながら、藤原季経(すえつね)の一首を詠(なが)めてみると…つい気になってしまいます。季経が詠(うた)ったのは、「立秋」の前?それとも後?

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9月お勧め料理「エイヒレグルノーブル風」のご紹介です。≫

エイヒレとはその名の通り「エイの鰭(ひれ)」です。北日本で「かすべ」として親しまれている食材ながら、まだまだ周知されるにいたっておりません。しかし、フランスではエイヒレは馴染みの食材であり、ビストロでは欠かすことができません。。伝統料理として確固たる地位を確立している、「グルノーブル」というスタイルとは、いったいどのような料理なのでしょうか?

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≪特選食材「六条大麦」を使ったお勧め料理のご紹介です!≫

六条大麦の国内シェア約3割を有し、堂々たる全国1位の生産量を誇るのが福井県。6月初旬に麦秋を迎えた「六条大麦」がBenoitに届いています!さあ、この栄養価満点に旬の食材を、Benoitではどのような料理に姿を変えるのでしょうか?

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≪初秋特別プランのご案内です。≫

気がつけば、蝉の諸声(もろごえ)が止んでいる…

コロナウイルス災禍が猛威を振るう中でも、季節は巡り去ってゆく。蝉は我々に秋の到来を教えてくれた気がします。そして、季節と同じように、旬と呼ばれる季節の食材も巡り去ってゆきます。彼らに「待つ」という優しはありません。そこで、この機を逃してはならないとの思いから、「初秋」と銘打った特別プランと、個室貸切プランをご案内させていただきます。

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≪季節のお話 「言の葉はあはれおよばぬ撫子の花」≫

 平安時代の美的理念を表現する言葉に、風情がある、趣きがある、美しい、というような意味の「をかし」というものがあります。清少納言は、随筆「枕草子」の中でこの「をかし」をランク付けするように紹介していいます。その中で、「草の花は撫子(なでしこ)」と彼女は書き遺しました。

 自分の「言の葉もあはれおよばぬ」ものですが、知っているようで知らないナデシコの花をご紹介させていただきます。

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≪晩生のピーチ・メルバを楽しまずして、9月は終われません!≫

 晩生(おくて)の桃を使ったデザート「ペッシュ・メルバ(ピーチ・メルバ)2021」をご案内せずして、自分は10月を迎えることはできません。そうなのです、皆様!このデザートの美味しさを楽しまずして、9月を終えることはできません。

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≪ピーチ・メルバ2021の全貌を公開!≫

 どれほど美味しいのかお伝えることはできませんが、どうしても皆様に2021年版ピーチ・メルバをお勧めしたく、自分の持ちうる言の葉を使い、それぞれのどのような「葉(パーツ)」であるのかを説明させていだきます。皆様には、それぞれの「葉(パーツ)」を知っていただき、どのような「樹(デザート)」であるかをご想像いただけると幸いです。

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岐阜県の飛騨もも「亀山果樹園」のご紹介です。≫

 今回の訪問先は、高山市の南に位置している久々野町に居を構える「亀山果樹園」さんです。標高750mの高冷地の大自然の中に2.5haの園地を有し、今は二代目園主の亀山忠志さんが陣頭指揮を執っています。甘く香り高い高品質の果実を皆様へお届けすべく、研鑽に励む日々。どのような果樹園なのか、少しばかり岐阜県を観光するようにご紹介させていただきます。

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北平のBenoit不在の日

私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない9月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。緊急事態宣言如何によって変更の可能がございます。ご不便をおかけいたしますが、ご容赦のほどなにとぞよろしくお願いいたします。

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 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

 

www.benoit-tokyo.com

 

2021年9月 「立秋」があるからこそ気になる一首…

 8月7日に「立秋」を迎え、暦の上では秋が始まりました。まだまだ猛暑が続く中で、「秋」と言われても…と毎年のようにこの立秋だけは、何とも言えない違和感を覚えるものです。2007年に新たな気象用語がお目見えいたしました。最高気温が25℃以上は「夏日(なつび)」、30℃以上で「真夏日」、35℃以上では「猛暑日」と表現するそうです。ともすると、暦では秋が始まったとはいえ、夏日を超えた真夏日猛暑日が続く8月は、まったく秋の様相を見せてはくれません。昔は違ったのでしょうか?

 月の軌道を基準とした旧暦と太陽の新暦との違いあり、その偏差は40日ほどある。なるほど!旧暦の時代には、秋の訪れはまだまだ先だったのか…と早合点しておりました。

 「立秋」というのは二十四節気の中の一つの季節区分のこと。二十四節気というだけに、1年を24に分け、太陽が真東から昇る「春分点」を起点にして振り分けられます。新暦は太陽の軌道が基準になっているので、毎年この節気に変動はほとんどありません。しかし、旧暦では毎年のように節気が移動するのです。偏差が40日ということで、旧暦では年内に「立春」を迎えることもあるのです。

 二十四節気が、春分点を起点にしているということは、旧暦も新暦も暦の日付は違えども、ほぼ時期を同じくすることを意味しています。そう考えると、昨今の地球温暖化の影響はあるかと思いますが、今も昔もやはり暑かったはずです。

 

立ちよれば すずしかりけり (ははそ)はら 木ずゑは秋の いろならねども  藤原季経(すえつね)

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 柞(ははそ)とは、コナラ、ミズナラクヌギにブナのブナ科の落葉高木群の総称です。今でこそ馴染みのない「柞」という言葉ですが、かつては身近な存在であり、今でも雑木林の重要な一役を担っています。藤原季経は、何のためらいもなく降りそそぐ陽射しから逃れようと、柞(ははそ)が生い茂る木陰に潜り込むと、思いのほか涼しさを感じることができたという。

 日陰に入ることで、茹(う)だるような暑さから逃れることは、今でも常套手段です。ビル群の影でも確かに涼しいものですが、樹々の葉影は一入(ひとしお)の涼しさを感じるものです。コンクリートと土では、気温に与える影響は違うでしょう。しかし、それ以上に涼しさを感じるのは、視覚的効果が大いに関係するのではないかと思うのです。柞の葉隠れは、大小の葉が縁を重ねるように形成されています。そこに陽射しが当たると、その重なり具合によって濃淡の違う緑の叢(むら)の美しさを見せてくれます。さらに、樹々の合間を縫うように吹き抜ける薫風(くんぷう)が、感覚的な涼しさで後押ししてくれているかのようです。

 猛暑の中での、柞の葉影で心安らぐひとときを過ごしたとき、ふと見上げた先で、葉が生い茂る梢(こずえ)へと目が留まる。柞の梢は、まだ秋の色へと変わってはいなせんねと、感慨深い。この秋の色とは、「こうよう」のことですが、柞なので紅葉ではなく黄葉です。

