kitahira blog

徒然なるままに、Benoitへの思いのたけを書き記そうかと思います。

2022年5月Benoit 惜春の想いを込めて≪特別プラン≫と≪迎えし食材≫のご案内です。

散る花の あかぬなごりの なぐさめに 心うつれと さける山吹  藤原宣子(せんし)

 桜の開花期間は、一年との中でほんの1週間ほどのこと。今ではすっかり葉桜となり、花笑う姿は遠い過去の事のように思えるもの。強く待ち望むからこそ、散りゆく姿に虚しい寂しさを覚えてしまうからなのでしょう。

 我々を気にも留めずに花を散らす桜。散り終える頃には、名残惜しさが募るばかりで尽きることはありません。そのような我々を見かねたのでしょう。「慰めてあげるから、私の方へ心を移しなさい!」と、群青の中で輝かんばかりの花を咲かせる山吹が問いかけている。

 コロナ禍での不自由な生活も、はや3年目を迎えました。そのような人間を横目に見ながら、四季は巡り去ってゆきます。日本人は、季節の移ろいを、陽射しや風を肌で、順を追って咲き誇る花々や、青々と茂る叢叢(むらむら)の様を目で、風や雨の音を耳で、風が運んでくる香を鼻で、旬の食材で季節の美味しさを口で楽しむ。季節を五感で感じ取ることで、体を順応させているのではないかと思うのです。家にこもってばかりでは体調がすぐれない、これが理由なのではないかと。

 見失いがちな季節の移ろいを教えてくれるかのように、私に心を移しなさいと「旬の食材」がある。虚しさを慰めてくれるというよりも、虚しくならないように教えてくれるのが「旬の味覚」なのでしょう。そこで、Benoitでは旬の食材を取り入れた料理とデザートをご用意いたしました。「惜春」と銘打った特別プランとともに、その旬の食材を、皆様にご紹介させていただきます。

 

惜春特別プランのご案内です。

 草木の花々は移りゆく季節の機微を捉え、順を追って咲き誇るもいずれは散りゆきます。食材も同じように「旬」という期間は限られたものであり、「待つ」という優しさはありません。そこで、全ての旬食材は無理でも、Benoitに少しだけ顔を向けてくれた食材で、「口福な食時」のひとときをお過ごしいただきたく、「花より団子プラン」を「惜春特別プラン」と名を変え、期間を延長させていただきます。そう、花より団子も良いですが、去りゆく春に思いを馳せながらBenoitの料理をお楽しみください!

 

惜春特別プラン

期間:土日を含めた2022531()まで

ランチ: 前菜x2+メインディッシュ+デザート

6,000円→5,000円(税込/サービス料別)

ディナー: 前菜x2+メインディッシュ+デザート

8,600円→6,800円(税込/サービス料別)

 

 迅速に皆様のご希望にお応えできるよう、専用の予約サイト開設いたしました。以下のURLよりご利用ください。ご希望日のご予約が取れない場合でも、まだお席が残っている可能性もございます。その時は、何気兼ねなく自分へ返信、もしくBenoitへご連絡(03-6419-4181)ください。ご要望や質問なども、喜んで承ります。

ランチのご予約はこちらから

https://www.tablecheck.com/shops/benoit-tokyo/reserve?menu_items=6237d2f1a6b861002577fba4

ディナーのご予約はこちらから

https://www.tablecheck.com/shops/benoit-tokyo/reserve?menu_items=6237d297bd7775002a5834fe

 

≪今期のGWBenoitでワインを楽しみませんか!≫

 ゴールデンウイークに、「待つ」という優しさをもたず、そ知らぬ顔で過ぎ去ってゆく旬の食材をお楽しみいただきたい。それも、フランス料理には欠かすことのできないワインとともに…そこで、429()58()の10日間、ディナー限定でワインリストに記載のある全てのボトルワインを30%割引にて提供させていただきます。ぜひ、「惜春特別プラン」をご利用いただき、Benoitにて「口福な食時」のひとときをお過ごしください。

 

 

≪お母様への感謝の気持ちをBenoitで伝えてみませんか?≫

 バラが美しく咲き誇る時期の到来と、「母の日」が近いということもあり、バラとカーネーションを加えたブーケをご希望の皆様にご用意させていただきます。もちろん、Benoitスタッフが摘んでご用意するわけではありません。本店は表参道でパリにも支店のあるお花屋「Pas de Deux(パ・ド・ドゥ)」にご協力をいただき、3,000(税込)にてご用意させていただきます。

 お母様への感謝の気持ちを込めて贈るも良し、大切な人にお祝いや自分自身への激励として贈るも良し。皆様の人生は二つとないかけがいのないもの。だからこそ、「Pas de Deux(2つとない)」が厳選したブーケはいかがですか?

皆様には状態のいいブーケをお渡ししたいという田島さんの強い意向があります。ご予約日の3日前までに、ご希望をメールか電話にてお伝えいただけると幸いです。

 

新潟県佐渡ヶ島から鰆がBenoitに春を告げに来た!≫

 日本海側を北上し、太平洋側を南下する。海流に乗るかのように日本を回遊する魚だけに、数多(あまた)ある地で水揚げされているのがサワラです。流線型のほっそりとした魚形のため「狭腹(さはら)」である。これが名前の由来という。一年を通して水揚げがあるにもかかわらず、漢字では「鰆」と書く…なぜ?

 サワラは、春に産卵のため瀬戸内海を訪れます。この時期の水揚げ量が多いため、「春」というイメージが根付いたのではないかといいます。瀬戸内海であれば大阪や京都も近いため、かつては春の味覚としての確固たる地位を得たことも分かる気がします。しかし、サワラを愛食している方は、今の時期は日本海側を選ぶといいます。太平洋側や瀬戸内海産に比べ小ぶりではあるが、身質と脂のノリが格別だというのです。

 そこで、Benoitは新潟県佐渡ヶ島で水揚げされたものを直送してもらいます。日本海の荒波にもまれている上に、海水温がまだ低いとこもあり、身が締まり、脂がきれいな「寒サワラ」に近い。旨味が多い魚ですが、この海域は他とは一線を画すほどに美味しい。ここまでくるともう大衆魚でない!ブランド魚だ!

 この美味なるサワラが、鮮度良く、美味しいままBenoitに届いています。新潟県佐渡ヶ島両津港脇にある佐渡水産地方卸売市場で、その日に水揚げのあるサワラを競り落とし、捌かれBenoitへの旅路に着く。この大役を担ってくれているのが、「マルヨシ鮮魚店」の石原さんです。彼の尽力無くして、Benoitに佐渡ヶ島産の美味なるサワラはありません。

 

≪目を見張るほど春に美味しくなるのが目春なり。≫

 メバルは、大きな目で見張っているようなので、「目張」と表記するという。さらに、「目春」とも書く。こちらは、目を見張るほどに春に美味しくなるからなのでしょうか?

 磯釣りでも人気を博すメバルは、赤・白・黒メバルと見た目にはなかなか区別がつきにくい魚。Benoitは、これらのメバルではなく、深場に生息する「ウスメバル」を選びます。この美しく輝くオレンジ色と黒の模様が特徴。クセの無い淡白な白身で、カサゴの仲間らしいぷりぷりの身質。今の時期がひときわ美味しいといわれています。

 生息域は、北海道の南部から、太平洋側は相模湾辺りまで、日本海側は対馬の辺りまで。産地を見ていると、石川県や福井県が多いでしょうか。そうそう、サワラでご紹介した新潟県佐渡ヶ島も忘れてはいけません。産地を特定せずに、その時その時に水揚げされた中から、より美味なるものをプロの目利きで選んでいただきます。

 「我々魚屋は美味しさを、澄んだ目、お腹の張りとエラの色で鮮度を判断します。」

こう教えてくれたのが、豊洲市場へ移転するも、創業70年を誇る仲卸「大芳」宇田川さんです。妥協のない彼の目利きに、Benoitシェフの野口は全幅の信頼を寄せています。

 

≪ボーノ(美味しい)という名を冠したボーノポーク?!

 「ボーノポーク」は、イタリア語で美味しいという意味の「ボーノ」という言葉を冠し、なんとも軽々しい印象を受けますが、その実は、岐阜県の中濃ミート事業協同組合の威信にかけて育て上げた銘柄豚です。飼育地は、県内の瑞浪(みずなみ)市、山県市、揖斐(いび)市の3地域。3つの種の掛け合わせで誕生した三元豚で、そのひとつが霜降り割合を増加させる能力を持つ、岐阜県が開発育種した「ボーノブラウン」という種豚です。

 抗酸化能とオレイン酸を多く含む植物性原料を含み、飼料中のアミノ酸バランスを調整した専用に開発された飼料を与えています。この飼料を含め、徹底した管理のもとで飼育されることで、霜降り割合が一般的な豚肉の二倍にものぼり、肉自体の旨味を十二分に堪能できる上に、脂の甘味か加味されるのです。さらに、一般に流通している豚肉よりもドリップロスが少なく、肉の旨味が逃げにくいのが特徴といいます。