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 余談ですが、万葉の時代は樹々の葉が色を変えることを「もみつ」(動詞)といい、これが名詞のかたちをとると「もみち」なのだといいます。この時代は、まだ「ひらがな」は誕生しておらず、万葉仮名は漢字の音読みを利用して書き綴っています。「もみつ」は「毛美都」、「もみち」は「毛美知」と。しかし、古人の美的感覚はこれを許さなかったのでしょう。「黄変(もみつ)」や「黄葉(もみち)」と書いている歌も多く見かけるのです。いかに、黄葉の柞原が身近にあったことか。我々が慣れ親しんでいる「紅葉(もみじ)」は、万葉集ではほんの一首のみ、市民権を得るには平安時代まで待たねばなりません。

 藤原季経の歌意がなんとなく分かったところで、ふと思う。この歌は、立秋の前に詠まれたのか、後なのか。涼を求めて、柞原に立ち寄る。葉隠れに一息ついた後に、目に留まった梢の葉の色を見て…「まだ夏なのだから、もちろん秋の色ではないよね」なのでしょうか、はたまた「立秋過ぎているのにこの暑さ、秋とは名ばかりで、もちろん秋の色ではないよね」なのでしょうか。「立秋」という節気があるからこそ、ついつい気になってしまうもの。さて、皆様はどう思われますか?

 

9月お勧め料理「エイヒレグルノーブル風」のご紹介です。≫

 エイヒレとはその名の通り「エイの鰭(ひれ)」です。北日本で「かすべ」として親しまれている食材ながら、まだまだ周知されるにいたっておりません。しかし、フランスではエイヒレは馴染みの食材であり、ビストロでは欠かすことができません。。伝統料理として確固たる地位を確立している、「グルノーブル」というスタイルとは、いったいどのような料理なのでしょうか?

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≪エイヒレグルノーブルの出会いについて考えてみました…≫

 フランスのビストロ料理として欠かせない「エイヒレのムニエル」。我々日本人には馴染みのない食材である「エイ」、それがグルノーブルという調理スタイルで仕上げた逸品は、美味しいからなのでしょう、今なお多くの人々に愛され続けられている料理です。そもそも、グルノーブルとは何を意味しているのでしょう。そして、どうしてエイなのでしょう。皆様、気になりませんか?

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≪特選食材「六条大麦」を使ったお勧め料理のご紹介です!≫

 六条大麦の国内シェア約3割を有し、堂々たる全国1位の生産量を誇るのが福井県。6月初旬に麦秋を迎えた「六条大麦」がBenoitに届いています!さあ、この栄養価満点に旬の食材を、Benoitではどのような料理に姿を変えるのでしょうか?

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≪初秋特別プランのご案内です。≫

 気がつけば、蝉の諸声(もろごえ)が止んでいる…

 コロナウイルス災禍が猛威を振るう中でも、季節は巡り去ってゆく。蝉は我々に秋の到来を教えてくれた気がします。そして、季節と同じように、旬と呼ばれる季節の食材も巡り去ってゆきます。彼らに「待つ」という優しはありません。そこで、この機を逃してはならないとの思いから、「初秋」と銘打った特別プランと、個室貸切プランをご案内させていただきます。

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北平のBenoit不在の日

私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない9月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。緊急事態宣言如何によって変更の可能がございます。ご不便をおかけいたしますが、ご容赦のほどなにとぞよろしくお願いいたします。

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 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com

2021年9月 Benoit「コロナに負けるな!初秋特別プラン」のご案内です。

気がつけば、蝉の諸声(もろごえ)が止んでいる…

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 夏の盛りには、けたたましく鳴き声を上げていた、アブラゼミにミンミンゼミ。原宿駅から表参道へ向かうと、朝から青空に響かんばかりに諸声を上げていました。あまりにも暑い日中などは、この声に辟易(へきえき)してしまうものですが、昨年のように8月になっても蝉の初音を耳にしないと不安に感じるものです。今年は、梅雨明けを待っていましたと言わんばかりに元気な声を上げていました。

 この夏を代表するこの季節の声が、気づくと止んでいました。

 蝉に限らず、自然に生きる動植物は、その機微を的確の捉え、危機・困難を乗り越えていくようです。これを、野生の本能と表現するのでしょう。蝉も、小雨程度では動じないですが、大雨を察知すると鳴くことを止め、どこかに避難するのでしょう。樹々の間から漏れ聞こえた蝉の声が、ふっと静まり返った時は、やりやれ静かになったと安堵する気にはなれず、得も言われぬ不安に襲われるもの。しかし、それも束の間、雨が上がり陽射しが戻ると、待ってましたと諸声が上がります。

 もうすでに、陽射しに誘われることもなく、蝉の声が止んでいました。コロナウイルス災禍が猛威を振るう中でも、季節は巡り去ってゆく。蝉は我々に雨ではなく、秋の到来を教えてくれた気がします。虫たちの諸声は、蝉のけたたましさから、スズムシやコオロギの涼やかな声へと引き継がれています。

 

初秋特別プランのご案内です。

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 草木の花々は移りゆく季節の機微を捉え、順を追って咲き誇るもいずれは散りゆきます。食材も同じように「旬」という期間は限られたものであり、「待つ」という優しさはありません。そこで、全ての旬食材は無理でも、Benoitに少しだけ顔を向けてくれた食材で、「口福な食時」ひとときをお過ごしいただきたく、「初秋特別プラン」と銘打って、皆様にご紹介させていただきます。

 

初秋特別プラン

期間:土日を含めた2021930()まで

ランチ: 前菜x2+メインディッシュ+デザート

6,000円→5,000円(税込/サービス料別)

ディナー: 前菜x2+メインディッシュ+デザート

8,600円→6,800円(税込/サービス料別)

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営業時間のご案内

ランチ: 1130分から1530 (1400 ラストオーダー)

ディナー: 1700から2000 (1900 ラストオーダー)

※当面の間、昼夜ともに酒類提供を中止させていただきます。

 

ご友人やご家族で、Benoitの個室を貸切りませんか?≫

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 季節と同じように、誕生日や結婚記念日などの大切な記念日も巡ってきます。まして、結婚その日や還暦の日ともなると、人生の中では替えが利かないものものです。しかし、このコロナウイルス災禍下では大人数で集まることが憚(はなか)れるものです。そこで、個室を貸切っていただき、ご家族や仲間内で少人数のパーティーを楽しまれませんか?

 Benoitの窓越しに西新新宿に眺め、美味しい料理に舌鼓をうち、ご家族ではたまた気心知れた仲間内で、騒ぐではない「語らい」のひとときを過ごしていただきたいと思います。秋の陽射しが射しこむランチもよし、夜の帳(とばり)が下りてゆくディナーもよし。平日はランチとディナー、土日祝日はディナーのみ、Benoitの個室貸切プランのご案内です。

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平日はランチ&ディナー/週末ディナー限定! Benoitの個室を貸切りませんか?

皆様が気になる価格: 営業補償ということで5万円(税込/サービス料別)

期間: 930()までのディナー限定

ご利用人数: 2名様より承ります。下記画像の少し大きめの個室なため、人数が多い場合はご相談させてください。

お時間: ランチは11:3015:30まで (14:00 LO)

ディナーは170020:00まで (19:00 LO)

ご予約はもちろん、何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなく北平までお問い合わせください。このメール(kitahira@benoit.co.jp)への返信、電話でも喜んで承ります。

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 ここで、ポイントとなる「営業補償」を説明させていただきます。営業補償料金はお部屋代ではなく、ご飲食代とお考え下さい。そのため、人数やご注文の量によっては、5万円を超えることになります。極端な例として、10人であればお一人様5,000円で、貸切ご飲食が可能ということではございません。料理の価格はいつものメニューと変わりません。

 ランチでは、10,000円、ディナーでは15,000円をお一人様のご予算の目安にしていただけると、お飲み物も含めてお楽しみいただけます。もちろん、飲み物は少しで良いというのであれば、お一人様ご予算は下がります。全ての合計金額が、営業補償の金額以上となるよう、皆様にお願いさせていただきます。

 

≪「今宵はBenoitで!」 Benoitをまるまる貸切りませんか?≫

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 オリンピックは、Benoitが現状に甘んじることなく、倦(う)まず弛(たゆ)まず努力し続けねばならないことを教えてくれました。時間に制限はございますが、広々としたBenoitを全て貸切っていただき、悠々自適な「口福な食時」のひとときをお過ごしいただきたいと思います。

 

平日ディナー限定! 今宵はBenoitで!まるまる貸切りませんか?

皆様が気になる価格: 営業補償ということで15万円(税込/サービス料別)

期間: 930()までの平日ディナー限定

ご利用人数: 人数は問いません。

お時間: 170020:00まで (19:00 LO)

 

 ご予約はもちろん、何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなく北平までお問い合わせください。このメール(kitahira@benoit.co.jp)への返信、電話でも喜んで承ります。

※あまりにも閑散とした雰囲気を回避するため、お食事のテーブル以外も通常のテーブルセットをさせていただきます。

 

La viande fait la chair, le pain fait le ventre et le vin même la danse.

「肉料理は体を作り、パンは空腹を満たし、ワインはダンスを踊らせる。」

 旬の食材は、美味しく栄養抜群であるばかりで、我々を「待つ」という優しさを持ち合わせておりません。そこで、旬食材でこしらえた美味なる料理でお腹と心を満たし、レストランなので踊る(ダンス)ではなく、「心躍(こころおどる)る心地」なひとときをお楽しみください。

 

≪季節のお話 立秋があるからかこそ気になる一首」≫

 「涼しさ」というものを、体感的に感じるのか、実際の気温で感じるのか。冒頭で勝手な持論を書いてみましたが、なかなかに説得力があるのではないでしょうか。そうすると、同じ「涼しさ」という言葉でも、思い浮かぶ風景は少しばかり変わってきます。こう考えながら、藤原季経(すえつね)の一首を詠(なが)めてみると…つい気になってしまいます。季経が詠(うた)ったのは、「立秋」の前?それとも後?

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9月お勧め料理「エイヒレグルノーブル風」のご紹介です。≫

 エイヒレとはその名の通り「エイの鰭(ひれ)」です。北日本で「かすべ」として親しまれている食材ながら、まだまだ周知されるにいたっておりません。しかし、フランスではエイヒレは馴染みの食材であり、ビストロでは欠かすことができません。。伝統料理として確固たる地位を確立している、「グルノーブル」というスタイルとは、いったいどのような料理なのでしょうか?

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≪エイヒレグルノーブルの出会いについて考えてみました…≫

 フランスのビストロ料理として欠かせない「エイヒレのムニエル」。我々日本人には馴染みのない食材である「エイ」、それがグルノーブルという調理スタイルで仕上げた逸品は、美味しいからなのでしょう、今なお多くの人々に愛され続けられている料理です。そもそも、グルノーブルとは何を意味しているのでしょう。そして、どうしてエイなのでしょう。皆様、気になりませんか?

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≪特選食材「六条大麦」を使ったお勧め料理のご紹介です!≫

 六条大麦の国内シェア約3割を有し、堂々たる全国1位の生産量を誇るのが福井県。6月初旬に麦秋を迎えた「六条大麦」がBenoitに届いています!さあ、この栄養価満点に旬の食材を、Benoitではどのような料理に姿を変えるのでしょうか?

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≪季節のお話 「言の葉はあはれおよばぬ撫子の花」≫

 平安時代の美的理念を表現する言葉に、風情がある、趣きがある、美しい、というような意味の「をかし」というものがあります。清少納言は、随筆「枕草子」の中でこの「をかし」をランク付けするように紹介していいます。その中で、「草の花は撫子(なでしこ)」と彼女は書き遺しました。

 自分の「言の葉もあはれおよばぬ」ものですが、知っているようで知らないナデシコの花をご紹介させていただきます。

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≪晩生のピーチ・メルバを楽しまずして、9月は終われません!≫

 晩生(おくて)の桃を使ったデザート「ペッシュ・メルバ(ピーチ・メルバ)2021」をご案内せずして、自分は10月を迎えることはできません。そうなのです、皆様!このデザートの美味しさを楽しまずして、9月を終えることはできません。

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≪ピーチ・メルバ2021の全貌を公開!≫

 どれほど美味しいのかお伝えることはできませんが、どうしても皆様に2021年版ピーチ・メルバをお勧めしたく、自分の持ちうる言の葉を使い、それぞれのどのような「葉(パーツ)」であるのかを説明させていだきます。皆様には、それぞれの「葉(パーツ)」を知っていただき、どのような「樹(デザート)」であるかをご想像いただけると幸いです。

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岐阜県の飛騨もも「亀山果樹園」のご紹介です。≫

 今回の訪問先は、高山市の南に位置している久々野町に居を構える「亀山果樹園」さんです。標高750mの高冷地の大自然の中に2.5haの園地を有し、今は二代目園主の亀山忠志さんが陣頭指揮を執っています。甘く香り高い高品質の果実を皆様へお届けすべく、研鑽に励む日々。どのような果樹園なのか、少しばかり岐阜県を観光するようにご紹介させていただきます。