 飼育した全てが「ボーノポーク」というブランドを冠することはありません。県下の和牛ブランド「飛騨牛」が、霜降り具合を目視によって5等級なのか4等級なのか、はたまた3等級なのかと振り分けるように、この豚もまたロース部位を目視によって判別してゆきます。違う点は、区分けが「ボーノポーク」か「一般的な豚」の2択であるということ。

 皆様が、「ボーノポーク」という豚の名前を耳にしたことがないのも当然、徹底した管理のために多くを飼育できない上に、厳しい選別ゆえに流通量が極端に少ないのです。その、貴重な豚肉がBenoitに届いています!この美味しさをご堪能ください。

 

熊本県が誇る柑橘が、Benoitで一堂に会する…

 熊本市から南西に向かうと、天草へと導かれるかのように宇土半島が伸びています。この半島のつけねあたりの南側にあたり、八代海(やつしろかい)に面した場所にある不知火町。そこから西へと向かうと、天草の島並が見えてくる。ともに共通しているのは、熊本県屈指の柑橘産地であるということ。この2地域から、美味なる柑橘がBenoitに届いています。

 季節が過ぎ去ってゆくように、柑橘も順を追って終わりを迎えていきます。熊本県が誇る柑橘がBenoitで一堂に会するのは、今しかありません!5種類の柑橘それぞれを、調和をもたせつつもそれぞれの良さを生かしながら組み立てます。柑橘の奏でる旋律を、ハーモニーを織りなすアンサンブルへと導く。晩春を飾るデザートをお楽しみください。

Coupe aux agrumes

熊本県産柑橘類のクープ

※ランチとディナーのプリ・フィックスメニュー、デザートの選択肢で+800円でお選びいただけます。

 

熊本県の柑橘産地はどのような地なのか?どのような柑橘がBenoitに届いているのか?詳細をブログにてご紹介させていただきます。

kitahira.hatenablog.com

 

静岡県のイチゴといえば「紅ほっぺ」。今期はバジルとともに!?

 Benoitのデザート年間スケジュールの中で、欠かすことのできない食材が3つあります。夏の「桃」に秋の「和栗」、そして春の「イチゴ」です。それぞれの時期になると、その食材の名前が其処此処に掲げられるため、皆様にはさほど驚きはないかと思います。しかし、Benoitを管轄しているアジア圏の統括シェフパティシエであるジュリアン・キンツラーは、フランスのデザート職人らしい組み合わせの妙をもって、皆様の五感にうったえてきます。

kitahira.hatenablog.com

 

≪特選食材をご自宅で楽しみませんか?≫

 皆様にお勧めしていると特選食材の数々。よく「どこかで購入できないの?」との問いをいただきます。そこで、ゴールデンウイークを迎えることもあり、ご自宅で特選食材をお楽しみいただきたく、それぞれの生産者さんにお願いをしてみました。取り急ぎ、今回は3つの地域から皆様がご購入できるように提案をいただきました。

香川県薫農園のアスパラガス「さぬきのめざめ」と旬の野菜セット

熊本県のむちゃん農園から不知火大玉とジューシーオレンジ(河内晩柑)のセット

新潟県佐渡ヶ島のマルヨシ鮮魚店から、鮮度抜群の魚詰め合わせ

詳細は以下よりブログをご訪問ください。

kitahira.hatenablog.com

 

北平のBenoit不在の日

 私事で恐縮なのですが、自分がBenoitを不在にしなくてはならない5月の日程を書き記させていただきます。滞りがちだったご案内を充実させるべく、執筆にも勤しませていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

kitahira.hatenablog.com

 

 過ごしやすい日々ではありますが、まだ「春に三日のはれなし」と表現される時期です。この不安定な天気は、知らず知らずのうちに体力を奪ってゆくもの、油断はなりません。疲労・ストレスなどが原因で免疫力が下がっている時に、乾燥が加わると、コロナウイルスばかりではなく、風邪やインフルエンザにも注意が必要です。さらに、肌荒れやかゆみの原因にもなり、体感温度も下がります。健康のためにも、美容のためにも、程よい湿気お忘れなきように。そして、心の潤いも保ちながら快適にお過ごしください。

 最後まで読んでいいただき、誠にありがとうございます。

 「一陽来復」、必ず明るい未来が我々を待っております。そう遠くない日に、マスク無しで笑いながらお会いできる日が訪れることを願っております。皆様のご健康とご多幸を、一刻も早い「新型コロナウイルス災禍」の収束ではなく終息を、青山の地より祈念いたします。

 

ビストロ「ブノワ(BENOIT)」 北平敬

www.benoit-tokyo.com