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北平のBenoit不在の日

 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない9月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。緊急事態宣言如何によって変更の可能がございます。ご不便をおかけいたしますが、ご容赦のほどなにとぞよろしくお願いいたします。

kitahira.hatenablog.com

 

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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2021年9月 「北平がBenoitを不在にする日」のご報告です。

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 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない9月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。また、緊急事態宣言如何によって、変更の可能がございます。ご不便をおかけいたしますが、ご容赦のほどなにとぞよろしくお願いいたします。

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  上記日程以外は、Benoitを優雅に駆け回る所存です。自分への返信でのご予約はもちろん、BenoitのHPや、他ネットでのご予約の際に、コメントの箇所に「北平」と記載いただけましたら、自慢の料理の数々を語りに伺わせていただきます。自分が不在の日でも、お楽しみいただけるよう万全の準備をさせていただきます。何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなくご連絡ください。

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一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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2021年8月 Benoit「六条大麦」を使ったお勧め料理のお案内です。

残暑お見舞い申し上げます。

  「立秋」を迎えたからこそ、なにかと「秋」を探してしまうもの。しかし、まだまだ暑い日々が続く中で、なかなか秋の風情には出会えないものです。「秋は名ばかりか…」と思いつつ、けたたましく耳に響く蝉時雨(せみしぐれ)に導かれるように空を仰ぐ。澄んだ青空に眩(まばゆ)いばかりの太陽、これらを際立たせるように雲が浮いている…

 今ほどの時期になると、入道雲がもくもくしている空模様と、イワシ雲やウロコ雲といったうっすらとした雲が空を覆う雲模様とを、日を変え時を変え交互するかのように望むことができます。入道雲が夏であれば、イワシ雲やウロコ雲は秋の雲。雲は空気中の水分であるならば、雲の違いは空気の違いなのでしょう。

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 このように考えると、空高くでは目には見えない夏の空気と秋の空気とが、混ざり合うことなく押し合い圧(へ)し合い鎬(しのぎ)を削っているのか…いや、きっと語り合っているのでしょう。古人は、出会うという意味の「行(ゆ)き合(あ)ふ」を使い、このような今時期の空を、こう表現したのです。

(/)き合いの空

 地表はまだまだ夏真っ盛りですが、空ではゆっくりと季節のバトンが引き渡される準備をしています。夏と秋という季節が出会い、そして夏は過ぎ去りまた巡ってくる。季節はそれぞれが「行き合ひ」、そして「行き交(か)ふ」もの。雲一つない青空であっても、このような季節の引継ぎを感じとりたいものです。

 

麦秋(ばくしゅう)

 「秋」という漢字は、四季の一役を担う「季節の秋」という以外に、「収穫」や「実り」という意味があります。「実りの秋」というほどなので、あまり驚きはないのではないでしょうか。「麦秋」とは、麦の実りのことを意味し、季節は秋ではなく初夏を指します。余談ですが、「竹の秋」というと…皆様お察しの通り、旬の味覚である筍の収穫期であるため季節は春。「竹の春」というと、これは秋の季節を意味します。参考までに、「竹の黄葉」は春。筍に栄養を持っていかれるので、黄葉し落葉します。

 今回の特選食材は、6月初旬に麦秋を迎えた「六条大麦」のご紹介です。国内シェアの約3割を有し、堂々たる全国1位の生産量を誇るのが福井県。しかし、県内に加工設備がありませんでした。収穫された大麦は他県に渡され、加工されたものが福井県を含め全国へと送り出されていました。

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 県下に数多(あまた)ある特産のひとつでありながら、あまりにも認知度が低いがために、これほどまでに栄養価に恵まれたスーパーフードでありながら、なぜ加工と販売を他県に頼らねばならないのか。地産地消こそが、産地の活況を呈するはず。そして、商品として全国へ販売することで、福井県の特産「六条大麦」を周知してもらえるはず。

 自然の気まぐれに翻弄されながらも、培ってきた経験をもとに麦畑と真摯に向き合う栽培者の苦労は、並々ならぬものがある。丹精込めて育てあげたからこそ、福井の六条大麦の美味しさが際立つ。彼らの努力に報いるためにも行動に移さなければならないのではないか。そう思い悩んでいた一人の女性がいました。重久弘美さんです。

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 彼女は、ご主人様の後押しもあり、ついに動き出したのです。そして、2010年(平成22年) 1月に「株式会社大麦俱楽部」を立ち上げました。ただ買い付けて販売するのではなく、栽培者の皆さんと畑に向き合い、大麦を識(し)ることから始まります。そして、重久さんは「皮麦・六条大麦」を選び、福井県でも北に位置している福井市と、そのお隣の坂井市で栽培しています。栽培品種は、うるち麦は「ファイバースノウ」、もち麦は「はねうまもち」です。

 同じイネ科の二条大麦が、ビールや焼酎の原料になるのに対し、六条大麦は麦茶やご飯に入れて食べる雑穀に適しています。むちむちっとした心地良い食感と、並外れた有用な栄養価は目を見張るものがあります。不溶性/水溶性の食物繊維がバランスよく内包している上に、水溶性の食物繊維の含有量は群を抜いています。

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 「福井の麦秋は過ぎ、おかげさまで刈取りも6月頭に終わりました。」と、重久さんのメッセージとともに今期の六条大麦がBenoit届きました。立秋を迎えたものの、秋(季節)はいまだ感じませんが、麦の秋(実り)はすでに収穫を終えており、いうなれば「新麦」というのでしょう。そこで、この秋(実り)そのものをお楽しみいただきたく、Benoitの料理として皆様にご案内させていただきます。

 

 Benoitシェフの野口は、「六条大麦の食感と甘さを生かしたい」と考えたようです。六条大麦丸粒は、まずは炒(い)ることで弾けるような食感を引き出し、香ばしさを加えます。その後、フォン・ブランを注ぎ入れ、優しい鶏と香味野菜の旨味を大麦に含ませるように。最後にチーズを振りかけ、全体が馴染むまで軽く混ぜ合わせる。ベタベタというよりも、パラパラというような一粒一粒が、チーズのコクをまとい、粒同士がまとまりをみてくる、その時に六条大麦リゾットが完成します。

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 今回六条大麦のリゾットとペアを組むのは、ホタテです。ホタテの貝柱は、生でもないし焼き過ぎてもいけない。旨味を逃がさないよう、表面を強く焼かなければなりません。Benoitのキッチン内に、プランチャと呼ばれる鉄板焼のような場所があります。調理器具がオール電化でありながら、なかなかな火力をもつ場です。

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 ここにオリーブオイルを引き、艶やかなホタテ貝柱を焼いていきます。ジュワ~と心地よく響く後に、貝柱から染み出る旨味のジュースが鉄板に触れるからなのでしょう、ビチビチビチッと弾ける音が続く。焼き面の香ばしさに加え、この旨味のジュースが鉄板に触れた時にはなたれる、貝柱特有の甘みのある香りが食欲をそそる。

 この焼の音色も芳しい香りも束の間のこと、貝柱の表面は焼かれることで壁をこしらえ、旨味を逃がさないように閉じ込めているかのよう。ほんの数十秒の時の流れで、ホタテの焼きは終わりを迎えます。そして、その焼き立てを盛りつけてゆく…

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 さあ、一堂に会します。六条大麦のリゾットを盛り、温かい小部屋から姿を見せたホタテ貝柱をのせます。色とりどりの野菜は、その時々の入荷状況によって変わりますが、旬を迎えている葉物と根菜をバランスよく選ばせていただき、茹でる炒めるなどの下ごしらえをしたものを飾るように盛り付ける。仕上げには、ホタテのヒモから旨味を引き出したソースを回しかけるようにして完成です。

 

 ホタテ貝柱のしっとり、それぞれの野菜のホクホク、六条大麦の口中で転がるようなプチプチ感。ホタテの貝柱ならではの旨味、野菜だからこその特有の青っぽい甘さ、六条大麦穀物らしいまろやかな甘さ。それぞれが食材が奏(かな)でる美味しさが、共鳴するかのようにお互いを引き立て合い、ひとつの料理へと仕上がります。

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Noix de SAINT-JACQUES en cocotte, orge et primeurs

ホタテ貝のポワレ 六条大麦のリゾットと野菜

※ランチ・ディナーともに、プリ・フィックスメニューの魚介料理としてお選びいただけます。

 

福井県特産の六条大麦!その六条とは何?≫

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 ビールの原料となるのは二条大麦。麦茶や麦飯などには六条大麦。はて?何が「二条」で「六条」なのでしょうか?そもそも、小麦と大麦は、粒の大きさの違いなのでしょうか?今回は、福井県の大麦俱楽部さんをご紹介しながら、これらの疑問にお答えしてゆこうと思います。きっと皆様もご家庭で使ってみたい食材になること間違いありません!

 重久さんより、ご購入を決めていただいた方には素敵なプレゼントのご用意もございます。この機会をお見逃しなく!

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≪夏熱れ、乗り切れBenoitで!≫

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「草熱(いき)れ」

 過ごしやすい夏などありようもなく、それが夏であり、ありのままを受け入れなさいと、夏草は教えてくれているのでしょうか。どれほど美しい言葉で表現されようとも、暑いものは暑く、知らず知らずのうちに体力を奪われていってしまうものです。そこで、皆様にはBenoitでは旬の食材を美味しくお召し上がりいただくことで、今夏の「熱(いき)れ」を乗り越えていただこうと思います。さあ、特別プランのご案内です。

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 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

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2021年8月 Benoit特選食材「福井県特産 六条大麦」のご紹介です。

 「福井の麦秋は過ぎ、おかげさまで刈取りも6月頭に終わりました。」と、株式会社大麦俱楽部の重久弘美さんのメッセージをいただきました。立秋を迎えたものの、秋(季節)はいまだ感じませんが、麦の秋(実り)はすでに収穫を終えてます。そう、新米ならぬ「新麦」の出荷が始まっています。

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 福井県の北に位置する、福井市とお隣の坂井市は、思いのほか大麦の栽培に適した地です。とはいうものの、自然の気まぐれに翻弄されながらも、培ってきた経験をもとに麦畑と真摯に向き合う栽培者の苦労は、並々ならぬものがあります。丹精込めて育てあげたからこそ、福井県六条大麦の美味しさは地の利以上のものがあります。

 地産地消こそが、産地の活況を呈するはず。そして、商品として全国へ販売することで、福井県の特産「六条大麦」を周知してもらえるはず。栽培者の方々の努力に報いるためにも、行動に移さなければならない。大麦は実った機は熟した!と決意したかどうかは分かりませんが、ご主人様の後押しもあり、2010年(平成22年) 1月に「株式会社大麦俱楽部」を立ち上げたのが、冒頭のコメントを送っていただいた重久弘美さんです。

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 彼女は、ただ買い付けて販売するのではなく、栽培者の皆さんと畑に向き合い、大麦を識(し)ることから始まります。そして、重久さんは「皮麦・六条大麦」を選び、うるち麦は「ファイバースノウ」、もち麦は「はねうまもち」の栽培を始めます。

同じイネ科の二条大麦が、ビールや焼酎の原料になるのに対し、六条大麦は麦茶やご飯に入れて食べる雑穀に適しています。むちむちっとした心地良い食感と、並外れた有用な栄養価は目を見張るものがあります。不溶性/水溶性の食物繊維がバランスよく内包している上に、水溶性の食物繊維の含有量は群を抜いています。

 この豊富な大麦の食物繊維は、今の食生活には欠かすことのできないものでした。

・ついつい食べ過ぎてしまった食後の、血糖値の上昇を抑える。

・腸内フローラの改善を促し、理想的な腸内環境を整える。

・満腹感を持続させる効果があり、食べ過ぎの抑制につながります。

・余分な脂肪の吸収を妨げ、体外に排出することで、メタボの改善になります。

 なぜか?詳細は、このブログの後半に譲らせていただきます。

 

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 重久さんが大麦倶楽部と立ち上げる際に、「美味しく食べて美しく健康に」をメインテーマに掲げました。福井県で、安心安全な美味しい六条大麦を栽培し、人にも味にも健康的な「美」がつくように、さらに家庭で手軽に調理できるように、そう願いながら六条大麦をパッケージし、新たな商品を模索し続けています。

 大麦は、小麦のようにグルテンをもたないため、パンやお菓子には向かない食材とされてきました。重久さんはそのような先入観を打破すべく、製粉技術などの加工技術を検討することにより、大麦粉を原料としたカレーやシチューのルゥ、レトルトカレー、パンケーキミックス、さらには乾麺(そば・うどん)、丸麦入りぜんざいといった商品を作り上げたのです。

 

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 さらに、「麦ストロー(おおむぎママの麦ストロー®)」がついに販売できるまでになったことは、世間の耳目を集めました。これは、大麦の茎で作ったストローです。ストローの語源が麦の茎であることを考えると、原点に返るかのような画期的な商品です。昨今の話題となっている、SDGs目標達成のため長い期間の研究の賜物か!と思いきや、どうやら発想の原点は違うようです。

 重久さんが大麦俱楽部を立ち上げる前、保育士であった頃のこと。園児とともに彼女の麦畑まで散歩に行き、麦の茎をちょんちょんと切ってストローを作り、皆でお茶を飲んで楽しんでいたといいます。園児にとって、散歩という楽しいひとときの中で、自然の産物で作られた麦ストローで飲むお茶は、喉を潤すだけではなく、楽しい上にさぞや美味しかったことでしょう。この思い出が、会社立ち上げの時に生かされます。少しでも麦畑の風を感じていただきたいと、赴いてくださったお客様へ麦茶に挿してお持ちし続けたのだいいます。

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 「無味無臭、無漂白、無着色。天然素材の六条大麦のストローです。手を加えなくても素敵な自然の贈り物でが、手間をかけないとストローにはなりません。」と、重久さんは教えてくれました。食用の大麦は、コンバインで収穫を行います。しかし、麦ストロー用の収穫の場合、大型農機では茎を折ったり潰したりするため使用できません。そこで、福井市岡保地区殿下町の麦畑に限定し、バインダーという小型の農機で丁寧に刈り取ってゆきます。

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 収穫した稲穂は丁寧に脱穀し、茎は米の稲架掛け(はさかけ)のように乾燥させます。そして、節を見極め程よい長さに切り、ストローが完成します。この工程、すべて手作業なり。簡単に書いていますが、途方もない手間暇が必要です。それでも、何とか商品化へと導けた、その理由を重久さんはこう語っています。「環境問題が起点となって商品化されたのではなく、元々あった 麦畑と福井の大麦に気持ちを添えた商品の完成形です。」と。

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 今、Benoitに届いている大麦は、大麦俱楽部さんの主力を成す「皮麦・六条・うるち大麦」です。商品としての正式名称は「腸活美人うるち丸麦」といいます。Benoitで試食をしているので、美味しいことはもちろん知っています。今回、六条大麦を調べるうちに、皆様の日々の生活に大麦習慣を取り入れた方がいいのではないか、そう考えたのです。

 そこで、大麦倶楽部さんのHPを貼り付けさせていただきました。こちらから、皆様も購入できます。さらに、重久さんから皆様へ心躍る提案をいただきました。

1000円以上のご購入の方に、うるち丸麦が入ったレトルトぜんざい『大麦入りぜんざい』をプレゼントさせていただきます。ご注文の際に、【その他ご希望】の欄へ【ブノワ】というキーワードを入れてください!」※商品が無くなり次第終了させていただきます。

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 さて、知っているようで知らない六条大麦を、ここからご紹介させていただこうと思います。

 大麦は世界最古の穀物であるといわれており、一万年ほど前には、すでに西アジア中央アジアで栽培されていたようです。古代エジプトツタンカーメン王のお墓の副葬品の中で、大麦が発見されています。この穀物は時代とともに伝播してゆき、日本には小麦よりも先に中国から持ち込まれ、奈良時代には広く栽培されていたといいます。

 農産物においては、学術上での分類がされる以前から、その特性を知り、栽培地の気候風土に適応したものを積極的に取り入れてきた気がいたします。知り得ることも、幾度となく繰り返された失敗からなのか、偶然なのか。地に根付いたと思われた作物も、自然の厳しさと対峙した時に、突然変異のように自らを適合するよう変えるものもあれば、淘汰されるものもあります。そして、今もその姿を目にすることができる野菜・穀物は、我々にとって必要不可欠なものであり、一部の地域限定のものは伝統野菜と呼ばれています。

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 大麦が人類には必要不可欠なの農産物は、今なお世界各国で栽培されていることが何よりの証なのではないでしょうか。さらに、その特性を利用した加工品は多くの人を魅了して止みません。しかし、これほどまでの逸材ながら、深く識(し)ろうとはせず、「大麦は大麦である」という認識のままにしているのではないでしょうか。例に漏れず、自分もまた然(しか)り。そこで、この大麦を少しばかり紐解いてゆこうと思います。

 大麦は、大きく3段階に枝分かれするように分類され、そこに多くの品種が生まれています。まず大麦は、「皮麦(かわむぎ)」か「はだか麦」に大別されます。子実の外皮がとれないのか(皮麦)、とれるのか(はだか麦)。外皮とは、お米でいう籾(もみ)にあたる箇所です。かつては、大麦全てが「皮麦」であったものが、突然変異で誕生したのが「はだか麦」だといいます。ここでいう「外皮がとれる」というのは、削り取るのではなく、手で揉むだけでとれていくことを言います。

 次に、このそれぞれは「二条」と「六条」に分岐します。この違いを識(し)るヒントは、その名称にありました。麦の穂がたち、花咲いた後に実を成します。その実のつき方が2列か6列かということ。下の図は大麦の穂をイラストにしたものです。茎の左右に麦の花(小さな丸)の蕾を3つ集めた小穂とよばれるものを、対ではなく交互になしてゆきます。大麦はイネ科に属するので、この小さな粒粒からひょろっとした小さな白い花を咲かせ、これが結実します。

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 イラストの中で、1つの小穂に3つの丸と色付けしています。黄色だけが結実するのが「二条大麦」、赤と黄色と3つ実を成すものが「六条大麦」です。二条大麦は、左右合わせて2列に実を成し、一粒一粒が大きくなります。六条大麦は、左右に6列ぎっちりとなるため、小粒となります。これが、二条と六条の名の由来です。

 最後は、食感の違いを生み出す大麦の性質によって「うるち麦」か「もち麦」かに分かれます。これはお米の分類も同じなので分かりやすいのではないでしょうか。内包するデンプンの構成の違いが食感に表れるといい、「うるち麦」は粘り少なくプチプチと、「もち麦」は粘りが強くモチモチとしたもの。

 これらの大麦の特徴の違いは、用途の多様性を生み出しました。

 酒飲みにとって、夏の暑い時期に欠かせないものはビールなのではないでしょうか。このビールの原料は皮麦二条大麦です。大麦の一粒は、もちろん種(たね)であり、胚乳部にたっぷりのデンプンを蓄えています。このデンプンを発芽の時には欠かせない養分なのですが、これを成長のエネルギーに変える分解しなければなりません。大麦は、この分解力が穀物中最強なのだといいます。なぜビールに麦芽が必要なのか、お分かりいただけたのではないでしょうか。さらに、ウイスキー麦焼酎の原料でもあります。

 皮麦六条大麦は、これまた夏場には欠かせない麦茶の原料です。大麦ごはんにも欠かせず、玄麦(げんばく)そのままはプチプチ、外皮を削り取るように精麦(せいばく)するとプモチという、もち麦であればモチモチという、食感の違うごはんに仕上がります。皮麦を精麦するか、はだか麦を使い仕込むのが麦味噌。もち麦で大麦麵などにも作られています。

 余談ですが、「押麦(おしむぎ)」は加工法によって作られたもの。大麦を精麦し、蒸して圧し潰したものが「押麦」です。

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 大麦は食物繊維とビタミンの宝庫です。食物繊維は胚乳に、ビタミンは胚芽に多く含まれます。何やら生物の授業のようになってきましたが、お米を精米した時に、残る白い箇所が胚乳の部分で、いびつに削れた部分にあったものが胚芽です。玄米が栄養豊富である理由は、精米によってビタミン豊富な胚芽が取れてしまうためです。

 大麦と小麦、同じ「麦」という漢字をあてながら、似て非なるものと評されています。その理由は、内包するタンパク質の違いです。小麦のタンパク質は、伸展性・膨張性に優れたグルテンです。パンやパスタに姿を変えることからイメージがつきやすいかと思います。対する大麦は、ホルデインというもの。そのため、大麦は粉末にして練っても、粘りが出にくい性質があります。小麦アレルギーの方が口にしても理論上では大丈夫なのですが、残念ながら大麦には小麦と似た構造のタンパク質があるため、万事安全というわけにはいきません。

 食物繊維には、不溶性と水溶性の2種類があります。不溶性は吸収されることがなく腸を通り抜けることから、便通の改善の効果がある。対する、水溶性は保水力とドロドロした粘り気が特徴的です。胃から移動に時間がかかる上に、小腸ではこの粘りが栄養素を包み込むことで糖質や脂質の吸収が緩やかに血糖値の上昇やコレステロールの吸収を抑えることができます。さらに、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を増やす効果もあるようです。

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 六条大麦には、この2種類の食物繊維がたっぷりと含まれます。その含有量たるや、精白米と比べると、もち麦で約25倍、うるち麦では約35倍にも及びます。特筆すべきは、大麦の水溶性食物繊維のほとんどが「大麦β-グルカン」であり、これが画期的な効果を我々の身体(からだ)にもたらすのだというのです。

 糖の一番小さな形態を「グルコース」といい、このグルコースだけがいくつか結合したものがグルカンです。2個が結合すると、人間にとって生命活動を維持するために必用不可欠なエネルギー源であるブドウ糖。10個ほど結合するとオリゴ糖。そして、この結合の形には「α型」と「β型」の2種類があり、前者で結合したものが「α-グルカン」、後者は「β-グルカン」です。

 人間の消化する能力は、α型の結合は切り離せるも、β型はできません。α-グルカンにはデンプンやグリコーゲンがあり、それ自体は体内に吸収できませんが、唾液に含まれるアミラーゼという酵素によってこの結合を切り離し、ブドウ糖とすることで体内に吸収することができるようになります。β-グルカンは、分子の連なりを切り離せないため、食物繊維として大腸まで運ばれます。この運ばれるまでの間に、免疫作用や整腸作用の効果があるとして注目されているのです。

 あくまでも、素人の自分の考察ですが…野菜や穀物のデンプンや肉やレバーには、生き抜くために多糖類と総称されたエネルギーを蓄えており、これがα-グルカンであるという。これを人が美味しくいただくと、α結合がスパッと切られブドウ糖へと姿を変え、腸から吸収されてエネルギーになる。必要不可欠な栄養ですが、摂り過ぎはいけない。

 β-グルカンは、食物繊維の一つであり、β結合は人間の能力では切っても切り離せないため、そのまま腸内を通過してゆく。その際、腸内の内壁にはフローラ(花畑)と呼ばれるように、菌類が叢(むら)なすように住み着ており、善玉・悪玉・日和見菌が勢力争いをしています。べったりと脂や余計な養分などが腸壁にこびりついていると、悪玉菌の天下となる。ここを、β-グルカンが通ることで、このべったりをこそぎ取ってゆきながら体外に排出する役割をしている。これによって、善玉菌が活性化するのではないか…さらに、β-グルカンが悪玉菌に悪態をつきながら、善玉菌を鼓舞しながら腸内を通過しているのかも…

 さて、これほど我々に有用極まりないβ-グルカンですが、分子構造によってさらに分類され、効果の差も分かってきているようです。しかし、機能性の高さを求めれば求めるほどに、専門の研究室での産物に頼らざるをえません。では、自然界の産物からこのβ-グルカンを摂るにはどうしたら良いのか。

 キノコ類は種類によってもちろん差はあるものの、全般的に多くβ-グルカンが含まれています。そして小麦や米などの穀物にも、もちろん含まれています。オーツ麦なども多く含まれる中で名が挙がると思いますが、やはり粒の胚乳部にたっぷりと内包してる六条大麦が抜きん出ているようです。

 キノコは独特な風味が美味しさでもあるのですが、その味わいの強さが好き嫌いを生んでいるものです。そうなると、六条大麦こそ、普段の食事の中に組み込むべき食材なのではないでしょうか。特選食材としてご紹介している「六条大麦丸粒・うるち大麦」は、調理が簡単な上に、プチプチとした食感と他の食材と見事なまでに調和する力をもった逸品です。一度に大量摂取では意味がなく、毎日の食事の中に少しだけ、トッピングやアクセントとして組み入れることで、大いなる効果を我々のもたらしてくれることでしょう。

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 いかがですか?大いに魅力ある食材だと思いませんか。大麦俱楽部さんの主力を成す「皮麦・六条・うるち大麦」は、「腸活美人うるち丸麦」という商品名です。この機会に、皆様の日々の生活に大麦習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。そこで、大麦倶楽部さんのHPを貼り付けさせていただきました。こちらから、皆様も購入できます。さらに、重久さんから皆様へ心躍る提案を今一度!

1000円以上のご購入の方に、うるち丸麦が入ったレトルトぜんざい『大麦入りぜんざい』をプレゼントさせていただきます。ご注文の際に、【その他ご希望】の欄へ【ブノワ】というキーワードを入れてください!」※商品が無くなり次第終了させていただきます。

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お心遣い本当にありがとうございます。

 

福井県特産の六条大麦Benoitではどう調理する?≫

 六条大麦という特選食材を、Benoitシェフの野口は、「六条大麦の食感と甘さを生かしたい」という。さて、どのように調理し、どのような料理へと姿を変えてゆくのか。9月末までの期間、ランチ・ディナーともにプリ・フィックスメニューの魚介料理のメインとしてお選びいただけます。新麦を美味しくお召し上がりいただくことで、大麦のパワーを皆様の身体へ摂りこみ、コロナウイル災禍を共に乗り越えましょう!

kitahira.hatenablog.com

 

≪夏熱れ、乗り切れBenoitで!≫

「草熱(いき)れ」

 過ごしやすい夏などありようもなく、それが夏であり、ありのままを受け入れなさいと、夏草は教えてくれているのでしょうか。どれほど美しい言葉で表現されようとも、暑いものは暑く、知らず知らずのうちに体力を奪われていってしまうものです。そこで、皆様にはBenoitでは旬の食材を美味しくお召し上がりいただくことで、今夏の「熱(いき)れ」を乗り越えていただこうと思います。さあ、特別プランのご案内です。

kitahira.hatenablog.com

 

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com

2021年8月 「夏熱れ、乗り切れBenoitで!」夏特別プランのご案内です。

残暑お見舞い申し上げます。

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 秋とは名ばかりで、まだまだ暑い日々が続きます。冬であれば、陽射しに恋い焦がれるも、今の時期では恨めしく思うもの。そんな人間をよそに、太陽の恩恵を嫌というほど受けながら、愚痴一つこぼさない草木たち。光合成には欠かせない太陽光ではありますが、何事にも限界があり、強い陽射しを一日中めいっぱい浴びてしまうと草木も疲れてしまいます。とはいえ、動物のように日陰に逃げることも許されず、必死に耐え忍んでいるように思えたのでしょう。夏の強烈な陽射しを浴び、むわっとする熱気が草草より立ち上る光景を、古人はこう表現しました。

草熱れ(くさいきれ)」

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 この言葉からにじみ出る、真夏の熱気。過ごしやすい夏などありようもなく、それが夏であり、ありのままを受け入れなさいと、夏草は教えてくれているのでしょうか。どれほど美しい言葉で表現されようとも、暑いものは暑く、知らず知らずのうちに体力を奪われていってしまうものです。そこで、皆様にはBenoitでは旬の食材を美味しくお召し上がりいただくことで、今夏の「熱(いき)れ」を乗り越えていただこうと思います。

 

夏熱(いき)れ、乗り切れBenoitで!夏特別プランのご案内です。

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 草木の花々は移りゆく季節の機微を捉え、順を追って咲き誇るもいずれは散りゆきます。食材も同じように「旬」という期間は限られたものであり、「待つ」という優しさはありません。そこで、全ての旬食材は無理でも、Benoitに少しだけ顔を向けてくれた食材で、「口福な食時」ひとときをお過ごしいただきたく、「盛夏特別プラン」と銘打って、皆様にご紹介させていただきます。

 

盛夏特別プラン

期間:土日を含めた2021831()まで

ランチ: 前菜x2+メインディッシュ+デザート

6,000円→5,000円(税込/サービス料別)

ディナー: 前菜x2+メインディッシュ+デザート

8,600円→6,800円(税込/サービス料別)

 

営業時間のご案内

ランチ: 1130分から1530 (1400 ラストオーダー)

ディナー: 1700から2000 (1900 ラストオーダー)

※当面の間、昼夜ともに酒類提供を中止させていただきます。

 

ご友人やご家族で、Benoitの個室を貸切りませんか?≫

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 オリンピックは、Benoitが現状に甘んじることなく、倦(う)まず弛(たゆ)まず努力し続けねばならないことを教えてくれました。何かしなければならないと思いあぐねる中で、つい口遊(ずさ)んだ一言によって今回の特別プランが誕生いたしました。個室を貸切ることで、心許す方々とかけがいのないディナーのひとときをお過ごしください。た詳細は別のブログでご案内させていただきます。

kitahira.hatenablog.com

 

≪「今宵はBenoitで!」 Benoitをまるまる貸切りませんか?≫

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 夜の帳(とばり)が下りてゆくのをBenoitの窓越しに眺め、美味しい料理に舌鼓をうち、気心知れた仲間内で、騒ぐではない「語らい」のひとときを過ごしていただきたい。この思いから、まだご予約の入っていない平日ディナーはBenoit貸切り、平日および土日のディナーは個室を占有していただきたいと思います。

 Benoitで目に入るものは、スタッフ以外はほぼフランスから届いたもの。其処彼処にアンティークが設(しつら)えられ、どこを向いても絵になる内装が自慢です。ディナー貸切は、ここを皆様の気心知れた方々でご利用いただきたいのです。一般営業では写真撮影が憚(はばか)れることもあるかと思いますが、この日は全くその心配はありません。思い思いのドレスアップでお食事を楽しみ、想い出の写真撮影に興じるのも良いかもしれません。

 昨今のコロナウイル災禍で、結婚式などのお祝いができていない方も多いのではないでしょうか。そこで、この機会にBenoitを貸切り、ご家族や仲間内で少人数のパーティーはいかがですか?簡単なドレスであれば、個室を更衣室にしてドレスアップしても良いかと思います。そして、いつもであれば、ご利用は小学生以上に限定させていただいておりますが、貸切なのでお断りする理由はございません。離乳食やお子様ランチのご用意はないですが、メニューよりお好みものをお選びいただくが、ご両親様との料理シェアでも良いかと思います。

 

平日ディナー限定! Benoitをまるまる貸切りませんか?

皆様が気になる価格: 営業補償ということで15万円(税込/サービス料別)

期間: 831()までの平日ディナー限定

ご利用人数: 人数は問いません。

お時間: 170020:00まで

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 ここで、ポイントとなる「営業補償」を説明させていただきます。営業補償料金はお部屋代ではなく、ご飲食代とお考え下さい。そのため、人数やご注文の量によっては、15万円を超えることになります。極端な例として、30人であればお一人様5,000円で、貸切ご飲食が可能ということではございません。

 10名様であれば、お一人様ご予算で15,000円以上をご飲食代でご利用ください。ディナーのコース料理価格は、7,500~10,000円、先にご案内させていただいた「盛夏特別プラン」がお勧めです。お選びいただきましたコース料理の合計金額と営業補償の金額との差額以上を、お飲み物でご利用いただくことをお願いいたします。

 ご予約はもちろん、何かご要望・質問などございましたら、何気兼ねなく北平までお問い合わせください。このメール(kitahira@benoit.co.jp)への返信、電話でも喜んで承ります。

※あまりにも閑散とした雰囲気を回避するため、お食事のテーブル以外も通常のテーブルセットをさせていただきます。

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La viande fait la chair, le pain fait le ventre et le vin même la danse.

「肉料理は体を作り、パンは空腹を満たし、ワインはダンスを踊らせる。」

 旬の食材は、美味しく栄養抜群であるばかりで、我々を「待つ」という優しさを持ち合わせておりません。そこで、旬食材でこしらえた美味なる料理でお腹と心を満たし、レストランなので踊る(ダンス)ではなく、「心躍(こころおどる)る心地」なひとときをお楽しみください。

 

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 今年の辛丑が始まりました。その「辛」の字の如く優しい年ではないかもしれません。しかし、時は我々に新地(さらち)を用意してくれている気がいたします。思い思いの種を植えることで、そう遠くない日に、希望の芽が姿をみせることになるでしょう。

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 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com